もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ: 戦史

FtP表紙


For the People(以下、本作)は、米国GMT社が2000年に発売したSLGだ。テーマはアメリカ南北戦争で、プレイヤーは、リンカーン大統領又はデイヴィス大統領の役割を演じる。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみた。今回は1862年シナリオからスタートしてみることにした。1862年といえば、南軍にリー将軍が登場し、半島戦役やアンティータムの戦い等があった年で、南軍がまだまだ快調だった時期である。

前回までのあらすじ-->こちら

8Turn(1863年夏)

CSA_Beauregard政治的に苦しくなってきた南軍は、ミシシッピ戦線で反攻に転じた。南軍ジャクソン将軍麾下のテネシー軍改めミシシッピ軍は、同じく北軍グラント将軍麾下のミシシッピ軍とCanton Cityで交戦する。兵力に劣る南軍であったが、優れた指揮によって北軍を撃破し、南軍は西部戦線での大勝利に沸いた。しかし南軍の名将ボーリガードがこの戦いで戦死した。なお、この戦いは両軍合わせて24SPという空前の規模の戦いであった。

写真11


USA_Curtis戦いに勝利した南軍であったが、兵力を著しく損じた南軍は、兵力に勝る北軍の猛反攻を受けることになる。ジャクソン将軍麾下の南軍部隊は兵力に勝る北軍部隊の攻撃を支えきれずズルズルと後退。勢いに乗る北軍部隊は重要な鉄道結節点であるジャクソンを支配し、さらにミシシッピ川に残った南軍最後の要塞であったヴィックスバーグ要塞も陥落した。一連の戦いで北軍のカーティス将軍と南軍スミス将軍が戦死する。なお、一連の戦いでミシシッピ州を北軍が支配することとなった。

写真12


Z_Destroyed著しく弱体化した南軍ミシシッピ軍を強化するため、テネシー州とジョージア州の州境を守っていた南軍部隊から2SPが引き抜かれ、A.ジョンストン将軍が率いてミシシッピ軍に急派された。これにより何とか兵力を回復したミシシッピ軍は、ミシシッピ州とアラバマ州の州境に防衛ラインを築いた。しかしそのために弱体化したジョージア北部の南軍部隊を、ビューエル将軍麾下の北軍カンバーランド軍が襲いかかった。これまでは辛うじて互角の兵力を維持していた南軍部隊だが、ミシシッピ軍への増兵によってその兵力が4SPまで減らされていた。この兵力では北軍カンバーランド軍の猛攻を支えきれない。州境は破られ北軍が州都アトランタに突入した。アトランタの市街地は焼き払われ、南部連合は政治的に大きな打撃を受けることになる。

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CSA_J_Johnstonジョージア戦線の危機を救うべく、首都防衛の任に当たっていた南軍北ヴァージニア軍からシェナンドー渓谷を経由してテネシー州への反攻作戦が実施された。作戦を指揮するのはJ.ジョンストン将軍。マナサスを発したジョンストン将軍は、シェナンドー渓谷からアパラチア山脈のふもとテネシー川沿いに南下し、テネシー州の入口というべきRodgersvilleを守備する北軍守備隊を撃破した。しかし北軍はその南西Knoxvilleに2SPの守備隊を送り込んでジョンストン将軍の南下を阻止し、さらに後方Wythevilleにバンクス将軍麾下の2SPを派遣してジョンストン将軍の後方遮断を図る。慌てた南軍は北ヴァージニア軍の主力部隊を以てバンクス軍を撃破、なんとかジョンストン将軍の後方を守り切った。またジョンストン将軍も北ヴァージニア軍本隊の合流し、テネシー州への反攻作戦は失敗に終わった。

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なお、この時北軍に直面しているマナサスには僅か2SPの兵しかおらず、北軍が全力攻撃を仕掛けてきた場合には甚だ危険な状況にはあったのだが、例によって北軍司令官マクレランの優柔不断さにより、南軍は九死に一生を得た。

Turn終了時のSW値:北軍=111/南軍30

9Turn(1863年秋)

CSS_Jackson再編成された南軍ジョンストン麾下のミシシッピ軍は、廃墟となったアトランタに突入する。アトランタで暴虐の限りを行っていた北軍カンバーランド軍に対して、怒りに燃えた南軍部隊が猛撃を加えた。北軍部隊は予想外の大反撃を受けて壊走し、テネシー州との州境へ向けて後退していく。

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南軍はさらに北軍を牽制すべく、東部戦線で機動作戦を行う。2SPからなる独立歩兵軍団を編制し、シェナンドー渓谷を横切ってペンシルバニア州に雪崩れ込む。同方面に有力な北軍部隊はいなかったので、南軍部隊は大都市ピッツバーグまで進撃してきた。慌てた北軍は、ポトマック軍からフッカー将軍が5SPを率いて討伐に向かう。フッカー軍は南軍の巧みな抵抗にあって苦戦を強いられたが、なんとか南軍部隊を排除した。

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西部戦線ではアラバマ州に侵攻してきたグラント将軍麾下の北軍ミシシッピ軍がセーラム、コロンビアを経てメーコンにに迫る。ジャクソン将軍麾下の南軍ミシシッピ軍はこれを迎え撃ち、激しい戦いの後、これを打ち破った。度重なる敗戦の報に意気消沈していた南部連合の民衆たちは、ジャクソン将軍の見事な勝利に歓喜した。

このTURNにアラバマ州が北軍の手中に落ち、今や南部連合に残るのは、ヴァージニア、ノースカロライナ、サウスカロライナ、ジョージア、フロリダ、ルイジアナ、テキサス、アーカンソーの8州のみ。しかも主要な州であるジョージア州に今や北軍主力が殺到しつつあった。

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Turn終了時のSW値:北軍=103/南軍12

10Turn(1864年春)

CSA_Army_of_N_Virginia兵力不足著しい南軍は、既に全戦線で崩壊を来していた。最早防御は不可能である。かくなる上は反撃しかない。リー将軍麾下の北ヴァージニア軍8SPが北上を開始し、フレデリックを守る北軍ポトマック軍13SPと交戦する。兵力ではポトマック軍の方が優勢であったが、指揮に勝る南軍が北軍を撃破した。首都ワシントンに後退したマクレラン将軍麾下のポトマック軍に対し、リー将軍麾下の北ヴァージニア軍は猛攻を加える。一度は北軍部隊が南軍部隊を撃退したが(第1次ワシントン攻防戦)、その戦いで北軍騎兵指揮官プレソントン将軍が戦死してしまう。これが北軍にとっては痛かった。

北軍は慌てて増援部隊をワシントンDCに送り込み防備を固める。さらにリーが去った後のマナサス要塞に対して北軍部隊が攻撃を仕掛けてリーの背後を遮断しようとする。しかしいち早く迎撃に現れたリーの待ち伏せにあって北軍は大損害を受けて撃退されてしまう。

USA_CaptitalそしてリーによるワシントンDCに対する2度目の攻撃が始まった。マクレラン麾下のポトマック軍の方が兵力面では優越していたし、ワシントンには北軍の要塞もあった。しかしこの戦いでは騎兵の有無が勝敗を分けた。騎兵を失い偵察能力を失った北軍は南軍の攻撃に対して適切に対処できなかった。北軍の前線が突破されて遂に戦線崩壊。北軍部隊は総崩れとなってバルチモア方面へ撤退していった。リンカーン大統領も慌てて首都を離れていき、南部連合は遂に合衆国首都ワシントンDCを陥落させたのである。

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しかし・・・

時すでに遅かった。
Z_BlockadeワシントンDCでの状況に関係なく南部戦線での北軍は、ジョージア州全域に対して侵攻を開始していた。北軍のカンバーランド軍とミシシッピ軍で合わせて24SP。対する南軍ミシシッピ軍は9SPで兵力は3倍近い違いがあった。ジャクソン将軍麾下の南軍部隊は果敢に交戦し、北軍を苦しめるも、圧倒的兵力差により遂に壊滅するに至った。さらにジョージア州全域が北軍の支配下に落ちたことで南部連合は戦争の継続が困難と判断し、ここに合衆国に対して降伏するに至ったのである。

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Turn終了時のSW値:北軍=73/南軍0

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感想

USA_5SP正直難しかったです。南軍が難しいので正直どうやって良いかわかりませんでした。しかし最終Turnに試みにチャレンジしてみたワシントン攻撃が成功したことで、ある程度南部の作戦が見えてきました。南部は兵力面で北部に劣っているので、広域戦略になれば勝ち目がありません。だから局所集中で東部戦線で攻勢を加えて北部に脅威を与えるのが得策と思えます。ワシントンDCを落とすことができれば御の字ですが、仮に落ちなくても北軍に脅威を与えることで西部戦線での敵の攻勢を鈍らせることが期待できます。今回のプレイでは、東部戦線の南軍が退嬰的だったので、北軍のペースに巻き込まれてしまいました。ジャクソン将軍も敢えてミシシッピ軍の指揮官として登用せず、史実通りリーの右腕として戦わせるのが得策でした。その方がSWのロスが小さいですし・・・。

CSA_3SP今回、久しぶりにキャンペーンシナリオをプレイしてみましたが、やはり面白いですね。戦線を作るタイプのゲームではないのでどう戦って良いのか結構迷いますが、主導権をいかに敵に渡さないのかがポイントになりそうですね。研究すればするほど味が出てきそうなゲームなので、色々と試してみたいと思います。



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南北戦争 アメリカを二つに裂いた内戦 南北戦争記 戦争指揮官リンカーン 南北戦争-49の作戦図で読む詳細戦記

ソロモン夜襲戦

ソロモン夜襲戦 「ソロモン夜襲戦」シリーズのエラッタを更新しました。
今回の修正は「水上戦No.1」の「天一号作戦」シナリオ。誤記修正がメインですが、勝利条件にもちょっと手を加えています。(意外と「大和」が強く、米軍はある程度の損害覚悟で戦わざるを得ないことが判明したため)。

なお「水上戦No.1」自体は先日のゲムマで全品完売しました(ありがとうございます)。こちらは追加50部増版する予定なので、今後ともよろしくお願いいたします。


注:「ソロモン夜襲戦」は、WW2における日本海軍と連合国海軍との水上戦闘を1ターン=5分、1ユニット=1隻で再現する戦術級水上戦闘ゲームです。 システムは精密戦術級と艦隊指揮システムを融合させたもので、砲弾は1発単位、魚雷は1本単位で命中判定を行います。砲の威力や装甲厚もルール化されているが、その一方でプレイアビリティは高く、殆どのシナリオが1時間以内で完了するのも特徴です。

もりつちブランド ソロモン夜襲戦 欧州海域戦 海空戦南太平洋1942
太平洋戦争水上戦 夜戦 戦艦大和・武藏: そのメカニズムと戦闘記録 Naval Firepower: Battleship Guns and Gunnery in the Dreadnought Era

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20250311_Truk

Truk 1944-45: The destruction of Japan's Central Pacific bastion

Mark Lardas Osprey

Truk 1944-45
トラック環礁は、戦時中に連合艦隊の主要根拠地となり、連合軍からは「日本の真珠湾」「太平洋のジブラルタル」と呼ばれて恐れられていた。本書では、1944~45年に米英軍が実施したトラック環礁への一連の攻撃について、その準備段階と実施状況、そしてその結果について記載している。トラック空襲といえば、1944年2月に実施されたヘイルストーン作戦が有名で、本書でもページ数の多くをヘイルストーン作戦に割いている。とはいってもトラック空襲はそれ1回で終了したわけではなく、その後も米機動部隊による再度の空襲やB-24、B-29等の長距離爆撃機を用いた攻撃、さらには終戦直前には英機動部隊による攻撃も実施されている。本書ではこれらの戦いについても詳しく触れられている。
ヘイルストーン作戦については目新しい記述はなかったが、B-24やB-29の爆撃については今まであまり実体が知られていなかっただけに新鮮な気持ちで読むことができた。

お奨め度★★★



Truk 1944-45 How Carrier Fought New Guinea and the Marianas: March 1944-august 1944 模型で見るアメリカ空母のすべて
空母エンタープライズ下巻 マリアナ沖海戦-母艦航空隊の記録 太平洋の試練(下)-ガダルカナルからサイパン陥落まで Carrier Battle - Philippine Sea

GJ92_表紙

官渡の戦い前夜から赤壁までの曹操の戦いを完全ソロプレイゲームで再現するSLGです。
プレイヤーがデッキから1枚づつカードを引き、引かれたカードに該当する武将が行動するだけのシンプルなシステムですが、登場する武将やエリア数が整理された結果、「孤高の信長」「孤高のモントゴメリー」よりさらに短い時間でプレイ可能な作品に仕上がっています。

ゲームは兵力では侮りがたい袁術軍と武勇値で圧倒的な呂布軍に加え、プレイが進むにつれ巨大な兵力を誇る袁紹軍、劉備軍の後ろ盾となる劉表軍、行動カードが「孫権」「周瑜」の2枚ありバランスの取れた孫権軍、そして行動カードが「劉備」「関羽」「張飛」と3枚あり敏捷性と「関羽」「張飛」の攻撃力が脅威となる劉備軍など、個性的な敵群雄が続々と参戦してきます。

特に「ラスボス」諸葛亮が登場すれば、劉備軍の弱点が解消し一気に対処至難な強敵と化すため、プレイヤーは圧倒的に不利となる多正面作戦を回避するために、次の敵が参戦する前に現在の敵を次々撃破し続けなければならないプレッシャーにさらされます。

これに対してプレイヤーは攻撃に秀でた猛将「夏侯惇」、騎兵の運用に優れ電撃戦が得意な「夏侯淵」、補充力が大きく防衛戦に長けた「曹仁」、堅実な用兵で損害を減じる「曹洪」、そして全軍を指揮可能で知略に優れた「曹操」などの各将軍の個性を生かさなければなりません。

果たして曹操は「そうそう勝てない」のか、それとも・・・・

貴方自身の目で確かめてみて下さい




Game Journal 92-孤高の曹操 Game Journal 94-鎮西軍紀 Game Journal 93-パンツァーカイル Game Journal 86-戦略三国志英雄伝説
漫画三国志【1】:劉備と諸葛孔明 三国志(1)-(10) 図解三国志
いっきに読める三国志 図解三国志-群雄勢力マップ 三国志(1) 三国志(2)

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20250310_TF58

Task Force 58

Rod Macdonald Frontline Books

Task Force 58
タイトルは第58任務部隊となっているが、実際には太平洋戦域における米空母部隊の戦いすべてを扱っている。扱っている時期は、開戦前から太平洋線初期の空母戦、そして1943年以降の太平洋戦争後期の戦いを扱っている。メインテーマは勿論後半戦で、空母機動部隊の編成から始まり、機材の説明、作戦計画などを説明した後、ラバウル攻撃、ギルバート・マーシャル諸島攻略戦、トラック島空襲、マリアナキャンペーン、第1次フィリピン海海戦(マリアナ沖海戦)、パラオ諸島攻略戦、第2次フィリピン海海戦(レイテ沖海戦)、フィリピンキャンペーン、日本本土襲撃、硫黄島、沖縄戦、そして日本本土攻撃作戦計画とその準備攻撃等が描かれている。太平洋戦争で米空母の関連する作戦のほぼすべてを網羅していると言って良く、海戦場面以外の上陸支援や本土攻撃等にもページ数を割いている点が特徴である。
記述そのものに目新しい内容はさほどないが、米空母の戦いを総括的に理解するにはよい本である。

お奨め度★★★



Task Force 58 Pacific Carrier War How Carrier Fought World War II US Fast Carrier Task Force Tactics 1943-45
空母エンタープライズ上巻 空母エンタープライズ下巻 太平洋の試練(下)-ガダルカナルからサイパン陥落まで 太平洋の試練(上)-レイテから終戦まで

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