もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > ナポレオン戦争

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「War and Peace」(邦訳:戦争と平和、以下本作)は、1980年に米国のThe Avalon Hill Game Co(TAHGC)から発表されたナポレオン戦争を扱ったシミュレーションゲームである。デザイナーは、Mark McLaughlinで、本作以外では30年戦争を扱った"Holy Roman Empire"や、太平洋戦争キャンペーン"East Wind Rain"等のデザインでも知られている。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみることにした。選んだシナリオは「解放戦争」。一般には諸国民戦争とも呼ばれる1813年の戦いである。

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シナリオV.解放戦争(承前)

1Turn(1813年4月)

まずはフランス軍のプレイヤーターンである。
第1Turnは損耗フェイズと同盟フェイズはスキップする。従っていきなり移動フェイズから始まる。フランス軍は全戦線で総攻撃を仕掛ける。ここで決戦に勝利すれば、勝利点を獲得できるからだ。
まず北部ベルリン方面では、ヴィクトール(Vicror)将軍麾下のフランス軍4戦力(約2万)がベルリンを守るプロイセン軍1戦力(約0.5万)を強襲。これを陥落せしめていた。またその西方では、ダヴー(Davot)将軍麾下のフランス軍8戦力(約4万)が、ヨルク(York)将軍麾下のプロイセン軍7戦力(約3.5万)とウィトゲンシュタイン(Witgenstein)将軍麾下のロシア軍4戦力(約2万)と交戦。兵力に勝る連合軍をダヴー麾下のフランス軍が完膚なきまでに撃破した。
南部戦線ではナポレオン自ら率いる9戦力(約4.5万)が、ライプチヒを守るプロイセン軍ブリュヒャー(Blucher)将軍麾下の6戦力(約3万)と交戦。兵力、士気、そして指揮官の能力に勝るフランス軍がプロイセン軍を難なく撃破した。
またドレスデンでは、都市に籠るロシア軍5戦力(約2.5万)をフランス軍スールト(Soult)将軍麾下の8戦力(約4万)が強襲。激しい戦いの末、町からロシア軍をたたき出した。

一連の戦いでフランス軍の損害は衛星諸国も含めて僅か3戦力。それに対して連合軍は、プロイセン軍6戦力とロシア軍4戦力の計10戦力を失った。さらにフランス軍は勝利点3点をゲットした(3個所の戦いに勝利したため)。さらにベルリン占領で都市点もゲットした。それに対して連合軍は都市点の対象がブレスラウのみとなり、いきなり苦しい立場となったのである。

連合軍としては直ちに反撃したい所だが、十分な兵力が整わない状況でフランス軍と正面から戦うのは自殺行為を考える。そこで兵力を4戦力以下に分散させて決戦を避ける態勢とし、フランス軍の攻撃に対して柔軟な形とする。またステッテンを包囲中のクライスト(Kliist)将軍麾下プロイセン軍4戦力(約2万)が総攻撃を実施し、ステッテンを奪回した。

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これまで見てきた通り「戦争と平和」は極めて素直なシステムを採用している。1Turn1ヶ月で基本的には損耗、移動、戦闘の繰り返し(損耗の移動の間に同盟と増援フェイズが挟まる)。戦闘も比率方式でラウンドを繰り返すというシンプルさだ。指揮官や親衛隊、騎兵や後備兵といった要素を含んでいながらもこのシンプルさは芸術的と思える程である。こういうシンプルなシステムで太平洋戦争キャンペーンを作ってみたい気がするが・・・。無理だろうなぁ・・・。

2Turn(1813年5月)

フランス軍の手番である。損耗フェイズのダイス目は2。フランス軍にとっては嬉しい出目だ。11戦力以上集まっていて、かつ友好国以外のスタックのみが損耗の対象となる。そんなスタックはない。
同盟フェイズ。出目は1。これもフランス軍にとっては有難い。DRMがフランス軍勝利点3点と都市点1点で-4。連合軍都市点1で+1。トータルでDRM-3だ。1-3=-2(0未満)なので、フランス軍によって有利なイベントが発生する。ババリア、ナポリ、サクソニア、スイスがフランス側に立って参戦する。
フランス軍は戦線後方ハノーヴァーに回り込んだビューロー(Bulow)将軍麾下プロイセン軍4戦力(約2万)をフランス軍ダヴー将軍麾下の8戦力(約4万)が反転追尾。兵力、士気、そして指揮官の能力に勝るフランス軍が圧勝し、プロイセン軍はハノーヴァーから後退していく。その頃、ナポレオンはドレスデンに本拠を構えて動かない。

連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は3。まあまあである。連合軍も失った兵力はない。
同盟フェイズ。ダイスを振っても何も起こらないのでスキップする。 連合軍はベルリン方面で限定的な反撃を実施した。連合軍随一の名将ブリュヒャー将軍麾下の4戦力(約2万)が、ベルリンを守るウジェーヌ(Eugene)将軍麾下のフランス軍4戦力(約2万)を強襲。ほぼ互角の戦いであったが、運を味方につけた連合軍がフランス軍を撃破。連合軍がベルリンを奪い返した。
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3Turn(1813年6月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は5。フランス軍にとってはあまり良い目ではない。6ユニット以上がスタックしているヘクスでは騎兵を含む2戦力を失う。損耗によるフランス軍の損失は計8戦力。その中には騎兵3戦力も含まれている。
同目フェイズは例によってスキップ。
増援フェイズでフランス軍は新たに12戦力を得た。 移動、戦闘フェイズ。フランス軍はベルリン奪回作戦を発動。スールト、ダヴー両将が率いる計22戦力(約11万)をベルリン方面に向けさせた。同方面にはプロイセン軍計9戦力、ロシア軍計15戦力の合計24戦力(約12万)が展開していたが、広く散開していた彼らはフランス軍の重点攻撃に抗し得ず後退。ベルリンは再びフランス軍の手中に戻った。

連合軍の手番。損耗のダイス目は最悪の6が出てしまった。それでも広く散開していた連合軍は、自国内戦闘ということもあり、プロイセン軍には損耗なし。ロシア軍6戦力を失うに留まった。
大規模な増援部隊がロシア本国で編成されつつある。しかし彼らが前線に到着するまではまだ少し時間がかかりそう。その間連合軍は限定攻勢を仕掛けて状況の改善を画した。 ロシア軍バルクレイ(Barcray de Tolly)将軍率いるロシア、プロイセン連合軍計4戦力が、ベルリン北方に展開するウジェーヌ(Eugene)将軍麾下のフランス軍6戦力を急襲する。数の上での劣勢を指揮能力の差で補うといった戦いであったが、連合軍にとってはダイス目に恵まれなかった。また後方に展開していたスールト将軍麾下の7戦力も速やかに応援に駆け付けたこともあって、バルクレイは兵をまとめて後退していった。
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(つづく)

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「War and Peace」(邦訳:戦争と平和、以下本作)は、1980年に米国のThe Avalon Hill Game Co(TAHGC)から発表されたナポレオン戦争を扱ったシミュレーションゲームである。デザイナーは、Mark McLaughlinで、本作以外では30年戦争を扱った"Holy Roman Empire"や、太平洋戦争キャンペーン"East Wind Rain"等のデザインでも知られている。
本作は1Turn=1ヶ月、1Hex=40マイル(約64km)、1戦力は約5000人の兵員を表している。またリーダーもユニット化されており、ナポレオン、ネイ、ウェリントン、ブリュヒャー、カールといった有名どころは名前入りで登場する。
シナリオは9本で、一番シンプルなのは計5Turnの「アウステルリッツ」。長いものでは6年間に渡るスペイン半島での戦争を描いた「半島戦争」がある。一般的なシナリオでは、半年から1年未満の特定の戦役を描いている。
他にナポレオン戦争全体を計120Turnで描くグランドキャンペーンシナリオがある。このシナリオは多人数プレイを前提としており、同盟や降伏、海軍ルール等が登場する。一般のシナリオとグランドキャンペーンは全く別ゲームと言って良い。

今回、本作をVASSALでソロプレイしてみることにした。選んだシナリオは「解放戦争」。一般には諸国民戦争とも呼ばれる1813年の戦いである。その前に本作の基本システムをおさらいしておこう。

基本システム

SoP(ゲームの手順)

先攻はフランス側。それぞれのプレイヤーターンにおける手順は以下の通り。
  • 損耗
  • 同盟
  • 増援
  • 移動
  • 戦闘
(補給フェイズがない)

損耗ルール

・ヘクス単位で判定するが、ダイスは1回振ってその目を全てのヘクスに適用する。
・第1Turnは損耗しない

損耗のダイス目が悪いと酷い目に遭う。特に6の目を出した日には、10戦力(約5万人)以上の兵力が一瞬で昇天することもある。
 

同盟

  • ダイスを振って0以下ならフランス側に有利、7以上なら反フランス側に有利なイベントが発生する。イベントの内容はシナリオによる。
  • 自軍の勝利点と都市点でダイス目に有利にできる。フランス軍が有利ならマイナス修正、連合軍ならプラス修正が適用される。
  • シナリオで指定された勝利都市を占領すると指定された都市点を得る。
  • 敵5戦力を撃破又は後退させると勝利点を1点得る。
  • ナポレオンを含む5戦力を撃破又は後退させると勝利点3点得る。
  • 第1Turnは同盟チェックなし

移動

  • 移動力はリーダーが10、騎兵が4、歩兵が0
  • 1人のリーダーは10戦力まで引率可能
  • 歩兵はリーダーに引率されると3移動力、さらに強行軍で最大3移動力まで増加可能(ダイスチェックあり)
  • リーダーは、歩兵を「置いていく」のはアリだが、「拾う」のは禁止
  • 4:1以上でオーバーラン可能。オーバーラン実施時は敵側全滅。移動力1消費(TECに加えて)。6:1以上なら追加1移動力は不要。

補給

  • 補給源は自国又は自国の衛星国の大都市
  • 補給は損耗、移動、戦闘の開始時に補給判定
  • 補給線は補給源から3移動力の範囲
  • 補給線は「同じ色のユニット」で接続できる。

戦闘

  • 戦闘は原則として1ヘクスvs1ヘクスでいずれかが全滅又は撤退するまで戦闘ラウンドを繰り返す。
  • 戦闘ラウンド終了時に攻防いずれかに隣接しているスタックは増援として投入可能。1d6+指揮能力≧5で増援投入に成功
  • 戦力の大きい方と小さいほうで比率を出す。
  • 戦闘比が4-1以上なら自動的に大きい側が勝利
  • 指揮官の能力差、部隊の士気差、地形でDRMが発生する。
  • 戦闘結果はなし、1、D1、D2、D3の5種類
  • 指揮官の能力を使うためには、その指揮官と同一ヘクスに戦闘参加戦力の1/2以上が展開しており、かつ戦闘に参加するユニットの半数以上が指揮官と同色でなければならない。
  • 士気阻喪のスタックに対して同数又はそれ以上の戦力の士気阻喪していない増援を得た場合、士気阻喪マーカーは除去される。
  • 後退時方向は自由。分散後退も可。ただし補給源から離れるような後退は禁止
  • 戦闘に参加した指揮官は全員負傷チェック。6ゾロで負傷する。

ルールはざっとこんな感じである。
それでは早速プレイしてみた。

シナリオV.解放戦争

作戦研究

ウォーゲーマーの間で1813年の諸国民戦争が有名な理由の1つに、初期のTactics誌での名物連載「大陸軍の光と影」で最初に取り上げられたのがこの戦いであったことを取り上げても良いかもしれない。今とは違って戦史やウォーゲームに関する文字情報が貴重であった時代、Tactics誌はウォーゲーマー青少年たちにとっては憧れの雑誌であった。その中で「ナポレオン戦争」という当時としてはマイナーと言って良いテーマが紹介されていたことに、多くのウォーゲーム青少年たちは驚いたことであろう。そしてその中の何割かがナポレオニックゲームの魅力に引き込まれていったのだろう。

今回、AH社の名作ナポレオニックゲーム「War and Peace」(邦訳「戦争と平和」、以下本作)をソロプレイするにあたり、私が選んだのが諸国民戦争を扱うシナリオ「解放戦争」であった。モスクワ戦役における惨憺たる敗北を喫したナポレオンであったが、魔術としか思えない速さで麾下の軍を再編成し、連合軍を迎え撃った。かつての精強さこそ失われたものの、指揮官の質と部隊の練度で未だに優位に立つフランス軍。それに対して量的な面で優位に立つ連合軍。ドイツの支配をかけた戦いが始まる。

恐らく苦しいと思われるフランス軍の作戦から考えてみよう。フランス軍の勝利条件は、ゲーム終了時までにマップ3における大都市を1つでも包囲されずに支配下に留めれば良い。マップ3というと、当時のプロイセン、オーストリア、そしてハノーヴァーやサクソンといったライン河諸国の一部も含んでいる。マップ3の大都市の中には、ベルリン、ドレスデン、ライプチヒといった旧東ドイツ諸都市の他、ハンブルク、ハノーヴァー、カッセルといった旧西ドイツ諸都市も含まれている。フランス軍としてはこれらの都市の1つでも守り切れれば良い。
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フランス軍にとって重要なのは同盟関係である。フランス軍にとって有利なイベントを出すことは勿論重要だが、それ以上に連合軍にとって有利なイベント(例えばオーストリア参戦等)を出させないためにも重要だ。それを達成するためには、フランス軍が都市点を獲得し(その候補はベルリンのみ)、連合軍に都市点を与えない。前者はフランス軍がベルリンを占領すれば達成できるので不可能ではない。しかし後者は連合軍をベルリン、ライプチヒ、ドレスデン、ブレスラウから全て叩き出さなければならない。そしてフランス軍にはもう1つ、別の手段が存在する。それは「決戦」に勝つことだ。ここで言う「決戦」とは、5戦力以上の敵との戦いである。つまり5戦力の敵を撃破すれば、勝利点1点を獲得できるのだ。指揮官の能力及び兵士の士気で連合軍を凌駕するフランス軍にとって「決戦」は魅力的な選択肢である。

なおHobby Japanの和訳ルールブックには「2度目の"0"の目が出たら、以後同盟フェイズは省略する」となっているが、これは「2度目の"7"の目が出たら」の間違いである(英文ルールブック及び公開されている英文第4版ルールブックには「2度目の"7"が出たら」と書かれている)。この点、結構重要なポイントなので、プレイ開始前に確認しておくのが良いだろう。

対する連合軍はフランス軍の裏返し。ベルリンは守る必要があるが、ベルリンだけに拘らずライプチヒ、ドレスデンを守る。またチャンスがあれば西方へ進撃し、ハノーヴァー、ハンブルク等を狙う。連合軍の強みは兵力の優越。従ってその兵力の優位を生かすのみである。この戦いで有名になったライヘンバッハプランに従い、ナポレオンのいない所で攻勢を仕掛けて有利な状況を作っていく。オーストリアが参戦すれば政治的な状況は一気に有利になるので、あとは力押しあるのみだ。

(つづく)

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Napoleon at Bay(以下、本作)は、ナポレオン戦争最中の1814年フランス国内におけるフランス軍と対仏連合軍の戦いを描いたシミュレーションゲームである。1Turn実際の2日間、1Hexは実際の2マイル(3.2km)に相当する。1ユニットは師団又は旅団で、その他に指揮官を示すカウンターが用意されている。

以前に本作の対戦を紹介したが、それ以来本作の序盤の展開について少し研究してみたくなった。早速VASSAL版を漁っていると、AH版ではなくOSG版のVASSALモジュールが見つかった。ヘクス番号の取り方がAH版とOSG版で少し異なっているが、大した違いではない。またOSG版では指揮官の能力がカウンターに記載されていて使い勝手が改善されている。
そんなこんなで早速プレイしてみた。

セットアップ

下図はセットアップ時における両軍の配置だ。青文字はフランス軍の戦力を示し、赤文字は連合軍の戦力を示す。図を見るとフランス軍は合計55戦力、連合軍は80戦力なので、連合軍が有利なように思える。だから対応さえ誤らなければ連合軍の優勢は動かないはずだ。

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図の中で連合軍にとって危機的な部分は、戦力6の部分。これがブリュッヒャーである。この場面、ナポレオン直属の部隊がブリュッヒャーを直接攻撃すると、2-1での戦闘を強いられることになる。その上背後には大河が流れていてブリュッヒャーは後退できない。結果、ブリュッヒャーは大損害を被ることになる。

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ところでセットアップルールを読み直すと、各部隊は必ずしも指定ヘクスに配置する必要はないようだ。隣接ヘクスに対する配置も可能となっている。ブリュッヒャーについても大河の南岸に配置すれば、ナポレオンの直撃を回避できる。
問題なのはブリュッヒャーの初期配置ヘクスにシレジア軍の策源が配置されているので、ブリュッヒャーが後退すると策源地が蹂躙される。しかし策源地が蹂躙されても再配置可能なので致命的ではない。それよりもブリュッヒャーを無事後方へ逃がす方が重要だと思う。
そんなこんなで再配置してみたのが以下の図だ。

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それではこの配置で早速試してみよう。

1814年1月28日

ゲーム開始前の予備移動でブリュッヒャー(Blucher *4-9-4)(能力は*の数がボーナス値、数値は統率値-司令能力-従属値、以下同じ)は南下してギュライ将軍(Gyulai 2-3-2)麾下の兵力と合流することに成功した。これでブリュッヒャーの兵力は2万以上となり、一応危機を脱した。
一方フランス軍はナポレオン(Napoleon **5-10-4)とジェラード将軍(Gerard 3-3-2)が合流し、ロシア軍サッキン将軍(Osten-Sacken 2*5-2)を攻撃。指揮能力に勝るナポレオン軍はこれを撃破した。
その東方ではフランス軍ヴィクトール将軍(Victor 2-4-2)麾下の約1万がロシア軍コサック騎兵を撃破。シレジア軍の策源地を遥か東方へ追い払った。

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連合軍はシレジア軍の兵站が機能停止。ボヘミア軍の兵站は管理ポイントの蓄積に失敗した(ダイス目悪い)。要のブリュッヒャー将軍も行動チェックに失敗。その場に留まる。

1814年1月30日

フランス軍は管理ポイントのダイス目が良く、4ポイント獲得した。ナポレオン麾下の主力約2万、モルティエ将軍(Mortier *3-5-2)麾下の若年親衛隊(YG)約6千が、ロシア軍サッキン将軍麾下の約1万3千を捕捉する。さらにヴィクトール将軍とグルーシー将軍(Grouchy 4-4-2)が東へ進撃し、連合軍の兵站線を遮断する。兵站線を切られたブリュッヒャー将軍は、サッキン将軍を救援に向かえない。ナポレオンとサッキンの戦いはナポレオンの勝利に終わったが、損害は共に2千ずつで、フランス軍にとっては不満足な結果に終わった。

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連合軍管理フェイズ。シレジア軍は4ポイント、ボヘミア軍は2ポイントの管理ポイントを獲得した。今回はダイス目が良い。また増援部隊でウィトゲンシュタイン将軍(Wittgenstein *2-4-3)麾下の1万8千、バルクライ将軍(Barclay de Tolly +3-5-2)麾下の約4万の軍勢が増援に駆け付けた。
バルクライ及びシュバッツァンベルグ将軍(Schwarzenberg *3-6-4)麾下の計4万がフランス軍ヴィクトール将軍麾下の9千を捕捉する。さらに背後からはブリュッヒャーやウィッテンベルク将軍(Wittemberg 2-4-3)麾下の約2万も戦場に到達する。明らかに突出し過ぎたヴィクトールは、連合軍の包囲の罠にはまった。

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戦闘結果はあまりに一方的であった。ヴィクトール将軍麾下の部隊は壊滅。ヴィクトール将軍も戦死した。連合軍の損害は約1千名。あまりに一方的な戦いであった。

考察

この時点で連合軍はほぼ危機を脱し、反攻に転じることができるだろう。ヴィクトールやグルーシーの突出は結果からみれば無謀だったが、それがなければブリュッヒャーは伝令範囲内に復帰できることになり、もっと確実に戦列に復帰できるはずだった。結局の所、鍵になるのは第2Turnに登場するバルクライ将軍麾下の約4万で、この兵力が登場した時点でフランス軍の攻勢継続は難しいだろう。だから第1、2Turnさえ凌げば、連合軍の危機は去ったということになる。

1814年2月1日

本来ならここで「状況終了」としても良いのだが、この先の展開を見たかったので、もう少し続けようと思う。
フランス軍は管理ポイント3ポイント獲得する。フランス軍は全面後退開始。敵中に突出したグルーシーは管理命令を使って特別行軍を実施。ナポレオンと合流する。その北方ではサン・ディジエ(St.Dizier E3136)を守っていたマルモン将軍(Marmont *3-6-3)麾下の1万名も後退を開始する。
連合軍は管理ポイントを節約するため、積極的な行動を控える。後退したマルモン将軍を追って、プロイセン軍のヨルク将軍(York 3-5-2)が1万の兵を率いて西へ向かい、孤立していたサッキン将軍がようやくブリュッヒャーの指揮下に復帰した。そのブリュッヒャーは補充兵力を受け取って兵力回復に努める。

1814年2月3日

フランス軍は管理ポイント4ポイント獲得する。ナポレオンはなおも西へ向けて後退し、モルティエ将軍麾下の軍と合流を果たした。場所はトロワ(Troyes E0848)。この時ナポレオン麾下の兵力は2万6千。
遥か北方ではマクドナルド将軍(Macdonald *4-7-3)麾下の1万5千が西へ向けて後退を開始していた。
連合軍の追撃は緩慢である。

1814年2月5日

フランス軍は管理ポイント5ポイント獲得する。伝令距離内に到達したマクドナルド軍は管理ポイントを受けて後退する。連合軍はプロイセンのクライスト将軍が登場する。

1814年2月7日

フランス軍は管理ポイント4ポイント獲得する。ナポレオンはトロワに停止して補充を実施。マクドナルド、マルモン両将は統制チェックに成功して西へ向けて移動する。連合軍もようやく活動を再開し、西へ向けてナポレオンを追う。

とまあ、こんな感じでゲームが続く。全部で31Turnのうち6Turnしかプレイしていないが、「こんなプレイスタイルで良いのかな?」と少し不安になってきたので、ここで一旦打ち切りとする。VASSALの記録は残しているので、気が向いたら、また続きをプレイしてみよう。

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Napoleon at Bay(以下、本作)は、ナポレオン戦争最中の1814年フランス国内におけるフランス軍と対仏連合軍の戦いを描いたシミュレーションゲームである。1Turnは実際の2日間、1Hexは実際の2マイル(3.2km)に相当する。1ユニットは師団又は旅団で、その他に指揮官を示すカウンターが用意されている。
コンポーネントに目を向けてみると、私が保有しているAvalon Hill版の場合、セミハードマップが2枚。広さはフルマップ2枚程度である。カウンターシートは1枚でカウンター数は約250個。「広い地図に少なめの駒」という感じになる。その他にルールブック、シナリオブックの他、B4版ぐらいの編成表が3枚(フランス軍1枚、連合軍2枚)用意されている。編成表で部隊の戦力を示し、地図上には両軍とも指揮官のみが配置される。

システムは比較的シンプルで、両軍とも移動・戦闘の繰り返しで、相手の移動直後に「強行軍」という名のリアクションがある。移動には、軍管理ポイント(Administrative Points 以下AP)による移動と統率力による移動の2種類がある。前者はダイスチェックは不要だがAPを消費し、後者はAP消費がないかわりに指揮官の統率力以下のダイス目を出さなければ移動自体が失敗する。指揮官の統率力は全般的にフランス軍有利で、最高がナポレオンの5(6の目を出さなければ統率移動が成功する)、グルーシー、マクドナルドが4、モリティエ、ジェラード、マルモン、ネイが3である。連合軍はブリュッヒャーの4が最高で、バルクライ、シュワッツエンベルグが3である。

戦闘はマストアタックの戦闘比方式である。指揮官の能力も少しは関係するが、それほど決定的ではない。最強のナポレオンでも自らの攻撃時にダイスを有利な方に±2修正できるだけ。どこかの上杉謙信みたいに「3倍の敵も一撃で粉砕」するほどではない。

とまあこんな感じのゲームである。

今回久しぶりに本作をプレイすることになり、まずはキャンペーンシナリオをできる所まで試してみることにした。下名は連合軍を担当する。

プレイの例

今回は序盤8Turnのみをプレイした。まず最初にセットアップに難儀する。まずカウンターの文字が読みにくい上、セットアップ情報がバラバラに記載されているので、「どこに」「何を」「どういう状態で」配置するのが読み取りにくい。四苦八苦してようやくセットアップを終えたのは、開始から2時間近くが経過した後だった。

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序盤、ブリエンヌ(E2044)付近に布陣する連合軍は、ブリュッヒャー率いる約6千のプロイセン軍と、サクソン率いる約2万のロシア軍である。対するフランス軍は、ナポレオン直率の5千を含む約5万人の大軍である。ブリュッヒャーとサクソンはそれぞれフランス軍の包囲攻撃を受け、壊滅的な打撃を受けつつも何とか後退に成功した。後から考えれば、ブリュッヒャーとサクソンは早めにスタックさせて、損害吸収を図るべきだった。

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その後しばらく両軍は大きな動きなし。フランス軍は大攻勢を仕掛けたかったが、ナポレオンが3回連続で統率力チェックに失敗するなどの不幸もあった。

第6Turn、兵力を回復した連合軍は、ブリュッヒャー、サクソンの両将にヴェルデ(Wrede)将軍を加えた5万以上の大兵力でナポレオン麾下の1万を包囲攻撃し、これに多大な損害を与えて撃破。ブリエンヌ付近を奪回した。

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その後も連合軍の追撃は続き、フランス軍に損害を与えて撤退を強要したところでお時間となった。第8Turnまで終了。

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感想

最初プレイした時にはやや戸惑ったが、慣れてくると進め方がわかってきて面白くなってきた。APを使って部隊を動かしたくなるが、AP残量が少なくなると機動時の消耗が激しくなるので、ここ一番の場面以外はAPを使わずに我慢する。だからある程度戦線が安定してくると、ゲームのテンポが早くなる。今回のプレイでも最初の2~3Turnは両軍とも激しく動いたが、その後は比較的安定した状況となった。盤上で動かす駒が少ないので、そういった点からも楽である。

難点を上げれば、古いゲームなので最近のゲームに比べるとコンポーネントが不親切である。例えば指揮官だが、指揮官駒には指揮官の名前が書かれているだけで、能力は一切書かれていない。指揮官の能力を確認する場合は編成表を見るしかない。覚えられない数ではないのだが、一々編成表を見直すのが面倒である。またミスを助長する。その他のカウンターにしても駒に記載されているのは移動力のみで、セットアップ上のようなものはない。従ってセットアップ時には読み辛いカウンターの文字(老眼には辛く、虫眼鏡が必要と思えるほど)を読みながら、マニュフェストを参照して配置していく必要がある。今ならもっとカラフルで分かりやすい駒、わかりやすいマップで再販できるだろう。

いずれにしてもナポレオン戦争を作戦級で再現した作品の中では古典的な傑作ゲームであり、その事は今回のプレイでも垣間見た。個人的にはルールを覚えている間に再戦したいと思う今日この頃である。


「アウステルリッツの太陽」(以下、本作)は1980年代後半にアドテクノスから発売されたシミュレーションゲームです。2009年(今から9年前・・・)にGame Journal誌が付録ゲームとして再版しました。
テーマは1805年にフランス軍とロシア・オーストリア連合軍が戦ったアウステルリッツ会戦。この戦いで勝利を収めたフランス軍は、オーストリアを屈服せしめ、対仏同盟を崩壊させました。とさ。

本作は所謂チットドリブンシステムを採用しており、引かれたヒットに相当する軍団が移動・戦闘を実施できるようになっています。1Turnに使用できるチット数はフランス軍が6個、連合軍が5個となっており、フランス軍が有利です。さらにフランス軍にはナポレオンチットという万能チットも用意されており、その有利性がさらに増しています。また自軍の損害と共に使用できるチット数が減少するようになっており、どちらか一方が一方的に損害を出すと挽回するのが難しくなっています。
1ユニットは1個旅団から1個師団。1Turnは実際の1時間。1Hexは約450mを表しています。

今回、本作をVASSALを使ってソロプレイしてみました。なお、プレイに際し、Game Journal版で提唱されている選択ルールを採用しました。それは勝利条件に関するものとダヴーの第3軍団投入に関するものです。前者は勝利判定の際に支配下の村落数を判定の際に考慮しようというもの。これにより両軍とも敵を攻撃して村落を支配しようとする動機付けが生まれてくる。逆に言えば、こうしないと両軍とも戦線をガッチリ守って動かない可能性がある、ということなのでしょう。

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1Turn

両軍とも拠点占領を求めて前進する。北部戦戦ではフランス軍第5軍団、第4軍団、第1軍団、親衛軍団が前進。BLASOWITZ(1612)を占領する。しかしPRATZEN(1318)はクトゥーゾフ将軍麾下のロシア軍が占領した。スルトの第4軍団、ランヌの第5軍団は連合軍と交戦に入る。
南部戦戦ではロシアのブクスホーデン麾下の3個軍団が前進。フランス軍第4軍団に圧力を加える。

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2Turn

戦線中央で突出してきたクトゥーゾフ麾下のロシア第4軍団を包囲殲滅すべくミュラーの騎兵部隊とベルナドットの第1軍団をPRATZEN方面に投入する。さらにナポレオン直率の親衛隊も前進する。しかしチット引きで一歩先んじたロシア軍が親衛隊を前進させてクトゥーゾフ軍の右翼を固める。そこにミュラーの騎兵部隊とベルナドットの第1軍団が突っ込んできた。狭い面積に多数の兵力がひしめき合い、両軍とも身動きが取れなくなってしまう。

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3Turn

戦線北部でフランス第5軍団と連合軍バグラチオン軍団が延翼運動を続けてお互いに相手の背後に回り込もうとしている。戦線中央ではクトゥーゾフとベルナドット、ミュラーらが激しく激突する。両軍ともこのTurnは大損害を出し、フランス軍は計7ユニット、連合軍は9ユニットを失った。

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4Turn

連合軍は損害過多で命令チットが1枚減少。4枚になる。フランス軍は6枚のまま。フランス軍は指揮の優位を生かして一気果敢に攻め込む。老親衛隊が前線に躍り出てロシア第5軍団の前線に食い込む。しかし連合軍も激しく抵抗し、フランス軍の猛攻を何とか食い止めている。

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5Turn

フランス軍も損害過多で命令チットが1枚減少した。これで命令チットの枚数は、フランス軍5枚、連合軍4枚である。しかしこのTurn、遂に老親衛隊が連合軍の戦線を食い破った。ロシア軍第5軍団とバグラチオン軍団の間隙を突破され、戦線に大穴があいた。フランス軍にとっては絶好のチャンスである。

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6Turn

フランス軍第5軍団と老親衛隊は連合軍の戦線を突破。ロシア第5軍団とバグラチオン軍団は後方に回り込まれて包囲されていく。連合軍はロシア親衛隊を投入して反撃を実施。フランス老親衛隊の側面を攻撃してこれに損害を与えた。しかし包囲されているロシア軍部隊は消耗していき、壊滅の危機が迫っている。

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7Turn

バグラチオン軍団が壊滅した。バグラチオン将軍も戦死。この段階で連合軍の勝利はないと判断し、ゲーム終了とした。

感想

チットドリブンシステムは思いのほか軽快だった。引いたチットの軍団しか動けないので、どれを動かそうか、と悩むことが少ない。またマストアタックシステムを採用しているので兵力をバラバラにすると自然に不利になっている所も良い。シンプルなシステムながら手堅く纏められている。

バランス的にはどうなんだろうか。まだソロプレイ1回だけなので断言するのは危険だが、システムや士気の違いなどを考慮するとフランス軍が有利なように思える。まあ史実ではフランス軍の大勝利だったので、フランス軍有利でも特に問題があるとは思えないが。ただ、連合軍側の勝機が少し見えにくいようにも思える。多分フランス軍が戦線中央を突破する前に連合軍左翼がフランス軍右翼を撃破する、というのが勝ちパターンなんだろう。まあ、よくわからないが・・・。


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