The Jaws of Victory(以下、TJoV)は、2020年にNew England Simulationsから発表されたシミュレーションゲームである。テーマは1944年1月~2月におけるコルスン包囲戦で、1Turn=1日、1Hex=2マイル、1ユニットは大隊~師団規模の部隊を表す。

元々は1980年に米国SPI社から発売された「Patton's 3rd Army」(以下、P3A)のシステムから発展してきている。とはいってもTJovは、P3Aからはかなり異なったシステムに仕上がっている。P3Aの特徴であった戦力チット引きは、そのエッセンスは残されているものの、ルール的には別物になっている。Aから始まる戦闘力等級の概念は残されているが、戦闘力のバラつきはなくなり、戦闘力等級とステップ数の関係は一定になった。

またP3Aではマストアタックシステムであったが、TJovではメイアタックに変わっている。ただし被攻撃下にないユニットがZOCを及ぼしている場合は攻撃力が半減する(これによって少しだけマストアタックっぽさが出ている)。

今回、TJoVで最大のシナリオであるキャンペーンシナリオをVASSALの通信対戦でプレイしてみた。参加者は3名。ドイツ軍1名、ソ連軍2名である。私はソ連軍で助攻を担当する第2ウクライナ方面軍を担当した。第2ウクライナ方面軍の任務は、コルスン突出部の東側から攻撃し、ドイツ軍の守備兵力を拘束して包囲網攻勢を支援するもの。金床とハンマーでいえば、金床に相当する任務を担当する(あるいはクルスク戦におけるドイツ第9軍の役割か・・・)。

以下、その展開を紹介する。

1Turn(1944年1月25日)

最初の攻勢は陽動を行う第2ウクライナ方面軍から実施される。Krasnoselka村(5534)付近を基点に攻勢を開始した第2ウクライナ方面軍は、前線を守るドイツ軍の第389歩兵師団を撃破し、Sukhoy Tasklyk川を渡河。Kapitanovka村(4733)の鉄道駅まであと1Hexと迫った。

Turn01a


Turn01b


Turn01c




2Turn(1944年1月26日)

ドイツ軍装甲師団が前線に姿を現した。第5SS装甲師団「ヴィーキング」、第14装甲師団、そして第3装甲師団だ。我が赤軍戦車旅団は、第5SS装甲師団と第14装甲師団の間隙を突破。「ヴィーキング」の背後に回り込み、これを半包囲した。

Turn02a


そのころ戦線西部では、主攻勢を担当する第1ウクライナ方面軍が、東へ向けて動き始めていた。第1ウクライナ方面軍と我が第2ウクライナ方面軍が手を結んだ時、包囲の輪が完成する。

Turn02b


3Turn(1944年1月27日)

攻勢開始3日目。我が第2ウクライナ方面軍は砲兵支援を投入して戦線を西へ進めていく。その過程でドイツ軍1個歩兵連隊をPastryrkoye村(4931)に包囲した。

Turn03a


その頃、戦線の西側では第1ウクライナ方面軍がドイツ軍の最前線を大きく突破し、東へ向けて快進撃を開始しようとしていた。

Turn03b

感想

本日の対戦はここまでで終了とした。プレイ時間は9時間。1Turnの平均所要時間は約3時間である。時間のかかるゲームだが、ドイツ軍を1名で担当したのが影響したようだ。東西両面に敵を持つドイツ軍を1名で担当するのはやや荷が重く、ソ連軍2名はとにかくとして、ドイツ軍も2名で担当するのが良いかと思う。

ゲームとしては「華麗な機甲突破」というゲームではなく、ジリジリと戦線を押し込んでいく感じになる。CRTが防御側有利で3-1の戦闘比でも防御側が後退する確率は50%強に過ぎない(そして後退ヘクス数は僅かに1Hex)。従って砲兵支援、諸兵科連合、装甲優越、航空支援などを駆使して戦闘比を上げていく必要がある。こんな時、砲兵支援の有難さと砲兵補給の面倒さを感じることができる。

それにしてもTJovは面白い。是非再戦したいアイテムである。

Tiger



ティーガー戦車 戦場写真集 ドイツ重戦車 戦場写真集 ソ連・ロシア軍 装甲戦闘車両クロニクル 失われた勝利(下)