もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 第3次世界大戦


令和に生かす日本史

呉座勇一  扶桑社

令和に生かす日本史 本書を読み進めてまず感じたのは、著者が世間一般に流布している歴史観を意図的に壊しにかかっているという点である。織田信長は革新的な英雄、西郷隆盛は人格者――こうした“学校で習ったイメージ”や“テレビ番組が作り上げた人物像”を、著者は専門家として冷静に否定していく。信長の合理主義も、西郷の人間的魅力も、実証的な史料に照らせばもっと複雑で、時に不都合な側面すら見えてくる。歴史学者としての矜持が、こうした「通俗的イメージの破壊」という形で表れているのだろう。

もう一つの目的は、歴史上の人物から現代に通じる教訓を抽出するという試みだ。しかし、ここで提示される教訓は、正直なところやや“ありきたり”で、読者を驚かせるような新鮮さには欠ける。信長からは既得権益との向き合い方、西郷からは人間関係の築き方、伊藤博文からは根回しの重要性――いずれも納得はできるが、目新しさは薄い。歴史をビジネス書的に消費する風潮への批判を掲げつつ、結局は同じ枠組みに回収されてしまっている印象も否めない。

さらに言えば、表紙に大きく配置された某政治家の写真は、読者の興味を引くための“話題性”を狙ったものなのだろうが、個人的にはややノイズに感じられた。歴史学の本としての純度を下げてしまっているようにも思える。

総じて、本書は歴史の通俗化に対する批判精神と、歴史から現代的示唆を得ようとする実用志向という、相反する二つのベクトルの間で揺れている作品だ。歴史学者としての鋭い分析は読み応えがある一方、導き出される教訓は平凡で、読後に強いインパクトが残るタイプの本ではない。ただし、歴史の“思い込み”を一度リセットし、人物像を実証的に見直すという姿勢は、現代の情報過多の時代にこそ必要な態度だと感じた。

お奨め度★★★

令和に生かす日本史 日本史  敗者の条件 真説 豊臣兄弟とその一族 戦国武将、虚像と実像

260322_TACAIR紹介動画

「TAC AIR」(以下、本作)は、1987年に米国Avalon Hill社から発売された現代戦ゲームである。冷戦時代におけるNATOとワルシャワ条約機構(WTO)の衝突を描く作品で、舞台は西ドイツ・ホーフギャップ周辺である。この地域は、米第7軍団とソ連中央方面軍集団が激突する地域で、本作以外にも旧SPI社Central Frontシリーズの「HofGap」や、WestEnd/CompassGamesの「Air & Armor」、さらには2024年にIEDから再販された「ヴュルツブルク」でも主戦場となっている。

本作のデザイナーはアメリカ空軍少佐Gary C. Morganで、当時のドクトリンであったエアランドバトルをボードゲーム上で再現することを目的としてデザインされている。本作は、航空戦力と地上戦力が密接に連携する現代の統合作戦を中心に据え、空対空戦闘、近接航空支援、航空阻止、SEAD、砲兵支援、機甲戦闘、指揮統制、補給など、多岐にわたる要素を統合している。

ゲームシステムは、4ページの基本ルールと、26ページの上級・選択ルールから構成される。基本ルールでは、混乱回復、航空任務割当、地上移動、地上戦闘、航空フェイズ(10ラウンド)という流れを通じて、空地戦の基本的な相互作用を学べる。一方、上級ルールでは、指揮統制、補給、工兵、砲兵の間接射撃、ワイルドウィーゼルによる防空制圧、航空任務の細分化などが追加され、現代戦の複雑さとドクトリンに沿った運用思想が再現されている。さらに選択ルールでは、電子戦や航空偵察、戦術核兵器などの要素を追加することができる。これにより、プレイヤーはNATO 側なら防空網の突破と航空優勢の確保、WTO側なら圧倒的な地上戦力を活かした突破と航空妨害といった、陣営ごとの戦略的特徴を体験できる。

ゲームスケールは、1ヘクス=1海里、1ターン=3時間で、地上ユニットは大隊規模、航空ユニットは2〜4機のフライトを表す。コンポーネントは500以上のカウンター、22×32インチのマップ、基本ルールフォルダ、バトルマニュアル、ゲームカード、プレイヤーカード、編成カードなどで構成されている。

シナリオは全部で 13 本が収録されており、数個大隊と数フライトで行う短時間の小規模戦闘から、米第1機甲師団・独第12機甲師団・ソ連第6親衛戦車師団などが登場する中規模戦闘、そしてNATO第7軍団とWTO中央方面軍集団が全面衝突する大規模シナリオまで幅広い。これにより、プレイヤーは学習段階に応じて複雑さを調整しながらゲームを楽しめる。

類似作品と比較すると、本作は「ヴュルツブルク」と「Air & Armor」の丁度中間ぐらいの難易度である。プレイの雰囲気は「Air & Armor」に似ているが、「Air & Armor」よりも遥かにシンプルでプレイしやすい。また「ヴュルツブルク」ではポイント制として簡略化されている航空支援が、本作では実際に航空機ユニットを動かして再現できる点が特徴と言える。

総じて本作は、現代戦の空地統合作戦を体系的に再現した作戦級SLGのひとつであり、基本ルールで手軽に遊べる一方、上級ルールを導入するとエアランドバトル の本質に迫る深いシミュレーションとなる。現代戦ウォーゲームの中でも、航空作戦と地上作戦を高度に統合した点で、今なお独自の地位を占める作品であるといえよう。

今回その中からシナリオ7「Counterattack」をプレイしてみた。これは軍団アセットによって強化された米第1機甲師団が、ソ連軍機械化歩兵師団の防衛ラインを撃破し、北方への突破を試みるシナリオである。

今回はVASSALによるソロプレイとした。

写真00


なお、今回のプレイでは、VASSAL版で提唱されている「Cファクター」のルールを導入してみた。元々本作のユニットはA値とB値という2種類の戦闘力が付与されていて、航空機の場合はA値が対空戦闘力、B値が対地戦闘力になっている。しかしこの方法にはちょっとした問題がある。それはF-15やMiG-29等の空戦値に特化した戦闘機がSAMやAAAに対して非常に脆弱になる点である。そのことを解消するために提唱されたのがCファクターで、CファクターはSAM/AAAに撃たれたときに使用する戦闘能力である。これによって上記の問題を解消しようとする試みだ。

写真01


1Turn

NATO側はソ連軍の右翼を突破すべく、第1機甲師団の第1旅団を左翼に進出させる。ソ連軍はそれに応じるべく戦線を右側にずらしていく。現時点で両軍の接触はない。

写真02


空ではNATO空軍機がソ連側長距離SAMを攻撃。SAM大隊1個を撃破し、もう1つを戦闘不能とした。

写真03


2Turn

米第1旅団がソ連軍右翼の第51親衛機械化歩兵連隊に猛攻を加える。砲兵部隊と攻撃ヘリコプターの支援を受けたソ連軍機械化歩兵は大損害を被った。さらに近接航空支援に飛来したA-10の爆撃により打撃を受けた1機械化歩兵連隊は壊滅的な損害を被った。

写真04


ソ連軍も戦闘機を出撃させ、MiG-23の編隊が米軍のSAMの射程距離外からBVRミサイルによってA-10の編隊を攻撃。A-10編隊は半個編隊を失ったが、爆撃能力に影響はなかった。

写真05


ここまでの戦いで米側のSAMの威力圏内では有効な反撃ができなことを痛感したソ連軍は、部隊を一斉に後退させ、米側SAMの威力圏外に防衛ラインを敷く。

つづく



NATO Designer Signature Edition
幻の東部戦線 ソヴィエト連邦の超兵器 Duel Book 18-M1 Abrams vs T-72 Ural Duel Book 75-Bradley vs BMP

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ソ連軍日本上陸!―第三次世界大戦・日本篇

久留島龍夫 二見書房

第三次世界大戦日本編:ソ連軍日本上陸 本書は、冷戦後期の1979年末という緊張感あふれる時代に書かれた日ソ仮想戦史であり、当時の「第三次世界大戦」への不安や想像力がそのまま封じ込められた作品である。二見書房の「第3次世界大戦シリーズ」の一冊として刊行された背景を踏まえると、単なる娯楽小説ではなく、当時の国際情勢を反映した“時代の産物”として読むことができる。

物語は、中ソ戦争の勃発を契機に、ソ連が日中友好を断ち切るべく日本本土へ侵攻するという大胆な設定で展開する。興味深いのは、全体の約3分の2が戦争前夜の政治・外交・軍事的な動きに割かれている点だ。侵攻の理由づけや国際情勢の変化、日本国内の反応などが丁寧に描かれ、単なる戦闘描写に終始しない“仮想戦史”としての厚みを感じさせる。

後半で描かれる日ソの戦闘は、新潟平野や中部山岳地帯を舞台に展開される。地形を踏まえた作戦運用や兵力配置の描写は意外なほどリアルで、現代の視点で読み返しても大きな違和感がない。1970年代末の軍事知識や戦略観に基づいているにもかかわらず、戦場の空気感や作戦の流れがしっかりと成立している点は、本書の大きな魅力だと感じた。

また、当時の日本社会に漂っていた「ソ連脅威論」や、米軍依存への不安、そして中ソ対立という国際政治の複雑さが作品全体に影を落としている。いま読むと、冷戦期の空気をそのまま吸い込んだような独特の緊張感があり、単なる架空戦記を超えて“歴史資料としての価値”すら感じさせる。

総じて本書は、1970年代末の国際情勢と軍事観を知るうえで非常に興味深い一冊である。戦争描写のリアリティだけでなく、当時の日本が抱えていた不安や危機意識を追体験できる点が魅力であり、今読み返しても新たな発見がある作品だと感じた。

お奨め度★★★

第三次世界大戦日本編:ソ連軍日本上陸 ザ・レッド・ライン-第三次欧州大戦(上) ザ・レッド・ライン-第三次欧州大戦(下) 幻の東部戦線
Game Journal 81-米中激突:現代海戦台湾海峡編

260322_TACAIR紹介動画

Avalon Hill の名作現代戦ウォーゲーム「TAC AIR」を解説&プレイ!

本作は、冷戦時代のNATOとワルシャワ条約機構の激突を描き、エアランドバトル(空地統合作戦)をボードゲームで再現した意欲作です。

航空戦・近接航空支援・SEAD・砲兵・機甲戦・補給・指揮統制など、現代戦の要素を統合したシステムが特徴で、シンプルなルールながら驚くほどリアルな戦場の雰囲気を体験できます。

今回の動画では、シナリオ7「Counterattack」をプレイしながら、ゲームシステムや戦場の流れを詳しく紹介しています。

NATO軍の航空優勢とSAM運用が戦局をどう左右するのか?
そしてソ連軍は反撃の機会を掴めるのか?

現代戦ウォーゲームに興味がある方、航空作戦やエアランドバトルに興味がある方は必見です!

▼主な内容
・TAC AIRとはどんなゲームか
・ゲームシステム解説(基本~上級ルール)
・戦闘システム(A値/B値)
・シナリオ7「Counterattack」プレイ
・プレイ後の感想と戦術考察


#ウォーゲーム #TACAIR #AvalonHill #現代戦 #ボードゲーム #シミュレーションゲーム



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2026年期待の新作ウォーゲームとして注目されていた『Air & Armor V Corps』の発売がいよいよ接近!

今回は現時点で判明している情報をもとに、本作の魅力を徹底紹介します。

・フルダ・ギャップ~フランクフルト戦域を再現
・大型マップ3枚+1638ユニット
・砲兵、航空、電子戦、偵察が戦局を左右
・全12シナリオ収録
・Hidden Mode対応でソロプレイも熱い!


前作『Würzburg』のシステムを継承しつつ、より広大で複雑な戦場へ進化したAir & Armorシリーズ最新作。

冷戦陸戦ウォーゲームファン注目の超大作、その実力とは?


#ウォーゲーム #SLG #ColdWar #NATO #AirAndArmor #ボードゲーム #軍事 #冷戦 #シミュレーションゲーム #HexandCounter






NATO Designer Signature Edition Red Strike Blue Water Navy コマンドマガジン Vol.177『ヴュルツブルク』

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