
第三次世界大戦(1)
大石英司 中央公論
太平洋を舞台として米中の全面戦争がテーマの仮想戦記だ。設定は恐らく2020年代だろう。とあるテロ事件をきっかけに米中でサイバー戦争が起こり、その結果米国で多くの死者が出た。それに怒った米軍が動き出し・・・。という感じで米中の全面対決へ向かうのかな?。それは読んでみてのお楽しみ。
そこそこボリュームがあるが、偶発的な事態が武力衝突に発展していく過程が丹念に描かれている。荒唐無稽な展開でもなく、かつ読んでいて楽しい作品。続編を読むのが楽しみだ。
お奨め度★★★















南西諸島沖に集結した中国艦隊。そのまま与那国島に接近し、師団規模の部隊を上陸させた。すわ、中国軍による侵攻か。自衛隊は沖縄近海に出動していた第1護衛隊群に加えて佐世保の第2護衛隊群、呉の第4護衛隊群にも沖縄近海への出撃を命じた。
中国軍は与那国島に続いて尖閣諸島にも上陸。魚釣島に特殊部隊を上陸させて同地を支配する。自衛隊は3個護衛隊群を集結させた大艦隊を宮古諸島沖に集結させて中国側を牽制する。今の所、中国軍による日本領土への進攻はあったものの、いずれの側からも実弾射撃はない。東シナ海の海は緊張した空気に張りつめる中、日本政府は非軍事的な解決方法を探るべく必死の外交努力を行う(ということにしておこう)。
八重山諸島を守備する自衛隊を爆撃するべく数十機の中国軍機が日本領空内に飛来してきた。那覇を発進した航空自衛隊のF-15戦闘機がそれを迎撃する。この時点で未だ中国側からの「攻撃行為」はなかったので、攻撃を躊躇う自衛隊機。それでも現場からは射撃許可を求める矢の催促。

イベントで「陸自部隊の事前配備」が発生。中央即応連隊を与那国島の比川山中に配置する。
尖閣諸島を奪回すべく特殊部隊を搭載した海上自衛隊が誇る潜水艦9隻が尖閣諸島に進攻した。尖閣諸島近海で中国海軍の潜水艦3隻と交戦した海自潜水艦部隊はその全てを撃沈。こちらの損害はゼロで海上自衛隊初の海中戦闘(WW2以降で初の潜水艦対潜水艦の水中戦闘)は海上自衛隊の完勝に終わった。
中国側空母機動部隊が尖閣諸島沖で集結した。圧倒的な火力となった中国艦隊に対し、海上自衛隊も全艦集結。八重山諸島近海に待機して決戦の機を伺う。尖閣諸島には海自潜水艦から出撃した陸自の特殊部隊が上陸。同地の奪回を目指す。
海上自衛隊が動いた。八重山諸島沖の艦隊が与那国島沖まで移動する。与那国島を占拠する中国軍に対して猛烈な艦砲射撃を浴びせてこれを撃破した後、地上部隊を上陸して同地を奪回した。これで与那国島を取り返した・・・、筈だったが、尖閣諸島を包囲していた中国艦隊が突如八重山諸島に移動してきた。こちらも艦砲射撃で八重山諸島を守る陸自部隊を撃破。その後八重山諸島を占領した。



システムは非常にシンプルで、アクションポイント(本作ではMHP=天明点という名称になっている)を使って部隊の移動や戦闘を行い、敵ユニットの除去、敵支配都市の奪取等を狙う。内乱ということでユニットの表裏で共産陣営、反共陣営を使い分ける。同じユニットが状況に応じて共産側についたり、反共側についたりする訳だ。だから通常の移動、戦闘以外に調略に関するアクションがあり、出目が良ければ敵陣営に所属している1スタックが丸丸自陣営のものとなる。
このゲーム、共産陣営と反共陣営はランダムに選んで配置される。共産陣営は航空兵力を多く引き、また戦略要地である三峡ダムを支配した。対する反共陣営は、地上部隊を多く獲得した。反共陣営は、首都をハルビンに設定する。
さらに反共陣営は台湾に働きかけて反共陣営について参戦するように工作を仕掛けた。台湾は大陸進出の好機と捉えてその誘いに乗った。台湾軍第10海兵軍団(8-8-d3)が台湾海峡を渡って大陸に進出。広東省平定作戦の中核となるべく、深セン市に布陣した。
しかし両陣営ともそれ以上の核攻撃は行わず、地上部隊が中心となって活動を行う。特に反共陣営は台湾から海を渡ってやってきた台湾海兵軍団2個が中核となって中国内陸部を突き進む。長沙、武漢が反共陣営の手に落ちた。さらに北上した台湾海兵軍団は、共産陣営の首都北京に隣接する天津に対して攻撃を実施し、これを陥落させていた。


反共陣営は満州に攻め込んだ。長春市を包囲する反共陣営に対し、共産陣営は2回目の核攻撃を実施した。台湾からの海兵軍団が核の炎に焼かれた。しかし残った反共陣営は長春市を攻略。さらに遼東半島を南下して大連市も占領し、反共陣営の首都ハルピンから、長春、奉天、大連といった所謂「満鉄ライン」は反共陣営の支配する所となった。
