もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 戦史

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20250316_歴史群像

歴史群像2025年4月号

学研

2025年4月号:特集-日米徹底空母比較
特集は「日米徹底空母比較」。今まで何度も取り上げられてきたテーマだが、今回は主に船体や艤装類の技術的側面と実戦での効果を検証している。先に紹介したサレンダーの著作では、大鳳とエセックスを「パンター戦車とシャーマン戦車を比較するようなもの」として日本空母を高く評価していたが、果たして本記事での結論は如何に?。
さらに秋山真之氏に関する長南氏の研究も面白い。前半部分は「坂の上の雲」等でも知られた話が中心だが、日本海海戦以降の後半生については、これまであまり触れられて来なかった真之の功績について述べられており、興味深かった。
他には有坂純氏の近代以前の戦争に関する記事、WW2ドイツ軍の機関銃に関する記事などが面白かった。ただ、中国大返し分析記事については、「どうかなぁ?」と少し首をかしげた。だって現在よりも道路網が貧弱な戦国期の分析としては、行軍速度に関する見積もりが楽観的過ぎる気がする。

お奨め度★★★★

2025年4月号:特集-日米徹底空母比較 2025年2月号:特集-零戦と堀越二郎 2024年12月号:特集-トラック空襲 2024年10月号:特集-北部ソロモンの相殺
2024年8月号:特集-中部ソロモンの攻防 2024年6月号:特集-日本海海戦 2024年4月号:特集-戦艦武蔵建造 2024年2月号:特集-中東戦争航空戦
2023年12月号:特集-日本海軍機動部隊の誕生 2023年10月号:特集-ドイツ空軍の東部戦線 2023年8月号:特集-マリアナ沖海戦 2023年6月号:特集-日本海軍駆逐艦全史

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20241226_夜戦

夜戦

ヴィンセント・P・オハラ トレント・ホーン 本吉隆訳 イカロス出版

夜戦
サブタイトル「日露戦争と世界大戦の夜間水上戦闘1904~1944」が示す通り、20世紀前半における夜間水上戦闘の歴史を追った著作である。扱っているのは、夜間水上戦闘の黎明期とも言うべき日露戦争から、WW1のドイツ海軍、戦間期の英海軍、WW2でのイタリア、日本、アメリカの各海軍、そして1943~44年にかけて戦われたドーバー海峡での連合国とドイツ軍との夜間戦闘を描いている。興味深かったのは、日露戦争やWW1でのドイツ海軍で、日露戦争については我々がイメージする「日本海軍水雷戦隊」とは異なった戦いぶりに驚くことになる。太平洋における日米両海軍の戦いについては、我々が良く知るイメージの通りだが、高い練度と高性能魚雷を持った日本海軍が最終的に米海軍に屈した様については、考えさせられることが多い。

余談だが、本書には多数の「訳注」が含まれている。文字通り「翻訳者による注釈」なのだが、正直言って「うざい」。事実関係の確認や訂正ならまだしも、時には翻訳者が筆者の意見に異を唱えるのは読んでいて興ざめする(「それってあなたの意見ですよね」というやつだ)。意見があるのなら巻末に訳者覚え書きに出も書けばよいのであり、本文の中で訳者が堂々と自説を主張するのは如何かと思う。

お奨め度★★★★



夜戦 太平洋戦争水上戦 The U.S. Navy Ageinst The Axis - Surface Combat 1941-1945 Naval Firepower: Battleship Guns and Gunnery in the Dreadnought Era
ソロモン夜襲戦 欧州海域戦 決戦連合艦隊・改

241219_ウクライナ航空戦

ウクライナ戦争航空戦2022.2-2023.8

ミハイル・ジロホフ 宮永忠将訳 イカロス出版

ウクライナ戦争航空戦
タイトル通りウクライナ戦争の航空戦を、戦争開始の2022年2月から翌年8月までの区間に区切って日記風に記したものである。筆者の個人的な主観を押さえて事実と思われる事象を淡々と期しているだけだが、それだけに迫力に富んでいる。ウクライナ戦争における航空戦が、ハイテク戦争のイメージとは裏腹に泥臭いものであることが如実にわかる内容だ。個々の戦闘場面についての記述はあまり多くはなく、どちらかと言えば統計的な内容になっている。ウクライナ軍によるミサイル迎撃率の高さが驚異的な数値だが、実際の撃墜率がどの程度であったのかは今後の研究に期待したい。また西側からの供与兵器が実戦に与えた影響(ストームシャドーや各種地対空システム、HARM、F-16など)も興味深い。

お奨め度★★★★



ウクライナ戦争航空戦 ウクライナ戦争 図解 戦闘機の戦い方 航空戦 シリーズ戦争学入門

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241217_ウクライナ戦争

ウクライナ戦争

小泉悠 筑摩書房

ウクライナ戦争
2022年2月に始まったウクライナ戦争について、開戦前から2022年9月までの露宇両国と世界各国の動きを中心に追った著作である。戦争開始から数ヶ月という(今から思えば)序盤戦の動きだけを追っただけだが、あれから殆ど戦線が動いていないことに驚く。本書はあくまでも巨視的な視点で戦争を描いているので、個々人の英雄的な働きや兵器の云々といった話は殆ど出てこない。細かい部分ではなく、ウクライナ戦争の全体像を知るには良い著作と思える。

お奨め度★★★



ウクライナ戦争 ウクライナ戦争航空戦 戦争にチャンスを与えよ 戦略の格言

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241124_戦車の歴史

戦車の歴史

加登川幸太郎 角川ソフィア文庫

戦車の歴史
日本及び諸外国における戦車の歴史について述べた著作。扱っている期間は、戦車誕生前からWW2までの期間で、戦車という兵器そのものの発展、戦車を巡る戦略、戦術思想の発展と混迷、そして実戦の中で戦車がどのように扱われたかについて描いている。日本に関する部分は戦車隊の誕生と発展に関する記述が主で、戦歴についてはあっさり流されている。
原著は今から40年近く前になるが、今の視点から見ても内容的には違和感がない。特に欧州戦線での独ソ米英に関する記述は(ややドイツに好意的過ぎる感はあるが)概ね納得できる内容であった。

お奨め度★★★


戦車の歴史 ドイツ重戦車 戦場写真集 日の丸の轍 MILITARY CLASSICS-Vol87:特集-ティーガーI
Panzer

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