今回紹介するのは、自作の水上戦ゲーム 「ソロモン夜襲戦」 の追加シナリオである。この春のゲームマーケットで発売予定にしている「ソロモン夜襲戦」のサポート誌第1段である「水上戦No.1」に掲載を予定しているシナリオだ。
シナリオのタイトルは「スラバヤ沖海戦」。1942年2月27日~3月1日にかけて日本海軍とABDA(アメリカ、イギリス、オランダ、オーストラリア)連合艦隊がジャワ島東方沖で戦った海戦である。
前回の展開 --> こちら
8Turn
第4水雷戦隊はABDA巡洋艦の狙い撃ちを躱すため、サルヴォーチェージングを行う。そのためか、ABDA艦隊の砲火は目標を逸れた。一方で「ヒューストン」が距離13Hex(約20km)から「那智」に2発を命中させた。「那智」は小破する。一方、四方から集中砲火を浴びている英駆逐艦部隊は、「エレクトラ」「エンカウンター」が命中弾を受けて大破。これまで辛うじて戦闘力を維持していた「ジュピター」も第7駆逐隊からの砲撃を受けて中破してしまう。
9Turn
日本の重巡部隊が距離9Hex(約13km)まで迫ってきた。「那智」「羽黒」の砲撃が「ヒューストン」「エクゼター」に降り注ぐ。「那智」の射撃は外れたが、「羽黒」は「エグゼター」に20cm砲弾2発を命中させた。「エクゼター」の脆弱な装甲は20cm砲弾に耐えられず、「エクゼター」は小破する。第4水戦は駆逐艦「エレクトラ」を撃沈した。ABDA艦隊の反撃。「パース」が反転して離脱を図る駆逐艦「春雨」に対して、2発の15cm砲弾を命中させてこれを撃沈。ABDA艦隊としてようやく一矢を報いた。「ヒューストン」「エグゼター」の2艦は距離6Hex(9km)に迫った軽巡「那珂」を集中砲火。「ヒューストン」が夾叉弾を与えたものの、命中弾を得るには至らなかった。
10Turn
第4水雷戦隊は、右へ120度回頭。敵弾回避を意図しつつABDA艦隊を追撃する構えだ。回頭を終えた「那珂」は、左前方45度5Hex(約7.5km)の敵艦に対して射撃開始。しかし変針直後の射撃であるため命中弾はない。第4水戦の子駆逐隊は、英駆逐艦「エンカウンター」を撃沈。さらに第7駆逐隊は米駆逐艦「アルデン」を撃沈する。ABDA艦隊は、右後方から近づく第4水雷戦隊と右横やや前方から距離を詰めてくる第5戦隊に対して砲火を向ける。今日大活躍のオーストラリア軽巡「パース」は、新たな目標である駆逐艦「五月雨」に対して7Hex(約11km)から15cm砲弾2発を命中させてこれを中破に追い込んだ、またオランダ軽巡「ジャバ」は距離5Hex(7.5km)に近づいた軽巡「那珂」に対して15cm砲弾2発を命中させて、これまた中破に追い込んだ。これらの損害によって日本艦隊の指揮値は一気に2レベル低下し、指揮値が3となった。状況はまだまだ予断を許さない。
11Turn
「那智」「羽黒」は右へ60度変針。ABDA艦隊から5Hex以内に飛び込むのを巧みに避けている。5HexだとABDA艦隊の6インチ砲軽巡の近距離圏内なのだ。その間両軍とも砲火を応酬。「那智」「羽黒」は「ヒューストン」「エグゼター」に向けてそれぞれ個別射撃。ABDA艦隊は「エグゼター」「ヒューストン」が「那智」を集中砲火。「ジャバ」「パース」は「那珂」「五月雨」を狙ったが、それぞれ命中弾はなかった。「那智」「羽黒」はやや距離が遠いが、左舷に向けて計16本の酸素魚雷を発射した。駆逐艦同士の撃ち合いでは、大破したオランダ駆逐艦「コルテノール」に対し、第7駆逐隊が計18本の90式魚雷を放ったものの、いずれも命中せず。しかしその直後に近くを通りかかった第2水雷戦隊が「コルテノール」に集中砲火を浴びせてこれを撃沈した。この段階でABDA艦隊が失った駆逐艦は計5隻となる。生き残った駆逐艦は計4隻(米3隻、蘭1隻)。このTurnに盤外へ離脱していった。
12Turn
ABDA艦隊は魚雷回避のために左へ変針。そのため「那智」「羽黒」の放った魚雷は命中しなかった。ABDA艦隊と第5戦隊との距離がやや広まったため、「那智」「羽黒」は目標を「エクゼター」に絞って集中射撃を浴びせる。「羽黒」は夾叉弾を得たものの、不幸にして命中弾はなかった。一方のABDA艦隊は、「エクゼター」「ヒューストン」「デ・ロイテル」「パース」が「那智」を集中砲火。「ジャバ」は「羽黒」を狙った。「デ・ロイテル」の15cm砲弾1発が「那智」に命中したが、致命傷にはなっていない。13Turn
ABDA艦隊の砲撃。「エクゼター」「ヒューストン」が夾叉弾を得たものの、命中弾はなし。一方日本艦隊の砲撃は、これまで優秀な射撃を示してきた「羽黒」が「エクゼター」に1発の8インチ砲弾を命中弾させ、これを中破に追い込んだ。ABDA艦隊の右後方から迫ってきた第4水雷戦隊の駆逐艦4隻は、距離5~7Hex(7~11km)の距離で軽巡「ジャバ」に対して砲火を開く。しかし射撃精度は不良であり、夾叉弾、命中弾共に得られない。
14Turn
中破した「エクゼター」は列外に退避していく。ABDA艦隊の残った巡洋艦4隻は、「ジャバ」を除く3隻が「那智」を狙い、「ジャバ」は後方から近づく第4水戦の駆逐艦を狙う。「那智」に対する砲撃は、「デ・ロイテル」と「パース」がそれぞれ命中弾1ずつを与えたが、15cm砲では威力不足で「那智」は大した損害を受けていない。それでも累積損害で徐々に中破状態に近づいてはいるが・・・。
このTurnにクリーンヒットを上げたのは、オランダ軽巡「ジャバ」である。距離5Hex(7.5km)に近づいてきた駆逐艦「村雨」に対して発砲。6インチ砲弾1発が見事に「村雨」の弾薬庫を貫き、閃光を発した「村雨」は一瞬で轟沈した。
日本艦隊の反撃。「エクゼター」が列外に離れていくのを見た第5戦隊は目標をオランダ軽巡「デ・ロイテル」に変更した。距離6Hex(約9km)から放たれた砲弾は、しかし目標を大きくそれた。
一方で目の前で僚艦が爆沈するのを見た第4水戦の生き残り(駆逐艦3隻)は、反撃の砲火を「ジャバ」に向ける。1発が「ジャバ」に命中したが、そこは「腐っても巡洋艦」。「ジャバ」の装甲は駆逐艦の主砲弾を跳ね返した。
15Turn
ABDA艦隊は全艦で「那智」を集中砲撃する。「ヒューストン」「パース」がそれぞれ1発の命中弾を「那智」に与えた。遂に「那智」は中破状態に追い込まれ、事実上戦闘力を失う。16~18Turn
その後両軍は砲火を交えるが、駆逐艦「時津風」に20cm砲弾が1発命中して小破しただけであった。結果
日本軍の損害
沈没:駆逐艦「村雨」「春雨」中破:重巡「那智」、軽巡「那珂」、駆逐艦「雪風」「五月雨」
小破:駆逐艦「時津風」
連合軍の損害
沈没:駆逐艦「コルテノール」「エンカウンター」「エレクトラ」「ジュピター」「ジョン・D・フォード」中破:重巡「エクゼター」、駆逐艦「アルデン」「ポール・ジョーンズ」
小破:重巡「ヒューストン」、軽巡「デ・ロイテル」、駆逐艦「ジョン・D・エドワーズ」
VPは日本軍86VP、連合軍61VPで結果は引き分けであった。
感想
勝利条件的には引き分け以外に持ち込むのが難しいかもしれない。少し日本側の勝利条件を甘くしよう。当初の案では日本軍は連合軍の2倍のVP獲得が勝利条件であったが、1.5倍以上で勝利とした。それなら今回のケースではあと6VP獲得すれば、日本軍が勝利できる。シナリオとしては、概ねまとまっていると思う。今回のシナリオは「ソロモン夜襲戦」で数少ない大規模昼間水上戦闘である。両軍の兵力はほぼ互角だが、個艦性能で日本側が勝っている。その分ABDA艦隊は勝利条件を甘めにしたが、それでもABDA艦隊で勝利条件を満たすのは困難かもしれない。熟練者には是非ABDA艦隊で日本艦隊に挑戦して欲しい。
コメント