「War and Peace」(邦訳:戦争と平和、以下本作)は、1980年に米国のThe Avalon Hill Game Co(TAHGC)から発表されたナポレオン戦争を扱ったシミュレーションゲームである。デザイナーは、Mark McLaughlinで、本作以外では30年戦争を扱った"Holy Roman Empire"や、太平洋戦争キャンペーン"East Wind Rain"等のデザインでも知られている。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみることにした。選んだシナリオは「解放戦争」。一般には諸国民戦争とも呼ばれる1813年の戦いである。
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シナリオV.解放戦争(承前)
1Turn(1813年4月)
まずはフランス軍のプレイヤーターンである。第1Turnは損耗フェイズと同盟フェイズはスキップする。従っていきなり移動フェイズから始まる。フランス軍は全戦線で総攻撃を仕掛ける。ここで決戦に勝利すれば、勝利点を獲得できるからだ。
まず北部ベルリン方面では、ヴィクトール(Vicror)将軍麾下のフランス軍4戦力(約2万)がベルリンを守るプロイセン軍1戦力(約0.5万)を強襲。これを陥落せしめていた。またその西方では、ダヴー(Davot)将軍麾下のフランス軍8戦力(約4万)が、ヨルク(York)将軍麾下のプロイセン軍7戦力(約3.5万)とウィトゲンシュタイン(Witgenstein)将軍麾下のロシア軍4戦力(約2万)と交戦。兵力に勝る連合軍をダヴー麾下のフランス軍が完膚なきまでに撃破した。
南部戦線ではナポレオン自ら率いる9戦力(約4.5万)が、ライプチヒを守るプロイセン軍ブリュヒャー(Blucher)将軍麾下の6戦力(約3万)と交戦。兵力、士気、そして指揮官の能力に勝るフランス軍がプロイセン軍を難なく撃破した。
またドレスデンでは、都市に籠るロシア軍5戦力(約2.5万)をフランス軍スールト(Soult)将軍麾下の8戦力(約4万)が強襲。激しい戦いの末、町からロシア軍をたたき出した。
一連の戦いでフランス軍の損害は衛星諸国も含めて僅か3戦力。それに対して連合軍は、プロイセン軍6戦力とロシア軍4戦力の計10戦力を失った。さらにフランス軍は勝利点3点をゲットした(3個所の戦いに勝利したため)。さらにベルリン占領で都市点もゲットした。それに対して連合軍は都市点の対象がブレスラウのみとなり、いきなり苦しい立場となったのである。
連合軍としては直ちに反撃したい所だが、十分な兵力が整わない状況でフランス軍と正面から戦うのは自殺行為を考える。そこで兵力を4戦力以下に分散させて決戦を避ける態勢とし、フランス軍の攻撃に対して柔軟な形とする。またステッテンを包囲中のクライスト(Kliist)将軍麾下プロイセン軍4戦力(約2万)が総攻撃を実施し、ステッテンを奪回した。
これまで見てきた通り「戦争と平和」は極めて素直なシステムを採用している。1Turn1ヶ月で基本的には損耗、移動、戦闘の繰り返し(損耗の移動の間に同盟と増援フェイズが挟まる)。戦闘も比率方式でラウンドを繰り返すというシンプルさだ。指揮官や親衛隊、騎兵や後備兵といった要素を含んでいながらもこのシンプルさは芸術的と思える程である。こういうシンプルなシステムで太平洋戦争キャンペーンを作ってみたい気がするが・・・。無理だろうなぁ・・・。
2Turn(1813年5月)
フランス軍の手番である。損耗フェイズのダイス目は2。フランス軍にとっては嬉しい出目だ。11戦力以上集まっていて、かつ友好国以外のスタックのみが損耗の対象となる。そんなスタックはない。同盟フェイズ。出目は1。これもフランス軍にとっては有難い。DRMがフランス軍勝利点3点と都市点1点で-4。連合軍都市点1で+1。トータルでDRM-3だ。1-3=-2(0未満)なので、フランス軍によって有利なイベントが発生する。ババリア、ナポリ、サクソニア、スイスがフランス側に立って参戦する。
フランス軍は戦線後方ハノーヴァーに回り込んだビューロー(Bulow)将軍麾下プロイセン軍4戦力(約2万)をフランス軍ダヴー将軍麾下の8戦力(約4万)が反転追尾。兵力、士気、そして指揮官の能力に勝るフランス軍が圧勝し、プロイセン軍はハノーヴァーから後退していく。その頃、ナポレオンはドレスデンに本拠を構えて動かない。
連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は3。まあまあである。連合軍も失った兵力はない。
同盟フェイズ。ダイスを振っても何も起こらないのでスキップする。 連合軍はベルリン方面で限定的な反撃を実施した。連合軍随一の名将ブリュヒャー将軍麾下の4戦力(約2万)が、ベルリンを守るウジェーヌ(Eugene)将軍麾下のフランス軍4戦力(約2万)を強襲。ほぼ互角の戦いであったが、運を味方につけた連合軍がフランス軍を撃破。連合軍がベルリンを奪い返した。
3Turn(1813年6月)
フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は5。フランス軍にとってはあまり良い目ではない。6ユニット以上がスタックしているヘクスでは騎兵を含む2戦力を失う。損耗によるフランス軍の損失は計8戦力。その中には騎兵3戦力も含まれている。同目フェイズは例によってスキップ。
増援フェイズでフランス軍は新たに12戦力を得た。 移動、戦闘フェイズ。フランス軍はベルリン奪回作戦を発動。スールト、ダヴー両将が率いる計22戦力(約11万)をベルリン方面に向けさせた。同方面にはプロイセン軍計9戦力、ロシア軍計15戦力の合計24戦力(約12万)が展開していたが、広く散開していた彼らはフランス軍の重点攻撃に抗し得ず後退。ベルリンは再びフランス軍の手中に戻った。
連合軍の手番。損耗のダイス目は最悪の6が出てしまった。それでも広く散開していた連合軍は、自国内戦闘ということもあり、プロイセン軍には損耗なし。ロシア軍6戦力を失うに留まった。
大規模な増援部隊がロシア本国で編成されつつある。しかし彼らが前線に到着するまではまだ少し時間がかかりそう。その間連合軍は限定攻勢を仕掛けて状況の改善を画した。 ロシア軍バルクレイ(Barcray de Tolly)将軍率いるロシア、プロイセン連合軍計4戦力が、ベルリン北方に展開するウジェーヌ(Eugene)将軍麾下のフランス軍6戦力を急襲する。数の上での劣勢を指揮能力の差で補うといった戦いであったが、連合軍にとってはダイス目に恵まれなかった。また後方に展開していたスールト将軍麾下の7戦力も速やかに応援に駆け付けたこともあって、バルクレイは兵をまとめて後退していった。
(つづく)