もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ: 読書

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240705_サピエンス全史下

サピエンス全史(下)

ユヴァル・ノア・ハラリ/柴田裕之訳 河出書房

ユヴァル・ノア・ハラリのベストセラー本である。下巻では、宗教を語る所から始まる。宗教といえば一見人類の発展とは無関係に思えるが、筆者は宗教の存在こそがサピエンスを世界の覇者たらしめるとしている。神という名の「共通幻想」を人類が共有できたからこそ、大神殿を作ったり、統一国家を作ったりできたのだと。
そして人類は認知革命から科学革命へと進んでいく。「我々は全てを知っている」時代から「我々は何も知らない」時代に進んだことで我々は進歩という力を手に入れた。そして進歩は資本主義と結びつくことで科学は発展の方向を与えられたのだと筆者は言う。
科学革命により世界を支配した人類だが、それは果たして「善い」事だったのだろうか。筆者は必ずしもそうは考えていない。人類の発展は人類以外の動植物にとっては地獄の苦しみを与えただけではなく、人類そのものの幸福増進に必ずしも貢献しなかったと筆者は言う。
最後に筆者は未来の人類像に触れている。未来の姿はSF作品に描かれているような「我々と同じような思考をする人々が光速宇宙船やレーザーガンで武装した世界ではないかもしれない」と筆者は言う。23世紀初頭の地球にはアナライザーはいる可能性が高いが、ひょっとしたら古代進も森雪もいないかもしれない。

お奨め度★★★★★

サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫)
サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫)
漫画 サピエンス全史 人類の誕生編
漫画 サピエンス全史 文明の正体編

5
240701_サピエンス全史上

サピエンス全史(上) 

ユヴァル・ノア・ハラリ/柴田裕之訳 河出書房

以前にも紹介したが、本書は人類(サピエンス)が世界の覇者になれたのか、そしてサピエンスの歴史を独自の視点で描き、分析した著作である。この上巻では、サピエンスが人類種の王者として君臨することになった歴史と理由を分析し、さらにサピエンスの歴史を協力、貨幣、そして帝国という視点から分析している。貨幣や帝国といえば、我々はどちらかといえば負のイメージを抱くが、筆者は貨幣と帝国に代表されるサピエンスの「共通幻想」こそがサピエンスの発展を促したとしている。

お奨め度★★★★★

サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫)
サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫)
漫画 サピエンス全史 人類の誕生編
漫画 サピエンス全史 文明の正体編

4
240611_成瀬

成瀬は信じた道をいく

宮島未奈 新潮社

「成瀬」シリーズの第2弾。滋賀の大津を舞台に主人公成瀬あかりと絡み合う様々な人々の人生を描く。今回の登場人物は、小学生、成瀬の父、近所のクレーマー、そして大津観光大使の女子大生である。様々な人々の心理描写が素晴らしく、読み(聴き)終わると爽快感がある作品であった。これは是非続編を読んでみたい。


4
240619_連合艦隊

連合艦隊:サイパン・レイテ海戦記

福田幸弘 時事通信社

1981年に出版された著作なので今から40年以上前になるが、それでもサイパン・レイテ海戦の海戦記として一流の作品である。本書の筆者は、両海戦に重巡「羽黒」乗組員として参加し、両海戦における戦闘詳報作成を担当した。「羽黒」は特にレイテ海戦で米護衛空母群に最も近づいた艦として知られており、同海戦における日本側の殊勲艦ともいえる艦であった。本書は実戦に参加した筆者ならではの視点と、両軍の戦史を広く深く調査した結果を総合的に駆使し、サイパン、レイテ海戦における日米両軍の動きを立体的に再現することに成功している。本書は旧軍人にありがちな「身びいき」が殆ど見られず、日米両軍の作戦や戦闘力を冷静な筆致で記している。栗田艦隊のいわゆる「謎の反転」についても、筆者は栗田長官を一方的に断罪するようなことはせず、さらに栗田長官の弁護に終始することもなく、あくまでも中立的な視点で「謎の反転」を論じている。
現在でもサイパン、レイテ海戦を調査する際には是非一読しておきたい作品である。

お奨め度★★★★

連合艦隊: サイパン・レイテ海戦記

240527_ハヤブサ消防団

ハヤブサ消防団

池井戸潤 集英社

Amazon Audibleで無料で聴取できるので読んで(聴いて)みた。内容はミステリーで、連続放火と殺人、その裏にうごめく新興宗教という。間違いなく面白い話である。ネタバレしてしまうので詳しくは書けないが、とにかく「良い方に期待が裏切られた」作品であった。時間があれば聴いてみて損はない。

お奨め度★★★

ハヤブサ消防団 (集英社文芸単行本)
池井戸潤最新刊『ハヤブサ消防団』刊行記念ガイドブック(試し読み付き) (集英社文芸単行本)

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