もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 第3次世界大戦

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5th Fleet(以下、本作)は、1989年に発売されたSLGで、テーマは1990年前後におけるインド洋での東西両陣営の海上戦闘だ。3枚のマップには、ペルシャ湾からマレー半島までの広大な地域が描かれており、米ソ両軍は勿論、英仏伊豪の西側諸国、インド、イラン、パキスタン、サウジアラビア等の地域主要国、ペルシャ湾岸諸国、イエメン、インドネシア、マレーシア、シンガポール等の中小国、そしてインド洋を航行する日本等の非武装タンカーが登場する。

本作は、フリートシリーズの第4作目で、1Turnは8時間、1Hexは45海里に相当し、1ユニットは艦艇1隻(一部は複数隻)、1個飛行中隊を表す。シナリオは基本シナリオが計9本、他に全部のマップを使用するキャンペーンシナリオが3本用意されている。

今回選んだのはシナリオ4「バルチスタン侵攻」。これはイランとパキスタンに侵攻し、インド洋沿岸に不凍港を手に入れたソ連軍に対し、アメリカを筆頭とする西側諸国が、イラン、パキスンタン、サウジアラビア、オマーン等、現地諸国の支援を得て反撃しようとするものである。参加者は計4名。筆者はソ連軍の水上部隊を担当した。

1~3Turn(第1日目)

フリートシリーズでは、1Turnが8時間で、朝、夕、夜に分かれている。朝のTurnに戦略航空作戦を行う。ソ連軍はペルシャ湾に航空戦力を集中し、航空偵察を実施。航行中のタンカーを次々と発見した。

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このシナリオでは、イランが西側陣営の味方になっている。そこでソ連軍はイラン中部に残っているイラン空軍の航空基地を攻撃する。Shiraz(3806)基地に対してTu-95HベアがKh-55(AS-15 Kent)巡航ミサイルを発射するも、基地の機能を奪うには至らず。その後にソ連空軍の戦爆連合部隊がShiraz基地を攻撃したが、イラン空軍のF-4ファントム、F-5タイガー2の迎撃を受けて攻撃は失敗する。

ペルシャ湾では、Tu16バジャーC、Tu-22Mバックファイアの編隊がペルシャ湾の西側艦隊を襲う。タンカーを守るサウジアラビア軍護衛艦艇数隻が対艦ミサイルを受けて撃沈される。

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オマーン湾では、戦略偵察によって発見されたソ連潜水艦「Ovseenko」(945型/シエラ型)に対して西側水上部隊が寄ってたかって攻撃を加えてきた。同艦に搭載されている巡航ミサイルの発射を意地でも阻止しようとしてきたわけだ。しかし「Ovseenko」は被弾しながらも沈没を免れて巡航ミサイルを発射し、オマーンのMuscat航空基地にダメージを与えた。さらに対潜攻撃を行ったことで西側の水上部隊が発見されるところとなる。ソ連側水上艦とミサイル原潜「Balkhash」(949型/オスカー型)が長距離ミサイル攻撃を行い、イタリア海軍のフリゲート艦2隻を撃沈した。

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4~6Turn(第2日目)

ソ連軍の輸送船団がパキスタンのジワニ港に向けて近づいてきた。米軍はジワニ(Jiwani)港とイランのチャー・バハール(Chah Bahar)港を破壊すべく、航空攻撃を仕掛けてきた。米軍の狙いは港湾を破壊することでソ連軍輸送船団の入港を阻止すること。輸送船団の入港がソ連側のVP得点源なので、それを断つのが目的であったが、果てさて・・・。

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ソ連艦隊は港に近づいていく。ソ連空母「トビリシ」(現「アドミラル・クズネツォフ」)の戦闘機がCAPの傘でジワニ港をカバーした。しかし米軍の攻撃隊はソ連戦闘機の防空網を突破して攻撃を実施。まずジワニ港を破壊した。

ソ連軍は残ったチャー・バハール港を何としても守り抜くべく「トビリシ」を同港に近づける。米軍も空母艦載機とMucatの海兵隊航空部で連続攻撃を実施する。激しい戦闘の末遂にチャー・バハール港は破壊されてしまう。この時点でソ連軍の輸送船団はほぼ無傷であり、それがチャー・バハール港に入港できないことで、ソ連軍は55VPを失うことになってしまう。

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これにより、NATO側の勝利が確定した・・・・?

結論と感想

と思ったが、納得できないのは筆者の方だ。シナリオの多くは港湾への輸送船の入港が勝利条件になっているが、その目的地の港湾を破壊することでVP獲得が不可能になるのであれば、港湾破壊は「必勝法」になってしまう。天下のVictory Gamesがそんな緩いゲームバランスを認める筈がない。そうだ、そうに決まっている。

とはいえ、私以外のプレイヤーは皆「港が破壊されたのだから、入港してもVP獲得はムリじゃね?」的な主張である。3対1で不利な状況であったが、ここで救いの神が・・・。

「ルールに書いてあるよ、5.2 Suurface Unit Movement」

と、別のプレイヤーから一言。食い入るように該当部分を読むと、果たして以下の文章が見つかった。

Unit may dock in damaged or destroyed ports.(ユニットは損傷又は破壊された港湾に入港できる)

これにより一気に逆転。ソ連側のVPが西側を上回り、ソ連側の勝利が確定した。結果的には輸送船団を守り切ったソ連軍が勝利を収めたことになる。

今回のプレイはプレイ時間約6時間だった。不慣れなプレイヤーもいたが、一応シナリオを完遂できたので良かったと思う。ただ、このような中規模シナリオでもほぼ丸1日かかってしまう点、もう少し何とかしたいとは思う。プレイ時間が伸びる原因は、長考とルール確認時間だ。長考については仕方がない面もあるが、ルール確認時間については工夫次第で短縮できないものか。何か妙案があれば良いのだが・・・。

それにしても久しぶりにフリートシリーズをプレイしてみたが、やはり面白かった。現代海戦を扱ったゲームの中では傑作と評して良いと思う。今度は別のゲームも挑戦してみたい。



Blue Water Navy Game Journal 81-米中激突:現代海戦台湾海峡編
海上自衛隊「空母」 いずも&かがマニアックス 海上自衛隊 護衛艦メカニズム図鑑 イカロスMOOK アメリカの航空母艦資料写真集 Cold War Submarines

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US_1_3_9_9Air & Armor(以下、本作)は、米国Compass Games社が2024年に発表したSLGで、テーマは1980年代における西ドイツでの地上戦だ。元々は米国West End社が1985年に発売したゲームで、今回の作品はオリジナルから約40年後に発売されたリメイク版になる。

基本システムについては、以下の動画で既に紹介済なので、ご覧頂きたい。



今回プレイしたシナリオは、シナリオ3.Out of the Fogである。このシナリオは、シュヴァインフルト北部から南下してメイン川渡河を目指すソ連軍第39自動車化狙撃兵師団と、それを阻止せんとする米第3歩兵師団第1旅団との戦いを描いたシナリオである。このシナリオは、以前に紹介したシナリオ2に比べると登場兵力はやや少なめだが、戦場はかなり狭い領域になっている。今回、うp主は米軍を担当した。



状況

US_1_3_9_9このシナリオは、ソ連軍が1個師団、米軍が1個旅団なので、兵力比でいえば2:1~3:1ぐらいでソ連側が優位に立っている。しかし米軍にも有利な点がいくつかある。それは、

 1)戦車性能が上回っている(米軍はM1A1エイブラムス、ソ連軍はT-62またはT-80)
 2)初期配置で全ユニットが陣地下にいる
 3)地雷原が設置されている

この中で一番有力なのが2)で、特に敵の砲爆撃を受けた際に有利になる。実際にプレイしてみるとわかるが、このゲーム、陣地の効果はかなり大きい。特に砲爆撃に対する抵抗力がかなり異なってくる。だから初期配置の段階で全てのユニットが陣地下にいるというのは結構大きい利点になる。

セットアップ

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上の写真はセットアップ時の状況である。このシナリオでは、マップの上半分しか使用しない。従って赤い透明チップを含むヘクスから下の部分はシナリオでは使用しない。ソ連軍はマップの左側から進入し、中央右側を流れるメイン川渡河を目指す。米軍はそれに対して道路沿いに縦深配備している。本気で戦えば兵力差で押しつぶされてしまうので、序盤は地積を利用して遅退戦術を行う構えだ

1~2Turn

US_2_11_5_4ソ連軍は順次マップに進入してくる。米軍はチョークポイントに機甲偵察大隊を配置して遅退行動を行う。道路上を前進してくるソ連軍に対して米軍の砲兵部隊が遠距離射撃を行い、若干の戦果を上げた。

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3Turn

RU_117G_39G_4_3霧が晴れた。最前線を進むソ連軍第117自動車化狙撃兵連隊が、米軍の戦車部隊と接敵した。ソ連軍の兵力は1個連隊、米軍は2個中隊程度の戦車部隊である。兵力差ではソ連側が圧倒的に有利であったが、戦闘の結果は逆であった。米軍戦車は陣地を利用して待ち伏せ戦闘を行い、さらに砲兵支援もあった。しかも地形は比較的開けていて戦車の性能が発揮し易い状況である。ソ連の自動車化狙撃兵連隊は米戦車の反撃を受けて兵力の半数以上を失い、瞬時に戦闘力を失った。

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4Turn

取りあえず1個連隊を撃破したが、戦線左翼ではソ連軍の2個連隊が米軍の防御ラインを抜けてシュヴァインフルトに迫ってきた。
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米軍は諸兵科連合のタスクフォースを編制し、最前線を進むソ連部隊に反撃を加えた。激しい戦いで米軍も機械化歩兵2個中隊を失ったが、ソ連軍の1個連隊に打撃を与えてその先鋒を挫いた。

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戦線右翼を前進してきたソ連軍の戦車連隊に対し、M1戦車の1個大隊が反撃を加えた。戦車性能に勝る米軍戦車は、ソ連戦車を各個に攻撃し、これに大きな損害を与えた。

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5Turn

US_A-10ソ連軍の先鋒がメイン川に近づいて来たので、米軍砲兵部隊は、ADM(空中発射型散布地雷)をソ連軍の進撃路に散布してその進撃を止めようとした。しかしソ連軍の中で唯一無傷の第120狙撃兵連隊が散布地雷原を強行突破し、遂にメイン川に取りついた。

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米軍部隊は航空支援を要請。A-10サンダーボルトの1個中隊が飛来した。最前線を進むソ連機械化歩兵部隊を攻撃し、約1個大隊の戦力をスクラップにした。

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6Turn

RU_120G_39G_3_3ソ連軍自動車化歩兵の一部がメイン川を渡河し、対岸に橋頭保を築いた。米軍は戦車2個中隊をメイン川南岸に移動し、渡河してきたソ連軍に反撃を行う布陣をしく。さらに前線に進出してきたソ連軍砲兵部隊を偵察部隊が発見。MRLS部隊が先制射撃を加えてソ連自走砲部隊を撃破した。

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感想

RU_15G_39G_5_4この時点でゲーム終了とした。このシナリオは全7Turnとなっているので残りは1Turnだが、残り1Turnではソ連軍の渡河できる兵力が限られており、勝利条件的にソ連側の勝利が不可能と判断されたためだ。
米軍の勝因はソ連側に大きな損失を強いた事。それにより獲得したVPに大きな差がついたためだ。陣地に籠ってソ連側に出血を強いつつ、適宜反撃して各個撃破を図った作戦が図に当たった形となった。
ソ連側プレイヤーの談としては、序盤に米軍の砲撃によって複数の工兵隊を失ったのが痛かったとのこと。確かに工兵部隊は目立たないが、本作では陣地構築、渡河支援、地雷掃討など、結構重要な役割を担っているので、不用意に失うことは禁物かもしれない。

それにしてもAir & Armorは面白い。ルールは比較的シンプルながら、歩戦連合部隊の作戦と遠戦兵器による長距離打撃を同時に楽しむことができる。さてさて、次はどのシナリオをプレイしようかな?

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NATO Designer Signature Edition
コマンドマガジン Vol.177『ヴュルツブルク』 コマンドマガジン Vol.181『北海道侵攻』 Game Journal 81-米中激突:現代海戦台湾海峡編
コマンドマガジン Vol.181『北海道侵攻』 幻の東部戦線 機動の理論 A-10サンダ-ボルトII 世界の名機シリーズ

250225_CMJ181_北海道侵攻_紹介動画


コマンドマガジン Vol.181『北海道侵攻』 「北海道侵攻」は、1995年にソ連軍が北海道に侵攻した状況を再現する仮想戦ゲームです。 このゲームは元々翔企画がSSゲームの1つとして1988年に発売した作品で、今回のゲームはそのリメイク版です。 メインテーマは北海道での地上戦で、1Hex=30km、1Turn=1日、1ユニット=連隊~旅団規模です。また航空機ユニットも登場し、1ユニット=1個スコードロンレベルで北海道上空の航空戦を含めて再現します。 今回は「北海道侵攻」のコンポーネントとプレイ風景を紹介する動画を作成しました。



コマンドマガジン Vol.181『北海道侵攻』 コマンドマガジン Vol.177『ヴュルツブルク』
幻の東部戦線 ソ連・ロシア軍 装甲戦闘車両クロニクル 提督が解説する海上自衛隊艦隊と軍艦のすべて 2024年 09 月号 [雑誌]: 軍事研究 別冊 海上自衛隊 護衛艦メカニズム図鑑 イカロスMOOK

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「フリートシリーズ」- 世界の海を舞台にした冷戦時代の海戦シミュレーション!

アメリカ海軍とソ連海軍が全世界の海の覇権を巡って激突する。「フリートシリーズ」は、艦隊編成、空母戦闘、潜水艦戦、上陸作戦、補給線維持など、本格的な現代海戦の要素をすべて詰め込んだウォーゲームだ。

各ターンは「潜水艦」「水上艦」「航空戦力」の3フェーズに分かれ、プレイヤーはどのフェーズを実行するかを選択。索敵と情報戦が勝敗のカギを握り、敵艦隊を見つけられなければ攻撃すらできない。核兵器や補給のルールを導入すれば、よりリアルな戦略的思考が求められる。

フリートシリーズは以下の5本のゲームよりなる
 ・Sixth Fleet:シリーズ第1作で地中海における米ソの対決を扱う。フリートシリーズの基本を詰め込んだ作品だ
 ・2nd Fleet:シリーズ第2作目で北大西洋~ノルウェー海での米ソの対決を扱う。索敵ルールと戦闘ルールが詳細になり、より細かい戦闘を再現可能となった
 ・7th Fleet:シリーズ第3作目で極東水域での米ソの対決を扱う。海空自衛隊も登場し、日本が主要な戦場になる。潜水艦の非脆弱性を表すため索敵ルールを改訂し、よりリアルなプレイが可能となった。フリートシリースのシステムがほぼ完成した作品
 ・5th Fleet:シリーズ第4作目でインド洋での戦いを扱う。CRTに改訂が加えられ、米ソの最新鋭潜水艦が戦列に加わった。空母「トビリシ」も登場する
 ・3rd Fleet:シリーズ最終作でベーリング海、カリブ海、英本土周辺での戦いを描く。今までの作品で扱っていなかった海域を扱っている。

各ゲームにはそれぞれ12本前後のシナリオが含まれており、簡単なものから徐々にステップアップできるようになっている。また個々のゲームは完全に独立しているため、個別のゲームとしてプレイ可能だ




Blue Water Navy Game Journal 81-米中激突:現代海戦台湾海峡編
海上自衛隊「空母」 いずも&かがマニアックス 海上自衛隊 護衛艦メカニズム図鑑 イカロスMOOK アメリカの航空母艦資料写真集 Cold War Submarines

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「NATO師団長」というタイトルのこのゲームは、師団長の活動を詳細に再現したSLGだ。基本的は大隊規模の作戦戦術級ゲームだが、そこにスタッフ管理や情報、部隊運用等に関する詳細なルールが加わることで、まさに「師団長ロールプレイングゲーム」とも言うべき難解なゲームとなっている。

今回プレイしたシナリオは、シナリオ30.0「ジーゲンハイン攻囲戦」である。ソ連軍がフルダ峡谷西方のジーゲンハインに空挺降下作戦を実施し、それを米第8機械化歩兵師団が撃破に向かうというシナリオだ。さらに今回はコントローラーを使用したダブルブラインド方式でプレイしてみた。専門のコントローラーが両軍の状況を見て必要な情報をプレイヤーに提示するという、まさに図上演習を地で行くようなプレイスタイルだ。

今回、筆者は米軍を担当した。

前回までの展開-->こちら

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2Turn

攻略目標であるジーゲンハイン要塞付近に航空偵察を行い、ソ連軍の布陣を確認した。予想通りソ連軍は降下してきた2個空挺連隊のうち、1個連隊をジーゲンハイン要塞の守備に回していた。米軍は麾下の3個旅団のうち、1個旅団をマップ北端の警戒のために展開し、残り2個旅団をジーゲンハイン要塞に向けた。
下の写真は第2Turnの米軍Turn終了時点での米軍マップ状況である。ソ連軍についての情報はコントローラーが与える索敵情報に基づいている。ソ連軍のマップには、実際のユニットが配置されていることだろう。

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3Turn

夜になった。米軍部隊は休息をとるべく活動を停止する。しかしそのような米軍部隊に対してソ連軍の砲火が降り注ぐ。「空挺部隊のくせに、なんでそんなに砲撃支援があるんだよ?」と思いたくなるような猛砲撃だ。お蔭で米軍部隊の約半数が安眠妨害されて疲労レベルを回復させることができなかった。幸いなことに、ジーゲンハイン城塞への主攻撃を担当する米戦車大隊は砲撃を免れていたため、安眠を妨げられることはなく、翌朝気分よく目覚めることができた。

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4Turn

このTurn、ソ連軍第11親衛戦車師団が盤外から登場してくる。米軍としては何としても彼らが戦場に辿り着く前にジーゲンハインを占領し、守りを固めておきたい。これまでの経験でこのゲーム、攻撃側に厳しく防御側に優しい。一旦米軍の機械化歩兵大隊がジーケンハインの城塞を占拠し、そこに布陣すれば、いかに強力なソ連戦車部隊と雖も、それを奪回するのは容易ではないだろう。

攻撃に先立ち、敵戦線背後に進出していた米機械化歩兵大隊が後方のソ連軍司令部を襲撃する。空挺師団司令部を蹂躙した機械化歩兵旅団は、他の部隊と共同でジーケンハインを守るソ連空挺部隊を孤立化させた。これでお膳立ては整った。

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ジーケンハイン前面に布陣した米軍部隊がジーケンハインの城塞に猛攻撃を加える。後方を遮断されたソ連軍空挺部隊は、友軍の支援を欠いた状態で、それでも孤軍奮闘する。中世の城塞を利用したジーケンハインの守りは固く、最初の米戦車大隊による攻撃はソ連空挺部隊に大損害を強いたものの、城塞そのものを奪取するには至らなかった。

しかし勇敢なソ連空挺部隊による抵抗もここまでだった。引き続いて攻撃してきた米機械化歩兵大隊の攻撃よりさしもの空挺部隊も壊滅。ジーケンハインの城塞は米軍の手中に帰した。

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「よし、これで勝った」
米軍プレイヤー(つまり筆者)は安堵した。しかしこれが誤りであったことはすぐに判明する。ソ連軍第11親衛戦車師団による猛反撃が始まったのだ。ソ連軍戦車は行軍隊形をとってマップに進入してくる。行軍隊形というのは移動力40になるという本作では最も移動力の大きい隊形である。ただし行軍隊形の場合、相手に攻撃されたら不利な修正が適用されるので、正直筆者はそれほど恐れていなかった。

が、それが間違いであった。

ソ連軍戦車部隊は、40という大移動力を利用し、マップの両端を大きく迂回してきた。道路上から敵がやってくるものと予想していた米軍は完全に虚を突かれた。ソ連軍戦車は米軍部隊のいない間隙を縫いつつ、米軍の後方に一目散に殺到する。そこには無防備な米軍司令部部隊が壱集していたのだ。まず第2旅団司令部がソ連戦車の蹂躙を受けて撃破される。さらに第1旅団司令部もまたソ連戦車の餌食となった。いくら行軍隊形とはいえ、司令部から見れば戦車は強敵だ。対抗できる相手ではない。しかも移動力40である。アウトバーンを使えばマップの端から端まで往復できそうな移動力なので、生半可な防御スクリーンでは止める術はない。他の陸戦ゲームの如く端から端まで戦線を張るか、あるいは司令部を一か所に集めてその周りを友軍部隊で守るしかない。とはいえ前者を行うようなユニット数は元より存在せず、後者についても護衛ユニットの不足や逆に1ヶ所に集まることの不利を考えると、とても採用できない。第一、そんなことをしたらこちらの攻撃戦力を捻出できなくなり、とても攻勢実施になんて覚束ないではないか・・・。

こうして呆然とする筆者の目の前で2個旅団の司令部が瞬く間に蹂躙され、このゲームでの米軍の勝利も消えた。

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感想

まずは今回のプレイをコントロールして頂いた2人のコントローラーに感謝します。プレイヤーが心地よくプレイできるように様々な準備をして頂き、しかもプレイ中は膨大な作業をこなしていただいたコントローラーの方々には本当に感謝したい。

といいつつゲームの話になると、やはり古いゲームということもあり、手放しでは評価できない部分があったのもまた事実だ。細かい点は書かないが、作戦情報レベルの扱いやソ連軍の行軍隊形攻撃などは見直す余地があると思う(後者については、それこそソ連軍らしい縦深攻撃だ、という意見もあるかもしれない)。

システム的にもスタッフの扱いが細かすぎてもう少しシンプルにできないかと思う部分もあった。その一方で実際の戦闘場面はシンプルで、NAWシステムかと思うほどシンプル。このあたり、あえてミリオタする部分を軽く扱ってミリオタを嘲笑するような所が実にSPI的とは思うが、セールス的にはあまり受けないだろう。その点でいえば、本作と同様に司令部の能力を重視した作品であるAir & Armorの方が、上手くデザインしていると思える(後発なので当然ではあるが)。

情報処理システムについても自身の航空偵察や通信能力を作戦情報レベルの上昇とセクター索敵に分割するというルールがあるのだが、これも何を表現しているのか今一つピンと来ない。時間の経過と共に戦っている敵の正体が判明してくるということを表現したいのかもしれないが、直線的に情報量が増加するというのは変に感じる部分だ。

全体的なバランスについても疑問がある。ユニット数に比して戦線が広すぎて戦線を張り切れないのだ。また司令部の重要性に比して防御力が低すぎて、「ゲーム的に」戦うのなら大移動力を利用して敵戦線後方を狙い、司令部を潰した方が勝ち、という展開になりがちである。これはプレイヤーの技量の問題もあるかもしれないが、ゲームとしてアンバランスな感は否めない。

とまあこんな感じで、このゲーム、単純にゲームとして評価すると決して「不朽の名作」として手放しに評価できるものではない。むしろ欠点が目につき、ゲームとしては「欠陥品」と評して良いかもしれない。
とはい指揮統制に重点をおいてここまで詳細にデザインしたゲームは他にはなく、ある意味で究極のウォーゲームの一形態と言うこともできる。今では入手困難な作品であり、プレイする機会も少ないとは思うが、もし機会があれば是非プレイしてみて欲しい。筆者自身も機会があれば再戦したいと思っている。

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