もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 第3次世界大戦

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「フリートシリーズ」- 世界の海を舞台にした冷戦時代の海戦シミュレーション!

アメリカ海軍とソ連海軍が全世界の海の覇権を巡って激突する。「フリートシリーズ」は、艦隊編成、空母戦闘、潜水艦戦、上陸作戦、補給線維持など、本格的な現代海戦の要素をすべて詰め込んだウォーゲームだ。

各ターンは「潜水艦」「水上艦」「航空戦力」の3フェーズに分かれ、プレイヤーはどのフェーズを実行するかを選択。索敵と情報戦が勝敗のカギを握り、敵艦隊を見つけられなければ攻撃すらできない。核兵器や補給のルールを導入すれば、よりリアルな戦略的思考が求められる。

フリートシリーズは以下の5本のゲームよりなる
 ・Sixth Fleet:シリーズ第1作で地中海における米ソの対決を扱う。フリートシリーズの基本を詰め込んだ作品だ
 ・2nd Fleet:シリーズ第2作目で北大西洋~ノルウェー海での米ソの対決を扱う。索敵ルールと戦闘ルールが詳細になり、より細かい戦闘を再現可能となった
 ・7th Fleet:シリーズ第3作目で極東水域での米ソの対決を扱う。海空自衛隊も登場し、日本が主要な戦場になる。潜水艦の非脆弱性を表すため索敵ルールを改訂し、よりリアルなプレイが可能となった。フリートシリースのシステムがほぼ完成した作品
 ・5th Fleet:シリーズ第4作目でインド洋での戦いを扱う。CRTに改訂が加えられ、米ソの最新鋭潜水艦が戦列に加わった。空母「トビリシ」も登場する
 ・3rd Fleet:シリーズ最終作でベーリング海、カリブ海、英本土周辺での戦いを描く。今までの作品で扱っていなかった海域を扱っている。

各ゲームにはそれぞれ12本前後のシナリオが含まれており、簡単なものから徐々にステップアップできるようになっている。また個々のゲームは完全に独立しているため、個別のゲームとしてプレイ可能だ




Blue Water Navy Game Journal 81-米中激突:現代海戦台湾海峡編
海上自衛隊「空母」 いずも&かがマニアックス 海上自衛隊 護衛艦メカニズム図鑑 イカロスMOOK アメリカの航空母艦資料写真集 Cold War Submarines

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「NATO師団長」というタイトルのこのゲームは、師団長の活動を詳細に再現したSLGだ。基本的は大隊規模の作戦戦術級ゲームだが、そこにスタッフ管理や情報、部隊運用等に関する詳細なルールが加わることで、まさに「師団長ロールプレイングゲーム」とも言うべき難解なゲームとなっている。

今回プレイしたシナリオは、シナリオ30.0「ジーゲンハイン攻囲戦」である。ソ連軍がフルダ峡谷西方のジーゲンハインに空挺降下作戦を実施し、それを米第8機械化歩兵師団が撃破に向かうというシナリオだ。さらに今回はコントローラーを使用したダブルブラインド方式でプレイしてみた。専門のコントローラーが両軍の状況を見て必要な情報をプレイヤーに提示するという、まさに図上演習を地で行くようなプレイスタイルだ。

今回、筆者は米軍を担当した。

前回までの展開-->こちら

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2Turn

攻略目標であるジーゲンハイン要塞付近に航空偵察を行い、ソ連軍の布陣を確認した。予想通りソ連軍は降下してきた2個空挺連隊のうち、1個連隊をジーゲンハイン要塞の守備に回していた。米軍は麾下の3個旅団のうち、1個旅団をマップ北端の警戒のために展開し、残り2個旅団をジーゲンハイン要塞に向けた。
下の写真は第2Turnの米軍Turn終了時点での米軍マップ状況である。ソ連軍についての情報はコントローラーが与える索敵情報に基づいている。ソ連軍のマップには、実際のユニットが配置されていることだろう。

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3Turn

夜になった。米軍部隊は休息をとるべく活動を停止する。しかしそのような米軍部隊に対してソ連軍の砲火が降り注ぐ。「空挺部隊のくせに、なんでそんなに砲撃支援があるんだよ?」と思いたくなるような猛砲撃だ。お蔭で米軍部隊の約半数が安眠妨害されて疲労レベルを回復させることができなかった。幸いなことに、ジーゲンハイン城塞への主攻撃を担当する米戦車大隊は砲撃を免れていたため、安眠を妨げられることはなく、翌朝気分よく目覚めることができた。

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4Turn

このTurn、ソ連軍第11親衛戦車師団が盤外から登場してくる。米軍としては何としても彼らが戦場に辿り着く前にジーゲンハインを占領し、守りを固めておきたい。これまでの経験でこのゲーム、攻撃側に厳しく防御側に優しい。一旦米軍の機械化歩兵大隊がジーケンハインの城塞を占拠し、そこに布陣すれば、いかに強力なソ連戦車部隊と雖も、それを奪回するのは容易ではないだろう。

攻撃に先立ち、敵戦線背後に進出していた米機械化歩兵大隊が後方のソ連軍司令部を襲撃する。空挺師団司令部を蹂躙した機械化歩兵旅団は、他の部隊と共同でジーケンハインを守るソ連空挺部隊を孤立化させた。これでお膳立ては整った。

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ジーケンハイン前面に布陣した米軍部隊がジーケンハインの城塞に猛攻撃を加える。後方を遮断されたソ連軍空挺部隊は、友軍の支援を欠いた状態で、それでも孤軍奮闘する。中世の城塞を利用したジーケンハインの守りは固く、最初の米戦車大隊による攻撃はソ連空挺部隊に大損害を強いたものの、城塞そのものを奪取するには至らなかった。

しかし勇敢なソ連空挺部隊による抵抗もここまでだった。引き続いて攻撃してきた米機械化歩兵大隊の攻撃よりさしもの空挺部隊も壊滅。ジーケンハインの城塞は米軍の手中に帰した。

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「よし、これで勝った」
米軍プレイヤー(つまり筆者)は安堵した。しかしこれが誤りであったことはすぐに判明する。ソ連軍第11親衛戦車師団による猛反撃が始まったのだ。ソ連軍戦車は行軍隊形をとってマップに進入してくる。行軍隊形というのは移動力40になるという本作では最も移動力の大きい隊形である。ただし行軍隊形の場合、相手に攻撃されたら不利な修正が適用されるので、正直筆者はそれほど恐れていなかった。

が、それが間違いであった。

ソ連軍戦車部隊は、40という大移動力を利用し、マップの両端を大きく迂回してきた。道路上から敵がやってくるものと予想していた米軍は完全に虚を突かれた。ソ連軍戦車は米軍部隊のいない間隙を縫いつつ、米軍の後方に一目散に殺到する。そこには無防備な米軍司令部部隊が壱集していたのだ。まず第2旅団司令部がソ連戦車の蹂躙を受けて撃破される。さらに第1旅団司令部もまたソ連戦車の餌食となった。いくら行軍隊形とはいえ、司令部から見れば戦車は強敵だ。対抗できる相手ではない。しかも移動力40である。アウトバーンを使えばマップの端から端まで往復できそうな移動力なので、生半可な防御スクリーンでは止める術はない。他の陸戦ゲームの如く端から端まで戦線を張るか、あるいは司令部を一か所に集めてその周りを友軍部隊で守るしかない。とはいえ前者を行うようなユニット数は元より存在せず、後者についても護衛ユニットの不足や逆に1ヶ所に集まることの不利を考えると、とても採用できない。第一、そんなことをしたらこちらの攻撃戦力を捻出できなくなり、とても攻勢実施になんて覚束ないではないか・・・。

こうして呆然とする筆者の目の前で2個旅団の司令部が瞬く間に蹂躙され、このゲームでの米軍の勝利も消えた。

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感想

まずは今回のプレイをコントロールして頂いた2人のコントローラーに感謝します。プレイヤーが心地よくプレイできるように様々な準備をして頂き、しかもプレイ中は膨大な作業をこなしていただいたコントローラーの方々には本当に感謝したい。

といいつつゲームの話になると、やはり古いゲームということもあり、手放しでは評価できない部分があったのもまた事実だ。細かい点は書かないが、作戦情報レベルの扱いやソ連軍の行軍隊形攻撃などは見直す余地があると思う(後者については、それこそソ連軍らしい縦深攻撃だ、という意見もあるかもしれない)。

システム的にもスタッフの扱いが細かすぎてもう少しシンプルにできないかと思う部分もあった。その一方で実際の戦闘場面はシンプルで、NAWシステムかと思うほどシンプル。このあたり、あえてミリオタする部分を軽く扱ってミリオタを嘲笑するような所が実にSPI的とは思うが、セールス的にはあまり受けないだろう。その点でいえば、本作と同様に司令部の能力を重視した作品であるAir & Armorの方が、上手くデザインしていると思える(後発なので当然ではあるが)。

情報処理システムについても自身の航空偵察や通信能力を作戦情報レベルの上昇とセクター索敵に分割するというルールがあるのだが、これも何を表現しているのか今一つピンと来ない。時間の経過と共に戦っている敵の正体が判明してくるということを表現したいのかもしれないが、直線的に情報量が増加するというのは変に感じる部分だ。

全体的なバランスについても疑問がある。ユニット数に比して戦線が広すぎて戦線を張り切れないのだ。また司令部の重要性に比して防御力が低すぎて、「ゲーム的に」戦うのなら大移動力を利用して敵戦線後方を狙い、司令部を潰した方が勝ち、という展開になりがちである。これはプレイヤーの技量の問題もあるかもしれないが、ゲームとしてアンバランスな感は否めない。

とまあこんな感じで、このゲーム、単純にゲームとして評価すると決して「不朽の名作」として手放しに評価できるものではない。むしろ欠点が目につき、ゲームとしては「欠陥品」と評して良いかもしれない。
とはい指揮統制に重点をおいてここまで詳細にデザインしたゲームは他にはなく、ある意味で究極のウォーゲームの一形態と言うこともできる。今では入手困難な作品であり、プレイする機会も少ないとは思うが、もし機会があれば是非プレイしてみて欲しい。筆者自身も機会があれば再戦したいと思っている。

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NATO Designer Signature Edition The Fulda Gap
機動の理論 The Art of Maneuver: Maneuver Warfare Theory and Airland Battle ソ連・ロシア軍 装甲戦闘車両クロニクル 幻の東部戦線

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かつてWargameを都会のおもちゃ屋さんで普通に購入できた時代があった。今から約40年前の1980年代のことである。大阪市の中心地にある阪急梅田駅は当時から現在と同じ場所にあったが、その梅田駅のガード下にある阪急三番街、その中にある「キディランド」というおもちゃ屋さんには、当時店頭に姿を見せ始めた国産のウォーゲームに混じって、AvalonHillやSPI、さらには魅惑的な箱絵であったヤキント社のゲームもずらりと並んでいたものである。「キディランド」は、京阪地区中高生ミリオタ達(当時ミリオタという言葉は勿論ない)にとって憧れの場所であったと思う。

店の中でとりわけ高級感の漂う一連のゲームがあった。いわゆるデカ箱と呼ばれているSPI社の高級ゲーム群である。Next War、NATO DIvision Commander、Operation Typhoon、Atlantic Wall等。当時でも1万円以上の価格であったこれらゲーム群は中高生の小遣いで手の届く代物ではなく、何か神秘的な雰囲気を醸し出していた。

あれから数十年。遂にその中の1作を実際にプレイする機会を得た。NATO Division Commander。ゲーム界の重鎮ジェームズ、ダニガンがデザインした現在戦ゲームで、西ドイツ中央部における米ソの対決を作戦戦術レベルで再現している。1Turnは8時間、1Hexは0.5マイル(約800m)に相当し、1ユニットは1個大隊を示している。

「NATO師団長」というタイトルのこのゲームは、タイトル通り師団長の活動を詳細に再現したSLGだ。基本的な部分だけを見ると、本作は大隊規模の作戦戦術級ゲームで、ZOCあり、ZOCからの離脱は原則禁止、移動中に攻撃実施、移動終了後のスタック禁止といったものだ。戦闘解決も1駒対1駒の戦力差方式。砲兵や航空機等もユニット化されておらず、全てポイント制である。基本システムだけを抜き出してみれば、作戦級ゲームとしてはシンプルな部類に入るかもしれない。「あの」SPIのゲームということで、超絶細かいシステムを予想していた筆者にしてみると、意外なほどシンプルなものであった。

が、しかし・・・

本作の「凄み」はそこではなかった。本作は移動、戦闘といった部分ではなく、その管理部分に焦点を当てたデザイン手法を採用していたのである。M60A3とT-72が撃ち合う場面を詳細に再現するのではなく、そのM60A3戦車大隊を実際に戦場に送り込み、敵と戦わせるために必要な管理活動を、これでもか、これでもか、というほど詳しく紹介しているのだ。
本作の中核を成すシステムがスタッフポイントである。これこそが師団長の管理能力そのものを示す数値で、特に重要なのが部隊の隊形変換。各ユニットは移動隊形や戦闘隊形など計13種類の隊形が用意されている。隊形によってユニットの移動力や戦闘力は大きく変わってくるが、例えば行軍隊形から攻撃隊形に変更するだけで多大なスタッフポイントを必要とする。スタッフポイントの総量は絶対的に不足していて、ユニットを常に適切な隊形に変更するに十分な量は全くない。だからプレイヤーは重点に絞って隊形変更するか、スタッフに過重労働を強いてスタッフポイントを捻出するか、あるいは各部隊の自主性に期待してダイスチェックに賭けるか・・・。なんにせよ、師団の運営という「事業」がいかに困難な事であるかをシステムを通じて再体験できるようになっている。さらにいえば、司令部自体もマップ上に置かれているので、司令部自体が砲爆撃や敵ユニットによる攻撃目標になりうる。敵の攻撃で司令部が潰されれば、スタッフの死傷その他によってタダでさえ少ないスタッフポイントが悲惨な事に・・・

情報戦に関するルールの詳細さも本作の特徴だ。盤上に敵ユニットが存在するとわかっていても、そこに砲爆撃を加えるためには索敵を行う必要がある。ここまで行くとまるで空母戦ゲームだが、極めつけはコントローラーゲーム。これは審判を導入したダブルブラインド方式で、偵察しなければ敵情は全く不明である。プレイヤーは偵察機を飛ばして敵を発見する必要があり、あとは自軍ユニットに隣接するヘクスしか見えない。ここまで来ると完全な空母戦ゲームだが、これはどちらかといえば教育用のルールで、実際の軍隊で使用することを想定しているように思う(第一、この方式だとコントローラーは超絶つまらない)。

隊形や疲労について詳しいルールがあるのも本作の特徴で、移動や隊形変更を行ったユニットは疲労レベルが上昇し、疲労を回復させるためには休息をとる必要がある。さらに敵の砲爆撃を受けたユニットは休息できない場合があるので、夜間の「嫌がらせ砲爆撃」が実際に効果を発揮することになる。

他にも電子戦や化学兵器、核兵器のルールもあり、複雑な現代戦の様相を余すところなく再現する。極めつけは師団長個人に関するルールで、これを導入すると師団長が戦況報告を聞かない限り、友軍が発見した敵の情報が師団長に届かないという事態も起こり得る。師団長による前線指揮、師団長の疲労、師団長の死傷などもルール化されているので、ここまで来るとまさに師団長ロールプレイゲームだ。師団長だけではなく師団の副官たちや麾下の旅団長、さらには大隊長の能力もレーティングされており、ここまで来たらもう立派な「師団長ロールプレイングゲーム」だ。面白いかどうかは別として・・・。

シナリオ

今回プレイしたシナリオは、シナリオ30.0「ジーゲンハイン攻囲戦」である。ソ連軍がフルダ峡谷西方のジーゲンハインに空挺降下作戦を実施し、それを米第8機械化歩兵師団が撃破に向かうというシナリオである。勝利条件は、ソ連空挺部隊が占拠するジーゲンハイン城塞の占領で、ゲーム終了時点でジーゲンハイン城塞ヘクスを占拠している側のプレイヤーが勝利する。
ゲームの長さは9Turn、つまり実際の3日間に相当する。第4Turnにソ連軍第11親衛戦車師団がマップ東端から登場するので、米軍としてはそれまでにジーゲンハイン城塞を奪取しておきたい。それに成功すれば、勝利にぐっと近づくだろう。

今回のプレイでは、コントローラーを使用したダブルブラインド方式でプレイしてみた。これは米ソそれぞれに専門のプレイヤーを配し、専門のコントローラーが両軍の状況を見て必要な情報をプレイヤーに提示する、というものである。まさに図上演習を地で行くようなプレイスタイルだ。今回、筆者は米軍を担当した。

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1Turn

このシナリオは、予めマップ上に配置されているソ連軍空挺部隊に対し、マップ西端から進入する米軍機械化師団が攻撃を仕掛けるという展開になる。通常の陸戦ゲームみたいにガッチリ前線を張るだけのユニットはもとよりないので、主要な交差点だけを押さえた拠点防御するような展開になるだろう。

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第1Turnの米軍は、ソ連側防衛ラインの弱点を探しつつ、それを拘束しながら主目標であるジーゲンハイン城塞を目指す。前線の2ヶ所でソ連軍空挺部隊との接触報告があった。索敵機動隊形の米戦車大隊がソ連軍空挺部隊を攻撃したが、ソ連空挺部隊の待ち伏せ攻撃を受けて2ステップを失う。戦車と空挺部隊との交戦と雖も、隊形が不整形、支援不十分な状態での攻撃は効果がないことを改めて教えられた。

そこで前線でソ連軍と接触した部隊は、ソ連軍部隊を拘束しつつその後方に回り込むことにした。このゲーム、指揮統制の部分はかなりモダンなシステムを採用しながらも、基本となる移動・戦闘の部分は妙にクラッシックである。NAWシステムよろしく一旦ZOCに拘束されたユニットは、原則としてZOCから離脱できないのだ。

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つづく



NATO Designer Signature Edition The Fulda Gap
機動の理論 The Art of Maneuver: Maneuver Warfare Theory and Airland Battle ソ連・ロシア軍 装甲戦闘車両クロニクル 幻の東部戦線

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Air & Armorは、米国Compass Games社が2024年に発表したSLGです。テーマは1980年代における西ドイツでの地上戦で、いわゆる仮想戦ゲームです。

以前にこのゲームのコンポーネント紹介動画とルール紹介動画を作成しましたが、今回は実際のプレイ風景を写した動画を作成しました。
この動画によってAir & Armorをプレイする人が一人でも増えてくれたら幸いです。




NATO Designer Signature Edition コマンドマガジン Vol.177『ヴュルツブルク』
ソ連・ロシア軍 装甲戦闘車両クロニクル 幻の東部戦線 機動の理論 M1 Abrams vs T-72 Ural: Operation Desert Storm 1991 (Duel Book 18)

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Air & Armor(以下、本作)は、米国Compass Games社が2024年に発表したSLGで、テーマは1980年代における西ドイツでの地上戦だ。元々は米国West End社が1985年に発売したゲームで、今回の作品はオリジナルから約40年後に発売されたリメイク版になる。

基本システムについては、以下の動画で既に紹介済なので、ご覧頂きたい。



今回プレイしたシナリオは、シナリオ1.Thermopylaeである。このシナリオは、本作では最もシンプルなシナリオである。登場兵力はWP軍が1個師団(東ドイツ第4自動車化狙撃兵師団)、NATO側が1個旅団(米第3歩兵師団第3旅団)である。WP軍はマップ北端から登場してきてMAP南端への突破を目指し、NATO側はその阻止を図る。

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1Turn

前進してくる東ドイツ軍機械化歩兵。それに対して兵力に劣るNATO軍はあまり広く散開せず、WP軍正面に部隊を展開しつつ縦深配備で待ち構える。

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2Turn

WG_AlphajetWP軍第22自動車化狙撃兵連隊がシュヴァインフルトを守る西ドイツ郷土防衛部隊を攻撃する。連隊の全火力を集中した攻撃であったが、郷土防衛部隊はよく耐えて、2ステップを失う損害を受けたが、その場から一歩も下がらなかった。
NATOが偵察によってWP軍砲兵部隊の居場所を突き止めた。ただちに航空機爆撃が要請される。手持ちの航空ポイント3ポイント前部を注ぎ込んで、やってきたのは最弱のAlphajet。がっくり。しかしAlphajet隊はキッチリ仕事をこなし、WP軍の虎の子砲兵部隊を壊滅に追い込んだ。

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3Turn

US_3_3_9_9WP軍2個自動車化狙撃兵連隊が、ブラッドレー2個中隊(2ステップ)が守るハンバッハ(Hambach 2916)を攻撃した。予めNATOによる予備投入を妨げるため電子妨害を行ったが、陣地化されたNATO軍に対して電子妨害は効果がなく、逆にNATO側の対電子戦攻撃を受けて貴重な電子妨害部隊を失ってしまう。
それでもWP軍2個連隊は猛攻撃を加えたが、増援に現れたM1A1エイブラムス2個中隊、155mm榴弾砲、さらにはAH-1コブラの防御射撃を受けて東ドイツ軍第22連隊はほぼ壊滅してしまう。残った第23自動車化狙撃兵連隊が攻撃を行い、なんとかM1A1エイブラムス1個中隊を撃破したが、戦果はそこまで。さらに対砲兵射撃を試みたBM-21ロケット砲が、逆にNATOのMLRSの対砲兵射撃を受けて壊滅。ここにWP軍の砲兵部隊は早くも全滅してしまう。

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4Turn

EG_22_4EG_4_3WP軍は正面からの突破を諦め、機動戦で戦線側面からの突破を狙う。広く散開してきたWP軍に対して、NATO側も散開を余儀なくされ、強力な機甲打撃部隊による反撃が困難になる。NATO軍は砲火力を東独第23自動車化狙撃兵連隊に向けて、砲爆撃によって3ステップの機械化歩兵を撃破した。

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5Turn

US_2-41_3_4_11_1WP軍は突破口を啓開すべく攻撃ヘリを投入してブラッドレー中隊を狙う。しかし攻撃の出目が悪くハインドによる攻撃は失敗に終わった。WP軍はこのTurnは強攻をせずに部隊を再展開する。
しかし何もしないことはWP側にとって状況を悪化させただけであった。偵察によってWP軍戦車部隊の所在を察知した米軍は、砲火力と攻撃ヘリを集中投入して戦車を叩く。砲爆撃によって戦車3個中隊を失ったWP軍は衝撃力を失う。さらにNATO軍は戦車と歩兵戦闘車のHexに陣地を構築し、WP軍による突破はより困難となる。

この時点でWP軍は突破を諦めて投了。この時点で獲得したVPは、NATOが18VP、WPが5VP で、勝利条件的にはNATOの圧勝となった。

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感想

EG_4_4EG_4_4ソロプレイの場合、お互いの兵力がわかるのがこのゲームでは難点になりそうだ。戦闘結果表に変動性が少ない本作の場合、彼我の兵力が判明すると、戦闘結果もほぼ読めるようになる。対人戦では敵の兵力がわからないことが一種のランダマイダーとして機能しそう。

この程度のシナリオなら慣れれば2時間程度で終わらせられそうだ。機動戦の基本を学ぶには丁度良いシナリオだと思う。次はもう少し登場兵力の多いシナリオに挑戦してみたい。

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コマンドマガジン Vol.177『ヴュルツブルク』
幻の東部戦線 JグランドEX世界の戦車全戦力ガイド 機動の理論 M1 Abrams vs T-72 Ural: Operation Desert Storm 1991 (Duel Book 18)

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