アジャイル開発とスクラム
平鍋健児/野中郁次郎/及部敬雄 翔泳社
アジャイル開発とその手法の1つであるスクラムについて解説した著作である。本書はアジャイル開発の内容とその必要性について説明し、その中でスクラムの進め方について解説している。スクラムは比較的シンプルなアジャイルプラクティスである。「スプリント」と呼ばれる1~4週間程度の開発期間を単位とし、「プロダクトバックログ」と呼ばれる機能一欄からスプリント内で実現する機能リストを「スプリントバックログ」として取り出し、スプリント内での完結を目指す。スプリントの中では、「プランニング」「デイリースクラム」「スプリントレビュー」「スプリントレトロスペクティブ」等のイベントが行われる等等。まあスクラムを実践している組織にとっては今更というような内容であろう。
スクラム自体はシンプルな手法なので、書籍の1冊を丸々埋めるようなボリュームはない。そこで本書では、第2部「アジャイル開発とスクラムを実践する」とし、実際にスクラムを実践している組織を6例取り上げ、実際にスクラムを成功させた人物にその効能を語らせている。そして第3部「アジャイル開発とスクラムを考える」で、スクラムの生みの親とも言うべき野中郁次郎氏とジェフ・サザーランド氏に語らせている。
スクラムを理解する上では不足ない内容であり、入門書としては好適だと思う。