もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 歴史

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戦争は女の顔をしていない

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/三浦みどり訳 岩波現代文庫

戦争は女の顔をしていない
本書を読んでこれまであまり意識してこなかった「もうひとつの戦争の姿」に気づかされた。これまで戦争を描いた本や映画では、主に男性兵士が前線で戦う姿が語られてきたが、この本では女性たちの視点から、戦争の現実が淡々と、しかし深く語られている。
銃を持って戦った女性兵士、負傷者の血を拭き続けた看護兵、爆撃の中で通信をつなごうとした通信兵。彼女たちの声は、これまでほとんど記録されることがなかった。それだけに、ひとつひとつの証言が新鮮で、強く心に残った。
印象的だったのは、彼女たちが戦争を語るとき、必ずしも「勇ましさ」や「栄光」を語らないということだ。むしろ、泥と血のにおい、死体を運んだときの感触、仲間が死んだときの気持ち――そうした、これまで語られてこなかった「小さな戦争の断片」が丁寧に描かれている。
また、戦後になってから女性兵士たちが受けた差別や偏見にも胸が痛んだ。命をかけて戦ったにもかかわらず、「戦争に行った女は普通ではない」と見られ、沈黙を強いられた。その現実は、戦場とは別のかたちの「戦い」だったようにも感じた。
この本は、今まで描かれてこなかった戦争のもう一つの側面を、静かに、しかし確かに私たちに伝えてくれる。戦争を知るとは、勝ち負けや戦略だけでなく、そこにいた人々の感情や記憶に耳を傾けることだと気づかされた。
本書は、戦争文学に新たな視点を加えるとともに、これからの時代にこそ読まれるべき一冊だと感じた。

お奨め度★★★

戦争は女の顔をしていない 同士少女よ、敵を撃て 同志少女よ、敵を撃て 1 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
燃える東部戦線 スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 NO RETREAT!
海空戦南太平洋1942 ソロモン夜襲戦 欧州海域戦 FOX TWO!!

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いっきに読める三国志

いっきに読める三国志

島崎晉 PHP研究所

いっきに読める三国志
黄巾の乱から晋の成立による三国時代終焉までの約100年弱の三国時代を年代別に整理した著作である。ベースは正史三国志で、「三国志演義」の方ではない。従って桃園の誓い、美女連環の計などの話は出てこない。それでも曹操、劉備、呂布、関羽、孫権、諸葛亮といった三国志を彩る様々な人物が登場して舞台を盛り上げている。
「いっきに読める」と書かれているが、三国志の歴史全体を全て触れているので、情報量はかなり多く、さらに五丈原より後の話になると、それこそ馴染みのない人物が色々と登場してくるので、全体を追うのは難儀する。かくいう私も、五丈原以降の話は流し読みしていたので、全体の流れがなんとなく追いかけられたというのが実情である。
三国志については様々な書籍が出版されており、本書もその中の1冊として読む分には適切なのではないだろうか。

お奨め度★★★


いっきに読める三国志 図解三国志-群雄勢力マップ 三国志(1)-(10)
Game Journal 92-孤高の曹操 Game Journal 86-戦略三国志英雄伝説 Game Journal 58-曹操最大の危機

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三国志1

三国志(1)

吉川英治 講談社

三国志(1)
以前に紹介した「週刊三国志」では、短時間でまとめるためにかなり省略されている部分があることがわかったので、再び吉川英治作の「三国志」にチャレンジすることにした。こちらも全10巻で。第1巻は劉備玄徳が旅から戻る途中に黄巾族に捕まり、九死に一生を得て、桃園の誓い、旗揚げ、さらには董卓の台頭までが描かれている。劉備、張飛、関羽、董卓、呂布、曹操、袁紹など、三国志を代表する人物が登場してくる。

お奨め度★★★


三国志(1) 三国志(2) 三国志(1)-(10)
Game Journal 92-孤高の曹操 Game Journal 86-戦略三国志英雄伝説 Game Journal 58-曹操最大の危機
漫画三国志【1】:劉備と諸葛孔明 漫画三国志【2】:赤壁の戦いと三国の攻防 図解三国志 いっきに読める三国志

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週刊三国志1

週刊三国志(1)

吉川英治・浅科 准平 (ナレーション) オトバンク

週刊三国志(1)
Amazon Audible専門の三国志コンテンツ。吉川英治氏の著作を元に三国志の世界を再現する。Audible専門のコンテンツなので、その特徴が生かされていて、多彩なBGMやラジオドラマ仕立ての背景音などは他のAudible作品とは一線を画している。この第1巻では、主人公劉備玄徳が貧乏暮らしをしながら当時は高価であった茶を入手し、母の元に帰る途中で様々な苦難に出会う様。さらには黄巾の乱や張飛や関羽との出会い、桃園の誓いを経て旗揚げする所もまでを描いている。次回予告編やこれまでのあらすじなどもあってやや冗長な感があるが、大変面白い。続きが楽しみだ

お奨め度★★★



三国志(1) 三国志(2) 三国志(3) 三国志(4)
三国志(5) 三国志(6) 三国志(7) 三国志(8)
三国志(9) 三国志(10) 三国志(1)-(10)

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太平記1

私本・太平記

吉川英治

私本・太平記全8巻セット
戦前の史観では「大悪人」とされていた足利尊氏を主人公とした長編歴史小説である。足利尊氏以外にも、足利直義、高師直、佐々木道誉、赤松円心ら北朝側人物、後醍醐天皇を初め、日野俊基、楠木正成、新田義貞、護良親王、北畠顕家等の南朝側人物、さらには北条高時、赤橋守時ら鎌倉方の人物、吉田兼好、覚一法師といった民間人等も登場し、一大絵巻の如き様相である。これだけ登場人物が多いながらも読んでいて混乱しなくて読めるのは、さすがは吉川英治だと思えてしまう。
ストーリーは、若き日の高氏(尊氏)がお側役の一色馬之介を伴って京都にお忍びで旅行に来た所からスタートする。そこで彼は日野俊基や佐々木道誉といった彼の後の人生に大きく関わる人達と出会う。鎌倉に戻った高氏は、北条政権の下で密かに討幕の機会を伺う。やがて正中の変、元弘の変等の討幕運動を経て楠木正成が千早城で挙兵。それを鎮圧すべく鎌倉から大量の兵力が送られるが、正成の巧みな防戦によって千早城を落とすことができない。やがて幕府方の足利高氏、新田義貞らの寝返りによって鎌倉幕府は滅亡。北条高時や赤松守時も命を落とす。
その後は建武新政とその失敗を経て足利尊氏が再び朝廷から寝返った。楠木、北畠らの奮戦によって尊氏は一度は九州へ落ちのびたが、九州で兵力を再編成して再び東へ向かう。湊川の戦いで楠木正成が戦死。後醍醐天皇も京都を追われて、それから・・・。
かなり長編なので読み通すのは結構大変だが、その長さを感じないほど面白い。現在でも一級の面白さを持つ歴史小説と言えよう。
ちなみに本書を読んだ後、無性に「太平記」がプレイしたくなった。

お奨め度★★★★



私本・太平記(1) 私本・太平記(2) 私本・太平記(3) 私本・太平記(4)
私本・太平記(5) 私本・太平記(6) 私本・太平記(7) 私本・太平記(8)
私本・太平記全8巻セット Game Journal 84-応仁の乱

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