
Polikarpov I-15,I-16 and I-153 Aces
Mikhail Maslov Osprey

ポリカルポフ戦闘機、特にI-15、I-16といえば、日中戦争で零戦に完敗したとか、大祖国戦争初期にドイツ空軍に一方的に叩き落されたとか、いわゆる「やられメカ」的なイメージが強い。これは何も我が国だけではなく、西側諸国でもポリカルポフ戦闘機の評判はあまり高くないようだ。
本書はそんなポリカルポフ戦闘機に焦点を当てて、I-15、I-16、I-153でのエース達とその戦いぶりを紹介している。本書が取り上げるのは、スペイン内戦、日中戦争、ノモンハン事件、冬戦争、そして大祖国戦争だ。特に日中戦争やノモンハン事件では、日本側で語られているものとは異なる視点での空戦史が紹介されている。特にソ連人の義勇兵たちが戦ったとされる日中戦争の空中戦シーンは、我々の想像とはかなり異なったものだ。
大祖国戦争時には明らかに旧式化していたこれらの戦闘機であったが、そんななかにもずば抜けた戦績を残したエース達はいた。彼らの中にはBf-109のみならずFw-190すらも撃墜したエース達もいたのだ。特にポリカルポフ戦闘機独特の武装といって良い82mm空対空ロケットは、しばしば大きな戦果を挙げたという。
我々が普段あまり詳しく知らない戦史について、理解を深めることができる1冊である。
お奨め度★★★







