新・貧乏はお金持ち
橘玲 プレジデント社
本書を読んで、私はお金や働き方に対する考え方を根本から揺さぶられた。これまで「真面目に働いていれば生活は安定する」と信じてきたが、著者はそれを幻想だと喝破する。雇用という仕組みが人を守ってきた時代はすでに終わり、もはや勤勉さだけでは豊かになれないという現実を突きつけてくる。
印象的だったのは、橘氏が「制度を知らないことこそが最大の貧困だ」と語るくだりである。税金や社会保険の仕組み、法人化による節税効果、フリーランスやマイクロ法人として生きる選択肢――それらは一見専門的で難しそうに見えるが、実際には誰にでも開かれた「自由への扉」なのだという。
私はこの本を読みながら、「貧乏」とは単にお金がない状態ではなく、社会の仕組みを理解せずに流される生き方そのものなのだと感じた。反対に「お金持ち」とは、資産額の多さよりも、自分の時間と選択を自分で決められる人のことを指すのだろう。橘氏の語る「雇われない生き方」は、決して無責任な自由ではなく、リスクを理解したうえで自らルールを選ぶ知的な独立宣言である。
私自身、思わぬ長期入院によって時間の大切さを痛感し、「これまで時間に追われて生きていたのがいかに愚かだったか」と気づかされた経験がある。その意味で、筆者の主張には深く共感できた。自分自身の働き方を見つめ直し、生き方を選びなおしたことは、改めて正解だったと思う。
この本は、「お金」や「仕事」をめぐる常識を疑い、人生を再設計したいと願うすべての人にとって、指針となる一冊である。
お奨め度★★★★















