もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:ゲーム > 空戦ゲーム

CarrierBattle表紙


Carrier Battle - Philippine Sea(以下、本作)は、2023年に米国Compass Games社から発売されたSLGだ。テーマは1944年6月のマリアナ沖海戦だ。

「え、マリアナ沖海戦?、バランス悪そう」

その通り。そこでこのゲームは一捻りしていて、米軍の立場によるソロプレイゲームだ。なるほど、米軍なら勝って当然だし、ソロプレイゲームで「ちょっと苦戦したかな?」と思うぐらい苦戦して、最後は圧勝、というパターンは気持ちいいかもしれない。

今回プレイしたシナリオは、シナリオ6「The Battle of 19 June」。1944年6月19日の戦いを再現したシナリオだ。オーダーオブバトルは史実通り。ただし史実通りの戦果だと「不完全な勝利」と判定され、ちょっと寂しい。しかも史実の戦果は潜水艦による「ラッキーパンチ」がヒットしたという言わば「幸運な結果」に過ぎない。従ってこのシナリオで勝利を目指すためには、史実の如く守っているだけでは不十分で、積極的な航空攻撃を仕掛けて日本空母を叩く必要がある。とはいえ、日本軍もなかなか巧みだ。彼らはアウトレンジ戦法を取っているので、なかなか間合いを詰める事が難しい。また攻撃だけにかまけていると、日本機の反撃によって味方空母に思わぬ損害が出る可能性もある。このゲーム、日本機の攻撃力はなかなか侮れないのだ。

という訳でどうなるかわからないが、とにかく始めてみようと思う。

0530

Carrier Battle - Philippine Sea USN_TF58このシナリオでは、米軍の戦力は第58任務部隊(以下、TF58)の全戦力で、4個空母群(TG58.1~TG58.4)とバトルラインと呼ばれる戦艦部隊(TG58.7)の5個グループよりなる。このバトルラインが結構有難い存在で、日本機の多くはこのバトルラインから対空射撃を浴びた上で空母群に迫ってくるか、あるいはバトルラインに目を奪われて空母群ではなく戦艦群を攻撃してきたりする。とはいえ、日本機の中には狡猾な奴らもいて、彼らはバトルラインを避けて一直線に空母群に迫ってくることもある。

USN_SB2CこのTurn、まだ日本艦隊の出方がわからないので、まずは北方に索敵機を発進させる。西や南にはまだ日本艦隊の情報(Forceマーカーのこと)が近くにいないので、索敵は行わない。また日本機の来襲に備えて約200機の戦闘機を上空警戒(CAP)に上げた。そのうちTG58.3を発進した約50機は近くのグアム島に向かい、グアム島に対する制圧任務につく。

写真01


0650

Z_AC_Guam事態はいきなり目まぐるしく動いてきた。
まずグアム島から約40機の日本機が発進してこちらに向かってきたのである。グアム島上空で警戒していた約50機のヘルキャット隊が発進直後の日本機を襲い、半数以上を撃ち落としたが、生き残った20機弱の日本機は、TF58に向けて向かってきた。

さらにTF58のレーダーが、北方から近づく国籍不明機の編隊を捉えた。機数は約40機(5ポイント)である。ちなみにこのゲーム、日本機は1ポイントが約8機、米軍機が1ポイントが約12機を表す。上空警戒に当たっていたヘルキャット約100機が迎撃に向かう。

さらに索敵機からも報告が入る。

「敵空母艦隊らしきものみゆ、兵力不明」
「敵の位置、TF58の北方約130海里(4Hex)」
「130海里?、近い、近いじゃないか」

参謀達の声が飛ぶ。

USN_TBF飛来してきた日本機も気になるが、敵空母への攻撃も躊躇している暇はない。攻撃第一陣として戦爆連合約70機(6ポイント)からなる攻撃隊が「バンカーヒル」「レキシントン」「エンタープライズ」の各空母から発進して日本艦隊に向かう。上空援護用としてさらに約150機(13ポイント)のヘルキャットが増援としてCAPに上がっていく。これで上空警戒の戦闘機は、TF58付近に約300機、さらにグアム島警戒中の約50機の計約350機となった。

Curtiss_SB2C_take_off


TF58の北方約67海里では、米戦闘機と日本側攻撃隊との交戦が始まっている。日本機はどうやら護衛を伴っていなかったらしく、米戦闘機は「七面鳥撃ち」よろしく日本機を弄ぶが、撃墜したのは約15機(2ポイント)のみで、半数以上がなおもTF58に向ってくる。

南方グアム島方面では、グアム島を発進してきた日本機に対して追撃を行った米戦闘機が、残存機を全て撃墜した。しかし度重なる空戦により燃料残量が乏しくなった戦闘機隊がトボトボと帰路についてくる。

写真02


0810

USN_AS5攻撃隊の本命、戦爆連合約300機(25ポイント)が空母を発進し、2つのグループに分かれて日本艦隊に向かう。
日本側の第1波攻撃隊はTF58上空にまで到達していたが、そこで米戦闘機隊の袋叩きにあって壊滅する。

潜水艦「フィンバック」が、別の方向から「敵空母らしきものを雷撃、魚雷1本命中」との報告を送ってきた。慶事である。

レーダーが北西から接近してくる日本軍の第2波攻撃隊を捉えた。機数は60機弱(7ポイント)。ただちに上空警戒中のヘルキャット約100機が迎撃に向かう。

IJN_CV_Taiho攻撃隊の方は早くも日本艦隊上空に到達した。日本艦隊は、正規空母「大鳳」「瑞鶴」、改造空母「瑞鳳」「龍鳳」、戦艦「金剛」「榛名」「武蔵」、その他からなる有力な部隊だ。日本空母部隊の主力と言って良い。

写真03


良い敵、ござんなるかな

最初に突入した戦爆連合約70機は、日本機の迎撃と対空砲火によって半数以上を撃墜されて戦果なし。引き続いて約300機の米艦載機が2グループに分かれて日本艦隊に殺到する。

19440620_マリアナ沖海戦


最初のグループの攻撃によって空母「瑞鶴」が大破して行き足が止まる。旗艦空母「大鳳」にも複数の命中弾により損傷する。続いて突入してきた第2グループは、大破した「瑞鶴」を無視して「大鳳」と改造空母「瑞鳳」を攻撃。「大鳳」は多数の魚雷、爆弾を受けて沈没。「瑞鳳」も被弾により小被害を被る。

正規空母1隻撃沈、同1隻大破、改造空母1隻小破

合計400機近い大攻撃隊の戦果としては些か寂しい感じもするが、それでも日本艦隊に痛打を与えたことは確かだった。

IJN_AirRaid_1-Aしかし喜んでばかりもいられない。たった今攻撃した日本艦隊を発進したと思われる約150機(18ポイント)の攻撃隊がTF58に迫ってきたのだ。今までのとはわけが違う、日本空母機の本格的な攻撃である。

先に発見していた日本軍第2波攻撃隊がTF58上空に到達した。これを130機以上(11ポイント)のヘルキャットが迎え撃つ。日本側攻撃隊の大半はヘルキャットの餌食となり、僅かに生き残った数機も、空母艦隊前衛を固めていたTG58.7(バトルライン)の対空砲火を受けて四散した。

写真04


つづく

Carrier Battle - Philippine Sea 海空戦南太平洋1942
マリアナ沖海戦-母艦航空隊の記録 機動部隊 How Carrier Fought New Guinea and the Marianas: March 1944-august 1944



230211c_RedStorm

Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。ゲームシステムについては、 以前に記事や、以下の動画を参照されたい。



今回は、その中からシナリオRS12:Second Echelon Forcesをプレイしてみた。プレイスタイルは、VASSALを使った対人戦である。今回、私はNATO側を担当した。

前回までの展開は --> こちら

16Turn

ZZ_Attack4残ったトーネード隊も目標へ向けて急降下。超低空に降りた後は、地面を這うように目標に近づく。SA-11やSA-4といった地対空ミサイルも発射されるが、強力なジャミングによって効果なし。FireCanによるレーダー照準射撃も射撃用レーダー自体がジャミングによって機能を失っていては命中する筈もない。一番恐ろしいのは対空火器による弾幕射撃だが、これは先に突入したカナダ空軍機による制圧任務によりその威力を減じていた。
結局3個編隊計12機のトーネードは1機を失うことなく目標上空に突入する。あるものはMW-1Bで戦車や装甲車両を攻撃し、またあるものは対人クラスタ―爆弾で司令部を叩く。爆撃は全て成功し、各目標にそれぞれ3打撃ずつを残した。

MW-1


17Turn

攻撃が終わった。後は戦果の確認だけである。攻撃を終えたトーネード隊は、直ちに対空砲火の威力圏外へ逃れるべく、高度を上げて離脱を図る。ただし一部の機体はそのまま超低空に踏みとどまって攻撃を行うことになった。先のホーネット隊による制圧攻撃を逃れた対空火器を機銃掃射によって制圧するためである。ホーネットの20mm機関砲とは異なり、トーネードの27mmマウザー砲は威力が大きい。そのため地上に対する制圧効果も高かった。この攻撃は、戦果確認のため進入してくる友軍偵察機に対する攻撃力を殺ぐといった意味があった。

pic17z1


18~20Turn

制圧攻撃を終えて離脱中のトーネード1機が、MANPAD(携行式地対空ミサイル)による待ち伏せ攻撃を受けて撃墜されてしまう。攻撃後に高度を上げようとしたところで撃たれたのだ。搭乗員2名は脱出に成功したが、2名とも捕虜になってしまう。

RU_SA13_A3戦果確認を行う米空軍のRF-4Cが進入してくる。偵察隊は2機編隊が2個の計4機。1個の編隊は、比較的防御の手薄なソ連軍前衛部隊を偵察し、写真撮影にも成功。無事離脱していく。
しかし警戒が厳重な地区の偵察に向かったRF-4Cは、そう簡単に行かなかった。激しい対空砲火の中、目標上空に突入。最初の写真撮影には成功したものの、次の目標を撮影しようとした時、正面から赤外線誘導方式の地対空ミサイルが迫ってきた。RF-4Cは急旋回で辛くもミサイルを回避したものの、これによって偵察行程から逸れてしまい、再突入を余儀なくされてしまう。

pic18z1


RF-4Cは激しい対空砲火の中、一旦高度を上げた後、小さく右旋回を行い、再び偵察行程に入っていく。今度は目標の撮影に成功。撮影が終わるや、一気に上昇して雲の上に離脱していった。その刹那弾幕射撃を受けて1機のRF-4Cが被弾したが、大事には至らず。この時点で、概ね決着がついたので、ゲーム終了とした。

pic20z1


結果

NATOの戦果

・主要目標の完全破壊1個 12VP
・主要目標の重損害3個  27VP
・WP機撃墜4機      12VP
・SAM部隊1個撃破     2VP
・EWR1個撃破       2VP
・人員損害(1名戦死、3名捕虜) -4VP
  合計        51VP

WPの戦果

・NATO機撃墜3機    12VP
・NATO機損傷2機(1機大破、1機小破) 3VP
・SAM部隊1個壊滅   2VP
人員損害(1名戦死) -1VP
  合計        16VP

その差35なので、NATOの完全勝利

感想

NATO軍の勝因は、攻撃部隊本隊が全く無傷で爆弾を投下できたことに尽きる。その要因は制空戦闘機が敵機の攻撃を排除したこと。SEAD機が対空火器を事前に制圧したこと。そしてスタンドオフジャマーが長距離地対空ミサイルの活動を抑え込んだことにある。この1つが欠けても、今回のような成果は望めなかっただろう。

囮のBQM-74Cについては、相手は全く気付いていなかった。ちょっと申し訳ない気もしたが、こちらも勝ちたいので欺瞞させてもらった。かなり大量の地対空ミサイルをBQM-74Cが引き受けてくれたので大助かりだ。ただ同じような手が次回使えるとは思えないので、次回はまた別の工夫をしてみたい。

今回の任務で辛かったのは、厚い雲とARMが使えないこと。カナダ空軍のCF-18は、このゲームの場合ロケット弾を主兵装にしている様子で、ARM(対レーダーミサイル)の運用能力はない。そのためSAMの活動を抑制するには、スタンドオフジャマー、エスコートジャマーといった電子戦機に依存するしかない、というのが今回の感想だった。
逆に今回助かったのは、やはりカナダ空軍のCF-18の存在である。制空戦闘機の方が旧式のファントムなので、ルックダウン能力に乏しい。ここでSEAD機もファントム、トーネード、ジャギュアといった機体になってしまうと、戦闘機搭載レーダーによる目標捜索能力が著しく低下する。その点CF-18のレーダーは強力なので、特にゲームの序盤はCF-18を「簡易EWACS」として利用した。

このような感じで色々なヒコーキを操って楽しむゲームがRed Stormである。もし機会があれば、皆さんも是非プレイしてみて下さい。



Blue Water Navy The Third World War, Designer Signature Edition Next War Poland Interceptor Ace 2
世界の最強軍用機図鑑 イラン空軍のF-14トムキャット飛行隊 F-15イーグル Flight Manual & Air-to-Air Weapon Delivery Manual F-15C EAFLE UNITS IN COMBAT

Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。ゲームシステムについては、 以前に記事や、以下の動画を参照されたい。



今回は、その中からシナリオRS12:Second Echelon Forcesをプレイしてみた。プレイスタイルは、VASSALを使った対人戦である。今回、私はNATO側を担当した。

前回までの展開は --> こちら

6Turn

イベントにより、先にF-16Aと交戦したばかりのMiG-23MLDがアボートした。
MiG-23Mの編隊とWGの西ドイツ空軍のF-4Fファントムが交戦した。BVR戦闘でMiG-23を1機撃破。しかしその後の空中戦で西ドイツ軍のF-4FはAbortしてしまう

Pic06a


7Turn

RU_SA11_FWP側のSAM部隊が次々とミサイルを発射する。狙われたのはSEAD機、CAP機、そしてBQM-74無人機である。多数のミサイルが発射されたが、強力なスタンドオフジャミングにより命中弾はなし。

Pic07a


8Turn

攻撃隊の前方を先行中のBQM-74無人機の編隊が次々とWP側のSAMに捕捉された。

Pic08z1


10Turn

BQM-74C 1機がSAMを食らって撃墜される。しかし、SAMに食われたのが囮の無人機であることは、まだWP側にはまだばれていない。

Pic10z1


11Turn

2機目のBQM-74CがSAMを食らって撃墜される。しかし、これまたばれていない。
MiG-23Mを米軍のF-4Eファントムが捕捉。AIM-7FスパローによるBVR攻撃によって1機を撃墜する。パイロットは脱出に失敗して戦死。本シナリオ両陣営通じて最初の有人機撃墜である。

Pic11z1


12Turn

「騙された、奴らは無人機だ」

EG_MiG21_PreussWP軍機甲部隊に近づくNATO爆撃編隊を叩くべく接近してきた東ドイツ空軍のMiG-21のパイロットが叫んだ。彼らが見たのは、中高度を悠然と飛ぶ米軍のドローン機、BQM-74Cチューカーの大編隊である。ただちに地上に情報が転送された。地上のWP側SAM部隊もパニックに陥った。なんせ今まで必死になって撃ち落していた目標が、何ら価値のない無人機だと気づいたのだから・・・。

US_F4_Denverしかし貴重な情報を伝えたMiG-21の編隊にも危機が迫っていた。米軍F-4Eファントム2機からなるDenver小隊が 右後方から接近してきたのである。距離5海里から発射されたAIM-7Fスパローの攻撃でMiG-21の1機が撃破され、そのままドッグファイトに突入した。ファントムとMiG-21で格闘戦性能はほぼ互角であったが、練度が段違いであった。MiG-21は2機とも撃墜され、ファントムは無傷であった。

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勝利を収めたDenver(ファントム)隊であったが、次の瞬間四方から対空射撃とミサイルを浴びせかけられた。短射程のSA-13赤外線誘導ミサイルが発射されたが、ファントムはフレアをまき散らしながら辛くもミサイルを躱した。

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RU_MiG23_Budarin先に1機を失っていたソ連軍MiG-23M小隊にも別のファントムが迫ってきた。先にAIM-7Fスパローミサイルによる攻撃で初戦果を挙げたMiller小隊である。MiG-23の後方から接近したファントムは、MiG-23を格闘戦に持ち込み、AIM-9Lサイドワインダーの攻撃で生き残った最後のMiG-23を撃墜した。米軍の損害は皆無である。

pic12b1


13Turn

CA_CF18_BanksSEAD任務を担うカナダ空軍のCF-18ホーネット隊が、対空火器を制圧するために目標に突っ込んでいく。隠れていたSA-13赤外線対空ミサイルが発射されたが、ホーネット隊(Banks隊)はフレアを撒きつつ回避する(まるで「トップガン・マーベリック」の1シーンを見るよう。
低い高度の雲を突き抜け、大地をかすめて目標の対空陣地に近づくホーネットが、今まさに対地ロケット弾を発射しようとした時、対空砲火の弾幕射撃が目標を捉えた。ホーネットの1機が被弾して墜落(パイロットは戦死)、もう1機のホーネットも被弾して重大損傷を受けてヨロヨロと離脱していく。

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CA_CF18_Jasper別のホーネット隊は引き続いて突入する。ホーネット隊(Jasper隊)は先にミサイルを発射したSA-13部隊を対地ロケット弾で攻撃する。赤外線誘導の地対空ミサイル部隊は、スタンドオフジャマーや自己防衛用電子装置の妨害を受けないので、意外な強敵なのだ。ロケット弾の直撃を受けてSA-13部隊が壊滅したが、まだどこに敵の地対空ミサイル部隊が隠れているかはわからない。

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14Turn

CA_CF18_Jasper先にSA-13部隊を撃破したカナダ空軍のCF-18ホーネット隊(Jasper隊)は、先にBanks隊に大損害を与えた対空陣地に高速で突っ込んでいく。対空砲火が激しく打ち上げられる中、Jasper隊は砲火の中を突っ切って対空陣地に対して20mm機関砲による激しい銃撃を加える。対空陣地は制圧1の結果を受けて、少しだがその威力を減じた。そしてJasper隊は雨のような対空砲火を無傷で潜り抜けて無事離脱に成功した。

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CA_CF18_Dackしかし別のホーネット隊はそうはいかなかった。3番目に突入したDack隊は激しい対空砲火の中を目標に突進。隠れていたSA-13赤外線誘導ミサイルの伏撃は辛くも回避。しかし対空弾幕を躱しきれず、1機が被弾して撃墜されてしまう(パイロットは脱出して捕虜になる)。残った1機が対空陣地にロケット弾攻撃を浴びせるも、ロケット弾は目標を逸れた。

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カナダ空軍ホーネット隊の中で、最後に突入したのは、Boyle隊である。Boyle隊は、正面から打ち上げられたSA-11地対空ミサイルを強力な電子戦でねじ伏せ、激しい対空砲火もモノともせず見事な突入攻撃を見せた。ロケット弾の斉射で対空砲陣地に制圧2の結果を与え、これによって制圧値の合計は3になった。

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15Turn

カナダ空軍のSEAD隊は戦場離脱していく。彼らは全8機のうち2機を失い、1機が大破するという大損害を被ったが、WP側対空陣地に打撃を与え、後に続く攻撃本隊の攻撃を援護する役割を見事に果たした。それにしても、ARMなしでSEAD任務を行う過酷さを改めて感じた次第である。

[WG_Tornado_Lukas]SEAD隊の後方からはいよいよ攻撃本隊が目標上空に近づいてくる。低く垂れこめた雲が急降下爆撃や中高度からの精密誘導兵器による攻撃を阻害し、危険とは知っていながらもトーネード隊は地表をかすめるような超低空飛行で目標に近づくしかなかった。

トーネードが搭載しているのは、MW-1Bという特殊な兵器である。多目的ディスペンサーと呼ばれるこの兵器は、目標上空で多数(112発)の子弾をバラまき、それぞれの子弾が目標を撃破するというものである。戦車や装甲車両、対空火器の制圧に威力を発揮する。これを搭載した西ドイツ空軍のトーネードは、ソ連戦車隊上空でこれを発射。戦車隊に4打撃を与えた。

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つづく



Blue Water Navy The Third World War, Designer Signature Edition Next War Poland Interceptor Ace 2
世界の最強軍用機図鑑 イラン空軍のF-14トムキャット飛行隊 F-15イーグル Flight Manual & Air-to-Air Weapon Delivery Manual F-15C EAFLE UNITS IN COMBAT
A-10サンダ-ボルトII 世界の名機シリーズ MiG-23/-27“フロッガー:世界の傑作機№92 航空戦 シリーズ戦争学入門 Israeli F-4 Phantom II Aces (Aircraft of the Aces Book 60)


Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。ゲームシステムについては、 以前に記事や、以下の動画を参照されたい。



今回は、その中からシナリオRS12:Second Echelon Forcesをプレイしてみた。プレイスタイルは、VASSALを使った対人戦である。今回、私はNATO側を担当した。

シナリオの背景

1980年代におけるNATOの主要なドクトリンは、WP側の第2,第3梯団が最前線に到達する前に航空攻撃によって撃破することであった。WP軍の最初の攻撃を阻止したNATO司令官は、最前線に向けて移動中のWP第1親衛戦車軍麾下の第2梯団師団に対して大規模な航空攻撃を欲していた。繰り返し行われた夜間航空攻撃によってWP側の防空ネットワークを弱体化させたNATO軍は、悪天候の中、対空火器とSAMの嵐に立ち向かう。

セットアップ手順

ZZ_Cloud_LowDeck例によって準備に手間のかかるゲームである。1つずつ手順を追って進めるしかない。 最初に天候フェイズ。このシナリオでは、"Poor Weather"でダイスを振る。出目は"10"でDRM-2を適用した結果、天候は「Dense cloud at Deck/Low and Low/Med」(厚い雲がDeck/LowとLow/Medの間にあり)となった。厚い雲を挟んだ場合、LOSが通らない。

次に地上計画フェイズである。両軍当時に配置するが、WP側はWP側で独自に進めてもらった。当日いきなりスタートしても準備時間が勿体ないからである。NATO側は早期警戒レーダーが2基とHawk地対空ミサイル部隊が3個である。

Pic00a


次にISRフェイズである。諜報・監視・偵察の意味で、事前偵察で位置がバレているSAM部隊の数を決定する。NATOのダイス目は最悪で、結果はPoor。WP軍SAM部隊の20%しか位置を確認できなかった。

次に侵攻計画フェイズ。NATO軍の攻撃目標を決定する。実は既に事前に決定済で、今回の攻撃目標は今回のシナリオでは、NATO側は4個の攻撃編隊を有し、それぞれが1個所ずつの目標を割り付けられる。ダイス判定の結果、Armor(6413)、Armor(6911)、Mech(6810)、HQ(7011)となった。NATOは攻撃目標に対する攻撃針路を設定する。同時に登場する航空機を決定する。このゲームの準備段階で一番盛り上がる部分だ。NATO側。CAPが2個編隊と侵攻編隊1個編隊が登場する。

CAP機は西ドイツのF-4Fとオランダ空軍のF-16Aが登場することになった。F-16Aは有難いが、F-4Fはちょっと残念である。

次に侵攻編隊。Escort JammingはEF-111Aが2機。護衛戦闘機はダイス判定の結果米空軍のF-4Eファントムが8機(あちゃー)。SEADはこれまたダイス判定の結果カナダ空軍のCF-18が8機。爆撃本隊は西ドイツ空軍のトーネードIDSが16機。偵察機は米空軍のRF-4Cファントムが4機である。その他、無人機BQM-74C Chukar 16機が登場する。これはWP側にSAMを撃たせるための囮機だ。
CAP機が旧式のファントムというのがちょっと寂しい。ちなみに計算によると、制空戦闘機がF-15A/Cになる確率は42%、F-4E又はFGR2といった「ファントム系列」の機体になる確率は38%、CF-18は20%である(合計100%)。一番確率的な機体を外して外れをあてがうなんて、神様、そりゃないよ。

CF-18


またSEAD機のCF-18ホーネットについても、機体そのものは最新型だが、米軍機が搭載するHARMやShrikeといった対レーダーミサイルを装備していない。搭載兵装は昔ながらのロケット弾である。
爆撃本隊のトーネード隊も精密誘導兵器を搭載せずに通常型の爆弾を搭載する。そもそもトーネードは精密誘導兵器の搭載能力がないのだが(本ゲームの中での話です)、仮にトーネードではなく米軍のファントムやアードバーグといった精密誘導兵器搭載可能な機体であっても、通常型爆弾を使用していた可能性が高い。晴れ渡ったイラク上空とは異なり、悪天候が続くドイツ上空では精密誘導兵器は必ずしも有効とは言えない面があった。

Pic00b


とまあ、色々あるが、準備を終えてプレイ開始である。

NATO側の作戦

WG_Tornado_LukasNATO側の主目標はWP側第1親衛戦車軍に対する打撃阻止任務である。その中で一番重要なのが爆撃本隊。トーネード16機からなる爆撃編隊が1機も失うことなく爆撃を実施できるのが理想だ。そこで3段構えの囮作戦を行った。

第1陣は、セットアップで配置されているCAP編隊4機とダミー編隊である。これらの編隊は、味方最前線付近に進出、敵の戦闘機への攻撃のチャンスを伺いつつ、敵SAM部隊を刺激してミサイルを撃たせることを狙う。

第2陣は、爆撃本隊に随伴するSEAD機と護衛戦闘機。いずれも強力な内装式電子妨害装置(ジャマー)を搭載しており、敵SAM部隊を挑発してSAMを撃たせる。さらにSEAD機はチャンスと見れば搭載する空対地ロケット弾でSAMに対する制圧攻撃を積極的に行う。

第3弾は、無人機BQM-74C 16機の編隊。これはあたかも爆撃本隊であるかのように見せかけて敵SAMを受け付ける。バレるまで何発SAMを撃たせるかが勝負。

こうした囮による露払いの後、爆撃本隊が登場する。なお、囮も含めたこれらの編隊は、いずれも強力なスタンドオフジャミングによって守られることになる。

1Turn

US_EC130_BuZZCAP機4機がダミーを従えて敵方に前進する。その後方からは強力なスタンドオフジャミング能力を持つEC-130 Compass Callが広域電子妨害を仕掛ける。ちなみにこの時点で彼我の接触はない。

Pic01a


EC-130H


3Turn

NATO側の囮第2弾と第3弾が登場する。すなわち護衛戦闘機のF-4Eファントムが8機、SEAD機のCF-18ホーネットが8機、無人機BQM-74Cが16機、そして電子妨害を担当するEF-111レイヴンが2機だ。

BQM74C


NATO機の接近に対してWP側の戦闘機が狼のように襲撃のチャンスを伺う。それをNATOのHawkミサイル部隊が発見し、目ざとくミサイルを発射した。しかしミサイルは目標を逸れた。

4Turn

NATO側の戦闘機隊はこれまで超低空飛行を行ってきたが、このTurnに一気に中高度まで上昇し、次のTurnのチャンスを狙う。

Pic04a


5Turn

US_F4_DodgeこのTurn、NATOの爆撃本隊が盤上に登場する。
NATOとWP側の戦闘機同士が接近してきたので、戦闘機同士の交戦が始まった。まず米軍のF-4ファントムの編隊がMiG-23MLDフロッガーの編隊と交戦。AUM-7Fスパローミサイルによる視認距離外(BVR)戦闘を仕掛けるが、戦果なし。

Pic05z1


NE_F16_Vivier続いてオランダ軍のF-16Aとソ連軍のMiG-23MLDが超低空で交戦する。空戦機動力に勝るF-16が空戦を有利に進めるが、結果的には両軍共損害なし。ただし両軍とも格闘戦による疲労等によってDisordered状態となる。

Pic05z2


つづく





Blue Water Navy The Third World War, Designer Signature Edition Next War Poland Interceptor Ace 2
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A-10サンダ-ボルトII 世界の名機シリーズ MiG-23/-27“フロッガー:世界の傑作機№92 航空戦 シリーズ戦争学入門 Israeli F-4 Phantom II Aces (Aircraft of the Aces Book 60)

230211c_RedStorm

Red Stormは、1987年東西ドイツ上空での航空戦を扱ったシミュレーション・ウォーゲームです。
ご存知の通り、冷戦時代に東西両陣営間の全面戦争はありませんでした。
従ってこのゲームは、実際には起こらなかった戦いを描いた「仮想戦」ゲームです。
本作は、1Turn=1分、1Hex=2.5海里、1ユニット=1~4機の航空機を表しています。
さらに本作は単なる空中戦ゲームではなく、爆撃編隊や護衛戦闘機(MIGCAP)、防空制圧(SEAD)機、スタンドオフジャマー機、さらには戦果確認機をも含んだ航空任務の全体像を再現するゲームです。そして攻撃側の航空戦力に対して防御側は戦闘機だけではなく、SAMや対空火器、早期警戒レーダー網からなるIADS(統合防空システム)で対抗します。
複雑な現代航空戦を余すことなく再現する本格的な航空戦ゲームの全体像をお楽しみください。

今回はシナリオ12「Second Echelon Forces」をVASSALによる遠隔対戦でプレイしました。
このシナリオは、開戦5日目の朝、NATOの攻撃編隊がソ連軍の第2梯団を撃破すべく、東ドイツ領内に対して阻止攻撃を実施した状況を再現するものです。私はNATOを担当しました。

今回はその第3回目(最終回)です。

ミサイルの物量攻勢で戦うソ連軍と高度な電子装備で対抗するNATO軍。現代航空戦の一場面をゲームという形でお楽しみください。




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