もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 読書(洋書)

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20250311_Truk

Truk 1944-45: The destruction of Japan's Central Pacific bastion

Mark Lardas Osprey

Truk 1944-45
トラック環礁は、戦時中に連合艦隊の主要根拠地となり、連合軍からは「日本の真珠湾」「太平洋のジブラルタル」と呼ばれて恐れられていた。本書では、1944~45年に米英軍が実施したトラック環礁への一連の攻撃について、その準備段階と実施状況、そしてその結果について記載している。トラック空襲といえば、1944年2月に実施されたヘイルストーン作戦が有名で、本書でもページ数の多くをヘイルストーン作戦に割いている。とはいってもトラック空襲はそれ1回で終了したわけではなく、その後も米機動部隊による再度の空襲やB-24、B-29等の長距離爆撃機を用いた攻撃、さらには終戦直前には英機動部隊による攻撃も実施されている。本書ではこれらの戦いについても詳しく触れられている。
ヘイルストーン作戦については目新しい記述はなかったが、B-24やB-29の爆撃については今まであまり実体が知られていなかっただけに新鮮な気持ちで読むことができた。

お奨め度★★★



Truk 1944-45 How Carrier Fought New Guinea and the Marianas: March 1944-august 1944 模型で見るアメリカ空母のすべて
空母エンタープライズ下巻 マリアナ沖海戦-母艦航空隊の記録 太平洋の試練(下)-ガダルカナルからサイパン陥落まで Carrier Battle - Philippine Sea

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20250310_TF58

Task Force 58

Rod Macdonald Frontline Books

Task Force 58
タイトルは第58任務部隊となっているが、実際には太平洋戦域における米空母部隊の戦いすべてを扱っている。扱っている時期は、開戦前から太平洋線初期の空母戦、そして1943年以降の太平洋戦争後期の戦いを扱っている。メインテーマは勿論後半戦で、空母機動部隊の編成から始まり、機材の説明、作戦計画などを説明した後、ラバウル攻撃、ギルバート・マーシャル諸島攻略戦、トラック島空襲、マリアナキャンペーン、第1次フィリピン海海戦(マリアナ沖海戦)、パラオ諸島攻略戦、第2次フィリピン海海戦(レイテ沖海戦)、フィリピンキャンペーン、日本本土襲撃、硫黄島、沖縄戦、そして日本本土攻撃作戦計画とその準備攻撃等が描かれている。太平洋戦争で米空母の関連する作戦のほぼすべてを網羅していると言って良く、海戦場面以外の上陸支援や本土攻撃等にもページ数を割いている点が特徴である。
記述そのものに目新しい内容はさほどないが、米空母の戦いを総括的に理解するにはよい本である。

お奨め度★★★



Task Force 58 Pacific Carrier War How Carrier Fought World War II US Fast Carrier Task Force Tactics 1943-45
空母エンタープライズ上巻 空母エンタープライズ下巻 太平洋の試練(下)-ガダルカナルからサイパン陥落まで 太平洋の試練(上)-レイテから終戦まで

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Polikarpov I-15,I-16 and I-153 Aces

Mikhail Maslov Osprey

Polikarpov I-15,I-16 and I-153 Aces
ポリカルポフ戦闘機、特にI-15、I-16といえば、日中戦争で零戦に完敗したとか、大祖国戦争初期にドイツ空軍に一方的に叩き落されたとか、いわゆる「やられメカ」的なイメージが強い。これは何も我が国だけではなく、西側諸国でもポリカルポフ戦闘機の評判はあまり高くないようだ。
本書はそんなポリカルポフ戦闘機に焦点を当てて、I-15、I-16、I-153でのエース達とその戦いぶりを紹介している。本書が取り上げるのは、スペイン内戦、日中戦争、ノモンハン事件、冬戦争、そして大祖国戦争だ。特に日中戦争やノモンハン事件では、日本側で語られているものとは異なる視点での空戦史が紹介されている。特にソ連人の義勇兵たちが戦ったとされる日中戦争の空中戦シーンは、我々の想像とはかなり異なったものだ。
大祖国戦争時には明らかに旧式化していたこれらの戦闘機であったが、そんななかにもずば抜けた戦績を残したエース達はいた。彼らの中にはBf-109のみならずFw-190すらも撃墜したエース達もいたのだ。特にポリカルポフ戦闘機独特の武装といって良い82mm空対空ロケットは、しばしば大きな戦果を挙げたという。
我々が普段あまり詳しく知らない戦史について、理解を深めることができる1冊である。

お奨め度★★★


Polikarpov I-15,I-16 and I-153 Aces ノモンハン責任なき戦い 北欧空戦史 ―なぜフィンランド空軍は大国ソ連空軍に勝てたのか Brewster F2A Buffalo Aces of World War 2 (Aircraft of the Aces Book 91)
史料が語るノモンハン敗戦の真実 ノモンハン1939 ノモンハン秘史 F4F Wildcat vs A6M Zero-sen Pacific Theater 1942

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The Philippine Sea 1944

Mark Stille Osprey

The Philippine Sea 1944
マリアナ沖海戦について日米双方の視点から総括した著作である。筆者のMark Stille氏はゲームデザイナーとしても知られており、レイテ沖海戦のゲームやハンガリー戦、スターリングラード戦のゲーム等を手掛けている。
本書はマリアナ沖海戦について、戦闘開始から終了までを時系列に示した内容になっている。本書は両軍の指揮官、編成、作戦方針を説明する所から始まり、ビアク島攻略戦とそれに対する渾作戦、米軍のマリアナ攻撃、基地航空部隊と米機動部隊の戦い、小沢艦隊の出撃、小沢艦隊の攻撃と米機動部隊の迎撃、米軍による追撃といった一連の流れが手際よくまとめられている。この海戦はとかく「マリアナの七面鳥撃ち」といった特定の場面のみが注目される傾向にあるが、本書は海戦場面に留まらずその前の戦い(第1航空艦隊とTF58の戦い等)をキッチリ描くことで、マリアナ沖海戦の全体像を分かりやすく示すことに成功している。
写真や図表が数多く掲載されていて読みやすいので、英文だからといって敬遠せずに是非読んでいただきたい1作である。

お奨め度★★★★


The Philippine Sea 1944 マリアナ沖海戦-母艦航空隊の記録 New Guinea and the Marianas: March 1944-august 1944 帝国海軍搭載機総ざらい(1) 2017年 06 月号
Carrier Battle - Philippine Sea 海空戦南太平洋1942

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World War II US Fast Carrier Task Force Tactics 1943-45

Brian Lane Herder Osprey

World War II US Fast Carrier Task Force Tactics 1943-45
4年ぶりに読んでみた。1943年以降の米高速空母部隊の戦術について記載した著作である。空母航空団の編制や各種装備が戦闘機、偵察爆撃機、雷撃機別に図解入りで説明されている。そして作戦・戦術編には、戦前から戦争前半、戦争後半にかけての米空母群における戦術の変遷が簡潔で要領よく記載されている。さらに戦術面での詳細として、航空作戦、夜間作戦、タスクフォースの布陣、通信、レーダー、戦闘機誘導等が個別に記載されており、さらに対空火器、特攻機対策、空母自身のダメージコントロールについて記載されている。
戦闘面については、偵察、攻撃、空戦戦術、機銃掃射とロケット弾攻撃、爆撃、雷撃についてそれぞれ記載されており、さらに夜間攻撃・迎撃、航空救難、救命用潜水艦等が記載されている。最後にケーススタディとして、1945年2月16~17日での日本本土空襲時における空母作戦の実例が記載されている。
オスプレイの他の作品と同じくボリュームは少なく英語も平易なので読みやすい。内容は常識的なものだが、中には日本ではあまり知られていない米空母のドクトリンに関する記述も含まれており、そういった点からも興味深かった。

お奨め度★★★★


World War II US Fast Carrier Task Force Tactics 1943-45 How Carrier Fought Pacific Carrier War Midway Inquest
海空戦南太平洋1942 Carrier Battle - Philippine Sea The First Team - Pacific Naval Air Combat from Pearl Harbor to Midway 1942 The First Team and the Guadalcalnal Campaign
空母エンタープライズ上巻 空母エンタープライズ下巻 マリアナ沖海戦-母艦航空隊の記録 波まくらいくたびぞ

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