もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 日清日露戦争

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特集は「日本海海戦」。個人的には興味のあるテーマで読みごたえもあった。他には第4次中東戦争の記事が面白かった。イスラエル側だけではなく、アラブ側の事情にも踏み込んだ解説になっていた。シャーマン戦車の解説も面白かった。

お奨め度★★★

歴史群像 2024年6月号-日本海海戦/第4次中東戦争
歴史群像 2024年4月号-戦艦武蔵建造
歴史群像 2024年2月号-中東戦争航空戦1948-73
歴史群像 2023年12月号-日本機動部隊
歴史群像 2023年10月号-特集:ドイツ空軍の東部戦線
歴史群像2023年8月号-マリアナ沖海戦
歴史群像 2023年6月号-日本海軍駆逐艦全史
歴史群像 2023年4月号-海上護衛戦


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二百三高地

東映

1980年に公開された日本製の戦争映画である。この時期の東映戦争映画は、1981年の「連合艦隊」、1982年の「大日本帝国」といった作品があり、現在見直しても楽しめる作品群となっている。
この「二百三高地」はタイトル通り日露戦争最大の激戦地となった旅順攻略戦を大河ドラマ風に描いた作品である。作品のスタートは満州のハルピンでロシア軍の2人の日本人が処刑される所からスタートする。横川省三と沖禎介。実在するこの2人の処刑が日本のロシアに対する抵抗の象徴として描かれ、その後にタイトルバックとなり、当時の東アジアの情勢説明となる。
この作品は、最前線で戦う兵士達と作戦指揮をとる高級司令部の2つの視点から旅順攻略戦が描かれている。最前線については、金沢第9師団の歩兵部隊に所属する本作の主人公小賀武志(あおい輝彦)と彼の部下たちの姿を通じて描かれている。当初は平和を愛し、ロシアに愛着の念を抱いていた小賀が、苛烈な戦闘経験を通じて次第に変貌していき、最後はロシア兵を激しく憎むように変化していくさまが本作の見どころの1つだ。また小賀達以外にも旅順攻略を戦う日本兵たちの悲惨な有様がこれでもかこれでもかと描かれ、特に前半のクライマックスであるカポニエールでの戦いは、トラウマになりそうな悲惨な景観である。
もう1つの見どころは旅順攻略を巡る作戦指揮の部分である。本作が公開されていた1980年代は、いわゆる「司馬史観」が幅を効かせており、本作で描かれている旅順攻略戦も概ね司馬遼太郎の名作小説「坂の上の雲」での史観に準拠している。つまり第3軍の司令部は頑迷固陋で徒に自軍の損害を増やす。苦戦する第3軍を救ったのは児玉源太郎の巧みな作戦指揮にあったとする説である。因みに児玉源太郎を演じるのは丹波哲郎。乃木希典は仲代達也が演じた。
BGMはさだまさし。「海はぁ、死にますか・・・」。当時もヒットした曲だが、今見ても映像と見事にマッチしていて心地よい、劇中では2度ほど流れるのだが、いずれの場面でも映像と音楽の融合が見事である。
今から40年以上も前の古い作品だが、現在の目から見ても十分の見ごたえのある作品である。歴史的な視点で言えば、現在の目から見ればやや古い見解(いわゆる「司馬史観」)も見受けられるが、その点を差し引いても見どころの多い作品である。

お奨め度★★★★

日露戦争の勝敗の分かれ目となった“二百三高地”をめぐる攻防戦を描いた作品。総製作費15億円の巨費を投じ、準備から撮影完了まで3年の歳月をかけて製作された。


NHKが2009年から2011年まで3年に渡って放映した大型歴史ドラマ「坂の上の雲」は、小説家司馬遼太郎氏の原作を元に作成されたTVドラマだ。このドラマは海軍大学でのウォーゲームの場面が出てきたり、日本海海戦での日本艦隊とロシア艦隊との砲戦がリアルに再現されているなど、個人的にも好きなドラマの1つである。

ところでこのドラマ、原作と比べると、いくつか異なる点がある。一番大きいのは女性の扱いで、原作では主人公秋山兄弟の家族を含めて殆ど女性の活躍シーンがない(要するに女っ気のない作品)のだが、TVドラマでは秋山兄弟の奥方や正岡子規の妹がかなりクローズアップして描かれている。

まあ原作でも正岡子規の妹や秋山兄弟の結婚話は一応触れられているし、TVドラマだからやはり「色気」が必要だというのは理解できなくはない。

しかし、中には「ドラマの上の演出」を逸脱するような「創作」が含まれている場合がある。しかもその内容が、まるで中国製の反日映画のような内容なのだから、困ったものである。

2009年12月20日に放映された第4回放送。そこでは日清戦争に従軍した正岡子規が描かれている、原作では子規の従軍について「こどものあそびのようなものにおわった」とアサッリ記載されているだけだが、TVドラマでは現地で取材をする子規の姿が描かれている。

それだけなら別に問題ないのだが、問題なのはその描き方だ。
子規らを引率していた日本軍の下士官らしき人物が、中国の現地人に対して横暴を働いた上、それを止めようとした子規に対して暴言を吐きながら刀を抜こうとしたのである。この場面を見れば、この下士官らしき人物は「とんでもない人物」となるが、それだけにとどまらず「日本軍が戦地で悪逆非道なことを行った」ような印象を視聴者に植え付けることになる。穿った見方をすれば、NHKは視聴者の旧日本軍に対するイメージを悪く印象付けるために敢えてこのような演出を挿入したとも思えてくる。

繰り返すが、このような場面はTVドラマだけで描かれている場面で、原作には全くない。さらに言えば、原作の中で日本軍が中国の現地で強奪や強姦の類を行った等という記述も全くない。
(史実がそうだった、と主張している訳ではないので、念のため)

原作には全くなかった場面を、しかも一方的に旧日本軍に対するイメージを悪くするような場面を盛り込む必要があるのか。そこにNHKの隠された意図を見るように思えるのは、筆者の考えすぎだろうか・・・。

まあNHKという立場上、右からも左からも攻撃されるので、バランスをとるのが難しいのかもしれない。だから単に左傾化と単純に括るのも確かに早計とも感じるが・・・・。


兵隊さん


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以前に紹介したが、盆栽ゲームズの「Red Sun Blue Cross」は、日露戦争の海上戦闘を戦略レベルで扱ったシミュレーションゲームだ。A3マップで日本周辺の海域が描かれ、エリア方式で6つのエリアが描かれている。1ユニットは1隻の艦船(主要な艦がユニット化されている)、1Turnは数ヶ月で、日露戦争の全期間を再現する。

ゲームの雰囲気は、War at Sea(又はVictory at Sea)に似ている。強力な日本軍は陸軍の護衛や海域の支配等、守るべきものが多い。もちろん「全てを守ろうとするものは全てを失う」ので、そこはメリハリをつける必要がある。対するロシア軍は日本軍の弱点を突けば良いので比較的やりやすい。ただし、戦闘力自体は日本軍の方が強力なので、まともに撃ち合えば不利である。

取り敢えずお試しでソロプレイしてみたが、日本軍がムツカシイ。3度試してみて3回とも日本軍のサドンデス負けであった。しかしこれは決してバランスが悪いという訳ではなく、慣れの問題であろう。日本軍プレイヤーにある程度の熟練が必要なことは確かなようだ。

ルールは簡単で口頭説明でもすぐにプレイ可能である。1回のプレイが本当に1時間以内で終わる所が凄い。ただしプレイ時間が短い割に考える所が多いので、所謂「パズルチックな」感じがする。その辺り、好みの分かれる所だろう。
ゲーム例会などで時間が余った時にプレイするには好適なゲームだと思う。

全景




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Great War at Sea(GWaS)シリーズは、第1次世界大戦前後における海上戦闘を作戦レベルで再現するシミュレーションゲームシリーズだ。ユニットスケールは原則として1隻1ユニット、ただし駆逐艦以下の小型艦は複数艦で1ユニットを構成する。マップは作戦マップと戦術マップに分かれ、作戦マップは段差型スクエア(TAHGCの"Bismark"と同じ)で、1スクエアは実際の36海里に相当する。戦術マップはヘクス方式で1Hex=8000yd。1Turnは実際の4時間に相当する。
"1904-1905"(以下、本作)は、GWaSシリーズの1作品で、テーマは日露戦争。同戦争における日本とロシア両海軍の対決を8本の戦闘シナリオ、11本の作戦シナリオ、2本のキャンペーンシナリオで再現する。今回はその中から作戦シナリオの1本であるOperationnarl Scenario#9 "Breakout and Pursuit"をプレイした。これは1904年8月10日の黄海海戦を作戦レベルで再現するシナリオである。私は日本軍を担当する。

前回まで-->こちら

1904年8月13日

AMC01朝鮮半島南西端の木埔木浦沖で東郷艦隊は旅順艦隊主力を捉えた。艦橋で小躍りする秋山参謀。しかしロシア艦隊は日本艦隊の追撃を巧みに回避し、再び霧の中に姿を消していった。切歯扼腕して悔しがる秋山参謀。
その頃、下北半島の東方沖から急電が飛ぶ。ロシアの仮装巡洋艦が下北半島沖に現れたのだ。蜘蛛の子を散らすように逃げる日本の商船。日本海を東に進む第2艦隊の分遣隊(装甲巡洋艦2、防護巡洋艦3、出羽少将麾下)は津軽海峡へ向けて急進する。

1904年8月14日

木埔沖で再び日露の主力艦隊が相まみえた。ロシア艦隊は戦艦6、巡洋艦3の計9隻。日本艦隊は戦艦4、装甲巡洋艦6、防護巡洋艦2の計12隻である。日本艦隊は先に対馬を出撃した上村艦隊との合流を既に終えていた。

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IJN_AC08Nisshin隻数で優る日本艦隊であったが、戦艦の隻数で優るロシア艦隊に苦戦を強いられた。戦艦「敷島」が多数の命中弾を受けて損傷する。装甲巡洋艦「常磐」も集中砲火を受けてその搭載火砲全てが使用不能になる。一番集中攻撃を受けた装甲巡洋艦「日進」は、多数の命中弾を受けて沈没していった。
日本艦隊も負けてはいない。戦艦「セバストポール」は日本戦艦の放つ大口径砲弾を受け、弾薬庫に命中を受けて爆沈した。装甲が弱いために日本側中口径砲に狙われまくったロシアの巡洋艦「パラーダ」「アスコリド」「ディアナ」も多数の命中弾を受けて沈没していった。それでも重装甲を誇るロシア戦艦は、中口径砲の砲撃を受けても良く耐えていた。

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IRN_B11Tsesarevitch劣勢のロシア艦隊は雷撃戦に活路を求めた。ロシア戦艦、巡洋艦が次々と魚雷を発射する。その1本が日本の戦艦「富士」に命中。機関部に損害を受けた「富士」は航行不能に陥ってしまう。日本艦隊は敢然と敵に突撃。至近距離から雷撃を敢行する。戦艦「ポルタワ」には1本の魚雷が命中。こちらは「ポルタワ」に大浸水を引き起こして「ポルタワ」は航行不能となってしまう。戦艦「ツェサレーヴィチ」には魚雷2本が命中。こちらも大破したが、航行能力には未だ支障がなかった。

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この時点でロシア軍には5隻の戦艦が残っていた。うち1隻「ポルタワ」は航行不能、もう1隻「ツェサレーヴィチ」は大破してほぼ戦闘不能、「レトヴィザン」が中破し、残り2隻は無傷であった。一方の日本軍は、戦艦「富士」が航行不能、戦艦3隻が中破。装甲巡洋艦は1隻「常磐」が大破して戦闘不能、2隻「浅間」「八雲」が中小破、2隻「春日」「磐手」が無傷であった。未だに両軍の戦闘は予断を許さない状況であった。この戦いはどちらか一方が完全に倒れるまでは決して終わることがないだろう。

感想

この時点で単なる殲滅戦の様相を呈してきたので、一旦お開きにすることにした。ここまでで25Turnが終了。全体の約42%で所要時間は約6時間である(セットアップ含む)。仮に最終Turnまでプレイするとしても1日でかなり良い所まで行けそうだ。
感想としては、 前回にも書いた が、戦術戦闘のルールが面倒だ。殆ど戦術的な選択肢がないのにやたらと手間がかかり、しかも結局はダイス勝負である。しかも決してリアルではない(何か変な海上戦闘になる)。手間がかかる理由は、射撃の機会が多い(1ラウンドあたり5回もの射撃機会がある)上、命中判定の後に損害判定で2D6を振る必要があるからだ。これが結構面倒だ。さらに損傷艦が出れば火力減少が発生するので、各艦ごとに現時点での火力をチェックする必要がある。これらの手間が「楽しい」行為ならまだ許せるが、決して楽しい訳ではなく、単に面倒なだけである。
また水上戦闘の「死ぬまで戦う」システムにも問題を感じる。一旦水上戦闘に入り、両者が射程距離内に入った場合、余程の視界不良や夜間ではない限り戦場離脱は殆ど不可能になる。結局水上戦のダイス目勝負になり、戦略・戦術的な面白さはなきに等しい。

とまあ、ここまで悪口を書いたが、評価できる点もある。まず作戦機動の部分は極めて面白い。マップ1枚で艦隊を動かすタイプのゲームであるが、事前に航路をプロットしておく必要があり、海上作戦の「ままならなさ」は上手く表現されている。しかもシチュエーション的な切り取り方も見事で、今回の黄海海戦について言えば、旅順方面から出撃する旅順艦隊とウラジオストクから出撃するウラジオ艦隊。その両面に対処しなければならない日本軍の戦略など、それなりに複雑な状況を楽しめる。戦術戦闘部分さえ無視すれば、それ以外の部分は結構面白い作品といえる。

作戦級の海戦ゲームといえば、空母戦ゲームは結構あるものの、空母が出てこない時代の作戦級海戦ゲームは意外と少ない。今回紹介したGWaSシリーズはその数少ない例外だが、システムを見る限り決定版とは言えない。そういった意味では未だ未開拓の分野であり、今後の発展が期待できる分野ともいえる。作戦級で描く日露海戦。

誰か作ってくれないかな・・・。

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