もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 第2次世界大戦全般

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240610_砲兵からみた

「砲兵」から見た世界大戦

古峰文三 パンダ・パブリッシング

本書は砲兵及び火力戦の発展を述べた著作である。「WW2の本質は機動戦ではなく火力戦だった」という結論は、小気味よい。確かに初期の電撃戦はとにかく1943年以降の戦いは火力戦が主体と言われても左程違和感はない。そのことは昨今のウクライナ戦争でも次第に明らかになってきている。そういった意味で筆者の主張は興味深い。


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Red Strike(以下、本作)は、2023年にドイツのVUCA Simulationが発売したシミュレーション・ウォーゲームだ。テーマは1989年における東西両陣営の直接対決。世界中のウォーゲームメーカーから発売されてきた鉄板テーマで、本作はそれをフルマップ2枚;戦略マップ、カウンター2000個以上で再現するビッグゲームとなっている。

今回、中規模シナリオの1つである「B1.FULDA GAP」をVASSALでプレイしてみた。このシナリオは、タイトル通りフルダギャップと呼ばれる西ドイツ中央部の高地帯を巡る戦いで、登場するユニット数が両軍合わせて176個、長さが3Turnという比較的プレイし易い規模のものである。ソ連軍はゲーム終了時までにライン川の渡河を目指し、NATO側はその阻止を試みる。

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今回、このシナリオを3人でプレイしてみた。NATO側1名、WP側が2名である。筆者はWP側を担当し、地対地ミサイルと航空戦力を担当した。

前回までの展開は --> こちら

2Turn

Z_Marker_SO_Recon開戦2日目である。薄く広がったNATO戦線を突破すべく航空攻撃を行う。WP側が狙ったのは、米第3歩兵師団が守る戦区である。WP軍は同師団の展開地域に対して複数の航空偵察を試みるも悉く失敗。逆に航空偵察ポイントを2ポイント失ってしまう。森に隠れた地上部隊を航空偵察で発見するのは困難を極めた。焦ったWP軍は特殊部隊スペツナツを投入して目標部隊の発見を試みるも、なかなか成功せず。最後の1個で漸くこれを発見したが、スペツナツも2個部隊が失われてしまう。

WP側が偵察に拘った理由は、偵察に成功すると爆撃力が2倍になるという特典が得られるからである。爆撃効果を発揮するためには偵察の成功が不可欠だが、地上部隊を偵察で発見するのは本文でも触れた通り非常に困難である。航空偵察が効果を発揮し易い航空基地等を主な偵察目標とした方が良いのかもしれない。
なんやかんやで偵察を成功させたWP軍は、NATO軍地上部隊に対して猛攻を加えた。2個編隊を投入した爆撃によってNATO軍部隊に計6打撃を与えた。

SO_1GTA_20GMRD_2538WP軍は弱体化したNATO防御部隊に対して"Repulse"を仕掛けた。Repulseとは、一種の蹂躙攻撃で、戦闘比10:1以上なら自動的に成功し、戦闘比6:1以上なら50%の確率で成功する。Repulseに成功すると、防御部隊は1Hexの強制後退を強いられ、攻撃部隊は前進してなおも移動を継続できる。逆にRepulseに失敗すると、攻撃部隊はその場で停止する。先に「NATO側の一線防御は不利である」と述べた理由の1つがこのRepulseで、Repulseを仕掛けられると、薄く弱体な防御ラインは容易に突破されてしまう。
今回のプレイでもWP軍戦車スタックが4回Repulseを試み、そのうち2回成功させたので、NATO側の戦線を突破し、残った部分を包囲することに成功した。

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戦闘フェイズにWP軍は包囲を完成させるべく攻撃を実施。米第3歩兵師団の各部隊を包囲攻撃。これに大損害を与えて第3歩兵師団を事実上戦闘不能とした。

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感想

US_F-16C_496TFS時間の関係上、今回のプレイはここまでとした。
プレイ時間はセットアップ含めて約8時間であった。第1Turnの特に第1アクションステージが結構時間がかかった。しかし第2アクションステージからペースアップし、第3アクションステージはもっとスピードがアップした。慣れればこのシナリオであれば1日あればプレイできそうに思う。

ゲームとしての感想だが、ルールが多いのは確かだが、決してプレイできないほど難しい訳ではない。特に陸戦部分はシンプルなので恐れることはないだろう。航空戦を含めるとかなり難度が増し、さらに航空戦部分は結構プレイ時間がかかる。まあ航空戦部分が面白いのだが・・・。索敵やBVR攻撃など、作戦級ゲームとしてはやや冗長的過ぎると思われる手順も含まれており、決して「スマートな」ゲームではないことは確かだ。

ルールの難度に合わせて気になるのはスタックの高さ。様々なマーカーをユニットに配置する関係上、スタックが高くなりがちである。ただしカウンターサイズとヘクス径が大きいので、高いスタックになっても比較的プレイしやすい。VUCA Simulationsのコンポーネントの良さには定評があるが、その美点は本作でも十分に発揮されているようだ。

あと(これは英語力の問題かもしれないが)自由度が高いシステムなのでルール穴と思える項目がいくつかあり、ゲーム的な運用が可能なことだ。この点についてはこの後でもう1度触れてみたい。

さすがにキャンペーンシナリオを完遂するのは結構難しいとは思うが、シナリオが多数用意されているので、シナリオプレイは今後も楽しめそうだ。今回の「フルダギャップ」シナリオも機会を見つけて再戦したい。他にも魅力的なシナリオがいくつも含まれているので、様々な状況を楽しんでみたい作品だ。

ちなみに今回のプレイで、採用した方が良いと感じたローカルルール
・航空基地に損害が発生した際の在地航空機に対する付随損害の適用は、現時点で打撃数の少ないユニットから優先的に適用する
・CAP機に対する索敵は、そのCAP機が迎撃を試みた場合のみ実施できる。このあたりのルールは曖昧だが、常時その場にいないCAP機を攻撃側が積極的に探し出すことは困難という解釈である。
・同じ理由でAWACS機に対する対空索敵は、戦闘機のみの編隊のみ実施可能とする。
・攻撃隊が敵の迎撃を回避するために後退した場合、その攻撃隊が再び進撃を再開できない。これは航続距離の極端に長い航空機が航続距離の優位を利用して敵迎撃を一旦回避し、その後攻撃を再開するという「ゲーム的な」運用を回避するためである。

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幻の東部戦線: 第二次大戦後のドイツ再軍備と冷戦
CPS Compass Games NATO デザイナーシグネチャーエディション
Operation Theseus - Gazala 1942
Donnerschlag - Escape from Stalingrad

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Seas of Thunderは2023年に米国GMT社から出版されたSLGです。
テーマは、WW2における海軍戦略で、枢軸軍と連合軍の海上戦略を全世界規模で再現します。

1Turnは実際の3ヶ月に相当し、1ユニットは巡洋艦以上の艦艇1隻、又はそれ以下の小型艦数隻からなります。
シナリオはキャンペーンシナリオの他、約1年間の戦いを描いたショートシナリオが計7本。ショートシナリオ複数をつないでミニキャンペーン形式でプレイすることも可能です。

今回は。本作のコンポーネントを紹介する動画を作成してみました。


Seas of Thunder - Global Naval Warfare, 1939-45

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North Africa'41(以下、本作)は、2023年に米国GMT社から出版されたシミュレーション・ウォーゲームである。テーマは、WW2の北アフリカ戦線で、1Turn=半月、1Hex=8マイル、1ユニット=大隊~旅団のスケールで描いている。デザイナーはマーク・シモニッチ。Stalingrad'42、Uktaine'43、France'40等、WW2の陸上戦闘を扱った数多くの名作を生みだした辣腕ゲーム・デザイナーだ。
他の北アフリカ戦線ゲームが1940/41年から42年までを描いているのに対し、本作は1941年のみを扱っているのが特徴である。従ってガザラ戦やトブルク陥落、エルアラメインの戦い等は、本作には含まれていない。

今回は本作のプレイ風景を紹介するが、まずは基本システムを紹介したい。

基本システムは移動、戦闘を繰り返すもので、断固たる防御、機動強襲等のシステムもシモニッチ氏の前作Stalingrad'42と同様になっている。攻撃力と防御力の最大値上限が設定されているのもシモニッチ氏による最近の作品と同様で、本作では攻撃力上限が30、防御力上限が15となっている。

本作に特徴的なルールとしては、戦車シフトのルールがある。これは戦車が参加した戦闘に適用するルールで、双方の戦車値を比較し、戦車値の差分だけコラムシフトするというもの。例えば攻撃側の戦車値が3で防御側が1の場合、攻撃側が有利なように2シフトする。なおシフトの最大値は2シフトまで。さらに防御側が優越している場合は、シフトが発生せず、その代わりに攻撃側の戦車ユニットの戦闘力が半減する。
BR_44RTR_4363なお戦車値自体はドイツ軍が有利で、多くの場合ドイツ装甲師団が参加する戦闘ではドイツ軍が有利に戦いを進めることができる。ただし英軍のマチルダ戦車だけは例外で、マチルダ戦車はドイツ軍装甲部隊と互角の戦車値が与えられている。従ってマチルダ戦車を含むスタックに対してはドイツ軍と雖も苦戦を強いられることになる。

Matilda_Compass


アクション・インパルスのルールも本作の特徴で、1Turnが通常3回のアクション・インパルスに分けられる(夏場は2インパルス)。各インパルスで両軍が移動、戦闘を実施できるので、事実上1Turnに2~3回のサブターンが存在するイメージになる。単純にプレイの手間が2~3倍に増えると考えれば良いと思う。

GE-Supplay攻勢補給に関するルールも本作に特有のもので、攻撃を実施する際には補給ポイントを消費する必要がある。補給ポイントは最大でも1Turnに2ポイントしか得られないので、大攻勢を行うためにはある程度補給ポイントを蓄積しなければならない(小規模戦闘では補給ポイントの消費を免除される場合がある)。如何にも北アフリカ戦らしいルールと言えよう。
他に海上輸送や港湾に関するルール、輸送船団に対する攻撃ルール等もある。さらに枢軸側が月の暗い夜を狙ってマルタ島を発進する英軍機を避ける輸送などを試みる事もできる。

今回、本作のシナリオである「クルセーダー作戦」をプレイしてみた。このシナリオは17Turn(1941年11月後半)~19Turn(12月後半)までの計3Turnを描くシナリオである。

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第1回戦

BR_2Hus_6245まずは筆者が英軍を担当してみた。英軍の兵力は、戦車ユニットが11個(4個旅団相当)で、そのうち1つが強力なマチルダ戦車である。歩兵は約5個師団の兵力である。英連邦軍で厄介なのは指揮系統ルール。同一の攻撃には2個の国籍までしか参加させることができない。英連邦軍といっても、英本国部隊の他には、ニュージーランド、インド、南アフリカなどの諸国があり、統合運用が難しい。
取りあえずニュージーランド第2歩兵師団と戦車部隊でハルファヤ峠を攻撃する。出目良く6の目が出てD1の戦闘結果を得た。枢軸側はハルファヤ峠に固執せず、同地は英軍が支配した。まずは1勝。

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GE_1_8_15_9365ドイツ軍は第15装甲師団を投入して早速反撃を実施してきた。西側に突出していた英軍戦車部隊が反撃の目標となり、4:1の攻撃でDR2の結果を食らった。英戦車は粛々と後退していく。さらに第15装甲師団は隣の英戦車部隊に牙を向けてきた。機動襲撃でこの部隊も4:1攻撃を受けてDR2を食らってしまう。ここでは断固たる防御を試みたが失敗。1度の攻撃で実に戦車兵力の半数が使用不能となった英軍。ドイツ装甲師団の破壊力に驚愕するのであった。

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先にも述べたが、このゲームは1Turnが複数のアクションインパルスに分かれている。この時期は1Turnが3回のアクションインパルスに分かれており、従ってこれから第2インパルスに突入する。英軍はハルファヤ峠に隣接する枢軸軍陣地を2:1で攻撃。砲兵支援をつけて3:1で攻撃し、DR2の結果を得た。しかしここでは枢軸軍は断固たる防御を実施。それに成功して枢軸軍が現陣地を守り切った。

そしてここからドイツ軍による怒涛の反撃が始まる。

NZ_4_2_673まずハルファヤ峠に陣取っていたニュージーランド第2歩兵師団がドイツ軍第21装甲師団の攻撃を受けた。それなりに強力な戦車(戦車値2)の支援を付けていたが、ドイツ軍は砲兵支援を加えて5:1の戦闘比を達成。出目6で結果はDS。これまでのシモニッチゲームならDSを食らっても1ステップロスして残りは4Hex後退すればそれでよかった。しかし本作は違っていた。
BR_4Truck_005本作の場合、車両化されていないユニットが3Hex以上後退すると、降伏してしまうのだ。つまり戦闘結果DR4やDSを食らうと歩兵化部隊は逃れる術がないのだ。このためにニュージーランド軍1個師団が一瞬にして壊滅してしまう。この惨劇にしばし言葉を失う筆者なのであった。

教訓:最前線に展開する歩兵部隊は、必ずトラックをつけて自動車化しておくべし

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第3インパルス。先の惨劇ですっかり攻勢意欲を殺がれたイギリス軍は、全軍後退で守りの姿勢に入る。主要な集積基地のあるエジプト領内の砂漠地帯を中心に守りの姿勢に入った。

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GE_1_5_21_9365しかしドイツ軍第21装甲師団は、海岸沿いから進出してインド歩兵連隊を撃破(例によって後退不能で降伏)した後、坂道の下から英軍の物資集積所を攻撃。守備隊の奮戦にも関わらず物資集積所はドイツ軍によって占領され、大量の補給物資がドイツ軍の手に渡った。

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この時点で戦意を喪失した英軍プレイヤー(筆者)は投了を申し入れ、第1回戦は英軍の完全な敗北に終わった。

つづく


North Africa '41(GMT Games)
NO RETREAT 2(ノー・リトリート 2)完全日本語版
Valentine Infantry Tank vs Panzer III: North Africa 1941–43 (Duel Book 132) (English Edition)
「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨 (角川新書)
ロンメルとアフリカ軍団戦場写真集

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Churchill(以下、本作)は、2015年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームである。ウォーゲームではなく外交ゲームであり、プレイヤーはWW2期の連合国指導者となり、協力しながら枢軸軍打倒を目指す。無論単なる協力ゲームではなく、勝利するためには相手プレイヤーを出し抜いて多くの勝利ポイントを獲得する必要がある。

全体図


もう少し詳しく書こう。
プレイヤーは、ルーズベルト、チャーチル、スターリンの立場となり、他の連合国と協調しつつ枢軸軍打倒を目指す。ゲームは「会談」を中心に進められ、「会談」を通じて様々な政治課題を解決していく。「会談」の回数はシナリオの長さによって異なるが、一番長いキャンペーン・シナリオの場合、10回の「会談」が行われる。この「会談」が、他のゲームで言う所の「Turn」に相当するものである。

「会談」は、会議フェイズと戦争フェイズからなる。
会議フェイズでは、様々な議題をプレイヤー間で話し合い、議題に決着をつけていく。話し合いといっても実際にプレイヤー同士が議論を戦わせる訳ではなく、スタッフカードと呼ばれるものを使うことで解決する。それぞれの議題は、議題マーカーという形で下記の「会議テーブル」に置かれており、それをスタッフカードと呼ばれるカードを使って自陣営に引き込んでいく。スタッフカードには1~5の数値が記載されており、数値分だけ議題マーカーを自分の方へ移動させることができる。

会談表


戦争フェイズでは、スパイ組織を諸国に展開したり、政治的な影響力を行使したり、枢軸軍との戦いを進めたりする。戦争フェイズは、その直前に行われた会議フェイズの結果により大きな影響を受ける。例えばソ連軍プレイヤーが米国の主攻勢目標を東部戦線に配置すれば、米国の戦争努力が東部戦線に振り向けられることになる(それはソ連軍に大きく利することになる)。

とまあ、こんな感じのゲームだが、実際にプレイしてみないとどのようなゲームなのか理解することは困難だろう。機会があればYouTube動画等を使って本作のシステムを詳しく解説してみたい所だが、今回は上記の説明でご勘弁頂きたい。

今回、本作をお試しでプレイしてみたので、その記録を紹介する。

「チャーチル」対戦記録、ルーズベルトの野望

まずはルールを覚えるために全3Turnの練習シナリオをプレイしてみた。それが終わったのが丁度昼頃になっていたので、昼食のために中座し、戻ってきて午後の時間にキャンペーンシナリオをプレイしてみた。プレイ時間

第1回会談:カサブランカ会談

会談ではアメリカが勝利した。そして米軍が太平洋で進攻作戦を行い、マーシャル諸島へ進撃する。一方の英ソ領国はそれぞれ東欧と中東に政治勢力を広めていく。

Turn01


第2回会談:ワシントンD.C.会談

会談はソ連が勝利した。米英軍は西部戦線でボレロ作戦を実施。英本土に上陸部隊を前進させる。さらに我が合衆国は西欧一帯にスパイ網を構築する。

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第3回会談:ケベック会談

会談は我が合衆国が勝利した。キング提督が太平洋での攻勢を主導し、太平洋での指揮権を米国が掌握する。米第58機動部隊がトラック島を空襲し、カロリン諸島を支配下に置いた。
欧州戦線では早くも米英軍がノルマンディに上陸。第2戦線を構築する。東部戦線ではこれまで停滞していたソ連軍がようやく前進に成功し、ドン川流域に姿を現した。

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第4回会談:カイロ会談

会談に勝利したのはイギリスであった。その勝利を駆ってイギリスは東南アジアで植民地支配の確立を一気に進めていく。戦場では、米英連合軍がフランスを抜けて低地諸国に進出。早くもドイツ国境に近づいていた。東部戦線では前進が一時停止。太平洋方面では米軍の海兵隊がマリアナ諸島を制圧した。

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第5回会談:テヘラン会談

会談に勝利したのは我が合衆国であった。しかしソ連は東部戦線で大攻勢の準備を進めており、状況は予断を許さない。イギリスは東南アジアの植民地支配をさらに進め、遂に東南アジア一帯から他国の情報網を一掃した。
そして東部戦線。圧倒的な軍事資源を投入したソ連軍が大攻勢を実施。白ロシア一帯とウクライナ一帯を完全に奪回していた。

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第6回会談:ロンドン会談

またもや会談に勝利したのは、我が合衆国であった。しかし南西太平洋での米国軍の攻勢作戦は2回連続で失敗。太平洋の戦場に暗雲が垂れ込める。
欧州戦線でも西部戦線ではドイツ国境付近で進撃停止。その間、ソ連軍は東部戦線で攻勢を強め、遂に東プロイセンまで到達していた。

Turn06


第7回会談:ケベック会談

原爆が完成した。早速日本本土攻撃に原爆を使用する。日本の軍部は原爆の威力に衝撃を受けたが、未だに降伏する気配はない。それもそのはず。日本が降伏する条件は、本土侵攻するか、又は原爆投下とソ連の参戦の両方を満たす必要があるのだ。
ソ連軍は遂にベルリンを指呼に収める地点まで進出。ヒトラーの命運も風前の灯である。ソ連軍の軍事的成功の裏で、米国の政治的活動がバルカン諸国で繰り広げられ、ユーゴスラヴィア、ギリシアに反共政権が樹立する。

Turn07


第8回会談:モスクワ会談

さしものソ連軍もドイツ軍の全力防御を突破することはできず、ベルリン前面で足止め状態である。一方の西部戦線では、西側連合軍がようやくラインラントに到着した。

Turn08


第9回会談:ヤルタ会談

未だに元気なルーズベルト。その間、極東戦線でコソコソ前進を続けていた英軍がいつの間にか香港を超えて台湾に到達していた。そのまま日本本土に迫る英連邦軍。

Turn09


第10回会談:ポツダム会談

最終会談である。不死身のルーズベルト大統領が遂にご逝去。副大統領のトルーマンが急遽大統領に就任した。原爆の威力を背景に猛威を振るトルーマン新大統領。しかし日本本土に侵攻したのは、台湾を出撃した英連邦軍であった。遂に降伏する日本。一方のドイツは、ソ連軍による再三に渡る攻勢を跳ね返し、ゲーム終了まで持ちこたえた。

Turn10


最終的なVP計算では、米79VP、英63VP、ソ連22VPで米国の勝利。10回の会談のうち7回で勝利を収めた「会談の勝利」が勝因であった。ちなみに実際の最終局面での盤面は、以下のようなものであった。

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ちなみに本作の勝利条件は少し変わっていて、通常は獲得VPの大小で勝敗が決まるのだが、もし1位プレイヤーが2位と20VP以上の差をつけて勝つと、「勝ちすぎ」ということで2位以下が勝利する可能性がある。従ってプレイヤーはVP勝利を狙いながらも、「勝ちすぎ」ないように注意して他プレイヤーと協力する必要がある。

感想

勝ったので素直に嬉しい。本作の場合、枢軸軍に対する軍事的な勝利が必ずしも重要ではなく、むしろ自身の政治的な影響力を第3国に如何に広げていくかが重要である。その点、やや極端な気がしないでもないが、それはそれで面白い。3人用ゲームとしてもバランスが取れていて面白かった。

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