もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 戦史

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240619_連合艦隊

連合艦隊:サイパン・レイテ海戦記

福田幸弘 時事通信社

1981年に出版された著作なので今から40年以上前になるが、それでもサイパン・レイテ海戦の海戦記として一流の作品である。本書の筆者は、両海戦に重巡「羽黒」乗組員として参加し、両海戦における戦闘詳報作成を担当した。「羽黒」は特にレイテ海戦で米護衛空母群に最も近づいた艦として知られており、同海戦における日本側の殊勲艦ともいえる艦であった。本書は実戦に参加した筆者ならではの視点と、両軍の戦史を広く深く調査した結果を総合的に駆使し、サイパン、レイテ海戦における日米両軍の動きを立体的に再現することに成功している。本書は旧軍人にありがちな「身びいき」が殆ど見られず、日米両軍の作戦や戦闘力を冷静な筆致で記している。栗田艦隊のいわゆる「謎の反転」についても、筆者は栗田長官を一方的に断罪するようなことはせず、さらに栗田長官の弁護に終始することもなく、あくまでも中立的な視点で「謎の反転」を論じている。
現在でもサイパン、レイテ海戦を調査する際には是非一読しておきたい作品である。

お奨め度★★★★

連合艦隊: サイパン・レイテ海戦記

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240605_丸

丸2024年5月号

光人新社

特集は「空母瑞鳳」。翔鶴や瑞鶴といった大型空母の陰に隠れがちだが、ミッドウェー海戦後の日本機動部隊を支えた立役者である「瑞鳳」。本書では「瑞鳳」のメカニズムや戦歴、搭載機について一通り紹介したいる。また今回は第2特集、第3特集があり、第2特集は空母「千歳」&「千代田」。「瑞鳳」とはマリアナ海戦、レイテ海戦で共に戦い、共に最期を迎えたという艦なので、同時に扱うというのは納得できる。また水上機母艦としての「千歳」「千代田」の戦歴についても興味深い。
第3特集は重巡「青葉」。やや唐突な感じはあるが、古鷹や妙高、高雄、利根等に比べてやや立ち位置の弱い「青葉」。しかし戦歴では日本重巡随一と言って良い「青葉」の生涯を余す所なく記述している。

お奨め度★★★

月刊丸 2024年5月号 (2024-03-25) [雑誌]
月刊丸 別冊 2024年2月別冊:大鳳・信濃
月刊丸 別冊 2023年10月別冊:翔鶴・瑞鶴
月刊丸 2023年5月別冊:蒼龍・飛龍
月刊丸 2023年12月号 (2023-10-25) [雑誌] - 特集:金剛&榛名
月刊丸 2024年2月号 (2023-12-25) [雑誌] - 特集:紫電改
月刊丸 2023年7月号 (2023-05-25) [雑誌] - 特集:天山&流星
月刊丸 2023年4月号 (2023-02-28) [雑誌] - 雪風/74式戦車

240527_空母瑞鶴

空母瑞鶴戦史-空母対空母

森史郎 光人社NF文庫

空母瑞鶴を主役とした長編シリーズの第4巻である。本書では南太平洋海戦をメインテーマに日米空母の激突とその中での人々の営みを詳細に描いている。本書に登場する主な人物は、瑞鶴艦爆隊長の高橋定大尉、翔鶴艦攻隊長村田重治少佐、第3艦隊の先任参謀高田利種大佐、翔鶴艦長有馬正文大佐、瑞鶴艦長野元為輝大佐らである。特に本書では、高田大佐以下の第3艦隊参謀陣、長井作戦参謀、内藤航空参謀、中島情報参謀、末国戦務参謀らの活躍と苦悩にページを割いている。これまで源田実という個人の頭脳とイニシアティブに支配されてきた空母部隊が、源田の手を離れて組織として運用されていく様を見るのは興味深い。
読み物としても面白く、太平洋戦史に興味のある向きにはご一読をお奨めしたい著作である。

お奨め度★★★★


ソロモン海の戦闘旗 空母瑞鶴戦史[ソロモン攻防篇] (光人社NF文庫)
空母対空母 空母瑞鶴戦史[南太平洋海戦篇] (光人社NF文庫)
ラバウル航空撃滅戦 (【空母瑞鶴戦史】)

空母瑞鶴戦史:機動部隊出撃 空母瑞鶴戦史:敵空母ミユ 空母瑞鶴戦史:ソロモン攻防戦 空母瑞鶴戦史:南太平洋海戦 空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦



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240718_歴史群像

歴史群像2024年8月号

学研

今回面白かったのは、日本陸軍の兵站に関する記事。日露戦争で兵站を重視した日本陸軍が昭和期になぜ兵站軽視に転じていったのか、その顛末について述べている。あとはPV-1の記事とかハルトマンの記事とかあったけど、ちょっと読む所が少なかったなぁ。中部ソロモン戦の記事は、あまり知られていないので、そういう人たちにとっては面白かったかも。

お奨め度★★★



歴史群像2024年10月号:特集-北部ソロモンの相殺 歴史群像2024年8月号:特集-中部ソロモンの攻防 歴史群像2024年6月号:特集-日本海海戦 歴史群像2024年4月号:特集-戦艦武蔵建造 歴史群像2024年2月号:特集-中東戦争航空戦 歴史群像2023年12月号:特集-日本海軍機動部隊の誕生 歴史群像2023年10月号:特集-ドイツ空軍の東部戦線 歴史群像2023年8月号:特集-マリアナ沖海戦 歴史群像2023年6月号:特集-日本海軍駆逐艦全史 歴史群像2023年4月号:特集-海上護衛戦 歴史群像2023年2月号:特集-日本巡洋艦 歴史群像2022年12月号:特集-比島攻略作戦 歴史群像2022年10月号:特集-NATO軍vsワルシャワ条約機構軍 歴史群像2022年8月号:特集-日本海軍 歴史群像2022年6月号:特集-日本陸軍歩兵論 歴史群像2022年4月号:特集-ミッドウェー海戦

歴史群像2024年10月号:特集-北部ソロモンの相殺
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240429_空母瑞鶴戦史

空母瑞鶴戦史-ソロモン海の戦闘旗

森史郎 光人社NF文庫


空母瑞鶴を主役とした長編シリーズの第3巻である。本書では、ミッドウェー海戦の敗戦直後から第2次ソロモン海戦終了直後までを扱う。ミッドウェーで大敗を喫した日本艦隊は空母を中心とした第3艦隊を編成。ミッドウェーの仇討を決意する。人員が一新された第3艦隊。しかし司令長官と参謀長はミッドウェーの「負け組」である南雲中将と草鹿少将が残留。そのような中にあって新戦策を策定して米機動部隊との再戦を期する第3艦隊であったが・・・。
とまあこんな感じで空母瑞鶴を中心に描く太平洋戦記である。本書の主人公は瑞鶴の乗組員と母艦搭乗員達。彼らの奮闘と苦悩が本書の主なテーマである。主役が日本側なので日本側から見た視点が中心となるが、戦闘場面については両軍の資料を参照しているため、戦果・損害については概ね正確とみて良い。本書の白眉は、日本側の記録を丹念に調べている点で、ミッドウェー海戦や第2次ソロモン海戦の戦訓を日本海軍がどのように読み取ったかが興味深い。
読み物としても面白く、太平洋戦史に興味のある向きにはご一読をお奨めしたい著作である。

お奨め度★★★★


ソロモン海の戦闘旗 空母瑞鶴戦史[ソロモン攻防篇] (光人社NF文庫)
空母対空母 空母瑞鶴戦史[南太平洋海戦篇] (光人社NF文庫)
ラバウル航空撃滅戦 (【空母瑞鶴戦史】)

空母瑞鶴戦史:機動部隊出撃 空母瑞鶴戦史:敵空母ミユ 空母瑞鶴戦史:ソロモン攻防戦 空母瑞鶴戦史:南太平洋海戦 空母瑞鶴戦史:ラバウル航空戦



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