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横須賀軍港巡り2025|英国空母プリンス・オブ・ウェールズ来港!
太刀洗に眠る空の記憶 ーー 平和記念館と掩体壕を訪ねて
以前に動画を紹介した「太刀洗平和記念館」へ再び訪れてみた。
この地にはかつて「東洋一」と称された陸軍の大刀洗飛行場が広がっていた。今ではその痕跡もほとんど残っていないが、記念館の中に足を踏み入れると、そこに蓄えられた静かな記憶の重みに圧倒される。
まず目に飛び込んでくるのは、異形の戦闘機「震電(しんでん)」の実物大レプリカだ。
後退翼と後部推進式のプロペラという特異なシルエットは、他の日本機とは一線を画す。試作機として終戦直前にようやく姿を現した幻の機体だが、その革新的な設計は、戦局を挽回せんとする当時の焦燥と技術者たちの執念を物語っていた(実態は駄作機だけどね)。
その横には、零式艦上戦闘機、いわゆる「零戦」の実機が鎮座している。翼端を四角に整形した三二型だ
戦後にアメリカで保管されていたものを日本に戻し、丁寧に修復されたという。機体の金属の質感、細部にわたるリベットの打ち方まで間近に見ることができるのは貴重だ。小柄ながらも流麗なフォルムからは、日本機らしい美しさが伝わってくる。
さらに進むと、九七式戦闘機(九七戦)の実機が展示されていた。
こちらは零戦の前の世代の主力戦闘機だが、現存機が非常に少ない中で、こうして原形を保った姿に出会えるのは奇跡に近い。空冷エンジン、そして開放式の風防。古典的な戦闘機の姿が、逆に戦争初期の日本の空の様相を鮮やかに思い起こさせた。
展示室を巡りながら、戦争で命を落とした若者たちの遺影や遺書に目を向けると、自然と胸が締め付けられる。機械としての飛行機の美しさと、人間としての悲しみの記録。その両方が、ここには確かに息づいていた。
記念館を後にして、車で数分の場所にある「掩体壕」へ向かった。
かつて戦闘機や爆撃機を空襲から守るために造られたコンクリートの防御壕で、現在では筑前町が整備・保存している。
草に覆われた静かな田園の中に、ぽっかりと口を開けるようにして掩体壕が残されていた。
巨大なコンクリートのアーチが、今も当時の緊張感と重圧を無言のまま伝えてくる。中に立つと、空をにらむように広がっていた飛行場の喧騒が、幻のように脳裏に蘇る。
ここ太刀洗は、かつて空へと旅立った多くの若者たちの出発点だった。 今はその静寂の中に、戦争の記憶と、平和への祈りが深く刻まれている。
この地にはかつて「東洋一」と称された陸軍の大刀洗飛行場が広がっていた。今ではその痕跡もほとんど残っていないが、記念館の中に足を踏み入れると、そこに蓄えられた静かな記憶の重みに圧倒される。
まず目に飛び込んでくるのは、異形の戦闘機「震電(しんでん)」の実物大レプリカだ。後退翼と後部推進式のプロペラという特異なシルエットは、他の日本機とは一線を画す。試作機として終戦直前にようやく姿を現した幻の機体だが、その革新的な設計は、戦局を挽回せんとする当時の焦燥と技術者たちの執念を物語っていた(実態は駄作機だけどね)。
その横には、零式艦上戦闘機、いわゆる「零戦」の実機が鎮座している。翼端を四角に整形した三二型だ
戦後にアメリカで保管されていたものを日本に戻し、丁寧に修復されたという。機体の金属の質感、細部にわたるリベットの打ち方まで間近に見ることができるのは貴重だ。小柄ながらも流麗なフォルムからは、日本機らしい美しさが伝わってくる。
さらに進むと、九七式戦闘機(九七戦)の実機が展示されていた。
こちらは零戦の前の世代の主力戦闘機だが、現存機が非常に少ない中で、こうして原形を保った姿に出会えるのは奇跡に近い。空冷エンジン、そして開放式の風防。古典的な戦闘機の姿が、逆に戦争初期の日本の空の様相を鮮やかに思い起こさせた。
展示室を巡りながら、戦争で命を落とした若者たちの遺影や遺書に目を向けると、自然と胸が締め付けられる。機械としての飛行機の美しさと、人間としての悲しみの記録。その両方が、ここには確かに息づいていた。
記念館を後にして、車で数分の場所にある「掩体壕」へ向かった。
かつて戦闘機や爆撃機を空襲から守るために造られたコンクリートの防御壕で、現在では筑前町が整備・保存している。
草に覆われた静かな田園の中に、ぽっかりと口を開けるようにして掩体壕が残されていた。
巨大なコンクリートのアーチが、今も当時の緊張感と重圧を無言のまま伝えてくる。中に立つと、空をにらむように広がっていた飛行場の喧騒が、幻のように脳裏に蘇る。
ここ太刀洗は、かつて空へと旅立った多くの若者たちの出発点だった。 今はその静寂の中に、戦争の記憶と、平和への祈りが深く刻まれている。
書籍紹介「日本海軍艦艇の航跡」
日本海軍艦艇の航跡
宮永忠将 イカロス出版
ウォーゲーム愛好家としても知られ近年はYouTube動画でも活躍している宮永氏が日本海軍の艦艇を艦種別に語った著作である。空母、戦艦などの艦種別に日本海軍艦艇の生い立ちとその戦跡を追いつつ、彼女らが戦局にどのように貢献したのか。あるいは貢献できなかったのかについて記述している。各章は比較的短文で読みやすく、読んでいて楽しい文章だ。戦艦、空母、重巡といった大型艦艇だけではなく、海防艦、給油艦、工作艦、さらには海軍設営隊や特設監視艇まで扱っている。さらに艦種別といっても航空巡洋艦、防空艦、戦時急増駆逐艦、特設航空母艦等、筆者が独自の視点で追加した艦種も取り扱っていて興味深い。
本書の主なテーマは組織論理とその結果としての艦艇整備である。日本海軍が国家防衛という本来の目的を離れて組織防衛に走った結果生まれたのがこれらの艦艇群であったという考えだ。そのために筆者は戦艦、空母、重巡といった海軍の「花形艦艇」に対しては厳しい指摘をし、その一方で戦局に応じて生まれてきた海防艦、特設監視艇などには比較的好意的な評価をしているように思える。筆者の指摘は十分首肯できる。
ただ本書はいくつかケアレスミスと思われる点もあるので指摘しておきたい。タラント空襲をグラディエーターの戦果としているのはまあポカミスとして、二水戦司令官を「田中司令」とするのは頂けない。さらに基地航空隊の所で、マレー沖海戦からレンネル島沖海戦まで陸攻隊による対艦攻撃の機会がなかったような書かれ方をしているが、これは事実誤認だろう(ニューギニア沖海戦、珊瑚海海戦、数次に渡るガダルカナル沖への艦船攻撃等)。
とまあ色々書いたが、日本海軍艦艇を扱った著作としては面白く、マニアでなくても楽しめる好著といえる。
お奨め度★★★

































