半沢直樹4-銀翼のイカロス
池井戸潤 文春文庫
池井戸潤の半沢直樹シリーズ第4弾『銀翼のイカロス』は、読んでいて胸がすくような快感を味わえる作品だった。主人公・半沢直樹が次々と敵を論破し、権力や既得権益に立ち向かっていく姿は、まさに「倍返し」の代名詞にふさわしい。とりわけ政界や官僚、銀行内部の権謀術数を、半沢が理路整然と切り裂いていく場面は、読み手に爽快感を与えてくれる。まるで現実の鬱屈を小説世界で晴らしてくれるような、痛快な読書体験であった。
一方で、本作の大きな特徴でもある「勧善懲悪」の色合いは、やや極端に感じられる部分もある。悪役は徹底して悪役として描かれ、最後には必ず破滅や失脚を迎える。そのカタルシス自体は心地よいが、あまりにも単純化されすぎているがゆえに、人間の多面性や現実社会の複雑さが薄れてしまっている印象も拭えない。もしもう少し敵役にも一抹の正義や葛藤が描かれていれば、物語にさらに深みが出たのではないかと思う。
総じて、『銀翼のイカロス』は極端な勧善懲悪がもたらす爽快さと、やや単純化されすぎた構図の両方を抱えた作品だと感じた。社会派小説でありながらエンターテインメント性を前面に押し出し、読者を一気に引き込む筆致はさすがであり、シリーズの魅力をあらためて堪能できた。読み終えた後に「また倍返しが見たい」と思わせてくれる点で、本書はやはり痛快無比なエンターテインメント小説である。
お奨め度★★★





























