もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 小説

3

241129_落日

落日

湊かなえ ハルキ文庫

落日
湊かなえという作家の名前を知ったのは登山雑誌だったと思う。確か趣味が登山という小説家ということで紹介されていた。それ以来氏の著書を読んだことはなかったが、Amazon Audibleで紹介に上がっていたので聞いてみた。本書には2人の主人公が登場する。1人は長谷部香、新進気鋭の女性映画監督。もう1人が甲斐千尋。映像作品の脚本家で、年齢は香より少しだけ下という設定。2人とも30前後の設定だったと思う。ストーリーは、15年前に起こった一家殺人事件を軸に進められる。引きこもりの高校生が妹を殺害し、さらに自宅に放火して両親を殺害したというのが事件の概要だ。2人の女性は過去の事件を追う中で、中高生の複雑な心理描写、大人たちの歪んだ愛情表現などが生々しく描かれている。そして次第に明らかになっていく事件の概要と共に、登場人物が複雑に絡み合ってきて、ラストにつながってくる。
とまあ、こんな感じの本。
読んでいてそこそこ面白く、またドロドロした心理描写は興味深かった。

お奨め度★★★


落日 火車 10年後、君に仕事はあるのか? たかが殺人じゃないか

4
241029_不毛地帯2

不毛地帯2

山崎豊子 新潮文庫

第2巻では主人公が商事会社に入社し、いよいよ頭角を現していく場面を描いている。本書では、第2次防衛力整備計画巡るFX(次期主力戦闘機)導入に関連した商社間の争いが描かれている。ラッキードF-104を推す主人公らとグラントF-11の導入を目指すライバル会社の激しい鍔迫り合いが本書の最大の魅力と言える。本書はあくまでもフィクションなので事実ではないが、リアリティがあって面白かった

お奨め度★★★★

不毛地帯1 不毛地帯2 白い巨塔1 沈まぬ太陽1

241106_ツバキ文具店

ツバキ文具店

小川糸 幻冬舎

ツバキ文具店
Amazon Audibleで聞いてみた。話し手が有名女優だったので、それに惹かれたというのが実情である。内容は鎌倉にある小さな文具店である「ツバキ文具店」の若い女主人雨宮鳩子を主人公とする物語。鳩子は文具屋を営みつつ手紙の代書も請け負っている。本書は鳩子にやってくる様々な代書の依頼を軸にして、様々な人生模様を描いていく。その中で、主人公と祖母や母親との関係。対立と葛藤、後悔と和解、生と死などが丁寧な文章で綴られている。ドキドキハラハラの展開ではないが、自分自身にも心当たりがありそうな話が多かった。

お奨め度★★★


ツバキ文具店 火車 たかが殺人じゃないか 遥かなる星

3
241112_火車

火車

宮部みゆき 新潮文庫

火車
この本で思い出すのは、1990年代に本屋に行くと、この本が平積み状態だったこと。当時の代表的なベストセラーミステリーだった。ちなみに本書が未だ映像化されていないのは結構意外だった。ストーリーは、傷病休暇中の刑事が親戚の依頼を受けて失踪したその親戚の婚約者を追うというもの。マイホーム破産、カード地獄など、平成前期、バブル期直後の社会問題を積極的に取り上げているのが面白い。またストーリーが東京、名古屋、韮崎、宇都宮、郡山、伊勢、大阪と動き回り、それぞれで当時の事物を紹介しているので興味が尽きない。個人的にちょっと残念だったのは、終わり方がやや唐突だったかな。エピローグ的な部分がもう少しあっても良かったと思った。

お奨め度★★★


火車 たかが殺人じゃないか ツバキ文具店 遥かなる星

3

241015_下町ロケット

下町ロケット(2)

池井戸潤 講談社文庫

下町ロケット(2)
大田区の町工場、佃製作所と佃製作所に関わる人々の姿を描いた小説。その第2弾は医療機器開発がテーマとなる。前作でも活躍した佃製作所の面々や今回新たに登場する人物たちが新しい医療機器開発を巡って交錯する。前作とは異なる医療機器という分野に切り込んだ筆者の筆力は相変わらず冴えわたる。読後の爽快感も前作同様。ただ、前作に比べると、いわゆる「悪玉」がちょっと救われない書き方だったかも。

お奨め度★★★

下町ロケット(1) 下町ロケット(2) 空飛ぶタイヤ 半沢直樹1

↑このページのトップヘ