もりつちの徒然なるままに

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カテゴリ:戦史 > 第1次世界大戦

PoG表紙


「Paths of Glory」は、1999年に米国GMT Games社から発売されたSLGです。テーマはWW1(第1次世界大戦)で、1914年に始まるWW1を、1Turn=3ヶ月、1ユニット=軍団~軍といった単位で再現します。

今回、この「Paths of Glory」をVASSALを使ってプレイしました。筆者は連合国を担当しました。

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1Turn(1914年8月)

FR3A_333ドイツ軍はGuns of Augustカードでリエージュを落とした後、さらに戦果拡大を図ってセダンのフランス第5軍(3-3-3)を攻撃する。しかしドイツ軍の攻撃の出目が悪く、フランスが1ステップ食らっただけでMelumに後退していった。セダンに進出してきたドイツ2個軍に対してヴェルダンのフランス軍が攻撃を行い、1ステップの損害を与えた。

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連合軍は、Rape of Belgiumカードでベルギーにおけるドイツ軍の残虐行為を指摘。WSを2段階上昇させて、1VPを獲得した。

東部戦線では、ロシア軍が攻勢を仕掛けていく。オーストリア国境のTarnopolでオーストリア第3軍(3-2-3)を撃破した後、Czernowitzを攻撃、オーストリア軍を撃破して、Czernowitzを占領した。

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2Turn(1914年9月)

CP10_SUD_Armyロシア軍とイギリス軍で増援を行う。ロシア軍は第9,第10の2個軍(共に3-2-3)が新たに増設された。イギリス軍は第1軍(4-3-3)が動員され、ただちにオランダ戦線に送られた。

中欧軍もドイツ第10軍(5-3-3)とオーストリア第7軍(3-2-3)を増設。さらにSUD軍を編制し、東部戦線での反撃態勢を整えた。この兵力でオーストリア軍は反撃を開始。Czernowitzを守るロシア第8軍(3-2-3)はオーストリア軍の攻撃を受けて壊滅。Czernowitzも奪回されてしまう。

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海上では英海軍が海上封鎖を実施して、ドイツの経済を締め上げる。

このTurn終了時に連合軍の戦争段階は、動員状態から限定戦争に移行した。

3Turn(1914年秋)

RU9A_323オーストリア軍がさらに反撃。国境を越えてロシア南部を伺う勢いである。ロシア軍は2個軍をKamenets-Podlskiに送り込み、合計3個軍でCzernowitzを攻撃。オーストリア第7軍(3-2-3)に損害を与えて、これに後退を強いた。さらに前進するロシア軍は、オーストリア軍に打撃を与えつつ、ボスニア地方に侵攻していく。

西部戦線では、強制攻撃によりフランス3個軍がセダンを守るドイツ軍を攻撃し、ドイツ第1軍(5-3-3)を壊滅させた。ドイツは新編成の第9軍(5-3-3)を直ちにセダンに送って防御を固める。

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ドイツ本国では、ファルケンハインがドイツ参謀総長に就任した。これで中欧軍のWSが4となり、中欧軍も限定戦争に移行した。これにより、次Turnにトルコが自動参戦する。

4Turn(1915年冬)

AP07_SevereWeatherドイツ軍が東部戦線に3個軍を集めてワルシャワ正面で攻勢の気配を見れている。Lomzaに対してドイツ軍が攻撃を仕掛けてきたが、なんとか耐えた。

西部戦線では、ドイツ軍が強制攻撃を戦線の最南端部であるBelfortに対して仕掛けてきた。その時Belfortには1個軍団しかいなかったのでちょっとヤバイ状況であったが、要塞効果とSevere Weatherのおかげで辛くもドイツ軍を撃退することに成功した。助かった。マジヤバかった。

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5Turn(1915年春)

RUCau_323コーカサス地方にロシア軍ユーデニッチ軍が編制される。ユーデニッチ軍は早速トルコ領内へ侵攻を開始した。Erzerum(エルズルム)の要塞を攻撃してこれを撃破する。

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東部戦線ではロシア軍が再び攻勢に転じるも、ドイツ・オーストリア軍と一進一退の攻防を続けている。西部戦線でもドイツ軍とフランス軍が激しくぶつかるが、フランス軍は1個軍を丸々失うという大損害を被った。

大西洋上ではイギリス客船「ルシタニア」が、ドイツUボートの攻撃により沈没。アメリカ人乗客を含めた多数の船員や乗客が犠牲となった。この事件はアメリカ世論を激昂させたものの、まだアメリカが参戦するような状況ではなかった。

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6Turn(1915年夏)

AP31_MEFイギリス地中海遠征部隊(MEF)が編制され、キプロス島に上陸した。トルコを南から攻め上げる態勢である。トルコ軍はただちに増援部隊をキプロス島前面に配置し、トルコ本土の守りを固める。MEF軍は激しく攻撃を仕掛けたが、トルコ軍の抵抗が激しく、これ以上は内陸部に侵攻できずにいる。

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なおこのTurnにルーマニアが連合国側で参戦する。東部戦線で新たな敵を迎えることになった中欧軍は、さらなる対応を迫られることとなった。

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7Turn(1915年秋)

IT5A_223ルーマニアが中欧軍側に立って参戦する。それに対抗してイタリアが連合国として参戦する。イタリアの参戦を受けてドイツ軍がTrieste等のオーストリア・イタリア国境地帯に移動し、守りを固める。

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8Turn(1916年冬)

AP46_Brusilov_Offensive中欧軍がイタリア戦線で攻勢を仕掛けてきた。まだ戦備が整っていないイタリア(この国はいつでも火事場泥棒的な戦争を仕掛けてずっこけている)は、中欧軍の猛攻によりいきなり2個軍を失ってしまう。慌てた英仏両国は慌てて増援部隊をイタリアに派遣する。

ロシア戦線では「ブルシーロフ攻勢」が発動され、Czernowitzを守っていたオーストリア2個軍がロシア軍の攻撃により撃破されてしまう。

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9Turn(1916年春)

CP31_Kemalトルコ軍が強制攻撃で「Kemal」を使用した。これによりロシア軍団1個を撃破し、Diyarbakirを奪回する。

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東部戦線でもドイツ軍が攻勢を開始した。ロシア軍団1個が守っているGrodno要塞を攻撃。ロシアの守備隊を撃破した上で、さらに要塞も占領した。

西部戦線ではフランス軍が計6個もの大軍を集めてセダンを守るドイツ軍を攻撃する。兵力比は3:1と圧倒的にフランス軍が有利であったが、塹壕に守られたドイツ軍の守備は固く、フランスは新鋭の第10軍(3-3-3)を失ってしまう。

このTurnの最後のラウンドでギリシアが連合軍側に立って参戦した。

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結果

CP15_Chlorine_Gas時間の関係で今回はここで終了とした。現時点でのVPは計5VP。その内訳は以下の通りだ。
このゲーム、中欧軍が有利な場合はVPが加算され、連合軍が有利な場合はその逆になる。今回の場合、まずVPスペースの支配で、連合国がイタリアのTrent、中近東のBaghdad、東部戦線のLembergとCzernowitzを確保したので合計ー4VP。中欧軍はWarsawとSedan占領したので2VP。次にイベントについては連合軍がー4VPで、中欧軍が+1VP。最後に連合軍が強制攻撃を1回サボったので+1VP。総計するとー4VPとなる。元もとが10VPなのでそこから-4VPで6VPとなる。ちなみに0VPになると連合軍のサドンデス勝利となるが、サドンデスまではまだ道半ばといった感じ。ただし第10Turnに終了する中規模シナリオでは10VP以下で連合軍の勝利になる。いずれにしても連合軍が有利な状況というのは間違いなさそうだ。

感想

AP55_OverThere久しぶりにパスグロをプレイしたが、やはり面白かった。カードドリブンなので待ち時間が少なく、テンポよくプレイできるのは良い。イベントカードも当時の様々な事件が盛り込まれていて当時の雰囲気を味わうことができる。

難点を言えば、自由度の高さか。これは利点の裏返しでもあるのだが、カードドリブンゲームの場合、プレイヤーの自由度の多さが仇となり、長考するととんでもなく時間がかかってしまう。しかも悪いことにこのゲーム、ワンミスが致命傷になる危険性がある。VASSALプレイの場合は特に要注意だ。長考についてはプレイスタイルもあるのでどうしようもないのだが、ワンミスについては明らかなミスの場合は相手側から指摘する等、紳士的なプレイを心がけたいものである。

いずれにしてもパスグロは面白いゲームなので、機会を見つけて再戦したいと思っている。

Paths of Glory, 5th Printing

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240413_PoG

「Paths of Glory」は、1999年に米国GMT Games社から発売されたSLGです。テーマはWW1(第1次世界大戦)で、1914年に始まるWW1を、1Turn=3ヶ月、1ユニット=軍団~軍といった単位で再現します。

今回、この「Paths of Glory」をVASSALを使ってプレイしました。筆者は連合国を担当しました。



3

221217_日本人のためのWW1

日本人のための第1次世界大戦史

板谷敏彦 角川文庫

第1次世界大戦の通史である。単純な戦史ではなく、戦争に至る背景や戦時下の経済活動、銃後の動きなど、WW1を多角的に追いかけている著作である。特に戦争に至る前の経緯や技術的、社会的背景に全体の1/3以上のページを割いている。
ボリュームも大きく、全体で500ページ近い大作であり、読み応えがあった。
戦史としてみた場合、単なる戦史部分が薄く、部隊名等も出てこないためやや寂しい感があるのは否めない。




3
220726_WW1海戦

第一次世界大戦大海戦史

柳橋海人 ダイアプレス

第1次世界大戦における海戦史をムック形式で整理した著作。第1次世界大戦の主要な海戦であるフォークランド沖海戦、ドッカーバンク海戦、ジュトランド海戦等は網羅されており、コロネル島沖海戦、ヘリゴランド・バイト海、さらにトルコ巡洋戦艦「ヤウズ・セリム」(旧ドイツ巡戦「ゲーベン」)の活躍も描かれている。ボリュームがそれほど大きくない本なのでディテールはあまり詳しくないが、WW1の海戦について一通り網羅していると言える。

お奨め度★★★

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第一次世界大戦(以下、本作)は、2006年にコマンドマガジン日本語版72号の付録ゲームとして発表されたものである。テーマはタイトル通り第1次世界大戦で、1914年夏から1918年秋までの同大戦を全12Turnで再現する。
今回、本作を対人戦でプレイしてみた。私は協商側(英仏露)を担当する。

前回までの展開は --> こちら

第7Turn(1916年後半)

ドイツ軍に突撃兵(ストルスルッペン)が登場する。攻撃力-移動力が6-6と今までよりも1.5倍強化された突撃兵は、塹壕無視、戦闘後前進2ヘクス等、恐るべき破壊力を有している。
バルカン方面では、ルーマニアが協商側に立って参戦する。ブルガリアが同盟側、セルビアが協商側、モンテネグロが中立国と結構バルカン状勢はややこしい。そのブルガリア軍はセルビア方面へ攻勢を仕掛けてきた。これはチャンス。ブルガリアの首都ソフィアがわずか1個軍(1-2)で守っている。ガリポリに上陸した英軍がそれを狙う。2個軍を投入した4-1攻撃でソフィアが陥落。ブルガリアは同盟側から脱落した。

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第8Turn(1917年前半)

突撃兵が東部戦線で大攻勢をしかける。ワルシャワが遂に陥落。さらにロシア国境を突破した突撃兵がリガを占領した。これによってロシアで革命気分が盛り上がり、遂にロシア革命が勃発した。いわゆる「2月革命」というやつか。これによってロシアは戦争から脱落。ドイツ軍は西部戦線に全力集中できるようになる。
このTurnからアメリカとギリシアが参戦する。アメリカの巨大な工業力がいよいよヨーロッパの戦場を席捲し始めた。また英仏両国は戦車の生産を開始した。実は第7Turnから生産できたのだが、すっかり失念していた。両プレイヤーとも初プレイなので、お互い色々とミスがあるのは仕方がない。

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第9Turn(1917年後半)

このTurnから同盟側は国力低下により動員力が半減する。しかしドイツ軍はカイザーシュラハトを宣言することで第9~10Turnは全生産力を発揮できる。その場合、第11~12Turnのドイツ動員力はゼロになる。同盟軍はカイザーシュラハト実行を宣言した。
突撃兵を西部戦線に集中投入してベルギーから英軍を撃破せんと布陣する。協商側は突撃兵の突破を警戒して縦深に陣地を引く。

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トルコ方面ではコンスタンチノープル攻略戦に英軍が秘密兵器戦車を投入した。トルコ軍は見たことがない兵器の登場にパニックを起こして壊滅。コンスタンチノープルは英軍により占領されてしまう。これによりトルコは戦争から脱落した。

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第10Turn(1918年春)

ドイツ軍は突撃兵をベルギーに投入し、英大陸派遣軍を撃破すべく最後の攻勢を仕掛ける。しかし連合軍は攻勢に備えて戦線のほぼ全てを二重化しており、突撃兵を以てしても突破はほぼ不可能であった。独軍の攻撃は失敗に終わる。

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協商側は米軍を主体とした攻勢を仕掛ける。米軍は英仏軍よりも戦力が1大きく、4戦力である。それが2個スタックして戦車の支援を受けると16戦力。ドイツ軍が2個スタックしていても4-1の戦闘比が立つ。米軍の攻撃はベルギーに向けられ、ベルギ―領内のドイツ軍を2つ分断した。ベルギー西部に取り残されたドイツ軍突撃兵2個は、後方連絡線を切られて壊滅する。

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第11Turn(1918年夏)

国力が底を尽いたドイツ軍。最早協商側の反撃を止める力はなかった。米軍はベルギーからドイツ領内に雪崩れ込むタイセイで、ルクセンブルクからはフランス軍がやはり戦車の支援を受けて突破の姿勢である。ヴェルダン南方では米軍が戦車の支援を受けて南部ドイツへの進攻の機会を伺う。英軍は戦略予備としてフランス・ベルギー国境付近に展開する。
勝負を決したのはルクセンブルクから突破を図るフランス軍だった。ルクセンブルクを守るドイツ軍を鎧袖一触で撃破したフランス軍は 、戦車の支援を受けてそのままドイツ領内に殺到。守備隊のいないフランクフルトを無傷で占領したのである。これによりドイツでは水兵の反乱が起こってそれが全土に波及。ついに皇帝ヴィルヘルム2世は退位に追い込まれた。ドイツにとっての第1次世界大戦は終わったのである。

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感想

プレイ時間はセットアップを含めて約3.5時間であった。半日あれば終わる手軽さは良い。ルールのシンプルであり(今回はいくつかルールミスがあったが)、口頭説明で十分プレイ可能だ。さらにパスグロ(Paths of Glory)のような「ポカミスにより戦線大崩壊」という危険も少ないので、安心してプレイできる。

シンプルなゲームでありながら、序盤のドイツ軍の快進撃とその頓挫。西部戦線の塹壕戦。東部戦線の機動戦。地中海戦線等がそれなりに表現されているのも良い。変な裏技のようなものもなく(多分)、オーソドックスに大戦の流れを体験できるのも良い。

今回はルールミスなどがあってベストプレイには程遠い状態であったが、機会があれば再戦してみたい作品の1つである。

つづく

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