ノモンハン航空戦全史
源田孝監訳 扶養書房出版

ノモンハン航空戦といえば、交戦国である日ソ両方の情報が不足しており、実際どちらが勝ったのか判然としない。これまでは日本側の感覚で「陸では負けたが空では勝った」という見方が強かった。
本書は、主にソ連側の資料からノモンハン航空戦についての流れを追った著作である。本書の特徴は日ソ両軍の資料を比較検証していることで、これまでどちらか一方の視点でのみ描かれることの多かったノモンハン航空戦が、初めて双方の資料に基づき比較検証されたことになる。本書を読めばノモンハン航空戦で彼我の優劣はどのように変化していったのか、あるいは航空戦における真の勝者はどちらなのかが理解できよう。
また本書は数値面での資料性も高く、両軍の報じた戦果と実際の損失が機種別、期間別に詳しく記されている。巻末の監訳者による解説文も一読の価値あり。
ノモンハン航空戦を研究する者にとっては必読書と言えるだろう。
お奨め度★★★★







