もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 航空戦

たまにはちょっと軽めの話など・・・。

Ju88とHe111。いずれもドイツ空軍を代表する双発爆撃機です。
さて、ここで問題です。
どちらの機体が有名でしょうか?。

実にくだらない質問ですが、先日某所で話題になりました。
私は「ぜったいJu88の方が有名」だと主張したのですが、某氏は「He111の方が有名」といって譲らない。
もちろん答えの出るような話ではないんですが、某氏は海外の事情にも精通した方だけにそれなりに説得力がある。

その時は答えが出ないまま終わったのですが、気になったので少し調べてみました。

チェック1:Gegoleで検索してみたら?
"Ju88"で検索したら、約230,000件にヒット
"He111"で検索したら、約194,000件にヒット

これだけ見ればややJu88の方が優勢に見えます。

チェック2:
"Junkers Ju88"で検索したら、約121,000件にヒット
"Heinkel He111"で検索したら、約92,900件にヒット

うーん、やっぱりJu88の方が有名なんじゃないでしょうかねえ・・・。

いずれにしても両機ともDo17よりも有名であることは間違いないのですが。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/5/2/52ac7b1a.jpg

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/c/9/c942d60d.jpg

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「トップガン」という言葉を知らない人はあまりいないでしょう。
映画のタイトル?。勿論その通り。そして映画「トップガン」のタイトルの由来になったのは、米海軍航空兵器学校(United States Navy Strike Fighter Tactics Instructor)、つまり米海軍の優れた戦闘機乗りが集まってくる学校のことです。「トップガン」とは、優れた戦闘機乗りを示す言葉でもあった訳です。

ところで「トップガン」という言葉が「優れた戦闘機乗り」の意味だと知った時、私は少し違和感を感じました。
「トップガン」は、直訳すれば「射撃が一番上手」という意味です。戦闘機乗りにとって射撃技量は勿論重要ですが、それは戦闘機乗りにとって「沢山ある技量の中の1つ」に過ぎません。優れた視力や状況判断能力、そして何よりも優れた操縦技量こそが重要なはず。優れた戦闘機パイロットとは、卓越した視力・状況判断と巧みな操縦技量によって有利な位置を占めることができる者ではないか。そう思ったものでした。

ところで先日「零戦-アメリカ人はどう見たか」という本に面白いことが書かれていました。それは戦前戦中における日米両軍の戦闘機パイロット訓練について述べた箇所で、日本軍は専ら後上方及び正面からの射撃に終始したのに対し、米海軍では積極的に偏差射撃を訓練に取り入れていると記載されていました。そして米海軍では射撃技量を重視し、訓練の場において実弾射撃を多く取り入れているとのことでした。別の言い方をすれば「日本人は理想的な射撃位置を占めるための技量を重視し、アメリカ人はいかなる射撃位置からでも有効な射撃を行いうる技量を重視した」ともいえます。

そういえば米側の空戦記を読むと、しばしば「日本側パイロットの射撃は下手」だとか「彼らがもし我々と同じ程度の射撃技量を有していたら、我々は全滅していただろう」といった記述を見ます。これは単なる「自画自賛」と評することもできますが、どうやらそうではなかったらしいです。彼らは射撃技量を非常に重視し、そして恐らく彼らの射撃技量は平均的な日本軍パイロットよりも高かったのだと思われます。

F4FやP-40が我が国では評価が低く、しかしその一方で実際の戦歴では零戦を上回っているという事実の背景には、偏差射撃や射撃技量に対する日米双方の考え方の違いがあったのかもしれません。



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F4U「コルセア」。第2次世界大戦の米海軍を代表する戦闘機の1つである。
最大速度約700km/h。12.7mm機関砲6門で武装し、最大約2トンもの爆弾を搭載し得る「コルセア」は、少なくともカタログスペックで比較する限り、零戦はもとより、「疾風」や「紫電改」といった新型戦闘機ですらも圧倒する性能を持っていた。
しかしその「コルセア」が、格下であるはずの日本機相手にしばしば苦戦を強いられることになる。
これから紹介する「聖バレンタインデーの空中戦」も、そのような「コルセア」の苦戦を物語る1つのエピソードである。

聖バレンタインデーの空中戦

1943年2月12日。VMF-124に所属する12機の「コルセア」がガダルカナル島に進出してきた。"Death's Heads"(死の頭)という愛称を持つ同部隊は、1942年9月に編成された比較的新しい部隊で、米海軍/海兵隊を通じて最初に「コルセア」を装備した飛行隊として知られている。
彼らは翌13日より早くもブーゲンビル方面に出撃するが、その時は日本機と交戦することなく全機無事に帰還した。

翌14日。12機の「コルセア」は海軍のPB4Y「リベレータ」4発爆撃機、米陸軍のP-40、P-38戦闘機と共にブーゲンビル島南東の航空基地カヒリを攻撃するために出撃した(*1)。しかし今回は昨日のようにはいかなかった。戦意と技量に優れた零戦約50機(*2)が手ぐすね引いて待ち構えていたからである。
空中戦の結果は悲惨だった。米軍編隊は日本側迎撃機によって文字通りズタズタに引き裂かれたのである。米軍の損失は「コルセア」2機をはじめとして、「リベレータ」2機、P-40 2機、P-38 4機の計10機に及んだ。日本側の損害は1機のみ(*3)である。

後に「聖バレンタインデーの大虐殺」と呼ばれることになるこの空中戦は、「コルセア」戦闘機にとって苦いデビュー戦となった。

(*1)この戦いに参加した米軍機の総数はハッキリしない。この戦いに限らず、米軍に関する記録では、USAAF(米陸軍航空隊)関連の情報が手薄であり、研究者泣かせである。ちなみに日本側の記録によれば、B-24*9,F4U*12,P-38*12,P-39*9の合計42機となっている。仮に日本側の報告が正確だとすれば、機数面では日本側の方がやや勝っていたことになる。

(*2)日本側の記録によれば、この日迎撃したのは零戦33機、水戦11機、零観4機となっている。「機数約50機」という米軍の評価は数で言えば概ね正解だが、機体性能で言えばかなり過大評価していると言える

(*3)米側の資料では、この日の零戦の損失を3機としている場合が多い。しかし日本側の記録では自爆1機のみとなっている。米側の記録は恐らく前日の零戦2機自爆を追加してカウントしているのであろう。この日の空中戦に関しては、10:1で日本側の圧勝であった、とするのが恐らく正しい。

「コルセア」の弱点

「コルセア」が苦戦した原因は何か。人的要素、機械的要素、その他に分けて考えてみる。
まず人的要素で言えば、搭乗員の技量が劣っていたことが考えらる。この戦いに参加したVMF-124は1942年9月に開隊された比較的新しい飛行隊であり、この戦いが事実上の初陣であった。また機材の初期不良に伴う慌しいメンテナンスや機材更新により飛行訓練時間が削られたVMF-124のパイロット達は、「コルセア」による飛行時間が平均20時間という状態であった。さらにP-40やP-38についても実戦経験が豊富とは言えない状態であった。
それに対して日本軍は零戦隊が204空、251空、582空といった面々で(*4)、水戦や零観にしてもガダルカナル戦以来の猛者揃いであり、戦闘経験の面で日本側に一日の長があることは否めなかった。

(*4)204空は旧第6航空隊、251空が旧台南空と書けば、彼らの技量を概ね推し量ることができよう

では機材はどうか。
先にも書いた通り、「コルセア」のカタログスペックは零観や水戦はもとより、零戦ですら容易に追随できないものであった。従ってまともに戦えば零戦は「コルセア」を追い回すことすら難しかったのである。しかし実際は違っていた。
この時期、戦場に登場してきた「コルセア」は、F4U-1と呼ばれる初期型であった。下のイラストを見ていただきたい。ここに描かれている「コルセア」はVMF-124が当時使用していたモデルである。我々が知っている「コルセア」とは少しイメージが異なっていることに気づかれたと思う。

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これは所謂「鳥かご風防」と呼ばれるモデルである。このモデルは後のモデルに比べると視界が狭く、離着陸時や空戦時に大きな障害となっていた。が、これはまだ軽微な欠陥である。
一番大きな欠陥はエンジンにあった。「コルセア」で採用されたR-2800「ダブルワスプ」は2000馬力を誇る高性能エンジンであったが、初期型は電波干渉に対する点火装置のシールドが不十分であり、特に29,000ft以上を飛行する際にはしばしばエンジンが停止してしまうというトラブルが発生した。そのために当初は29,000ft以上の高度を飛行することが禁じられていたという。
その他にも多くの問題を抱えていた「コルセア」。「コルセア」の諸問題が概ね解決し、実用上問題がないとされるのは、1944年5月より登場したF4U-1D以降とされている。

(*5)兵器研究家の大塚好古氏は、その著書「米海軍戦闘機」の中でR-2800エンジンの初期不良について触れ、「問題が殆ど解決した後で実用化された「F6F」は非常に幸運だった」と評している。

環境面でいえば、それまで迎撃一辺倒であった米海兵隊戦闘機隊が、初めて本格的な侵攻作戦を行ったのが上記の空中戦であった。彼らの出撃基地であるヘンダーソン基地からブーゲンビル南端のカヒリ飛行場までの距離は凡そ300マイル。これはガダルカナル戦当時にラバウルからガダルカナルに飛んだ零戦隊の約半分に過ぎないが、それでも米海兵隊にとっては破格の遠距離攻撃であったことは確かである。そして零戦よりも「コルセア」は航続距離が短い。一方で日本側は今まで苦しめられ続けた距離の制約から解放され、思い切った戦いができるようになったのであろう。

人、機材、環境。これらの不利が重なった結果、「コルセア」の初陣は悲惨な結果に終わった、と見るのが妥当であろうか。

おまけ

GMT社のカード空戦ゲーム「Corsairs & Hellcats」では、「コルセア」は日本機を圧倒する高性能機として評価されています。しかし例えば1943年シナリオでは「超高高度飛行は禁止」といった制約を課すのも面白いかもしれません。

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海軍零戦隊撃墜戦記1: 昭和18年2月-7月、ガダルカナル撤退とポートダーウィンでの勝利
海軍零戦隊撃墜戦記2: 昭和18年8月-11月、ブイン防空戦と、前期ラバウル防空戦
海軍零戦隊撃墜戦記3: 撃墜166機。ラバウル零戦隊の空戦戦果、全記録。

面白いページを見つけました。


題して「1990-2002年に戦闘で失われた米空軍有人機です」

わざわざ「有人機」(MANNED AIRCRAFT)と断り書きを入れるのが興味深いのですが、今では無人機がそれだけ一般化してきているということでしょうか。
記事によれば、この13年間に戦闘で失われた米空軍機は計17機。ちなみにここで言う戦闘損失(COMBAT LOSS)とは、戦闘が主原因によって失われた機体を指し、作戦中に戦闘以外の原因(事故等)で失われた機材は含まれていないことは注意が必要です。実際には「戦闘損失」と「非戦闘損失(作戦損失)」は明確な線引きが出来る訳ではなく、曖昧な場合も少なくありません。

機種別に見るとA/OA-10が6機でトップを占め、F-16C/CGが5機、F-15Eが2機で、あとはAC-130H、EF-111A、F-117A、F-4Gが各1機という内訳になっています。
原因別に見ると、SAMによるものが13機と全体の76%を占め、その他は対空火器が3機、機動戦闘が1機となっています。SAMの種類別に見ると、赤外線誘導の小型SAMによるものが7機でSAM被害の過半を占め、中でもSA-16(NATOコードネーム「ギムレット」)によって4機が落されています。
SAMに比べると対空火器の戦果は振るわず、僅かに3機。しかもそのいずれもが湾岸戦争時期の戦果で、セルビアやアフガンでは1機も落していません。ヴェトナムでは猛威を振るったロシア製AAAですが、その後は威力を封じられています。その原因としては、航空機の爆撃高度が上がったことが挙げられていますが、それを可能にしたのは精密誘導兵器の進歩と、開戦当初における敵防空システムの効果的な破壊があったからでしょう。もしそのいずれかに失敗していれば、米空軍機は低空攻撃を強いられ、AAAによって大きな損害を出していたかもしれません。低空攻撃を信条とした英独伊のトーネードや英仏のジャギュアが、湾岸戦争の初期に大きな損害を被ったことが思い起こされます。

敵戦闘機に食われた機体はゼロ。逆に米空軍は空中戦で48機を撃墜しています。そのあたりをレポートは「1990-2002における軍事作戦において疑いなく最も成功した事例」であると誇らしげに記しています。

今度の方策について、米空軍は「対空砲火とSAMの射程距離外を飛行する」ことを損害回避の最も有効な手段としています。先にも書いたとおり敵戦闘機の脅威はほぼ無力化され、長距離SAMも適切な対策が施されればほぼ無力化することに成功した米空軍(長中SAMに食われた例は大半がSEAD機(F-4G,F-16CJ等)や電子妨害機(EF-111A、EA-6B等)の援護を欠いた状態でした)にとって、残った唯一かつ最大の脅威は敵歩兵から打ち上げられる携行SAMということなのかもしれません。歩兵の携SAMはシステムとして無力化することが困難なので、手っ取り早く高高度飛行で回避してしまえ、ということなのでしょう。

なかなか面白いレポートでした。

ついでに米海軍についての同種のレポートも読んでみたいな、と思いました。
あと損失には至らなかったけど被弾した機体がどのくらいあったのかも知りたいですね。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/0/4/04457824.jpg
https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/d/4/d49c06b8.jpg
米空軍のF-16とA-10。米空軍の中では一番犠牲の多かった両機種だが、それでも全体的に見ればその損失は低レベルであった。
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ロシア製携行SAM「SA-16 Gimlet」(ロシア名Igla-1 9K310)。1980年代後半に導入された比較的新しい携行型SAM。今や米空軍にとって最大の脅威(笑)となりつつある。
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航空情報2009年6月号

MiG-29といえば、1980年代の発売されていた空戦ゲームにおいては「敵方のボスキャラ」的な扱いでした。ところがところが、あの湾岸戦争でケチがつき、その後コソボでもボロ負け。今では完全な「駄作機」扱い。
「ゲルググだと思っていたら、実はザクレロだった」
といった所でしょうか。
今回はそのMiG-29の特集。MiG-29の駄作ぶりが余す所なく・・・・、ではなく、比較的冷静な視点でMiG-29を評価しています。とはいっても、全般的に西側機(特にF-16)に比べると見劣りするのはやむを得ない所でしょうか。
あと、急に話題に上り始めた「サイレントイーグル」もチャッカリと記事にされていました。こちらは
「F-Xの新たな本命現る」
といった所でしょうか。

先月の「A-10特集」も良かったですが、今回も「買い」です。

お奨め度★★★★

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