Oceans of Fire(以下、本作)は、2023年に米国Compass Games社から発売されたSLGである。
テーマは太平洋戦争で、3年8月に及ぶ大戦争を、1Turn=半年のスケールで再現する。
マップには太平洋戦争が戦われた全域がエリア方式で描かれており、西はインド大陸全域、南はオーストラリア大陸全域、東はハワイ諸島を含んでいる。満州やシベリア方面も含まれているが、中国大陸は沿岸地域のみがエリア化されており、中国奥地はChina-Burma Boxという形で抽象的に表現されている。
1ユニットは、地上部隊は旅団~師団規模(一部例外あり)、航空機はポイント制(1ポイント=20~50機程度)、艦船は主力艦1~2隻と随伴艦艇を含んでいる。
システムは1Turnが4ラウンドに分かれており、それぞれのラウンドで各陣営が1インパルスずつ実施する。ここで陣営という言葉が出てきたが、このゲームでは日本、米国、英連邦という3つの陣営が登場し、それぞれにプレイヤーが担当する。従って基本的には3人ゲームだが、場合によっては連合軍を1人のプレイヤーが担当するとか、日本軍を2人のプレイヤーが個別に担当するとかして、人数調整は可能である。
各インパルスで担当陣営はアクションポイント(AP)を受け取る。ユニットを活性化する度にAPを消費し、作戦を遂行していく。非手番プレイヤーは、条件が許せば迎撃を実施でき、敵味方が同じエリア/スペースに位置していたら戦闘が発生する。
戦闘には、航空機同士の空中戦闘から空対艦攻撃、水上戦闘、潜水艦攻撃、地上戦闘等、様々な種類が登場し、それぞれ異なったルールで解決される。このゲームは戦略級ゲームに関わらず空母と艦載機が別ユニット化されている。従って戦闘はかなり細かいレベルまで再現されている。上級ルールを使えば、開戦劈頭における零戦の優位性も再現されている。
今回、その中から「日本の進撃」(Japanese Expansion Scenario)をプレイしてみることにした。このシナリオは開戦から前半3Turn分をプレイするシナリオである。「半年から1年間は大いに暴れまわって見せましょう」と山本五十六が言ったとか言わなかったとか。このシナリオは全3Turnなので、開戦から1年半の期間を扱うことになる。果たして山本五十六は史実以上に「暴れまわる」ことができるか?
今回は、VASSALを使ったソロプレイにチャレンジしてみた。また上級ルールや選択ルールは今回は一切使用しなかった。
1Turn
このゲーム、一見複雑な手順に見えるが、よく見るとそれほど複雑ではない。Turnの開始時に各プレイヤーは、コマンドポイント(CP)を受け取る。受け取ったCPは4回のインパルスに分割され、それぞれのインパルスで使用できる。1CP=12APの比率でAPに変換され、APを使ってユニットを活性化させることになる。第1ラウンド
日本軍インパルス
第1Turn特別ルールで日本軍は真珠湾攻撃を実施できる。真珠湾攻撃を実施するためには、石油備蓄ポイントを1ポイント消費する必要がある。真珠湾攻撃に参加するユニットは、南雲機動部隊に所属する5ユニット(空母3ユニット、戦艦、巡洋艦各1ユニット)で、AP消費不要で真珠湾攻撃を実施できる。第1Turn特別ルールで第1ラウンドの戦闘は色々と日本軍に有利な点があるので、真珠湾攻撃はやった方が良いと思う。南雲機動部隊をHawaiian Islandsエリアに移動し、OAHUスペースに戦闘マーカーを配置する。
戦闘は空中戦闘から解決する。日本軍はCVAが合計14ポイント、連合軍はLBA8ポイント。日本軍はダイス14回振る。DRMが第1Turnの特別ルールで+1を得る。もし上級ルールを採用していた場合、零戦の性能優位でさらに+1のDRMを得るが、今回は上級ルール不採用なのでDRMは+1になる。
連合軍は8LBAだが、第1Turn特別ルールによりダイスは4回しか振れない。
日本軍は4ポイントを撃墜し、4ポイントをアボートさせた。連合軍は1CVAをアボートさせたのみであった。
続いて航空攻撃を実施する。真珠湾には戦艦4ユニット、重巡、軽巡各1ユニットが在泊している。日本軍の航空戦力は13ポイントなので、まずは戦艦4ユニットに集中攻撃を加えることにした。最強のW.Virg/Marylandに4CVAを割り当て、残り3ユニットには3CVAを割り当てる。
米戦艦の対空射撃。通常は自身の4火力とオアフ基地の4火力を加えて8火力になるが、シナリオ特別ルールで半減されて4火力になる。
対艦攻撃の結果は、W.Virg/Marylandが計15Hit食らってW.Virg沈没でMarylandが6Hit。Nevada/Oklahomaは22Hit!食らって2隻揃って轟沈。Tenn/Californiaは15HitでTenn沈没、Californiaが6Hit。Penn/Arizonaは22Hitで2隻揃って轟沈してしまう。実際、真珠湾に在泊中の戦艦8隻のうち6隻が沈没し、残ったMarylandとCaliforniaはそれぞれ6Hit食らって大破した。米太平洋艦隊の主力は、僅か半日の攻撃で全滅してしまう。キンメル提督大ショック。源田中佐鼻高々であった。
攻撃を終えた南雲機動部隊の主力は日本本土に帰還。ただし飛龍/蒼龍と重巡1ユニットは、グアム島上陸作戦のためにMarianasエリアに留まる。
その後、ビスマルク海方面でラバウルとラエを占領。グアム島にも上陸して1個旅団が上陸してこれを占領した。
マレー方面では、サイゴンを発進した陸攻隊がシンガポールを攻撃。在泊中の戦艦Pr.Wales/Repulseに爆弾を命中させてこれに4Hitを与えた。
さらに海南島を出撃した山下兵団は2個師団の兵員を満載した輸送船を戦艦Haruna/Kongo、重巡戦隊が護衛し、一路マレー半島を目指した。日本船団の接近を察知した英軍は、シンガポールに在泊中であった戦艦Pr.Wales/Repulseに出撃を命じた。それに対して日本軍もサイゴンの陸攻隊を英戦艦攻撃の為に出撃させる。しかし英戦艦はサイゴン南方で日本機の攻撃を受け、戦艦Pr.Walesが撃沈されてしまう。残ったRepulseは日本艦隊と交戦するが、日本艦隊の集中砲火を浴びて結局は撃沈されてしまう。
マレーに上陸した山下兵団は英連邦軍守備隊と交戦する。4-1 +2で出目は9、DRM適用後は11で結果はL/H(R)。英軍1個師団を撃破し、残りはシンガポールへ向けて壊走していく。
日本軍最後の攻撃はフィリピンに対して実施された。ルソン島に2個師団が上陸し、レイテ/サマールには1個旅団が上陸した。しかしいずれも連合軍の激しい抵抗を浴びて領地を占領することはできなかった。
米軍インパルス
米軍はオーストラリア本土とポートモレスピーの守りを固めるために一部の部隊を移動させた。その後、空母Lex/Enterpriseをニューカレドニアに移動させ、日本軍の動きに備える。英連邦軍インパルス
英連邦軍も特にやることがないので、1個師団をASSAMからBURMAに前進させ、BRUMAの守りを固める。つづく