もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 太平洋戦争

240730_AdmiralsWar紹介

「アドミラルズ・ウォー」は、2024年に日本のBonsai Gamesから出版されたSLGです。テーマは1939~44年の第2次世界大戦で、第2次世界大戦における海上の戦いを全世界規模で再現しています。

今回「アドミラルズ・ウォー」のコンポーネントを紹介する動画を作成しました。


OOF-front-cover


Oceans of Fire(以下、本作)は、2023年に米国Compass Games社から発売されたSLGである。
テーマは太平洋戦争で、3年8月に及ぶ大戦争を、1Turn=半年のスケールで再現する。
マップには太平洋戦争が戦われた全域がエリア方式で描かれており、西はインド大陸全域、南はオーストラリア大陸全域、東はハワイ諸島を含んでいる。満州やシベリア方面も含まれているが、中国大陸は沿岸地域のみがエリア化されており、中国奥地はChina-Burma Boxという形で抽象的に表現されている。
1ユニットは、地上部隊は旅団~師団規模(一部例外あり)、航空機はポイント制(1ポイント=20~50機程度)、艦船は主力艦1~2隻と随伴艦艇を含んでいる。

今回、その中から「日本の進撃」(Japanese Expansion Scenario)をプレイしてみることにした。このシナリオは開戦から前半3Turn分をプレイするシナリオである。「半年から1年間は大いに暴れまわって見せましょう」と山本五十六が言ったとか言わなかったとか。山本五十六は史実以上に「暴れまわる」ことができるか?

今回は、VASSALを使ったソロプレイにチャレンジしてみた。また上級ルールや選択ルールは今回は一切使用しなかった。

前回までの展開は --> こちら

3Turn

第1ラウンド

現時点での日本のVPは24VPである。シナリオに勝利するためには、合計27VP以上確保しなければならない。そこで日本が目を向けたのはフィジーである。ここを奪えば、米豪連絡線が遮断できるので2VPを確保できる。日本軍は他に西部ニューギニアで1VPをほぼ確保できる目途が立っていたので、フィジー占領で勝利条件はクリアだ。

FS作戦発動

南太平洋海戦を生き残った空母群は、計6隻の空母(うち3隻は軽空母)を主力とする進攻部隊を編制し、フィジー沖に姿を現した。上陸部隊は2個師団で、日本陸軍最強の第48師団と第41師団である。

米軍もこの侵攻を迎え撃つべく持てる全戦力を投入した。投入された戦艦は新旧合わせて7隻に及び、日本側が用意した高速戦艦4隻を数の上では上回った。空母を持たない米艦隊であったが、戦艦兵力の優越でこれを覆すことができる筈だった。

写真19


しかし・・・

海戦の結果はあまりに一方的であった。
空母を持たない米艦隊は一方的に日本空母機に叩かれたのである。米軍も基地航空兵力を持っていたが、基地航空兵力では海上戦闘の役には立たなかった。自由に動き回れる空母に対し、基地機の限られた攻撃力ではそれを捕捉することはできなかったのである。

米艦隊の損害は恐るべきもので、戦艦5隻、その他多数を失った。空母を持たない艦隊の惨めさを思い知らされた形となった。日本軍も数隻の重巡を失ったものの、戦艦の沈没は皆無で、「比叡」「榛名」が中小破したのみ。このフィジー沖海戦は、南太平洋海戦に並んで米海軍の大敗北となった。

写真20


教訓:海戦において空母の力は恐るべきものがあり、対空砲火だけでそれに対抗するのは難しい。強力な戦艦であっても航空攻撃で簡単に沈むので、空母戦力で劣勢な場合は海戦を避けるのが無難である。

日本軍はビルマ戦線でも攻勢に出た。4個師団でビルマ領内に殺到したのである。ビルマを守るのはオーストラリア第7師団を始めとする約3個師団の英連邦軍であった。しかし彼らはビルマ全土に要塞を築いて日本軍に立ち向かい、その攻撃を押しとどめていた。

写真21


英連邦軍は直ちにビルマに増援部隊を送り込み、ビルマ戦線の守りを固める。

第2ラウンド

米軍は直ちにフィジーに対する反撃を実施した。フィジーは日本軍の艦隊基地であるラバウルから3エリア離れている。従って米軍がフィジーに対して反撃を行っても、それに対する迎撃行動がとれない。それがこれまでの激戦地であったガダルカナルやポートモレスピーとの決定的な違いだ。
米軍最強の第1海兵師団は日本軍の妨害を受けることなく上陸し、同地の米軍部隊と共同して日本軍を追い落としにかかった。強力な日本艦隊も今回は現れず、フィジーに進出していた日本海軍航空部隊も兵力に勝る米陸海軍の航空部隊に一掃されてしまう。傷ついて弱まっていた米艦隊だったが、鳥なき里の蝙蝠とばかりに支援射撃を集中した。

写真22


戦闘比2-1で出目は9。結果はM/H(R)で日本軍は死守チェックになる。ここで2以上の目を出していれば少なくとも1個師団は生き残っていたはずだが、出目は何と1。

「生きて虜囚の辱めを受けず」

と謳っていた日本陸軍は、こともあろうか最精鋭2個師団が敵中で降伏してしまうという前代未聞の事態となってしまった。

余談だが、「生きて虜囚の辱めを受けず」という一文は、1941年1月に当時陸軍大臣であった東條英機が示達した訓令に基づくものとされている。これが戦時中の悲劇を助長したのは有名な話だ。この東條英機をはじめ、富永恭次、牟田口廉也、辻正信らの所業を知るにつけ、当時の日本陸軍という組織を好意的に見ることは筆者には到底できない。もちろん所謂「海軍善玉論」に与する気は全くないのだが・・・。

閑話休題。衝撃を受けた日本軍。これでシナリオでの勝利はほぼなくなった。こうなったらせめてビルマだけでも確保しておきたい。4個師団の日本軍がビルマ戦線で総攻撃をしかける。海からは戦艦4隻、空母3隻の南遣艦隊が支援する。猛攻を受けた英連邦軍は大損害を被ったが、何とかビルマ戦線を守り切った。

写真23


第3ラウンド

米軍は2個師団でニューギニア北岸へ向けた攻勢を開始した。同地を守る日本軍第4師団は懸命な防御線を展開し、ギリギリで同地を死守する。日本軍は直ちにニューギニアへ増援部隊を送る。が、既に太平洋戦線の主力部隊は各地で激戦を戦っており、地上兵力に余裕はなくなっていた。南部フィリピンと西部ニューギニアから何とか2個旅団を引き抜き、空母部隊の掩護の下、ニューギニアに送り込んだ。

ビルマ戦線では日本軍の猛攻が続いている。これまで善戦していた英連邦軍であったが、兵力に勝る日本軍の猛攻をいつまでも耐えるのは難しかった。ここにビルマの放棄を決定。全軍インド領内に引き上げていった。

第4ラウンド

ニューギニアでは米軍がさらなる攻勢を加えてきたが、陸海に援護された日本軍の抵抗により米軍部隊は大損害を被り、その進撃は頓挫した。

一方、日本軍はビルマからアラカン山系を超えてインドに攻め込んだが、英連邦軍の抵抗に阻まれてビルマ領内に撃退されてしまう。

写真24


この時点でゲーム終了である。最終的な日本軍の獲得したVPは26VP。勝利条件は27VPなのでギリギリで連合軍が勝利した。シナリオ上では連合軍の勝利となったが、全空母と戦艦のほぼ全てを失った米軍にとって、その後の対日反攻戦は史実よりも遥かに厳しいものになりそうである。

写真25


感想

最初にルールを読んだ時には100ページ近いルール量に圧倒されたが、プレイしてみると感覚がつかめてきた。海戦や陸戦の感覚も何度か戦ってみると感じがわかってくる。この分なら何とかキャンペーンシナリオもプレイできそうだ。

プレイ中にも少し書いたが、海戦の感覚がやや独特で、特に空母艦載機の威力が凶悪だ。史実において戦時中に空母機の攻撃で撃沈されたのは真珠湾の2隻の他は「大和」「武蔵」のみだが、本作では戦艦が空母機の攻撃でボコボコ沈む。だから間違えても戦艦で空母を沈めようと野心を抱いてはいけない。もちろん敵空母が裸で出撃するなどという状況ならワンチャン可能性があるが…。

今回のプレイは基本ルールのみでプレイしたが、上級ルールを導入するとイベントカードとか零戦の優秀性とか面白そうなルールが導入されてくる。次回は是非上級ルールでキャンペーンシナリオをプレイしてみたい。

それにしてもこのゲーム、日本海軍が凶悪なほど強いので、米軍プレイヤーは要注意である。




写真26

OOF-front-cover


Oceans of Fire(以下、本作)は、2023年に米国Compass Games社から発売されたSLGである。
テーマは太平洋戦争で、3年8月に及ぶ大戦争を、1Turn=半年のスケールで再現する。
マップには太平洋戦争が戦われた全域がエリア方式で描かれており、西はインド大陸全域、南はオーストラリア大陸全域、東はハワイ諸島を含んでいる。満州やシベリア方面も含まれているが、中国大陸は沿岸地域のみがエリア化されており、中国奥地はChina-Burma Boxという形で抽象的に表現されている。
1ユニットは、地上部隊は旅団~師団規模(一部例外あり)、航空機はポイント制(1ポイント=20~50機程度)、艦船は主力艦1~2隻と随伴艦艇を含んでいる。

今回、その中から「日本の進撃」(Japanese Expansion Scenario)をプレイしてみることにした。このシナリオは開戦から前半3Turn分をプレイするシナリオである。「半年から1年間は大いに暴れまわって見せましょう」と山本五十六が言ったとか言わなかったとか。山本五十六は史実以上に「暴れまわる」ことができるか?

今回は、VASSALを使ったソロプレイにチャレンジしてみた。また上級ルールや選択ルールは今回は一切使用しなかった。

前回までの展開は --> こちら

1Turn(つづき)

第2ラウンド

日本軍インパルス

まずグアム島の1個旅団をウェーク島に送り込んでウェーク島攻略を目指す。それをAkagi/KagaとHiryu/Soryuの空母2ユニットで護衛する。さすがに空母4隻の威力は物凄く、ウェーク島の米海兵航空隊は瞬殺されてしまう。が、海兵隊機の反撃により貴重なエリートCVA1ポイントが撃墜されてしまう。
上陸そのものは6:1の最高比で実施し、無事成功した。

写真08


続いてサイゴンから第55師団と、それを護衛する戦艦、巡洋艦が出航し、East Indian Oceanに進出する。マレー半島に進出した陸軍航空隊(LBA)が長距離援護でそれを護衛する。シンガポールの英軍LBAがその迎撃に向かう。空中戦はお互い損害なし。上陸作戦は、15:3で5:1の戦闘比。DRM+2。結果はL/H(R)で日本側の勝利。SUMATRAを日本軍が占領した。

写真09


フィリピン方面では、レイテ/サマールとミンダナオの両島に上陸作戦を実施した。レイテは陥落したものの、ミンダナオはまだ落ちない。

最後のAPでシンガポールに総攻撃を仕掛けるが、未だシンガポールは落ちない。

米軍インパルス

米軍は米豪連絡線付近に増援部隊を配備する。またポートモレスピーにさらなる増援部隊を送り込み、同地に要塞を建設する。

英連邦軍インパルス

英連邦軍も部隊をビルマ、インド方面に派遣しただけ。

第3ラウンド

日本軍インパルス

日本軍はボルネオ全域に上陸作戦を行い、占領した。さらにシンガポールに対して2回目の総攻撃を行い、ようやくこれを陥落せしめた。残るはジャワとフィリピンだけである。

写真10


米軍インパルス

米軍は日本軍不在の隙を突いてガダルカナルに上陸し、飛行場の建設を開始した。

写真11


英連邦軍インパルス

こちらは増援部隊をビルマ方面に送り込む以外は特に動きなし。

第4ラウンド

日本軍はジャワに上陸。4個師団で猛攻を加えたが、オランダ軍は降伏寸前のギリギリで踏みとどまった。

写真12


この時点でようやく第1Turn終了である。日本軍は17ポイントの資源ポイントを獲得したが、ジャワ、ビルマ、フィリピンを取りこぼしている。これらを確保していれば22資源ポイントになる。獲得VPは20.5VP。史実に比べるとやや日本軍にとっては厳しい結果となった。

写真13


2Turn

このTurnから日本軍が取得するCP値は資源ポイントと同じになる。日本軍が獲得した資源ポイントは17ポイントなので、日本軍の獲得CPは17CPとなる。なお、連合軍の各国は毎Turn決まったCP値を獲得できることになっており、米軍は18CP、英連邦軍は12CPを得る。

各ラウンドでのインパルス順は獲得CP順となるので、このTurnは米、日、英の順となる。

第1ラウンド

米軍インパルス

米軍は南東太平洋の守りを固めるため、空母「ホーネット」や重巡部隊、航空部隊、さらに2個師団を南東太平洋方面に送り込んだ。また対日反攻戦の基点となり得るPapuaにニュージーランド第8師団を送り込み、その守りを固める。

写真14


日本軍インパルス

日本軍は、第1Turnに取り損ねた南方の要域を攻撃する。フィリピン一帯の米比軍は一撃で降伏し、フィリピン一帯を日本軍が支配した。先ほどオランダ軍が粘ったジャワも最後の一突きでオランダ軍も壊滅する。セレベス及びセーラムも日本軍が占領した。また南雲機動部隊はトラックからラバウルに進出し、南東方面の米軍に圧力をかける。

写真15


英連邦軍インパルス

英軍はビルマ、アンダマン諸島に増援部隊を投入する。

第2ラウンド

日本軍は、ブーゲンビル島に上陸し、ここを占領した。
暇な英連邦は空母機動部隊でスマトラを攻撃。在地の日本側航空兵力を一掃したが、日本機の反撃で艦載機の約半数を失ってしまう。

第3ラウンド

日本軍は空母艦隊を動員してガダルカナルに上陸作戦を実施した。日本側は空母8隻(そのうち軽空母2隻)。対する連合軍はニューカレドニアに集結した空母6隻と戦艦、重巡部隊でこれを迎撃する。日米海軍初の大艦隊決戦がここに発生した。

写真16


後に南太平洋海戦と呼ばれるこの戦いで日本空母機が恐るべき威力を発揮した。航空戦闘では米側のダイスが冴えて日本空母機の1/3を撃破することに成功したが、その後の空母攻撃戦で彼らが素晴らしい熟練度を発揮した。攻撃を受けた米空母6隻は日本空母機の集中攻撃により悉く撃沈されてしまう。

「レキシントン」撃沈
「エンタープライズ」撃沈
「サラトガ」撃沈
「ヨークタウン」撃沈
「ワスプ」撃沈
「ホーネット」撃沈

数に勝る米艦載機も日本機動部隊に襲いかかる。しかし日本軍の損害は空母「赤城」沈没、「加賀」「翔鶴」が大破したのみ。他に水上戦闘等で日本軍は重巡8隻を失ったが、米軍も戦艦1隻、重巡2隻を失った。この海戦自体は日本軍の勝利に終わった。

教訓:高練度の日本空母機は高い確率で米空母を海の藻屑にする。米軍としては大虐殺を可能な限り回避するため、空母戦力を分散して運用した方が良い。

日本軍の2個師団がガダルカナルに上陸した。米第27歩兵師団が守るガダルカナルを日本軍が総攻撃を仕掛けて壊滅寸前に追い込んだが、ガダルカナルはギリギリで守り切った。しかし最早ガダルカナルの米軍は風前の灯火である。

第4ラウンド

米軍がガダルカナルへ増援部隊を送り込もうとした。しかし日本の空母機動部隊が迎撃してきたため無理をせずに後退する。
米軍が事実上見捨てたガダルカナルに対して日本軍が総攻撃を実施。圧倒的な兵力で米軍を撃破し、ガダルカナルを奪取した。

写真17


この時点で第2Turn終了である。ジャワ、フィリピン、セレベス、ガダルカナルを奪取し、資源ポイントは20に達した。後はビルマを取ればほぼ史実と同じ結果になる。それよりも大きかったのは空母戦での大勝利。米空母6隻をまとめて撃沈したのだ。これでエセックス級空母が登場して来るまで米軍は空母なしで戦う羽目になった。太平洋戦争ゲームは数々あれど、日本空母部隊がこれほど一方的に勝利できるゲームは珍しいのではないだろうか。

写真18




つづく

写真18_レキシントン

4
240619_連合艦隊

連合艦隊:サイパン・レイテ海戦記

福田幸弘 時事通信社

1981年に出版された著作なので今から40年以上前になるが、それでもサイパン・レイテ海戦の海戦記として一流の作品である。本書の筆者は、両海戦に重巡「羽黒」乗組員として参加し、両海戦における戦闘詳報作成を担当した。「羽黒」は特にレイテ海戦で米護衛空母群に最も近づいた艦として知られており、同海戦における日本側の殊勲艦ともいえる艦であった。本書は実戦に参加した筆者ならではの視点と、両軍の戦史を広く深く調査した結果を総合的に駆使し、サイパン、レイテ海戦における日米両軍の動きを立体的に再現することに成功している。本書は旧軍人にありがちな「身びいき」が殆ど見られず、日米両軍の作戦や戦闘力を冷静な筆致で記している。栗田艦隊のいわゆる「謎の反転」についても、筆者は栗田長官を一方的に断罪するようなことはせず、さらに栗田長官の弁護に終始することもなく、あくまでも中立的な視点で「謎の反転」を論じている。
現在でもサイパン、レイテ海戦を調査する際には是非一読しておきたい作品である。

お奨め度★★★★

連合艦隊: サイパン・レイテ海戦記

OOF-front-cover


Oceans of Fire(以下、本作)は、2023年に米国Compass Games社から発売されたSLGである。
テーマは太平洋戦争で、3年8月に及ぶ大戦争を、1Turn=半年のスケールで再現する。
マップには太平洋戦争が戦われた全域がエリア方式で描かれており、西はインド大陸全域、南はオーストラリア大陸全域、東はハワイ諸島を含んでいる。満州やシベリア方面も含まれているが、中国大陸は沿岸地域のみがエリア化されており、中国奥地はChina-Burma Boxという形で抽象的に表現されている。
1ユニットは、地上部隊は旅団~師団規模(一部例外あり)、航空機はポイント制(1ポイント=20~50機程度)、艦船は主力艦1~2隻と随伴艦艇を含んでいる。

システムは1Turnが4ラウンドに分かれており、それぞれのラウンドで各陣営が1インパルスずつ実施する。ここで陣営という言葉が出てきたが、このゲームでは日本、米国、英連邦という3つの陣営が登場し、それぞれにプレイヤーが担当する。従って基本的には3人ゲームだが、場合によっては連合軍を1人のプレイヤーが担当するとか、日本軍を2人のプレイヤーが個別に担当するとかして、人数調整は可能である。

各インパルスで担当陣営はアクションポイント(AP)を受け取る。ユニットを活性化する度にAPを消費し、作戦を遂行していく。非手番プレイヤーは、条件が許せば迎撃を実施でき、敵味方が同じエリア/スペースに位置していたら戦闘が発生する。
戦闘には、航空機同士の空中戦闘から空対艦攻撃、水上戦闘、潜水艦攻撃、地上戦闘等、様々な種類が登場し、それぞれ異なったルールで解決される。このゲームは戦略級ゲームに関わらず空母と艦載機が別ユニット化されている。従って戦闘はかなり細かいレベルまで再現されている。上級ルールを使えば、開戦劈頭における零戦の優位性も再現されている。

今回、その中から「日本の進撃」(Japanese Expansion Scenario)をプレイしてみることにした。このシナリオは開戦から前半3Turn分をプレイするシナリオである。「半年から1年間は大いに暴れまわって見せましょう」と山本五十六が言ったとか言わなかったとか。このシナリオは全3Turnなので、開戦から1年半の期間を扱うことになる。果たして山本五十六は史実以上に「暴れまわる」ことができるか?

写真00_山本


今回は、VASSALを使ったソロプレイにチャレンジしてみた。また上級ルールや選択ルールは今回は一切使用しなかった。

写真00


1Turn

このゲーム、一見複雑な手順に見えるが、よく見るとそれほど複雑ではない。Turnの開始時に各プレイヤーは、コマンドポイント(CP)を受け取る。受け取ったCPは4回のインパルスに分割され、それぞれのインパルスで使用できる。1CP=12APの比率でAPに変換され、APを使ってユニットを活性化させることになる。

第1ラウンド

日本軍インパルス

第1Turn特別ルールで日本軍は真珠湾攻撃を実施できる。真珠湾攻撃を実施するためには、石油備蓄ポイントを1ポイント消費する必要がある。真珠湾攻撃に参加するユニットは、南雲機動部隊に所属する5ユニット(空母3ユニット、戦艦、巡洋艦各1ユニット)で、AP消費不要で真珠湾攻撃を実施できる。第1Turn特別ルールで第1ラウンドの戦闘は色々と日本軍に有利な点があるので、真珠湾攻撃はやった方が良いと思う。

南雲機動部隊をHawaiian Islandsエリアに移動し、OAHUスペースに戦闘マーカーを配置する。

写真01


戦闘は空中戦闘から解決する。日本軍はCVAが合計14ポイント、連合軍はLBA8ポイント。日本軍はダイス14回振る。DRMが第1Turnの特別ルールで+1を得る。もし上級ルールを採用していた場合、零戦の性能優位でさらに+1のDRMを得るが、今回は上級ルール不採用なのでDRMは+1になる。
連合軍は8LBAだが、第1Turn特別ルールによりダイスは4回しか振れない。
日本軍は4ポイントを撃墜し、4ポイントをアボートさせた。連合軍は1CVAをアボートさせたのみであった。

続いて航空攻撃を実施する。真珠湾には戦艦4ユニット、重巡、軽巡各1ユニットが在泊している。日本軍の航空戦力は13ポイントなので、まずは戦艦4ユニットに集中攻撃を加えることにした。最強のW.Virg/Marylandに4CVAを割り当て、残り3ユニットには3CVAを割り当てる。
米戦艦の対空射撃。通常は自身の4火力とオアフ基地の4火力を加えて8火力になるが、シナリオ特別ルールで半減されて4火力になる。
対艦攻撃の結果は、W.Virg/Marylandが計15Hit食らってW.Virg沈没でMarylandが6Hit。Nevada/Oklahomaは22Hit!食らって2隻揃って轟沈。Tenn/Californiaは15HitでTenn沈没、Californiaが6Hit。Penn/Arizonaは22Hitで2隻揃って轟沈してしまう。実際、真珠湾に在泊中の戦艦8隻のうち6隻が沈没し、残ったMarylandとCaliforniaはそれぞれ6Hit食らって大破した。米太平洋艦隊の主力は、僅か半日の攻撃で全滅してしまう。キンメル提督大ショック。源田中佐鼻高々であった。

写真02


攻撃を終えた南雲機動部隊の主力は日本本土に帰還。ただし飛龍/蒼龍と重巡1ユニットは、グアム島上陸作戦のためにMarianasエリアに留まる。

その後、ビスマルク海方面でラバウルとラエを占領。グアム島にも上陸して1個旅団が上陸してこれを占領した。

写真03


マレー方面では、サイゴンを発進した陸攻隊がシンガポールを攻撃。在泊中の戦艦Pr.Wales/Repulseに爆弾を命中させてこれに4Hitを与えた。
さらに海南島を出撃した山下兵団は2個師団の兵員を満載した輸送船を戦艦Haruna/Kongo、重巡戦隊が護衛し、一路マレー半島を目指した。日本船団の接近を察知した英軍は、シンガポールに在泊中であった戦艦Pr.Wales/Repulseに出撃を命じた。それに対して日本軍もサイゴンの陸攻隊を英戦艦攻撃の為に出撃させる。しかし英戦艦はサイゴン南方で日本機の攻撃を受け、戦艦Pr.Walesが撃沈されてしまう。残ったRepulseは日本艦隊と交戦するが、日本艦隊の集中砲火を浴びて結局は撃沈されてしまう。

写真04


マレーに上陸した山下兵団は英連邦軍守備隊と交戦する。4-1 +2で出目は9、DRM適用後は11で結果はL/H(R)。英軍1個師団を撃破し、残りはシンガポールへ向けて壊走していく。

日本軍最後の攻撃はフィリピンに対して実施された。ルソン島に2個師団が上陸し、レイテ/サマールには1個旅団が上陸した。しかしいずれも連合軍の激しい抵抗を浴びて領地を占領することはできなかった。

写真05


米軍インパルス

米軍はオーストラリア本土とポートモレスピーの守りを固めるために一部の部隊を移動させた。その後、空母Lex/Enterpriseをニューカレドニアに移動させ、日本軍の動きに備える。

写真06


英連邦軍インパルス

英連邦軍も特にやることがないので、1個師団をASSAMからBURMAに前進させ、BRUMAの守りを固める。

写真07_真珠湾攻撃




つづく

写真07_真珠湾攻撃

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