
半沢直樹3-ロスジェネの逆襲
池井戸潤 講談社文庫

今回は、半沢が東京中央銀行から子会社の証券会社に出向している状況から物語が始まる。彼のもとに舞い込んだのは、大手IT企業による企業買収案件。しかし親会社である銀行本体がこの案件を横取りしようと画策し、半沢は再び理不尽な権力と対峙することとなる。
今回は半沢と共に戦うのがロスジェネ世代と呼ばれる若手社員たちが活躍する。バブル崩壊後の就職氷河期に社会に出た世代は、ロスジェネ世代と呼ばれ、組織の中で冷遇されることが多い。作中では、半沢の部下である森山がロスジェネ世代の象徴的存在として描かれ、彼の成長や葛藤が物語に深みを与えている。
半沢直樹シリーズは、現代社会における世代間の問題や組織の理不尽さを鋭く描いた作品でもある。読後には、理不尽な状況に立ち向かう勇気をもらえると同時に、現代社会の働き方や組織の在り方について考えさせられる。本作は、半沢直樹シリーズのファンはもちろん、企業社会の現実に興味を持つ人々にも強くおすすめできる作品である
お奨め度★★★







