もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ: ゲーム

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Carrier Clashは、Against the Odds誌第58号の付録ゲームで、2023年に発売された作品です。このゲームの扱うテーマはマリアナ沖海戦。1944年6月下旬にマリアナ西方海上で戦われた日米の艦隊決戦です。
この戦いは、史上最大の空母決戦と言われており、参加空母が両軍合わせて24隻、艦載機1300機以上が参加しました。戦い自体は連合軍の大勝利に終わり、日本の空母艦隊はこの戦い以降米空母部隊と互角の戦いを行えなくなりました。

本作はマリアナ沖海戦のほぼ全体を再現するSLGで、1Hex=25海里、1Turn=6時間、1ユニット=巡洋艦以上1隻、駆逐艦以下数隻、航空機は10~30機程度というスケールになっています。システムはダミーを併用したチットプルで、タスクフォース別に活性化チットが用意されていて、引いて来たタスクフォースが活性化するというものです。ちなみにこのシステムのおかげで、ダミーを使用しているにも関わらずダミーによる兵力隠匿の効果はあまり大きくはありません。

今回、本作のコンポーネント紹介動画を作成しました。マリアナ沖海戦といういわば「バランスの悪い」戦いをどのようにゲーム化したのか。そういった点にも着目してご覧頂ければ幸いです。



Carrier Battle - Philippine Sea
マリアナ沖海戦-母艦航空隊の記録 精強261空“虎部隊”サイパン戦記 太平洋の試練(下)-ガダルカナルからサイパン陥落まで The Philippine Sea 1944

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The Fall of the Third Reich(以下、本作)は、2016年に米国Compass Gamesから発売されたSLGだ。テーマは第2次大戦後半の欧州戦線全体で、デザイナーはTed Raicer。Ted Raicerといえば、WW1を扱った超人気ゲームPaths of Gloryのデザイナーとして知られており、近年ではノルマンディ上陸戦を扱ったThe Dark Summerが高い評価を得ている。

本作は、1943年7月~45年6月までの2年間の戦いを1Turn=2ヶ月の計12Turnで再現する。1Hexは約30マイル、1ユニットは軍団(枢軸軍、西側連合軍)~軍(ソ連軍)だが、ドイツ軍の装甲師団と西側連合軍空挺師団は別ユニットになっている。マップはフルマップ2枚で、西はフランス全域から東はミウス川まで、欧州大陸が描かれている。シシリー島も含めたイタリア半島もマップに含まれるが、北アフリカや英国本土、スターリングラード方面やコーカサス地方はマップに含まれていない。1943年以降テーマのゲームならではの処置だろう。

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Z_Marker_Allied_Reactionゲーム手順は、移動・戦闘・機械化移動をプレイヤー別に繰り返す方式で、戦闘と機械化移動の間に相手プレイヤーのリアクションフェイズが挟まる。このリアクションフェイズが秀逸で、他のゲームのように「予備マーカー」のようなものは必要なく、特定の1スタック又は1Hexを指定し、スタックを指定した場合にはそのスタックが自由に移動戦闘でき、Hexを指定した場合にはそのHexにやって来ることができるユニットが移動戦闘できる。このシステムのため、予備ルールがあるにも関わらずプレイアビリティはすごぶる良い。ちなみにスタック制限は3ユニット+師団ユニット(装甲師団1個、空挺師団2個)となっている。

戦闘結果表は通常の戦闘比方式だが、戦闘比が1:1と2:1の間は戦力差方式となっている。戦闘結果は攻撃側全滅、防御側全滅等の極端なものもあるが、結構多いのが「1ステップを残して全滅」というパターン。ということは、元々1ステップしかない場合、「1ステップを残して全滅」という結果であっても事実上損害を受けないことになる。またドイツ軍ユニットの多くが可変戦闘力方式を採用しており、予め戦闘比を計算しておくことが難しいようになっている(そうはいっても戦闘比の予想は立てるけどね)。また戦闘システムは基本的にはMay Attack(攻撃実施は任意)だが、複数Hexから1Hexを攻撃する場合には攻撃側は自身のZOC内にいる全ての敵ユニットに対する攻撃義務が発生する(Must Attack)。

ZOCは通常通りだが、機械化移動フェイズには機械化部隊以外はZOCを持たない。従って前線を突破した機械化部隊が機械化移動で敵を包囲する縦深突破や電撃戦が実現可能となっている。さらにそれを阻止するためにもリアクションが重要になってくる。ただ苦言を述べると、機械化部隊とその他の部隊の区別が兵科マークなので少しわかりにくい。昔のゲームならまだしも、21世紀のゲームなら例えば移動力の配色を変える等の工夫が欲しかった所だ。

他には司令部ルールと補給ルールがあり、いずれも都市や町ヘクスが基点となる。従って攻撃側は敵支配下の都市を放置するのではなく、大都市を優先的に占領していく必要がある。司令部ルールは攻勢支援をも表していて、司令部の指揮範囲内にないユニットは様々な不利益を被る。連合軍は戦略爆撃で油田地帯を破壊することで、ドイツ軍が受け取る司令部能力を下げることもできる。

他には航空戦や上陸作戦のルールがあり、戦略爆撃も実施可能だ。

勝利条件は最終Turn終了時点でのVPヘクスの支配によって決まる。連合軍が勝利するためには少なくとも史実並みの戦果を残す必要がある。さらにソ連と西側連合国は、それぞれ相手よりも大きなVPを獲得しなければならない。逆にドイツ軍としては連合軍の連携を悪さを突く作戦も考えられる(やり過ぎるとウザいだけなので、ホドホドに…)。

今回、本作を4人でプレイした。プレイヤーの担当は、それぞれ西側連合国、ソ連、枢軸軍西部戦線(OKW)、枢軸軍東部戦線(OKH)だ。筆者はソ連を担当した。

SetUp

セットアップはシンプルだ。セットアップHexがユニットに記載されているので、その通りに配置していけばよい。

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1Turn(1943年7-8月)

Z_Marker_CW_BH連合軍がシシリーに上陸し、ゲラ(Gela 33.43)とシラクサ(Syracuse 35.43)を占領した。ちなみにあと町を1つ、パレルモかメッシナを連合軍が占領すれば、イタリアが降伏する。

東部戦線ではドイツ軍はクルスク方面での攻勢を実施せず、ハリコフ正面で攻勢を仕掛けてきた。ドイツ軍はドネツ川の戦線を突破し、後方のソ連軍3個歩兵軍を包囲した。ソ連軍はそれを解囲する術がなく、包囲された3個歩兵軍は壊滅するしかなかった。

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しかし無理な反撃をしたドイツ軍の戦線は大きく割かれてソ連軍はドイツ軍背後を突破し、ウクライナ全土へ雪崩れ込む。包囲下に陥ったドイツ軍は一転して窮地に陥った。

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2Turn(1943年9-10月)

ハリコフを奪回したソ連軍はさらに進撃を続ける。しかし防衛体制を立て直したドイツ軍は強固な防衛ラインを構築し、ソ連軍による西方への突破を許さない。

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なお西部戦線では、このTurn、イタリアが降伏した。

3Turn(1943年11-12月)

Z_Marker_STAVKA4ここでソ連側は重大なミスに気付いた。STAVKAマーカーの右上の数字を登場Turnと勘違いしてしまい、本来は使えるはずのSTAVKAマーカーを使っていなかったことに気が付いた。悔やむに悔やみきれない。これがあれば、第1Turnに包囲殲滅された歩兵3個軍は助けられたのみならず、突出したドイツ軍を包囲殲滅できたはずである。本当に惜しいことをした。

5Turn(1944年3-4月)

ここまで今一つ前進が振るわなかったソ連軍だが、スミー西方でドイツ軍3個軍団を包囲した。ちなみにこのTurnから枢軸軍プレイヤー1名が抜けたので、枢軸軍全部をプレイヤー1人で担当することとなった。

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イタリア半島では連合軍が激戦地として知られているモンテカッシノを占領。ローマをその指呼に捉えた。

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6Turn(1944年5-6月)

西側連合軍は史実通りノルマンディに上陸した。上陸は大成功で、海岸地帯を守っていたドイツ軍はまとめて消滅してしまう。海岸部にフルスタックするとまとめて壊滅する危険があることに枢軸軍プレイヤーが気づいた時には、既に手遅れだった。

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東部戦線では、ソ連軍がドニエプル川を渡河し、ドニエプル川西岸地区でドイツ・ルーマニア連合軍計11個軍団を包囲した。これまでにない大包囲で意気上がるソ連軍であった。

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つづく




Fortress Europa Game Journal 70-第三帝国の盛衰
図解 第二次世界大戦1939.9~1943.9 独ソ戦全史: 「史上最大の地上戦」の実像 戦略・戦術分析 Sicily 1943 遠すぎた橋

250226_GJ94鎮西軍紀

Game Journal 94-鎮西軍紀
「鎮西軍紀」は、太閤秀吉による九州平定戦を「戦国群雄伝システム」で再現します。カウンターシート2枚で九州での大規模戦闘をダイナミックに再現します。
シナリオは4本で、島津軍が秀吉軍を打ち破った戸次川の戦いや、秀吉による九州平定全体を扱うキャンペーンシナリオ等が含まれています。

今回は「鎮西軍紀」のコンポーネントを紹介する動画を作成しました。




Game Journal 94-鎮西軍紀 Game Journal 93-パンツァーカイル Game Journal 92-孤高の曹操 Game Journal 91-クロニクル・オブ・ジャパン
Game Journal 90-モントゴメリーの憂鬱、孤高のアルンヘム Game Journal 89-フランス革命 Game Journal 88-激闘ロンメル・マッカーサー Game Journal 87-新信長風雲録
Game Journal 86-戦略三国志英雄伝説 Game Journal 85-義経戦記:源平奥州六大合戦 Game Journal 84-応仁の乱 激闘関ヶ原

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Napoleon's Last Gamble(以下、本作)は、2016年に米国OSG社から出版されたSLGです。テーマは1815年のワーテルロー会戦。プレイヤーはナポレオンやウェリトン、ブリュッヒャー、グルーシーらの将となり、自軍の勝利を目指して戦います。

本作は、The Library of Napoleonic Battles(LNB)と呼ばれるシリーズゲームの1作で、1Hex=480m、1Turn=1時間(夜間は3~6時間)を表し、1ユニットは連隊~師団(一部砲兵中隊あり)とリーダー1名を表します。数多くのシリーズ作品が発表されており、有名なライプツィヒ会戦やモスクワ遠征、アウステルリッツ会戦やフランス国内戦役など、様々な状況がゲーム化されています。

システムは移動・戦闘の繰り返しで、強ZOC、Must Attackという典型的なNAWシステムです。特徴的な部分としては指揮官のルールがあり、軍司令官の指揮下にない部隊やユニットはダイスチェックで統率値以下の出目を出さないと移動できません。統率値は2~4ぐらいなので、大雑把にチェック成功率は半々ぐらいです。とはいっても軍司令官の能力によって統率可能な軍団数が異なっていて、ナポレオンやウェリントンは4個軍団統率可能なのに対し、プロイセン軍の主将であるブリュッヒャーは統率値が2に過ぎません。ちなみにプロイセン軍の全兵力は4個軍団なので、常に半数の軍団が確実にOut of Commandになります。他には砲兵ルールや騎兵突撃ルールがありますが、左程難しいものではありません。

今回プレイした本作については、いわゆる「百日戦争」と呼ばれるワーテルロー戦役をマルチシナリオで描いた作品です。シナリオは計7本。キャトルブラ、リニー、ワーブル、ワーテルローの戦いを描いたシナリオが各1本と、ワーテルロー本戦の後に撤退するフランス軍とそれに対する追撃戦を描いた「ラ・スーフェルの戦い」。そして2本のキャンペーンシナリオからなります。キャンペーンシナリオは、1815年6月16日~18日の期間を扱っており、ワーテルローの本戦に至る全ての戦いを描いています。

今回プレイしたシナリオは、ワーテルローシナリオとワーブルシナリオを繋げてみたオリジナルシナリオです。このようなシナリオは元々のゲームには含まれていませんでしたが、ワーテルローシナリオとワーブルシナリオの情報を組み合わせることで実現できそうに思われました。今回の参加者は4名で、フランス軍2名(ナポレオン、グルーシー)、連合軍2名(ウェリントン、ブリュッヒャー)です。対戦自体はVASSALによる遠隔対戦としました。筆者はブリュッヒャーを担当します。

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1Turn(1200)

このシナリオは決戦当日の正午から始まります。筆者の担当するワーブル方面では、両軍の接触がまだなく、プロイセン軍3個軍団のうち2個軍団がワーテルロー方面に向けて前進中という状況です。残り1個軍団は南方から近づいて来るグルーシー将軍のフランス軍の攻撃を迎え撃つ布陣です。

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ワーテルロー正面では、フランス軍がウェリントンの率いる英蘭連合軍を攻撃します。戦線右翼からはデルロン中将麾下の第1軍団がパプロットの城館を攻撃してこれを奪取。戦線左翼ではウーグモン城館を守る英軍歩兵師団に対してレイユ中将麾下のフランス第2軍団が包囲攻撃を行い、これを占領しました。

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2Turn(1300)

ワーテルロー方面では、フランス軍がウェリトン軍の中央を突破すべく猛攻を加えています。しかしウェリトン麾下の英蘭連合軍もプロイセン軍の増援を待ちながら懸命に耐えています。そのプロイセン軍2個軍団は懸命にワーテルローへの道を急いでいます。

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3Turn(1400)

ウェリントン軍の左翼からプロイセン軍の先鋒であるビューロー将軍麾下の第4軍団の騎兵部隊が姿を表しました。ウェリントン軍も突出してきたフランス軍に対して反撃を実施。デルロン将軍麾下の3個旅団のフランス軍を包囲攻撃し、これを殲滅しました。

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4Turn(1500)

フランス軍は両翼包囲を諦め中央突破に方針を変更しました。一方でフランス軍右翼からはビューロー麾下のプロイセン第4軍団が本格的に登場してき、さらにツィーテン中将麾下の第1軍団もその後から続きます。

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ワーブル方面では、グルーシー将軍麾下のフランス軍第3軍団、第4軍団はディール川を渡ってリマルに接近してきました。ワーテルロー方面への増援は諦めてワーブル方面で攻勢を仕掛けようとするようです。

5Turn(1600)

グルーシーはリマルに対して総攻撃を行ってきました。リマルでは激しい戦いが行われましたが、プロイセン兵はここを守り切ります。ただ、兵力不足でいつまでリマルを守り続けられるか・・・・。

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感想

今回はここで終了しました。プレイは2日間行われ、プレイ時間は12~13時間です。4.5Turn分進みましたので、1Turnあたりの所要時間は3時間弱・・・。うーん。

プレイ自体はまあ面白かったです。ただ、私の立場はブリュッヒャーだったので、あまりやることはなかったです。今回のシナリオはワーテルローシナリオとワーブルシナリオを無理矢理繋げたものでしたが、やはり原案通りワーテルローシナリオ、ワーブルシナリオで個別にプレイするのが良いかと思いました。ワーテルローシナリオは規模が大きいので時間がかかりますが、長考型プレイヤーを排してプレイすれば、2日間で完遂することは可能ではないかと思います。

ルール的にはNAWシステムがベースなのでやや古い感じがしますが、その分細かい事にはあまり悩まずにプレイできます。ただ隠匿ルールが厄介で、その分プレイ時間を伸ばしている感があります。LOSを判定するのが結構面倒なのです。シンプルにするのなら隠匿ルールそのものをすっぱり無くすか、あるいは逆に隣接Hex以外は見えないようにする、というのが良いかもしれません(砲撃目標になった瞬間に目標を明らかにする等)。うーん、あんまり変わらないかな?

まあ色々書きましたが、ナポレオン戦争の会戦を比較的シンプルなルールでプレイできるという本シリーズは佳作以上のものと評価してよいと思います。

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写真08_Battle_of_Waterloo_1815



ナポレオン戦線従軍記
ナポレオンの戦役(Les Batailles de Napoleon) ナポレオン フーシェ、タレーラン 情念戦争1789-1815 フランス革命 歴史における劇薬 皇帝ナポレオン第1巻

CarrierBattle表紙


Carrier Battle - Philippine Sea(以下、本作)は、2023年に米国Compass Games社から発売されたSLGで、テーマは1944年6月のマリアナ沖海戦だ。

本作については、以前にシナリオ6「The Battle of 19 June」のAARを紹介した。

シナリオ6「1944年6月19日の戦い」【1】
シナリオ6「1944年6月19日の戦い」【2】
シナリオ6「1944年6月19日の戦い」【3】

前回のプレイでは「空母7隻撃沈」というちょっと信じられない大戦果だったので、さすがに現実離れしていると思い、別シナリオをプレイしてみた。そこで選択したのが今回のシナリオだ。

  シナリオ8「Battle of Phillippine Sea

このシナリオは、6月19日~20日の2日間全体を扱うシナリオで、事実上ヒストリカルシナリオでは本作で一番大きなシナリオである。さてさてどうなることか・・・

前回までの展開 --> こちら

その後

Carrier Battle - Philippine Sea 夜に入ると艦載機の大半を失った日本艦隊は西に向けて退避していった。米艦隊も針路を西に転じてこれを追う。

翌6月20日。夜明けになって索敵機を飛ばそうとしたが、ここで待ったが入った。某参謀曰く。

「長官、索敵機を出すのは少し待ってください」
「なぜだ?」
「ルールを読むと、索敵機に発見された日本艦隊は、燃料補給を打ち切ってすぐに逃げる、とあります」
「だから、なんだ?」
「索敵機を出すのは止めましょう」
「ダミーはもう皆無なのだから、敵空母の位置は明白です」
「十分に距離を詰めてから索敵機を飛ばして敵空母の位置を確認し」
「敵を逃がさない距離から攻撃隊を放つのが良いと思いますが」
「下手に索敵して日本艦隊が逃げ出してしまえば、元も子もありません」
「よしわかった。索敵機の発進マテ」


米艦隊は全力で日本艦隊を追いかけ、午後に入って距離200海里に日本空母を捉えた。

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しかし燃料補給を終えた日本空母は全力で西へ向けて退避していく。米索敵機が日本空母を発見したのが1730。最早今から発進しても夜までに日本空母を捕捉できる可能性は小さい。しかも日本空母は全力で逃げている。さらに言えば、風向きの関係で攻撃隊の発進は最終ラウンドになってしまう。帰還が夜になるのが危ぶまれたが、私は決断した。

「ただちに攻撃隊を発進せよ」


USN_AS6各空母から準備済みの攻撃隊が発進していく。戦爆連合240機からなる攻撃隊が2つのグループに分かれて日本空母を追う。距離は約230海里。日没が迫っているので、巡航速度を260ノットに上げて目標に向かう。燃費が悪化するので帰還が危ぶまれたが、とにかく目標海域に急ぐ。

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IJN_CV_Shokaku日没直前に攻撃隊は日本艦隊上空に達した。燃料タンクは半分以上使い切っているが、とにかく攻撃を開始する。目標となった日本艦隊は、正規空母「翔鶴」と改造空母「隼鷹」「飛鷹」の3隻、護衛部隊は戦艦「金剛」と巡洋艦戦隊である。元々この部隊には正規空母「大鳳」がいたのだが、「大鳳」は午前中の燃料補給時に米潜水艦の雷撃を受けて魚雷数本が命中、轟沈してしまっていた。

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攻撃隊は日本の戦闘機の妨害を突破し、空母艦隊に殺到する。攻撃目標は「翔鶴」と「飛鷹」の2隻。最初の攻撃では両艦共数発の命中弾を受けて損傷しただけだが、機関部は無事で全力戦闘が可能だった。
しかし続いて米側の攻撃第2陣が日本側の不意を突く形で日本艦隊上空に殺到してきた。この攻撃隊は損傷してやや対空火力の弱まった「翔鶴」「飛鷹」に攻撃を集中する。今回の攻撃では多数の魚雷・爆弾が両方の空母に命中し、両艦共轟沈してしまう。米側の損害は約20機である。

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さて、問題はこれからである。攻撃自体は終わったが、攻撃隊は空母に帰還しなければならない。帰還は完全に夜になりそうだ。例の「サーチライトルール」のお世話になるかもしれない。

攻撃隊が空母上空に戻ってきたのは2130頃であった。各空母艦上ではサーチライトを点灯し、照明弾を撃ち上げて味方機を迎え入れる。付近に潜んでいる日本潜水艦の目標になる危険性があったが(確率10%)、幸い攻撃を受けることはなかった。着艦に失敗したり、不時着水等で約40機が失われたが、残った機体は無事空母に着艦できた。
ちなみに本作戦全体を通じて失われた空母艦載機の総数は約170機。一方で撃墜した日本機は400機以上である。

結果

今回の最終結果は以下の通りである。

日本側の損害

損失:空母「大鳳」「翔鶴」「飛鷹」「千歳」「千代田」、巡洋艦2個戦隊、駆逐艦2個戦隊
大破:空母「瑞鳳」
中破:空母「龍鳳」
航空機:55ポイント(440機)

米軍の損害

沈没:潜水艦「フィンバック」
小破:戦艦「アイオワ」
航空機:14ポイント(168機)


流石に前回の「空母7隻撃沈」に比べると戦果がやや小ぶりになったが、それでも「空母5隻撃沈、2隻撃破」というのは史実に比べると十分大戦果と言える。ちなみに勝利条件に当てはめるとVPは113点。「Overwhelming US Victory(米軍の大勝利)」という結果になった。

感想

勝利条件については日本空母を沈めた隻数に依存するので、チャンスがあれば攻撃した方が良い。今回はまさに日没直前の攻撃となり、史実に似た結果となった。幸い攻撃に成功したので勝利レベルを上げることができたが、もし最後の航空攻撃がなかったら、勝利レベルが1~2段階ぐらい低下していた可能性が高い。

今回は全部のルールを入れたいわば本作の最終版的なシナリオである。風向きルールや基地航空隊の増強ルールがあるので、シナリオ6に比べるとやや「手強い」シナリオとなっている。まあ対応を間違えなければ日本機の攻撃から空母を守り切ることは十分可能だ。運が悪ければ防空ラインを突破される可能性もあるが、空母が誘爆を起こしたり火災を起こさなければ、大きな損害を被ることはないだろう。一番怖いのは爆装した機体が飛行甲板に並んでいる時に爆撃されることだが、レーダー警戒によって攻撃を受けるまでの時差があるので、その間に対応可能だ。

ゲーム自体はとても面白い。テーマの関係上プレイヤーが負ける可能性はあまりないが、気を抜くとやられるという緊張感は心地よい。また日本機の攻撃の合間を縫って攻撃隊を発進させて日本空母を首尾よく攻撃できたら気持ちいいものだ。そういえば姉妹作品のCarrierもまだ未プレイだったので、機会を見つけてプレイしてみたいと思う。

Task_Force_38_off_the_coast_of_Japan_1945


Carrier Battle - Philippine Sea 海空戦南太平洋1942
マリアナ沖海戦-母艦航空隊の記録 波まくらいくたびぞ アメリカ海兵隊の太平洋上陸作戦(上) New Guinea and the Marianas: March 1944-august 1944



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