Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。ゲームシステムについては、 以前に記事や、以下の動画を参照されたい。
今回は、その中からシナリオRS12:Second Echelon Forcesをプレイしてみた。プレイスタイルは、VASSALを使った対人戦である。今回、私はNATO側を担当した。
前回までの展開は --> こちら
16Turn
残ったトーネード隊も目標へ向けて急降下。超低空に降りた後は、地面を這うように目標に近づく。SA-11やSA-4といった地対空ミサイルも発射されるが、強力なジャミングによって効果なし。FireCanによるレーダー照準射撃も射撃用レーダー自体がジャミングによって機能を失っていては命中する筈もない。一番恐ろしいのは対空火器による弾幕射撃だが、これは先に突入したカナダ空軍機による制圧任務によりその威力を減じていた。結局3個編隊計12機のトーネードは1機を失うことなく目標上空に突入する。あるものはMW-1Bで戦車や装甲車両を攻撃し、またあるものは対人クラスタ―爆弾で司令部を叩く。爆撃は全て成功し、各目標にそれぞれ3打撃ずつを残した。
17Turn
攻撃が終わった。後は戦果の確認だけである。攻撃を終えたトーネード隊は、直ちに対空砲火の威力圏外へ逃れるべく、高度を上げて離脱を図る。ただし一部の機体はそのまま超低空に踏みとどまって攻撃を行うことになった。先のホーネット隊による制圧攻撃を逃れた対空火器を機銃掃射によって制圧するためである。ホーネットの20mm機関砲とは異なり、トーネードの27mmマウザー砲は威力が大きい。そのため地上に対する制圧効果も高かった。この攻撃は、戦果確認のため進入してくる友軍偵察機に対する攻撃力を殺ぐといった意味があった。18~20Turn
制圧攻撃を終えて離脱中のトーネード1機が、MANPAD(携行式地対空ミサイル)による待ち伏せ攻撃を受けて撃墜されてしまう。攻撃後に高度を上げようとしたところで撃たれたのだ。搭乗員2名は脱出に成功したが、2名とも捕虜になってしまう。戦果確認を行う米空軍のRF-4Cが進入してくる。偵察隊は2機編隊が2個の計4機。1個の編隊は、比較的防御の手薄なソ連軍前衛部隊を偵察し、写真撮影にも成功。無事離脱していく。
しかし警戒が厳重な地区の偵察に向かったRF-4Cは、そう簡単に行かなかった。激しい対空砲火の中、目標上空に突入。最初の写真撮影には成功したものの、次の目標を撮影しようとした時、正面から赤外線誘導方式の地対空ミサイルが迫ってきた。RF-4Cは急旋回で辛くもミサイルを回避したものの、これによって偵察行程から逸れてしまい、再突入を余儀なくされてしまう。
RF-4Cは激しい対空砲火の中、一旦高度を上げた後、小さく右旋回を行い、再び偵察行程に入っていく。今度は目標の撮影に成功。撮影が終わるや、一気に上昇して雲の上に離脱していった。その刹那弾幕射撃を受けて1機のRF-4Cが被弾したが、大事には至らず。この時点で、概ね決着がついたので、ゲーム終了とした。
結果
NATOの戦果
・主要目標の完全破壊1個 12VP・主要目標の重損害3個 27VP
・WP機撃墜4機 12VP
・SAM部隊1個撃破 2VP
・EWR1個撃破 2VP
・人員損害(1名戦死、3名捕虜) -4VP
合計 51VP
WPの戦果
・NATO機撃墜3機 12VP・NATO機損傷2機(1機大破、1機小破) 3VP
・SAM部隊1個壊滅 2VP
人員損害(1名戦死) -1VP
合計 16VP
その差35なので、NATOの完全勝利
感想
NATO軍の勝因は、攻撃部隊本隊が全く無傷で爆弾を投下できたことに尽きる。その要因は制空戦闘機が敵機の攻撃を排除したこと。SEAD機が対空火器を事前に制圧したこと。そしてスタンドオフジャマーが長距離地対空ミサイルの活動を抑え込んだことにある。この1つが欠けても、今回のような成果は望めなかっただろう。囮のBQM-74Cについては、相手は全く気付いていなかった。ちょっと申し訳ない気もしたが、こちらも勝ちたいので欺瞞させてもらった。かなり大量の地対空ミサイルをBQM-74Cが引き受けてくれたので大助かりだ。ただ同じような手が次回使えるとは思えないので、次回はまた別の工夫をしてみたい。
今回の任務で辛かったのは、厚い雲とARMが使えないこと。カナダ空軍のCF-18は、このゲームの場合ロケット弾を主兵装にしている様子で、ARM(対レーダーミサイル)の運用能力はない。そのためSAMの活動を抑制するには、スタンドオフジャマー、エスコートジャマーといった電子戦機に依存するしかない、というのが今回の感想だった。
逆に今回助かったのは、やはりカナダ空軍のCF-18の存在である。制空戦闘機の方が旧式のファントムなので、ルックダウン能力に乏しい。ここでSEAD機もファントム、トーネード、ジャギュアといった機体になってしまうと、戦闘機搭載レーダーによる目標捜索能力が著しく低下する。その点CF-18のレーダーは強力なので、特にゲームの序盤はCF-18を「簡易EWACS」として利用した。
このような感じで色々なヒコーキを操って楽しむゲームがRed Stormである。もし機会があれば、皆さんも是非プレイしてみて下さい。