もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 読書(洋書)

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The Philippine Sea 1944

Mark Stille Osprey

The Philippine Sea 1944
マリアナ沖海戦について日米双方の視点から総括した著作である。筆者のMark Stille氏はゲームデザイナーとしても知られており、レイテ沖海戦のゲームやハンガリー戦、スターリングラード戦のゲーム等を手掛けている。
本書はマリアナ沖海戦について、戦闘開始から終了までを時系列に示した内容になっている。本書は両軍の指揮官、編成、作戦方針を説明する所から始まり、ビアク島攻略戦とそれに対する渾作戦、米軍のマリアナ攻撃、基地航空部隊と米機動部隊の戦い、小沢艦隊の出撃、小沢艦隊の攻撃と米機動部隊の迎撃、米軍による追撃といった一連の流れが手際よくまとめられている。この海戦はとかく「マリアナの七面鳥撃ち」といった特定の場面のみが注目される傾向にあるが、本書は海戦場面に留まらずその前の戦い(第1航空艦隊とTF58の戦い等)をキッチリ描くことで、マリアナ沖海戦の全体像を分かりやすく示すことに成功している。
写真や図表が数多く掲載されていて読みやすいので、英文だからといって敬遠せずに是非読んでいただきたい1作である。

お奨め度★★★★


The Philippine Sea 1944 マリアナ沖海戦-母艦航空隊の記録 New Guinea and the Marianas: March 1944-august 1944 帝国海軍搭載機総ざらい(1) 2017年 06 月号
Carrier Battle - Philippine Sea 海空戦南太平洋1942

4

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World War II US Fast Carrier Task Force Tactics 1943-45

Brian Lane Herder Osprey

World War II US Fast Carrier Task Force Tactics 1943-45
4年ぶりに読んでみた。1943年以降の米高速空母部隊の戦術について記載した著作である。空母航空団の編制や各種装備が戦闘機、偵察爆撃機、雷撃機別に図解入りで説明されている。そして作戦・戦術編には、戦前から戦争前半、戦争後半にかけての米空母群における戦術の変遷が簡潔で要領よく記載されている。さらに戦術面での詳細として、航空作戦、夜間作戦、タスクフォースの布陣、通信、レーダー、戦闘機誘導等が個別に記載されており、さらに対空火器、特攻機対策、空母自身のダメージコントロールについて記載されている。
戦闘面については、偵察、攻撃、空戦戦術、機銃掃射とロケット弾攻撃、爆撃、雷撃についてそれぞれ記載されており、さらに夜間攻撃・迎撃、航空救難、救命用潜水艦等が記載されている。最後にケーススタディとして、1945年2月16~17日での日本本土空襲時における空母作戦の実例が記載されている。
オスプレイの他の作品と同じくボリュームは少なく英語も平易なので読みやすい。内容は常識的なものだが、中には日本ではあまり知られていない米空母のドクトリンに関する記述も含まれており、そういった点からも興味深かった。

お奨め度★★★★


World War II US Fast Carrier Task Force Tactics 1943-45 How Carrier Fought Pacific Carrier War Midway Inquest
海空戦南太平洋1942 Carrier Battle - Philippine Sea The First Team - Pacific Naval Air Combat from Pearl Harbor to Midway 1942 The First Team and the Guadalcalnal Campaign
空母エンタープライズ上巻 空母エンタープライズ下巻 マリアナ沖海戦-母艦航空隊の記録 波まくらいくたびぞ

2

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Rise of the Aircraft Carrier

Britannia Museum Trust Press

Rise of the Aircraft Carrier
太平洋戦争における日米の空母同士の戦いについての論文集。英国ダートマスの海軍兵学校でまとめたものである。内容的には日米の空母戦を概括的に記したもので、空母戦の細かい部分よりも太平洋戦争全体の中で空母や空母機動部隊の果たした戦略的な役割を論じたものになっている。データ的にも古い部分もあり、正直な所、目新しい内容は特になかった。

お奨め度★★



Rise of the Aircraft Carrier Pacific Carrier War How Carrier Fought 海空戦南太平洋1942
機動部隊 母艦航空隊 運命の夜明け 勇者の海

4
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U.S. Aerial Armament in World War II Vol.2

William Wolf Schiffer Pub Ltd

U.S. Aerial Armament in World War II Vol.2
第2次大戦における米軍の航空兵装について詳細に期した著作である。全3巻構成で、この第2巻は通常爆弾について触れている。
通常爆弾といってもそれほど多くの種類がある訳ではなく、本書は通常爆弾の種類だけではなく、細部構造や運用方法について詳細な記述がある。
本書は爆弾だけではなく、爆撃照準器は爆撃戦術、運用について記載されている。爆弾については、爆弾内部の詳細が多数の図解入りで説明されている。英文でかつ文字が小さいので読み通すのは結構大変。
爆撃照準器については、有名なノルデン照準器だけではなく、オーボエやH2Sレーダーを使った爆撃システムについても解説している。単なる機器解説だけではなく、実戦下での爆撃精度についての分析記事もあり、興味深い。
爆撃戦術の所では、高高度からの編隊公算爆撃や中高度爆撃、絨毯爆撃、低高度爆撃、さらには対艦船攻撃、急降下爆撃、緩降下爆撃などの具体的な方法や飛行プロファイルが図入りで詳細に紹介されている。
文字が小さく読み通すのは結構大変だが、辞書的な使い方もできるので、重宝したい。

お奨め度★★★★


U.S. Aerial Armament in World War II Vol.1 U.S. Aerial Armament in World War II Vol.2 U.S. Aerial Armament in World War II Vol.3 航空戦史-航空戦から読み解く世界大戦史

4
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Pacific Carrier War: Carrier Combat from Pearl Harbor to Okinawa

Mark E. STILLE Osprey

Pacific Carrier War
真珠湾攻撃からマリアナ沖海戦までの日米空母同士の戦いを主に戦術レベルで記載および分析した著作である。Ospreyの著作らしく英文が平易で読みやすい。また数値面のデータが豊富で、しかも新しいデータを使っている。どこまで信用できるかは不明だが、研究者にとっては嬉しい配慮だ。
これまでのOspreyの著作とは異なり、本書は約450ページというボリュームがある。従って読み通すのは結構大変である。とはいえ写真が多く、英文もわかりやすいので、我々のような非英語圏の人間にも読みやすい。記載されている内容も一般的なものが多いが、通説を並べてあるだけではなく、新しい見解が筆者独自の見解も読めて興味深い。
空母戦を研究しようとしている者にとっては一読して損はない著作である。

お奨め度★★★★


Pacific Carrier War How Carrier Fought 母艦航空隊 海空戦南太平洋1942
機動部隊 ニミッツの太平洋戦史 空母エンタープライズ上巻 空母エンタープライズ下巻

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