もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:ゲーム > Panzer/MBTシリーズ

イメージ 3


BAORは(以下、本作)、米国GMT社が2018年に出版したシミュレーションゲームである。本作は同じGMT社が出版したMBTの拡張キットであり、英国軍のユニット/データと英国軍が登場するシナリオが追加されている。ちなみにBAORの元々の意味は、British Army of the Rhine(英陸軍ライン軍団)のことであり、NATO軍の一部として英陸軍が欧州に派遣した地上部隊であることは、常識に属する知識だろう。

写真01


今回、その中からシナリオS22「Initial Strike PL.2」をプレイしてみた。このシナリオは、本作の練習用シナリオという位置づけに近いシナリオで、戦車と少数の支援部隊を伴う英ソの機甲部隊同士が遭遇戦を繰り広げるという内容である。下名は英軍を担当した。ちなみに例の新型コロナウィルスの影響もあって、今回の対戦はVASSALによる通信対戦である。

写真03


両軍の編成を見てみよう。英軍の主力はチーフテンMk.11戦車が7両の他、歩兵、FV412兵員輸送車、スパルタンMCT対戦車車両が2両、スコーピオン騎兵戦闘車2両である。チーフテンの他は、対戦車ミサイル装備のスパルタンと76mm砲装備のスコーピオンがある程度使えそう。スコーピオンなどは狭隘な地形で敵の対戦車ミサイル車両を刈り取りするのに使えそうだ。
ソ連側はT-62MV戦車が8両、BRDM-2偵察車6両(うち対戦車ミサイル装備が2両)、BTR-70兵員輸送車、歩兵である。T-62MV以外では、対戦車ミサイル搭載のBRDM-2が使えそうだが、その他の車両はいずれも機銃装備のみなので機甲部隊同士の戦闘では役に立つ存在ではなさそうだ。

写真02


結果については簡単に記そう。第2Turnまでに前線展開を終えた両軍戦車部隊は第3Turnに本格的な戦車戦を展開。距離13~22Hex(1300~2200m)での英ソ両軍の撃ち合いは、ソ連軍戦車6両撃破、英軍損害皆無ということで英軍の圧勝に終わった。まあ主導権ダイスの影響が大きいゲームで、決勝点で主導権を確保した英軍が勝ったという、いわば「運のし」勝利の典型である。
結果は一方的な内容であったが、シナリオを流す過程で色々と面白いことが見えてきた。例えばチーフテン。一般に重装甲と言われるチーフテン戦車だが、本作での評価はすごぶる低い。より新型のチャレンジャーに及ばないのは当然としても、肝心の装甲防御に致命的な欠陥があるのだ。複合装甲や反応装甲を備えていないため、比較的旧式の対戦車ミサイルにも耐えられないことが明らかになった。特にソ連にT-62MVは、滑腔砲から対戦車ミサイルを発射可能であり、これを食らえばチャレンジャーは十中八九お陀仏である。今回は先手を取ってT-62MVBを撃破できたので損害を出さずに済んだが、主導権ダイスの出目が逆ならチーフテンが対戦車ミサイルの集中攻撃を受けて壊滅していたことはほぼ疑いない。
チーフテンに比べると、T-62MVはより進化した戦車といえる。その装甲防御はチーフテンに劣るが、車体サイズが小さいために被弾率が低く抑えられている。また反応装甲を備えているため、HEAT弾や対戦車ミサイルに対する耐性にも優れている。さらに主砲からは徹甲弾の他に対戦車ミサイルも発射可能なので、チーフテンとの戦いではあらゆる距離で同等又は優位に戦える。

今回の練習でVASSALによる対戦、BAORの特性などを学ぶことができた。次はより本格的なシナリオに挑戦したい。

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Turn00



コロナウィルスが猛威を振るう中、皆さまいかがお過ごしでしょうか(この原稿は2020年4月18日に書いています)。ちなみに現時点での日本における感染者は9,795人、前日比は+628です(厚生労働省の発表)。

こんな状況下でもちろんゲーム会などは開催できる筈もなく、ソロプレイ三昧の日々を送ってきました。とはいえ、世の中「捨てる神あれば拾う神あり」。VASSALという便利な通信対戦ツールがあるではないですか。こんな時こそ「文明の利器」をフル活用して我々は我々のHobbyを継続しようではないですか。

という訳で、現代戦車戦を扱った傑作ゲーム"MBT"をネタにVASSALを使った通信対戦をプレイすることになりました。選択したシナリオは、対戦相手氏が雑誌から探してきたシナリオでタイトルは"Highway Reconnaissance"(高速道路偵察)。米軍の装甲騎兵部隊が守る集落をソ連軍戦車師団の偵察中隊が威力偵察を仕掛けるというもの。
米軍はM3A1 Bradley CFV(騎兵戦闘車)5両を中核とし、歩兵や各種車両が付随するというもの。対するソ連軍はBMP-2 IFV(歩兵戦闘車)7両とMi-24V Hind-E攻撃ヘリコプターが2機。普段は登場機会の少ないM3A1(M2A1はしばしば見かけるのですが)とHind攻撃ヘリコプターの対決が見ものです。

Scnario


勝負は意外にアッサリつきました。先行偵察のために前進してきた2機のMi-24V Hind Eに対してNATO側の対空部隊が反撃を実施。最初にStinger-Aを装備した歩兵によるミサイル攻撃は外れましたが、なおも接近を図るHindに対して20mm Vulcan砲を装備したM163A1 PIVADS(自走式ヴァルカン砲対空防衛システム)が距離1000m(10Hex)で防御射撃。射撃に怯えたソ連軍パイロットは制圧状態になってしまいます。
もう1機のHind-Eが超低空を接近してきますが、今度は別の歩兵が放ったStinger-Aが命中(Hind-Eはフレアを撒きながら回避しますが、間に合いませんでした)。このHind-Eはバラバラになって墜落していきます。
Mi-24が2機とも事実上戦闘不能となったソ連軍プレイヤーはこの時点で投了。ここでゲーム自体は終了になりました。
Turn01

M163A1


ゲーム展開は兎に角としてVASSALとSkypeを使った対戦が今回初めてだったのですが、思いのほか上手くいきました。チャットではなかなか細かいルール確認等の会話が難しいのですが、Skypeだとそのあたりの意思疎通が非常にスムーズです。こういう時こそFace to Faceによるコミュニケーションの威力を思い知ります。またVASSALによる対戦は、対面対戦に比べるとマップの表示範囲が狭い等の問題がいくつかありますが、それでも常時記録を残せるのは有難い。また距離の制約がないので好きな相手と好きなゲームをプレイできる便利さは他にはない魅力です。

コロナウィルスはまだまだ収束の気配がありませんが、こんな時こそ通信対戦を思う存分楽しんでみたいと思います。

Mi-24V



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MBT


MBTはGMT社が2016年に発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1987年の西ヨーロッパを想定した戦車戦闘。いわゆる「1987年、ソ連軍が西ドイツに侵攻を開始、その時NATOは」的な仮想戦である。 ゲームシステムやスケールについては、既に何度か紹介済であるので省略する。基本的には車両1両、砲1門(又は砲兵中隊(盤外砲兵))、歩兵は班~分隊クラスのスケールで登場する。
今回紹介するシナリオ10「Forced Crossing」は、MBTの中でも最も規模の大きいシナリオである。今回はVASSALによるソロプレイである。

前回まで-->こちら

17Turn

UH-1_263主導権は米軍に戻った。市街地周辺を迂回している米戦車部隊が、ソ連軍戦車を次々と撃破する。まずBMP-2がM1A1エイブラムスの徹甲弾による直撃を受けて撃破される。次にT-72BA 2両が次々とエイブラムスの徹甲弾を受けて爆発炎上する。右側面のAlpha-1に陣取る米歩兵分隊が対戦車ミサイルを発射。800m先のソ連軍対空ミサイル車両9K35の履帯に命中し、同車両は移動不能になった。
無論ソ連軍もやられっ放しではない。Charlie-5の市街地では、前進してきた米歩兵に対してソ連軍歩兵が猛烈な反撃を実施し、米歩兵の1個分隊が戦力半減の損害を受けた。またChalie-5の南側では、左翼を突破せんとしたM1A1エイブラムスがBMP-1Pの発射した対戦車ミサイルの直撃を受けて、爆発炎上する。 米軍はChalie-5に侵入したソ連軍歩兵を排除するため、2機のUH-1H輸送ヘリから歩兵分隊2個をChalie-5に向けて降下させた。身軽になったUH-1はサイドハッチからの支援射撃を仕掛けるべく旋回する。
写真17


18Turn

ZM_BUマップ上を見ると、ソ連軍は見る影もない状態になっている。稼働中の戦車は僅かに1両のみ(T-64BV)。しかも指揮統制ルールの関係上、そのT-64BVは何もできない(命令マーカーを置けない)。歩兵戦闘車はまだマシだが、それでも無傷で残っているのはBMP-1が1両のみ(この1両が先のTurnにM1A1エイブラムスをミサイル攻撃で撃破した)。他に損傷を被った歩兵戦闘車が3両。対空車両も苦しい状態。1両のミサイル車両は走行不能。もう1両のZSU-23-4は無傷だが、それもいつまで続くか・・・。

このTurn、米軍はChalie-5周囲のソ連軍を相当する。対空車両2両はいずれも米歩兵の放つDragonミサイルの直撃を受けて擱坐・炎上する。歩兵を運搬中のBMP-1はM1A1エイブラムスの射撃を受けて爆発。搭乗していた歩兵分隊は辛うじて脱出に成功した。そして走行不能になっているBMP-1PはAH-1Fコブラの放ったTOW-2対戦車ミサイルの直撃を受け、これまた爆発炎上する。

この段階でChalie-5周辺に残っていたソ連軍はほぼ壊滅。米軍にとって残る敵は、Chalie-5の市街地で抵抗を続けるソ連軍の抵抗を排除するだけであった。

写真18


19Turn

SO_InfChalie-5を巡る攻防戦が始まる。攻撃ヘリコプターAH-1Fコブラが市街地上空に侵入。市中に陣取るBMP-1Pが後方から攻撃ヘリの20mm機関砲による射撃を受けて撃破された。輸送ヘリも市街地上空に侵入し、懸垂降下で歩兵が市街地に降りていく。

その後

ZM_Turn_NATOこの後は21Turnまでプレイした。市街地に侵入してきた米軍部隊に対してソ連軍は乾坤一擲の反撃を試みるが、当然ながら兵力に勝る米軍の集中射撃を受けて反撃は失敗。逆に兵力が減少したソ連軍に対して米軍歩兵が突撃を敢行してこれを次々と撃破していった。
第21Turn終了時に、ソ連軍は混乱状態の歩兵が1個分隊、それから後方から支援射撃を行う砲兵1個を残すのみであり、この時点でゲーム終了とした。

写真21a
写真21b
写真97


戦果と損害

; 両軍の戦果・損害は以下の通り。

米軍の損害

表1


VP換算で3865VPの損害となる。

種類別でみると、やはりM2A1ブラッドレーの損害が大きい。対戦車ミサイルを搭載しているので脅威度が大きい上、装甲が薄いので撃破しやすく、優先度の高い目標となったためである。同じくM901ITVも同じ理由で高い損害率を示している。
M1A1エイブラムスについては、装甲が厚くて撃破するのが困難であるが、それでも敵から見た場合の脅威度も大きいため、優先的に狙われた結果、比較的高い損害率を出した。
逆に意外に損害が軽いのが歩兵部隊。足が遅くて脅威度としては比較的低いということもあるが、戦線後方に取り残されて無視されたというパターンも結構多い。ただし脅威度については、対戦車ミサイルや砲撃誘導等でソ連側にかなりの打撃を与えており、現代戦における歩兵の強さは意外と無視できない。その事については後に触れる機会があるだろう。

次に撃破の原因を見てみよう。

表2


撃破原因の半数が戦車砲によるもので、特に重装甲のM1A1エイブラムスに対しては、戦車砲の有効性が際立っている。やはり「戦車に対抗できるのは戦車だけ」「戦車は戦場の王様」というのは本作では正しい認識と言える。

ソ連軍の損害

表3


表4


VP換算で7361VPの損害となる。
種類別の損害はあまり意味がない。何故なら殆ど全てのソ連側車両が撃破されてしまっているからだ。

最終的な勝利得点は、米軍12,661VP、ソ連軍3,865VPで、米軍の圧勝となった。

感想

戦車の性能差があるので、ソ連側にとっては苦しいシナリオと言える。M1A1エイブラムスの120mm砲は中距離以下ではソ連側の戦車を確実に貫通可能なのに対し、ソ連戦車の125mm砲は余程近づかない限りM1A1エイブラムスの正面装甲をぶち抜くのは困難である。さらにM2A1ブラッドレーのTOWミサイルにしても、ソ連戦車に対して有効打を期待できる。たとえ正面からでもソ連戦車の爆発反応装甲が不発に終わった場合、TOWミサイルはソ連戦車を葬ることが可能だ。それに対してBMPに搭載している対戦車ミサイルでは、M1A1エイブラムスの正面装甲を貫くのはほぼ不可能だ(エイブラムスの正面装甲はチョバムアーマーである)。

UM-2A_M1A1


歩兵もまた強い。米歩兵の持つDragonミサイルでは、流石に戦車の正面装甲相手では貫通力不足が明らかだが、戦車の後面装甲や歩兵戦闘車の正面装甲なら十分撃破可能だ。米歩兵を放置したまま後方へ突破すると、背後からミサイルを撃たれる可能性があるので、ソ連軍にとっては米歩兵を1個1個潰すしかない。時間をかければ戦車で敵歩兵を潰すことは不可能ではない。しかし伏せた歩兵を潰すのは物理的な見地から見てもかなり困難な上、時間が敵であるソ連軍にとってはノンビリ米歩兵と遊んでいる暇はない。

SM-2A_T-72BA


さらに今回隠匿ルールを採用したので、これもまたソ連軍にとっては不利に作用した。米軍の待ち伏せ地点がわからないため、ソ連軍にとっては無理矢理前進することは自殺行為に等しいからだ。そういった意味で本シナリオは隠匿ルールを採用しない方がバランス的には良いかもしれない。特に対人戦では猶更である。

今回初めてヘリコプターを使ってみたが、ルール自体はシンプルであった。分かりにくかったのはヘリコプターと命令マーカーとの関係。最初は車両と同様に命令マーカーを配置する必要があると思っていたが、どうやらヘリコプターには命令マーカーが不要ならしい。このあたりは固定翼航空機と同じ。

PanzerにしてもMBTにしても、戦車同士の撃ち合いを再現するには良いゲームである。ASLに比べるとドラマ性という点では見劣りするが(ASLはやや演出過剰かも・・・)、戦車を中心にしたシステムとしてはASLよりもこちらの方が納得感がある。WW2から現在戦まで様々なシチュエーションを再現できるのも嬉しい。

次は在欧英軍の活躍を見てみたいものだ。
写真98


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写真99b


MBTはGMT社が2016年に発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1987年の西ヨーロッパを想定した戦車戦闘。いわゆる「1987年、ソ連軍が西ドイツに侵攻を開始、その時NATOは」的な仮想戦である。 ゲームシステムやスケールについては、既に何度か紹介済であるので省略する。基本的には車両1両、砲1門(又は砲兵中隊(盤外砲兵))、歩兵は班~分隊クラスのスケールで登場する。
今回紹介するシナリオ10「Forced Crossing」は、MBTの中でも最も規模の大きいシナリオである。今回はVASSALによるソロプレイである。

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写真00a


8Turn

BMP-1P_243またもや主導権はソ連軍である。1両のブラッドレーがBMP-1Pの対戦車ミサイルを受けて爆発炎上する。別のブラッドレーはT-72の125mm徹甲弾を受けて擱坐する。これでブラッドレーの損害は5両に達した。無傷で残るブラッドレーは残り2両。他にエイブラムス2両が戦闘可能である。

現時点で米軍は、1両のエイブラムス、5両のブラッドレー、2両のM901対戦車車両を失った。残っているのは、エイブラムス2両、ブラッドレー3両(内1両は車体損傷)で、M901はゼロである。
対するソ連軍は、戦車8両(T-72BA 7両、T-64BV 1両)、歩兵戦闘車(BMP-1P/2)3両を失った。残っているのは、戦車12両、歩兵戦闘車7両である。損害自体はソ連側の方が大きかったが、兵力比はソ連軍有利に傾いている。今こそ突破のチャンスだ。

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9Turn

M2A3_198久しぶりに米軍が主導権を取った。距離800mのブラッドレーから発射されたTOW-2対戦車ミサイルがT-72BA戦車の車体後面に命中。被弾したT-72は爆発炎上する。またM1A1エイブラムスは距離500mからT-64BVに対して直接射撃を行い、これを撃破していた。ソ連軍は装甲の強固なエイブラムスを撃破すべく自軍戦車をエイブラムスの左右に展開せしめた。

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10Turn

ZM_BU今回も米軍が主導権を握った。距離約2kmの遠距離から放たれたM2A1ブラッドレーのTOW2対戦車ミサイルがT-72BA戦車の後面を直撃し、そのT-72は爆発炎上する。またM1A1エイブラムスは距離500mから行進間射撃をT-64BVに対して行い、これを炎上させていた。さらに前進してきたT-64BV戦車の正面400mからブラッドレーがTOW2対戦車ミサイルを発射。それがT-64の履帯に命中し、T-64は走行不能となる(乗員は戦車を放棄)。
ソ連軍も負けてはいない。BMP-2が行進間射撃で対戦車ミサイルを発射。発射されたAT-5「スパンドレル」はブラッドレーの車体正面を直撃し、内部で爆発。ブラッドレーは爆発炎上した。さらに距離500mからM1A1エイブラムスに対して行進間射撃を実施したT-72BAの125mmAPFSDS弾がエイブラムスの車体正面を直撃。重装甲を誇るエイブラムスであっても、この近距離からの直撃には耐えられなかった。エイブラムスは爆発炎上する。

現時点で米軍に残った機甲兵力はM1A1エイブラムス1両(2両損失)、M2A1ブラッドレー2両(6両損失)の計3両のみ。ソ連軍も多大な損害を被ってはいたが、それでも戦車7両(T-72BA 3両、T-64BV 4両)、歩兵戦闘車BMP-1P/2が計7両残っていた。勇敢に戦った米軍部隊であったが、その抵抗は限界に達しつつあった。そしてソ連軍の一部が遂に攻撃目標である中央の村落"Charlie-5"に突入した。

写真10


11Turn

ソ連側が主導権を取り返した。戦車砲の直撃を受けてブラッドレー1両が撃破される。これで残るのはブラッドレー1両とエイブラムス1両のみとなった。ソ連軍主力が村落"Charlie-5"に近づいていく。
写真11


12Turn

BMP-2_229またもやソ連軍が主導権を握った。BMP-2の放った対戦車ミサイルがブラッドレーの砲塔に直撃。そのブラッドレーは砲手が負傷したものの、奇跡的に撃破は免れた。しかし米軍最後の生き残り機甲戦力であるエイブラムス、ブラッドレー各1両に対し、ソ連軍は各種戦闘車両7両で包囲しつつあった。

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13Turn

M1A1_140米軍にとって頼みの綱は増援部隊である。しかしその増援部隊はまだ来ない。そして主導権はまたもやソ連軍が握った。T-72BAの125mm徹甲弾が距離1300mからM1A1エイブラムスの砲塔前面を直撃した。しかしエイブラムスの重装甲は辛うじてその一撃に耐えた。その200m左では、最後に残っていたブラッドレーが戦車砲の直撃を受けて四散する。
先に被弾しながらも耐えたエイブラムスは、自らを撃ったT-72BAを発見。120mm徹甲弾で反撃した。その一撃がT-72BAの砲塔前面に命中。砲塔を吹き飛ばした120mm徹甲弾は、その勢いのままT-72BAの車内で爆発し、同車を炎上させた。

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14Turn

ZSU-23-4_309遂に米軍の増援部隊が到着した。戦車8両、歩兵戦闘車5両、ヘリコプター5機と随伴の歩兵部隊からなる機甲戦闘部隊だ。ソ連軍は米軍の増援部隊を阻止すべく布陣をしく。対空火器は空を睨み、接近するヘリコプターに狙いをつける。

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写真14b


15Turn

AH-1F_267またもやソ連軍が主導権を取った。しかしそのこととは関係なく戦場に到達したAH-1F攻撃ヘリコプターが、TOW-2対戦車ミサイルを発射した。直撃を受けたBMP-2歩兵戦闘車が爆発炎上する。対空射撃可能な30mm機関砲を装備するBMP-2は、攻撃ヘリにとって厄介な目標なのだ。さらにAH-1Fは前進中のT-64BVに対してもう1発のTOW-2を発射したが、ミサイルは目標を逸れた。
先制射撃を実施したソ連軍。距離900mからT-64BVからの主砲射撃を受けたM1A1エイブラムスが車体側面に命中弾を受けた。エイブラムスは爆発炎上する。
"Charlie-5"に向けて前進中の米軍部隊がソ連軍歩兵の待ち伏せ攻撃を受けた。AT-4 "Spigot"対戦車ミサイルが先頭を走るM2A1ブラッドレーを直撃。ブラッドレーは爆発炎上し、乗車していた歩兵分隊も運命を共にした。残った米軍機械化歩兵部隊が乗車状態のまま"Charlie-5"の前面200mまで前進し、突撃姿勢を取る。

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16Turn

M1A1_140]米軍が主導権を握った。Charlie-5前面では、米軍のFO(前進観測)車両がCharlie-5に対して間接射撃を指向し、町の南で守りを固めていたソ連軍歩兵分隊を制圧した。そこへM2A1ブラッドレーから下車した歩兵分隊2個が突撃。橋を扼する位置に布陣していたソ連軍歩兵分隊を撃破した。

戦車同士の撃ち合いでは、主導権を握った米戦車隊が猛威を振るう。M1A1エイブラムスの放った120mm徹甲弾が次々とソ連戦車を粉砕していく。1両のT-64BVは後部車体に120mm徹甲弾を受けて誘爆炎上。別のT-64BVも直撃弾を受けて撃破された。さらにT-64BVがエイブラムスの行進間射撃によって撃破され、BMP-1Pがやはりエイブラムスの射撃を受けて撃破されていた。
ソ連軍はT-64BVが行進間射撃によって1両のエイブラムスの側面に125mm徹甲弾を命中させ、これを大破炎上させた。
写真16a
写真16c


(つづく)

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MBTはGMT社が2016年に発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1987年の西ヨーロッパを想定した戦車戦闘。いわゆる「1987年、ソ連軍が西ドイツに侵攻を開始、その時NATOは」的な仮想戦である。 ゲームシステムやスケールについては、既に何度か紹介済であるので省略する。基本的には車両1両、砲1門(又は砲兵中隊(盤外砲兵))、歩兵は班~分隊クラスのスケールで登場する。
今回紹介するシナリオ10「Forced Crossing」は、MBTの中でも最も規模の大きいシナリオである。基本設定はこうだ。
ソ連軍第79親衛戦車師団所属の部隊が米軍の最前線を突破した後、戦線後方の橋梁を確保するために前進する。それを阻止せんと展開する米第3機甲師団だが、兵力の劣勢は否めない。ソ連軍2個中隊と米軍1個中隊の戦い。だが米軍には心強い味方がいる。後方から最新鋭のM1A1エイブラムスからなる戦車中隊、そしてUH-60ブラックホーク4機かならなる空中機動小隊が救援に向かっているのだ。一方のソ連軍も突破を確実にすべく、T-64BV戦車8両からなる戦車中隊が戦場に向かっている。どちらの援軍が先に到達するのか。そしてキーポイントなる橋梁を確保するのはどちらか。

今回、このシナリオをVASSALを使ったソロプレイで試してみた。また大雑把な流れを決めておくため、ソ連軍初期兵力による作戦計画を予めプロットしてみた。
写真00a


ソ連軍一般命令
★自動車化歩兵中隊+大隊直属
第1~4Turnに△7.21~△7.18高地の間隙を進出
第6Turnまでに△1.18高地を占領し、観測点を設けること
第9TurnまでにCharile-5に突入せよ。
第12TurnまでにCahrile-5の占領を完了せよ

★戦車中隊
第3Turnまでに△7.21高地を占領し、観測点を設けること
第6Turnまでに1K3付近の高地帯を制圧。その両翼の突撃路を確保すべし
第9Turnまでに1個小隊以上をAlpha-1に進出せしめよ
第12TurnまでにAlpha-1を占領せよ。

写真00b


1Turn

マップ中央部からソ連軍の主力が進入してきた。警戒中のM2A1ブラッドレーがTOW-2ミサイル1発を発射。T-72BAの車体前面に命中したものの、反応装甲によってTOW-2のメタルジェットが吹き飛ばされた。

写真01


2Turn

T-72BA_152主導権はソ連軍。米軍に最初の損害が出た。M2A1ブラッドレー歩兵戦闘車1両がT-72BAの主砲射撃を受けて撃破されたのである。否、撃破されたわけではない。徹甲弾は貫通して反対側に突き抜けて行ったのでブラッドレー自体は無傷に近い状態であった。しかしブラッドレーの乗員達がパニックを起こして車両を放棄してしまったのである。

写真02


3Turn

M2A3_198主導権はソ連軍。しかし米軍の反撃が開始された。間接射撃。ICM。発展型通常砲弾(Improved Conventional Munition)。目標上空でさく裂し、多数の子弾を広範囲にばら撒く。BMP-1P歩兵戦闘車1両が車体に命中弾を受けて煙を噴き上げた。戦車隊も実害こそなかったものの、激しい砲撃を受けてパニックを起こす。そして歩兵分隊は2個が戦力半減の損害を被った。
さらに7.21高地を超越して前進してきたソ連軍戦車に対して、後方の森に潜んでいた米軍の機甲部隊がミサイルで反撃する。1両のT-72BA戦車は履帯にTOW-2ミサイルが命中し、そのT-72BAは走行不能となった。もう1両のT-72BAの砲塔側面にはM2A1ブラッドレー歩兵戦闘車が放ったTOW-2対戦車ミサイルが命中。砲塔装甲をぶち抜かれたそのT-72BAは、その場で擱坐、炎上した。
さらに距離900mに近づいたT-72BAに対して、M1A1エイブラムスが120mm滑腔砲で攻撃。徹甲弾がT-72BAの右側面車体装甲を貫通して爆発。そのT-72BAは擱坐した。ソ連軍はこのTurnだけで2両の戦車を失い、1両の戦車を走行不能にせしめられた。

写真03


4Turn

M981FISTV米軍が主導権を奪い返した。間接射撃によってBMP-1P歩兵戦闘車1両が撃破された。さらに歩兵部隊がDragon対戦車ミサイルで別の歩兵戦闘車を撃破。T-72BAにもTOW-2ミサイルが命中したが、これは分厚い前面装甲に命中したため、効果なしだった。最後にM1A1エイブラムスが、先に走行不能になっていたT-72BAに120mm徹甲弾を命中させて、これを撃破した。
ソ連軍は突撃路を啓開すべく、さらなる部隊を前進させる。生き残ったT-72BA戦車とBMP-1P/2歩兵戦闘車の大部を7.21高地周辺に展開させる。しかしその中の1両の戦車が対戦車ミサイルの直撃を受けて炎上してしまう。初戦で早くも4両の主力戦車を失ったソ連軍に暗雲が漂う。

写真04


5Turn

ZM_US_SHEAF今回も米軍が主導権を握った。米軍の間接射撃が炸裂する。ICM。発展型通常砲弾の嵐がソ連軍機械化部隊に降り注いだ。T-72BA戦車1両が直撃弾を受けて炎上する。車両の損害はその1両だけだったが、撃破されたのが大隊長の車両だったのがソ連軍にとって痛かった。そして他にも数両の戦闘車両が制圧されてしまう。
ソ連軍にとって不幸中の幸いは、米軍の間接射撃を受けた車両の中にACRVが居たのだが、ACRVが無傷で生き残ったことだ。そして今度はそのARCVがソ連軍の砲撃を誘導する。2ヵ所にソ連軍の砲撃が着弾した。米軍の受けた実害は小さかったが、それでも着弾煙によって直接照準が妨げられる。
米軍の戦車、歩兵戦闘車の直接射撃開始。徹甲弾や対戦車ミサイルが空を切る。しかし今回は米軍の射撃がスカに終わる。対するソ連軍の射撃。こちらも間接射撃による着弾煙その他に妨害されて命中率は低かったが、先に間接射撃を誘導していた米軍のM981 FISTVには戦車砲を直撃させてこれを撃破していた。これでソ連軍は間接射撃の恐怖から少しは解放されることになる。また別のM2A1ブラッドレーには、ソ連歩兵の発射したAT-4 SPIGOT対戦車ミサイルが命中。撃破こそ免れたが、車体に重大な損傷を被った。

このTurn、早くもソ連軍の増援部隊が登場する。T-64BV戦車8両からなる戦車中隊だ。苦しい戦いを続けているソ連軍にとっては力強い援軍だ。一方の米軍は右後方に潜んでいた最後の混成中隊を戦場に投入する。

写真05


6Turn

T-64BV_179ソ連軍が主導権を取り返した。ソ連軍の間接射撃が猛威を振るう。CLGP(Cannon Launched Guided Projectiles)、砲発射型誘導弾がM1A1エイブラムスを捉えた。そのエイブラムスは擱坐・炎上する。さらにソ連増援戦車の射撃によってM901対戦車自走砲が撃破される。
米軍も黙ってはいない。M2A1ブラッドレーの25mm砲が1200m先のBMP-1Pの前部車体に命中。車体を引き裂かれたBMP-1はその場に停止する。M1A1エイブラムスの120mm徹甲弾がT-72BAの砲塔を吹き飛ばし、パニックに陥ったクルーが戦車を捨てて脱出する。そして増援で現れたT-64BVをエイブラムスの主砲弾が直撃し、内部爆発を引き起こした。別のT-64BVは調子に乗って主砲をぶっ放していると、早くも弾薬欠乏を引き起こしている。

写真06a
写真06b


7Turn

ACRV_303今度も主導権はソ連軍である。またもやソ連軍の間接射撃が猛威を火を噴いた。しかしCLGPの要請に失敗したため、米軍に損害はなかった。米軍も間接射撃で反撃。山頂部で射撃観測を実施中の観測車両(ACRV)に155mm榴弾砲の集中射撃を見舞う。直撃を受けたACRVは爆発・炎上する。これによりソ連軍の間接射撃能力は大いに減殺された。
ソ連軍の直接射撃。BMP-1Pの発射する対戦車ミサイルが猛威を振るう。M2A1ブラッドレー1両とM901対戦車自走車両がミサイルの直撃を受けて爆発する。他にブラッドレー1両がT-72BAの射撃を受けて徹甲弾を被弾、大破炎上する。これでM2A1ブラッドレーの損失は計3両となり、他に2両が損傷状態となった。無傷のブラッドレーは3両。他にエイブラムス2両が無傷で戦闘可能である。
米軍の反撃。エイブラムスの120mm徹甲弾を受けてT-72BV 1両が爆発する。BMP-1P歩兵戦闘車にはブラッドレーの放ったTOW-2対戦車ミサイルが命中。この歩兵戦闘車は爆発炎上する。
両軍とも損害を受けていたが、ようやく前面の米軍部隊を撃破しつつあるソ連軍。7.21高地を超越して前進していく。目標となる。
写真06c

写真97


(つづく)

MBT: The Game of tank-to-tank combat in 1987 Germany MBT-FRG MBT-BAOR JグランドEX世界の戦車全戦力ガイド

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