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書籍紹介「不毛地帯1」
不毛地帯1
山崎豊子 新潮文庫
何度か映像化された山崎豊子原作長編小説の第1巻。今回はAmazon Audibleで読んで(聴いて)みた。本作のテーマは高度経済成長期におけるビジネス戦争だが、第1巻では主人公が終戦直後にシベリアに抑留されて過酷な抑留生活を送る姿が克明に描かれている。敗戦という過酷な現実、国際協定を無視した悪辣なソ連側の扱い、さらには共産化による恐怖など、シベリア抑留の状況を「まるでそこにいたかのように」詳細に記している。筆者の筆力に感服する。本書はあくまでも小説なので現実とは異なる部分が当然あるのだが、小説とは思えないほどリアリティに満ちた作品であった。 続編を読む(聴く)のが楽しみである。お奨め度★★★★
書籍紹介「陸王」
陸王
池井戸潤
最近Amazon Audibleでハマっているのが池井戸潤作品。日々の散歩や旅行先でのドライブの友に欠かせない存在となっている。この陸王も期待に違わない素晴らしい内容だった。
今回の主人公は埼玉県行田市にある足袋メーカーの社長である。服飾文化の変化により足袋業界全体が斜陽産業となり、主人公の会社も右肩下がりの状況が続いている。そんな中、主人公は取引先銀行の奨めもあって新事業を企画する。それはランニングシューズの開発だった。主人公たちはライバル企業や実業団のランナーたち、新技術開発など、様々な困難に遭遇しながらも、それを乗り越えていく。この困難との遭遇とそれを乗り越えていく過程は、これまで読んできた池井戸作品と共通する部分で、興味深く読め(聴け)た。
ネタバレになるので詳しくは書けないが、とにかく一度読み(聴き)始めたら、最後まで読み(聴き)たくなる面白さだ。
お奨め度★★★★