2024年08月28日 書籍紹介「「砲兵」から見た世界大戦」 「砲兵」から見た世界大戦 古峰文三 パンダ・パブリッシング 本書は砲兵及び火力戦の発展を述べた著作である。「WW2の本質は機動戦ではなく火力戦だった」という結論は、小気味よい。確かに初期の電撃戦はとにかく1943年以降の戦いは火力戦が主体と言われても左程違和感はない。そのことは昨今のウクライナ戦争でも次第に明らかになってきている。そういった意味で筆者の主張は興味深い。お奨め度★★★★「砲兵」から見た世界大戦: ――機動戦は戦いを変えたか (WW2セレクト)現代砲兵 -装備と戦術-
2024年08月18日 書籍紹介「Military Classics Vol.86」 Military Classics Vol.86 イカロス出版 特集はBf-109戦闘機。ナチスドイツを代表する単発戦闘機で、開戦から終戦まで活躍。Fw-190やスピットファイアに比べると日本での人気はやや劣るような気がするが、改めて本機を振り返ってみると、性能といい、実績といい、まさに名機というに相応しい機種であることがわかる(Fw-190は日本ではやや過大評価されすぎ?)。そういえば以前のミリクラでFw-190特集もあったので、読み比べてみても面白いかもしれない。第2特集は八九式中戦車。太平洋戦争期には旧式化していたため戦時中はあまり華々しい戦歴のない本車であるが、満州事変や日中戦争まで範囲を広げていくとそこそこ活躍していたことがわかる。このような旧式戦車でスチュワートやシャーマンと戦うことになったのが日本戦車隊の悲劇かもしれない。お奨め度★★★ MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.86(2024年夏号)[雑誌] MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス)Vol.85(2024年春号)-特集:蒼龍・飛龍・雲龍 MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.84(2024冬号)-特集:IV号戦車 MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.83(2023年秋号)-特集:三式戦闘機/五式戦闘機 MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.82(2023年夏号)-特集:丙型・丁型海防艦 MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.81(2023年春号)-特集:ドイツ突撃砲・突撃戦車 MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.80(2023年冬号)-特集:Fw190/Ta152 MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.79(2022年秋号)-特集:高雄型重巡 MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス)Vol. 78(2022年夏号)-特集:フンメル/ヴェスペ/グリレ MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス)Vol. 77(2022年春号)-特集:艦上爆撃機彗星 リンク
2024年05月14日 書籍紹介「戦闘機年鑑2023-2024」 戦闘機年鑑2023-2024 青木謙知 イカロス出版 世界各国で現在実運用されている軍用航空機のうち、戦闘機、攻撃機、爆撃機、攻撃ヘリに相当する機体を原則として全て取り上げている。中には研究段階で実用化されていない機体も含まれているが、既に退役した機体は含まれていない。中にはF-14トムキャットのように本国では退役したけど、他国で未だに運用されている機体は取り上げられている。だからF-14以外にもF-4やF-5、あるいはMiG-21等も取り上げられている。さすがにMiG-19は姿を消したが…。そういえばSu-17シリーズも消えたかな。こういう本を読むと、数年前から何が変わったか、あるいは何が変わっていないかを見るのが結構楽しい。ここ数年戦闘機の開発ペースが明らかにペースダウンしているので、10年前の情報と比べてみても殆ど変化がない。そういった意味では平和だなぁ、と思う。そんな中、イランやインドといったあたりの諸国が地味に戦闘機開発を進めているのが興味深い。どうでも良いけど、表紙のF/A-18EはAMRAAMを10発搭載している?。お奨め度★★★戦闘機年鑑2023-2024 (イカロスMOOK) リンク
2024年04月16日 書籍紹介「戦争学原論」 戦争学原論 石津朋之 筑摩書房 本書は「学問としての戦争」について記した著作である。戦争を肯定するのでも否定するのでもなく、まず戦争を戦争として分析しようとするのが本書の内容である。本書の中で著者が繰り返し述べていることは、「戦争は優れて社会的な事象」だということ。つまり戦争は人間社会における現象の1つであって、人間社会から離れた異常な現象ではない。そして戦争を構成するものは、政治、軍事、国民、技術、時代精神の5つで、この中から1つとして欠けるものはない。この考えから遊離して、例えば国民不在で戦争を論じても、戦争を論じたことにはならない。このあたりはマイケル・ハワード氏の考えにも相通じるものがあり、戦争を社会から遊離したゲームのように捉えることは無意味であるとしている。さらに本書では、戦争学と平和学の情報交換の重要性を説き、一般に敵対的な関係にある戦争学と平和学の現状に不満を漏らしている。「戦争」とは何か、「戦争の勝敗」とは何か、「戦争と平和の違い」は何か、について新しい視点を得られる著作である。お奨め度★★★★戦争学原論 (筑摩選書 63)大戦略の思想家たち (日経ビジネス人文庫)縮訳版 戦争論 (日本経済新聞出版)『戦争論』クラウゼヴィッツ語録 (日経ビジネス人文庫) リンク リンク
2024年04月02日 書籍紹介「センチュリーシリーズ写真集」 センチュリーシリーズ写真集 イカロス出版 米空軍が採用したジェット戦闘機のうち、F-100スーパーセイバーからはじまる一連の戦闘機群をセンチュリーシリーズと呼びます。その内訳は実用戦闘機であるF-100、F-101、F-102、F-104、F-105、F-106の計6機種と、詩作のみで終わったF-107ウルトラセイバー、そして計画のみに終わったXF-103、XF-108がありました。本書はセンチュリーシリーズの写真集で、特にF-100からF-107までの各機種について様々な写真を掲載している。思い返せば幼少期、当時最新鋭だったF-15やF-16に比べてどこか野暮ったいと感じたセンチュリーシリーズの各機。しかし今写真を見返してみると、その姿が美しいと感じるから不思議です。特に子供の頃に不細工だと思いこんでいたF-101やF-105がカッコいいのなんの。気になる方は是非ご一読下さい。お奨め度★★★アメリカ空軍ジェット戦闘機センチュリーシリーズ写真集 リンク