グッドラック戦闘妖精・雪風
神林長平 早川書房
『戦闘妖精・雪風』の続編として期待して読み始めたが、正直なところ前作ほどの面白さは感じられなかった。第1作で魅力的だったのは、戦闘機の精密なメカ描写や、息を呑むような空中戦の緊張感だった。雪風という機体そのものがキャラクターとして立ち上がり、深井零との関係性が戦闘行為を通して描かれることで、物語に強い推進力が生まれていた。
しかし本作では、その魅力が大幅に後退してしまっている。戦闘シーンは減り、メカニックの描写も控えめになり、シリーズの核だった“戦場のリアリティ”が薄れてしまった印象だ。代わって前面に出てくるのは、ジャムという得体の知れない存在の本質を探るための、哲学的・心理学的な議論である。もちろん、神林作品における思索的なテーマは魅力のひとつだが、今回はその比重があまりに大きく、物語のテンポを損ねているように感じた。
ジャムとは何か、人間とは何か、認識とは何か――こうした問いが繰り返し提示されるものの、議論は抽象的で、読者を置き去りにしたまま進んでいく場面も多い。前作で感じた「戦場に立つ人間と機械の緊張感」や「雪風という存在の異様な魅力」が、今回は霧の中に溶けてしまったようだ。シリーズの方向性として“解明”に向かうのは理解できるが、物語としての面白さよりも概念的な議論が優先されてしまった印象が強い。
続編として期待していただけに、今回の内容にはどうしても物足りなさが残る。筆者が描こうとした「人間と機械の境界」「異質な存在との接触」というテーマ自体は興味深く、シリーズ全体の大きな構想の中では重要な位置づけなのだろう。だが単体の作品として見たとき、前作の持っていた緊張感や興奮を期待すると、どうしても落差を感じてしまう一冊だった。
お奨め度★★★












