もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:世界の軍隊 > ロシア・ソ連軍

3
210505_ソヴィエト連邦の超兵器

ソヴィエト連邦の超兵器-戦略兵器編

多田将 ホビージャパン

表紙は結構ふざけているが、内容は極めて真面目にソ連の戦略兵器について解説している。
取り上げられているのは、各種弾道弾、潜水艦、水上艦艇である。長距離爆撃機などは「戦術兵器編」で扱う予定なのか、本書では取り除かれている。
本書では、上記戦略兵器について、主に冷戦時代における発展経緯について紹介している。当時は不明であったロシア側の設計名称なども現在では判明しており、逆に我々にとって馴染の深いNATOコードネームは「刺身のつま」程度の扱い。R-36M弾道弾が「SS-18」のことだというのは、Wikipediaで確認しないとわかりませんでした。
本書では我々が良く知っている冷戦時代のソ連兵器についての解説書であるが、当時はあまり知られていなかったこと(例えばソ連が核出力100Mtという巨大な核魚雷を開発し、敵国の港湾攻撃を企図していたことなど)も紹介されており興味深かった。
次に予定されている戦術兵器編も楽しみである。

お奨め度★★★

イメージ 1

恐ロシア航空機列伝

ユーリィ・イズムィコ パンダ・パブリッシング

主に旧ソ連時代にロシアが開発しながらも実用化されなかった様々な軍用機を紹介した著作である。数々の空母艦載機や3つのエンジンをトライアングル状に配置した巨大ヘリコプター、アメリカ本土を目指した超長距離爆撃機、多種多様なVTOL機などだ。中でも目を引いたのは数多くの「エクラノプラン」達で、これは地面効果を利用して通常の航空機よりも遙かに巨大でペイロードの大きい機体のことだ。カスピ海等国内外に数多くの内海を持つロシアならではの機体といえよう。
これら幻の機体を見ていると、あるものはいかにもSFチックなスタイルのものから、あるものは怪獣映画から出てきたような異様なスタイルのもの、あるいは洗練されたスタイルの機体など、様々である。これらの機体からは当時のソ連航空機産業がはらんでいた熱気のようなものを感じることができる。
旧東側の機体に興味のある向きや20世紀後半の航空機発展史に興味のある向きにはお奨めしたい作品である。

お奨め度★★★

イメージ 1

ソ連/ロシア艦船研究の第1人者として著名な故アンドレイ・V・ポルトフ氏。ポルトフ氏が「世界の艦船」誌に掲載した記事を中心にソ連/ロシア海軍が建造した空母型航空機搭載艦の歴史を記したものである。収録されているのは、「空母」というにはやや弱いモスクワ級ヘリコプター母艦から、キエフ級軽空母、アドミラル・クズネツォフ級空母の3種類。特にキエフ級については個艦別の違いや個々の戦歴など、気合いの入った記事が掲載されている。
今まであまり知られていなかった旧ソ連製空母の実態や政治局と海軍との軋轢など、興味深い記事が掲載されているのでお奨めである。

お奨め度★★★

イメージ 1

世界の傑作機No.166 ツポレフTu-128フィドラー

文林堂

果たしてこの機体が「傑作機」に相当するかどうかは甚だ疑問だが、今回の「世傑」は旧ソ連の大型戦闘機Tu-128である。戦闘機というよりは超音速中型爆撃機といった方が相応しい機体寸法。機体解説を読めば2.5Gを超える旋回はできなかったという。機体強度は旅客機並み。とてもドグファイトなんて無理。空戦ゲームで登場してきたら、余程の事がない限り「カモ」だろう。否、そもそも空戦ゲームに登場するかどうかも怪しい。
本機の最大の価値はその搭載ミサイルで、本機が搭載したR-4(AA-5 Ash)はソ連製ミサイルで初めて正面からの攻撃を可能とした空対空ミサイルだ。性能的には西側のミサイルには劣るとはいえ、他機種にない能力というのは貴重である。また本機の長大な後続力は、遠大な国境線を守らなければならないソ連防空軍にとっては、相応に貴重な存在であっただろう。
無論、本機の性能は後に登場するMiG-25、MiG-31等で十分代替が可能であり、その結果本機の配備は少数にとどまった。それでも世界に類をみない大型ジェット迎撃機Tu-128。本機が他の機体にはない独特の魅力を持っていることは否定できないだろう。

お奨め度★★★

イメージ 1

世界の傑作機No.162 ヤコブレフYak-38"フォージャー"

文林堂

今回の"世傑"は、冷戦時代、米機動部隊を向こうに回して奮闘したYak-38"フォージャー"。冷戦時代を扱った仮想戦ゲームでは、海を舞台とするゲームでキエフ級空母と並んで「ラスボス」的な役割を担っていた「名機」である。しかし実際の所、本機の性能は冷戦時代から疑問視されており、「鳥なき里の蝙蝠」などと言われていた。
本書はYak-38の開発から運用、そして後継機であるYak-141"フリースタイル"まで技術的側面や運用面から詳しく追っている。本書で嬉しいのはYak-38の様々なカラー写真で、キエフ級空母の飛行甲板上や格納内での写真は一見の価値ありだ。
全般として読む所はやや少なく、また機体の運用史も地味な感は否めない。しかしこれは本書の罪というよりは、Yak-38自体の「つまらなさ」を反映しているだけかもしれない。

お奨め度★★★

↑このページのトップヘ