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書籍紹介「世界の傑作機No.182 ホーカーハリケーン」
世界の傑作機No.182 ホーカーハリケーン
文林堂
ホーカーハリケーンは評価の難しい機体である。明らかに旧式な設計なので、零戦やメッサー、スピットファイアよりも劣る機体と見なされることは間違いないのだが、ではどの程度劣っているのか。P-40やP-39といった機体との比較ではどうなるのか。あるいはP-36、バッファローといった機体と比べた場合は・・・。
本書はそのハリケーンを扱った著作だ。本書を読んでも上記の問いに対する答えは出てこないが、考えるきっかけにはなるかもしれない。少なくとも頑丈で火力に優れたハリケーンは、「必要な時に必要な場所で必要な数が得られた」稀有な戦闘機であったことが本書を読めば理解できる。決してハリケーンは単なる駄作機ではなく、英国にとって「必要不可欠な」機体であったことは間違いない。
なお本書についてだが、機体解説や戦歴等、読む所は結構多く、さらに写真も豊富で見ているだけでも楽しくなるような作品であった。価格がやや高めなのが難点だが、これは同シリーズ全てに言えることで、本作だけの問題ではない。ハリケーンという戦闘機に興味があれば、一読してみる価値はあるだろう。
お奨め度★★★
書籍紹介「世界の艦船2020年9月号増刊:傑作軍艦アーカイブ10:巡洋戦艦「フッド」「リパルス」「リナウン」」
世界の艦船2020年9月号増刊:傑作軍艦アーカイブ10:巡洋戦艦「フッド」「リパルス」「リナウン」
サブタイトル通り英海軍がWW2で運用した3隻の巡洋戦艦「フッド」「リパルス」「リナウン」について、写真及び記事で紹介した著作である。写真は兎に角(1枚ぐらい彩色した写真が欲しかったが・・・)、記事の方は技術的特徴や戦歴等、一通りは押さえてあった。ただ戦歴については、代表的な事例に留まっており、例えば「リナウン」がイタリア戦艦と戦った場面とか、「フッド」のメルス・エル・ケビール海戦での活躍が紹介されていないなど、やや不満が残る部分もあった。
お奨め度★★★
書籍紹介「The Royal Navy and the Mediterranean: Vol.I」
The Royal Navy and the Mediterranean: Vol.I
David Brown Routledge
地中海における英国海軍の戦いを描いた作品で、英海軍の第1海軍卿(The First Sea Load)が監修しているという。ボリュームの割に高価(約8,000円)という印象は拭えない。1939年から1940年10月までの地中海の戦いを描いており、時期的にはタラント空襲の直前までを扱っている。巻末には地中海方面での戦いに参加した英仏伊海軍の戦闘序列が記載されており、その他にも当時の英海軍における書簡等が多数掲載されている。そういった意味では資料的価値は高い。
先にも書いた通りボリュームの割に高価なので、万人にはお奨めできないが、WW2地中海の戦いに興味がある向きにはある程度は推奨できる。意外とアッサリ読める点も良い。
お奨め度★★★
書籍紹介「イギリス海軍の護衛空母」
イギリス海軍の護衛空母
瀬名尭彦 光人社NF文庫
米国の護衛空母については、サマール島沖海戦での活躍などもあって我が国でも紹介されることが多い。しかし英国の護衛空母については、日本ではマイナーの域を出ない。本書はそんな英空母に焦点を当てて、個艦別に技術的特徴や戦歴について紹介している。文章は平坦でやや面白みに欠けるが、普段あまり知ることがない英護衛空母に関する記事なので、それなりに楽しく読める。護衛空母以外にもMAC船やCAMシップについても紹介されており、WW2における英補助空母総登場といった著作だ。お奨め度★★★