もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 戦史

3
240423_空母搭載機の打撃力

空母搭載機の打撃力

野原茂 光人社NF文庫

サブタイトルの「艦攻、艦爆の運用とメカニズム」の方がしっくりくる。本書は日本海軍の空母艦載機、その中でも艦攻と艦爆に焦点を当てて、その運用とメカニズムの詳細を解説した著作である。読み物としては左程面白くはないが、当時の軍用機について図面を含めた詳細な機体解説を含んでいるので、そういった資料を知りたい人にとっては重宝かもしれない。ただ艦攻、艦爆って個々の機体よりも全体の運用や戦歴の方が重要かつ興味深い部分なので、本書のように個々の機体を掘り下げた著作にどれほどの需要があるのかは不明である。

5
240419_ミッドウェー海戦1

ミッドウェー海戦

森史朗 新潮選書

森史郎氏の会心の1作。第1部と第2部の2部構成になっている。ミッドウェー海戦を日米双方の視点で描いたノンフィクションである。当然ながら日本側の事情について詳しく書かれているが、米側の事情にも手を抜いていない。我々ミリタリーファンから見れば、ミッドウェー上空での戦いや南雲機動部隊の防空戦闘、そして小林、友永両隊によるヨークタウンに対する詳細な攻撃描写が興味を惹く。
読み物としても面白いので、ミッドウェー海戦に興味のある向きには是非一読をお勧めしたい。

ミッドウェー海戦第1部:知略と驕慢 ミッドウェー海戦第2部:運命の日

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240409_西南戦争

戦況図解西南戦争

原口泉 三栄書房

西南戦争を扱った書籍だが、西南戦争全体像ではなく、西南戦争における個々の戦いについて、個別に開設した著作である。西南戦争といえば、熊本城攻防戦とか田原坂の戦い等が有名だが、政府軍が田原坂を突破し、熊本城の攻囲が崩れた後も、人吉、都城、宮崎、延岡等で戦いが続いていた。本書ではこれらの細かい戦いを1つ1つ取り上げて、その戦況を解説している。さらに個々の戦いについて戦況図を着けることで、これらの戦いにおける両軍の動きを視覚的に示している。
そういった意味で資料性の高い著作と言えるが、惜しむらくは個々の戦いでの両軍の兵力についての記述が乏しいこと。また戦術レベルの説明ではなく作戦レベルや戦略レベルでの分析に乏しい点などがマイナス部分である。

お奨め度★★★



戦況図解 西南戦争 西南戦争 西郷隆盛と日本最後の内戦 翔ぶが如く(一) 志士の時代〜幕末ボードゲーム〜

5
240404_Midway

Midway Inquest

Dallas W. Isom Indiana University Press

5年ぶりに再読した。やはり面白い。
本書の主題はミッドウェー海戦における日本軍の決断について日本側の視点で分析することにある。筆者はミッドウェー海戦における日本側の決断は以下の3点としている。
1)第2次攻撃隊を雷装から爆装に変更させた
2)敵艦発見の報を受けて雷装に戻させた
3)「直ちに攻撃の要ありと認む」を採用せず正攻法の攻撃を選択した
筆者はその決断の根拠を明らかにするため、日本側の資料(主に「戦史叢書」と澤地久枝氏「滄海よ眠れ」を参照)を丹念に分析し、日本側の決断の根拠とその背景となった事実関係(例えば日本空母の兵装転換はどの程度進んでいたのか)調査・考察している。その中で筆者は日本側決断の主要要因として空母艦載機搭乗員の層の薄さ(全体でパイロット約400人のうち、ミッドウェー海戦までに既に約100人を失っていた)を上げ、そのため日本側としてはパイロットの損失を強いる「護衛なし攻撃」を実施し難かったと上げている(筆者の言葉を借りれば「日本軍は『ピュロスの勝利』を恐れた」とある)。
その上で筆者はミッドウェー海戦での日本側の最大の損失を「空母4隻の損失ではなく搭乗員の損害」とし、4隻の空母艦上で戦死(爆死又は焼死)したパイロットの数量を推測している。このような数値的分析は、日本側の資料ではなかなか見れないだけに、壮絶ですら思える(このあたりの数値分析は日本側の資料では避けて来た部分である)。
また本書後半には架空戦記として「もしミッドウェー海戦で日本軍が勝利していたら」的なサイドストーリーが長々と書かれている。この筆者はこういったストーリーが結構好きらしい。個人的にサイドストーリー自体はあまり興味を惹かなかったが、最終的なオチは面白かった。

お奨め度★★★★★


Midway Inquest ミッドウェー海戦第1部:知略と驕慢 ミッドウェー海戦第2部:運命の日 ミッドウェー
Coral Sea, Midway and Submarine Actions: May 1942-August 1942 (History of United States Naval Operations in World War Ii, Volume 4) Shattered Sword The First Team - Pacific Naval Air Combat from Pearl Harbor to Midway 1942 Carrier Battle - Philippine Sea

3
240530_歴史群像

特集は「日本海海戦」。個人的には興味のあるテーマで読みごたえもあった。他には第4次中東戦争の記事が面白かった。イスラエル側だけではなく、アラブ側の事情にも踏み込んだ解説になっていた。シャーマン戦車の解説も面白かった。

お奨め度★★★



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