今回紹介するのは、自作の水上戦ゲーム 「ソロモン夜襲戦」 の追加シナリオである。この春のゲームマーケットで発売予定にしている「ソロモン夜襲戦」のサポート誌第1弾である「水上戦No.1」に掲載を予定しているシナリオだ。
シナリオのタイトルは「天一号作戦」。これは連合軍の沖縄侵攻に対抗して日本軍が用意した海空決戦の作戦である。この戦いで戦艦「大和」は護衛艦艇9隻と共に沖縄近海へ向かい、その途中に九州坊ケ崎沖で米空母艦載機の攻撃によって撃沈されている。
このシナリオは、その「大和」出撃をテーマとしたものだ。「大和」が沖縄に向かってくることを知った米軍は、まず戦艦による迎撃を企図した。そこで白羽の矢が立ったのが、米デヨ少将麾下の第54任務部隊である。戦艦10隻、巡洋艦13隻などの大兵力を持つ第54任務部隊は、「大和」迎撃の命を受けると、麾下の艦隊から戦艦6隻、巡洋艦7隻等を引き抜いて「大和」迎撃のための特別任務部隊を編制した。
このシナリオは、「大和」が米空母艦載機の攻撃を受けることなく沖縄近海に到達し、そこでデヨ少将の特別任務部隊と遭遇した場面を描いた仮想戦である。
登場兵力
日本側は史実における第1遊撃部隊10隻(「大和」他、軽巡「矢矧」と駆逐艦8隻)とした。米軍は史実における特別任務部隊をほぼ踏襲したが、「ソロモン夜襲戦」でユニット化されていない一部の巡洋艦については、同型艦で代替した(さて、どれでしょ?)。また米駆逐艦については、史実では21隻引き連れていたことになっているが、面倒なので約半数の12隻とした。その代わりと言っては何だが、米駆逐艦12隻のうち5隻は、最新鋭の「A.M.サムナー」級とした。
登場兵力
勝利条件。連合軍は「大和」の撃沈は当然として、自軍の損害を最小限に留めなければならない。対する日本軍は「大和」沈没は避けられないとしても、その過程でできるだけ多くの損害を連合軍に与えて、帝国海軍最期の栄光を飾らなければならない。1Turn
彼我の距離は27Hex(約40km)。両軍とも巡洋艦部隊を速度6に増速して艦隊を広く展開させようとする。移動終了時点における彼我の距離は22Hex(33km)。しかし日本艦隊の最後尾を進む「大和」の艦上からはまだ敵が見えない。2Turn
主導権は日本軍が取った。日本軍は先攻を選択する。両軍はなお敵に接近を図る。移動終了時点における彼我の距離は18Hex(27km)。そして「大和」も遂に射程距離内に敵を捉えた。距離24Hex(36km)で「大和」の46cm砲が米艦隊の先頭を走る戦艦「テネシー」に向けて発射された。轟音を残して9発の46cm一式徹甲弾が発射された。主砲弾は大きな弾頭軌道を描いて、「テネシー」の左舷前方約1000ヤードに巨大な水柱を上げた。3Turn
「敵艦発砲」
旗艦「テネシー」艦上で見張員が叫ぶ。「テネシー」からはまだ「大和」は射程距離外だ。既に日本駆逐艦は「テネシー」の射程距離内に入っていたが、主目標はあくまでも「大和」だ。小物は巡洋艦以下に任せておけばよい。
「もっと距離を詰めろ」
旗艦の艦上でデヨ少将が叫ぶ。
移動終了時点で「テネシー」と「大和」との距離は22Hex(33km)まで迫っていた。
「敵艦射程距離内に入りました」
「テネシー」の砲術長が叫ぶ。
「主砲射撃開始」
「テネシー」が主砲を放った。12発の36cm砲弾が中空に放たれた。砲弾は「大和」を飛び越えてその後方で水柱を上げる。
「敵艦発砲」
「大和」からm「テネシー」の発砲は確認できた。
「怯むな、どんどん射撃を続けろ」
「大和」からも反撃の砲火が飛ぶ。しかしその砲弾は相変わらず明後日の方向に飛び去って行った。
4Turn
米戦艦は2群に分かれた。36cm砲装備艦3隻からなる第3戦艦戦隊は「大和」の前方、40cm砲装備の「コロラド」級戦艦3隻からなる第4戦艦戦隊は「大和」の後方に回り込む。第3戦艦戦隊の3隻が「大和」をその射程距離内に捉えたため、3隻が「大和」に集中砲火を浴びせた。しかし命中弾はなし。「大和」は無傷のまま航行を続けている。
また米戦艦部隊の前方を進む快速部隊は、その主砲射程距離内に日本の第2水雷戦隊を捉えた。軽巡「サンタフェ」と「モービル」が日本駆逐艦を狙い、「ポートランド」以下重巡4隻が二水戦旗艦「矢矧」に集中砲火を浴びせた。
軽巡「モービル」の主砲弾が駆逐艦「浜風」に命中した。これが両軍通じて最初の命中弾となる。
5Turn
二水戦は駆逐隊毎に右へ転舵し、敵に向かって向首する。中距離から撃たれ続けても一方的に潰されるだけだから、一か八か接近戦に全てを掛けようという算段だ。彼我の距離は近い所で10Hex(15km)まで迫った。 米戦艦4隻が「大和」に集中砲撃を浴びせる。しかし未だに「大和」に命中弾はない。しかし米重巡による射撃は、距離が近づいたために効果を発揮し始めていた。重巡「ミネアポリス」の放った20cm砲弾2発が軽巡「矢矧」に命中。「矢矧」は軽微な損害を被った。軽巡「モービル」も「浜風」に再び命中弾を与えた。
「大和」の主砲弾が遂に「テネシー」を捉えた。46cm砲弾1発が「テネシー」の中央部に命中する。「テンシー」の甲板装甲を苦も無く突き破った46cm砲弾であったが、弾薬庫や機関室といった致命的な部分に命中するには至らず、そのため「テネシー」の被害も軽微なものに留まった。
6Turn
「蛇行運動を行え」
「テネシー」が左右に転舵を行う。サルヴォーチェージング。敵の砲撃を躱すための回避運動だ。数に勝る米艦隊は、「大和」に狙われている戦隊を適宜回避運動を行わせつつ、狙われていない側の戦隊で「大和」を狙うという芸当が可能なのだ。無論、日本側も同様の戦術で敵の砲撃を躱している。
このTurn、「大和」に対して砲火を開いたのは、米第4戦艦戦隊の「コロラド」級戦艦3隻だ。いずれも40cm砲装備の戦艦で、砲戦距離は19~21Hex(28~32km)。しかしまたもや下手糞な米戦艦は、「大和」に命中弾を与えることができなかった。
一方で巡洋艦戦隊は着実に日本側二水戦にダメージを与えていた。凄腕の重巡「ミネアポリス」は、距離14Hex(21km)で軽巡「矢矧」に2発の20xm砲弾を命中させた。「矢矧」は小破で持ちこたえたが、そろそろ限界が近づいてきた。
軽巡「サンタフェ」は駆逐艦「磯風」に2発の命中弾を与え、同じく軽巡「ビロキシー」は駆逐艦「雪風」に1発を命中させていた。
対する「大和」は、距離17Hex(25km)に迫った「テネシー」に対して渾身の一撃を放ったが、無情にも弾は逸れた(50%で命中弾を得る筈だったのに・・・)。
つづく
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