もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ: 読書

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天使の囀り

貴志祐介 角川ホラー文庫

天使の囀り
本書は、読後もしばらく心にざらつきを残す、異様な迫力を持ったホラー小説だった。精神科医・北島早苗が、恋人の不可解な自殺をきっかけに、アマゾンで起きた謎の事件と向き合っていく物語は、単なる恐怖の演出にとどまらず、人間の本能や死生観に深く切り込んでくる。
正直に言えば、物語中盤以降に描かれる大量死の場面は、あまりにもグロテスクで、読む手が止まりそうになった。死の描写があまりに生々しく、しかもそれが「快楽」と結びついているという設定には、嫌悪感すら覚えた。しかしその不快感こそが、著者の狙いだったのかもしれない。読者の倫理観や感情を揺さぶることで、「死とは何か」「生きるとは何か」という問いを突きつけてくる。
また、登場人物たちの心理描写が非常に緻密で、特に主人公の葛藤や恐怖がリアルに伝わってくる点は見事だった。科学的な知識や精神医学の描写も説得力があり、物語にリアリティを与えている。ホラーでありながら、ミステリとしての構成も巧妙で、謎が少しずつ明かされていく展開には引き込まれた。
読み終えた今でも、「天使の囀り」という言葉が耳に残っている。恐怖と快楽、理性と本能の境界を描いたこの作品は、決して万人向けではないかもしれないが、強烈な読書体験を求める人には一読の価値があると思う。

お奨め度★★★


天使の囀り クリムゾンの迷宮 新世界より1 新世界より1~3
空飛ぶタイヤ ツバキ文具店 皇国の守護者 同士少女よ、敵を撃て

3

山本長官機は還らず

森史郎 光人新社

空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦②山本長官機は還らず
「空母瑞鶴戦史シリーズ」の第6弾で、今回は「い号作戦」と山本五十六GF長官の戦死が主なテーマである。「い号作戦」については主に日本側からの視点で描かれていて、連合軍側の視点がやや乏しい。また例によってボリュームが少なくなっている。正直、あっとう言う間に読み終えてしまった。今回は今ひとつ共感できる内容ではなかったというのが本音かな

お奨め度★★★

空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦①空母瑞鶴ソロモン前線へ 空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦②山本長官機は還らず 空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦③ラバウル航空撃滅戦 空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦④史上最大の空中戦「ろ」号作戦
攻防-ラバウル航空隊発進篇 海軍零戦隊撃墜戦記1 海軍零戦隊撃墜戦記2 海軍零戦隊撃墜戦記3
Pacific War 海空戦南太平洋1942 ソロモン夜襲戦

4

空母瑞鶴ソロモン前線へ

森史郎 光人新社

空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦①空母瑞鶴ソロモン前線へ
「空母瑞鶴戦史シリーズ」の第5弾で、南太平洋海戦後、ガダルカナル撤退までの時期を扱う。南太平洋海戦で辛うじて勝利を収めた日本空母艦隊であったが、空母艦載機部隊に大きな損害を被ったため内地で再編成することになる。また第3艦隊司令部にも人事異動があり、南雲中将に代わって小沢治三郎中将が第3艦隊司令長官に着任した。本書の見どころは小沢治三郎の破天荒な指揮ぶりと再編成される瑞鶴飛行隊での新任士官と古参搭乗員の対立、そして瑞鶴飛行隊によるガダルカナル撤退作戦支援等。特に南太平洋海戦からガ島撤退までの時期での空母部隊の行動についてはこれまで触れられる機会が少なかったので、その点は貴重かも。
ただ・・・、これまでの巻に比べて明らかにボリュームが少なくなっている。正直、あっとう言う間に読み終えてしまった。

お奨め度★★★★

空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦①空母瑞鶴ソロモン前線へ 空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦②山本長官機は還らず 空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦③ラバウル航空撃滅戦 空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦④史上最大の空中戦「ろ」号作戦
攻防-ラバウル航空隊発進篇 海軍零戦隊撃墜戦記1 海軍零戦隊撃墜戦記2 海軍零戦隊撃墜戦記3
Pacific War 海空戦南太平洋1942 ソロモン夜襲戦

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新・貧乏はお金持ち

橘玲 プレジデント社

新・貧乏はお金持ち
本書を読んで、私はお金や働き方に対する考え方を根本から揺さぶられた。これまで「真面目に働いていれば生活は安定する」と信じてきたが、著者はそれを幻想だと喝破する。雇用という仕組みが人を守ってきた時代はすでに終わり、もはや勤勉さだけでは豊かになれないという現実を突きつけてくる。
印象的だったのは、橘氏が「制度を知らないことこそが最大の貧困だ」と語るくだりである。税金や社会保険の仕組み、法人化による節税効果、フリーランスやマイクロ法人として生きる選択肢――それらは一見専門的で難しそうに見えるが、実際には誰にでも開かれた「自由への扉」なのだという。
私はこの本を読みながら、「貧乏」とは単にお金がない状態ではなく、社会の仕組みを理解せずに流される生き方そのものなのだと感じた。反対に「お金持ち」とは、資産額の多さよりも、自分の時間と選択を自分で決められる人のことを指すのだろう。橘氏の語る「雇われない生き方」は、決して無責任な自由ではなく、リスクを理解したうえで自らルールを選ぶ知的な独立宣言である。
私自身、思わぬ長期入院によって時間の大切さを痛感し、「これまで時間に追われて生きていたのがいかに愚かだったか」と気づかされた経験がある。その意味で、筆者の主張には深く共感できた。自分自身の働き方を見つめ直し、生き方を選びなおしたことは、改めて正解だったと思う。
この本は、「お金」や「仕事」をめぐる常識を疑い、人生を再設計したいと願うすべての人にとって、指針となる一冊である。

お奨め度★★★★

新・貧乏はお金持ち 幸福の資本論 2億円と専業主婦 不条理な会社人生から自由になる方法
お金の大学(改定版) 金持ち父さん貧乏父さん 君たちはFIRE後どう生きるか 10年後、君に仕事はあるのか?


丸2026年1月号

光人新社

丸2026年1月号-飛燕&五式戦闘機
特集は「飛燕&五式戦闘機」。ドイツ製DB601液冷エンジンを備えた日本では珍しい液冷エンジン装備戦闘機。本特集では、三式戦闘機の特集で、その開発から戦歴までを記事化している。正直なところ些か手垢のついたテーマだが、丸誌の特徴として第2、第3特集で類似機を扱っているのが面白い所。本誌でも別特集でBf109Eとイタリア製のMC202を取り上げていた。こうやって同じエンジンを備えた3機種を並べてみることで、それぞれの共通点や違いを見ることができるのは面白い。またMC202が意外な成功機であったことが知れるのも楽しい。
特集記事以外では、F-35からF-15、F-2に至る現用の航空自衛隊戦闘機についての特集記事が面白い。それに関連して次世代の練習機や英国、イタリアと共同開発中の次世代戦闘機についての記事も興味深かった。

お奨め度★★★

丸2026年1月号-飛燕&五式戦闘機 丸2025年12月号-超甲巡洋艦 丸2025年11月号-日本海軍潜水艦オールガイド 丸2025年10月号-二式複座戦闘機「屠龍」
MILITARY CLASSICS-Vol83:特集-三式戦闘機・五式戦闘機 MILITARY CLASSICS-Vol91:特集-VI号戦車B型ティーガーII 2025年12月号:特集-鋼鉄の進化論 2025年10月号:特集-日本空母の戦い方

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