もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:世界の軍隊 > 旧日本陸軍・海軍

240527_空母瑞鶴

空母瑞鶴戦史-空母対空母

森史郎 光人社NF文庫

空母瑞鶴を主役とした長編シリーズの第4巻である。本書では南太平洋海戦をメインテーマに日米空母の激突とその中での人々の営みを詳細に描いている。本書に登場する主な人物は、瑞鶴艦爆隊長の高橋定大尉、翔鶴艦攻隊長村田重治少佐、第3艦隊の先任参謀高田利種大佐、翔鶴艦長有馬正文大佐、瑞鶴艦長野元為輝大佐らである。特に本書では、高田大佐以下の第3艦隊参謀陣、長井作戦参謀、内藤航空参謀、中島情報参謀、末国戦務参謀らの活躍と苦悩にページを割いている。これまで源田実という個人の頭脳とイニシアティブに支配されてきた空母部隊が、源田の手を離れて組織として運用されていく様を見るのは興味深い。
読み物としても面白く、太平洋戦史に興味のある向きにはご一読をお奨めしたい著作である。

お奨め度★★★★


ソロモン海の戦闘旗 空母瑞鶴戦史[ソロモン攻防篇] (光人社NF文庫)
空母対空母 空母瑞鶴戦史[南太平洋海戦篇] (光人社NF文庫)
ラバウル航空撃滅戦 (【空母瑞鶴戦史】)




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240718_歴史群像

歴史群像2024年8月号

学研

今回面白かったのは、日本陸軍の兵站に関する記事。日露戦争で兵站を重視した日本陸軍が昭和期になぜ兵站軽視に転じていったのか、その顛末について述べている。あとはPV-1の記事とかハルトマンの記事とかあったけど、ちょっと読む所が少なかったなぁ。中部ソロモン戦の記事は、あまり知られていないので、そういう人たちにとっては面白かったかも。

お奨め度★★★

歴史群像 2024年8月号[雑誌]
歴史群像 2024年6月号-日本海海戦/第4次中東戦争
歴史群像 2024年4月号-戦艦武蔵建造
歴史群像 2024年2月号-中東戦争航空戦1948-73
歴史群像 2023年12月号-日本機動部隊
歴史群像 2023年10月号-特集:ドイツ空軍の東部戦線
歴史群像2023年8月号-マリアナ沖海戦
歴史群像 2023年6月号-日本海軍駆逐艦全史
歴史群像 2023年4月号-海上護衛戦
歴史群像 2023年2月号-日本巡洋艦
歴史群像 2022年12月号-比島攻略作戦
歴史群像 2022年10月号-NATO軍vsワルシャワ条約軍


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240429_空母瑞鶴戦史

空母瑞鶴戦史-ソロモン海の戦闘旗

森史郎 光人社NF文庫


空母瑞鶴を主役とした長編シリーズの第3巻である。本書では、ミッドウェー海戦の敗戦直後から第2次ソロモン海戦終了直後までを扱う。ミッドウェーで大敗を喫した日本艦隊は空母を中心とした第3艦隊を編成。ミッドウェーの仇討を決意する。人員が一新された第3艦隊。しかし司令長官と参謀長はミッドウェーの「負け組」である南雲中将と草鹿少将が残留。そのような中にあって新戦策を策定して米機動部隊との再戦を期する第3艦隊であったが・・・。
とまあこんな感じで空母瑞鶴を中心に描く太平洋戦記である。本書の主人公は瑞鶴の乗組員と母艦搭乗員達。彼らの奮闘と苦悩が本書の主なテーマである。主役が日本側なので日本側から見た視点が中心となるが、戦闘場面については両軍の資料を参照しているため、戦果・損害については概ね正確とみて良い。本書の白眉は、日本側の記録を丹念に調べている点で、ミッドウェー海戦や第2次ソロモン海戦の戦訓を日本海軍がどのように読み取ったかが興味深い。
読み物としても面白く、太平洋戦史に興味のある向きにはご一読をお奨めしたい著作である。

お奨め度★★★★


ソロモン海の戦闘旗 空母瑞鶴戦史[ソロモン攻防篇] (光人社NF文庫)
空母対空母 空母瑞鶴戦史[南太平洋海戦篇] (光人社NF文庫)
ラバウル航空撃滅戦 (【空母瑞鶴戦史】)




240430_ミリクラ

Military Classics Vol.85

イカロス出版

特集は「蒼龍・飛龍・雲龍」。何度か取り上げられているとは思うが、日本海軍の中型空母シリーズである。内容的には特に目新しい所はなく、飛行長の実務内容について詳しく紹介している記事が面白かった。第2特集のM3スチュアートは、本誌には珍しい連合軍側の特集記事。これは今まで取り上げられる機会がなかったアイテムなので、興味深かった。できれば本誌でも連合軍側についてもう少し取り上げる機会を増やしてほしいと思うのだが、ムリだろうなぁ

お奨め度★★★


MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス)Vol.85(2024年春号)-特集:蒼龍・飛龍・雲龍
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.84(2024冬号)-特集:IV号戦車
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.83(2023年秋号)-特集:三式戦闘機/五式戦闘機
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.82(2023年夏号)-特集:丙型・丁型海防艦
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.81(2023年春号)-特集:ドイツ突撃砲・突撃戦車

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240301_日本海軍航空史1

日本海軍航空史(1)用兵編

日本海軍航空史編纂委員会 時事通信社

旧海軍の航空関係者が、旧海軍航空の実態について記した著作である。第1巻用兵編では、主に海軍航空の発展と用兵思想、術力について述べられている。3部構成で、第1部「海軍航空の歩み」、第2部「海軍航空用兵思想の変遷」、第3部「航空術力の錬成」となっている。1冊で1000ページ近い大作で、海軍航空関係者の思いがこもった1冊と言える。海軍航空者自身の回想なのでやや身内に甘い感は否めない。特に特攻作戦については「特攻を悪く言うな」という思いがヒシヒシと伝わってくる内容であった。本書の主張をどう考えるかは読者次第だが、海軍航空関係者が海軍や海軍航空についてどのような考えを持っていたかを知るには良書である。また当事者自らの回想という意味では史料性も高い1作だ。


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