永禄三年(1560年)、東海地方に強大な勢力を築いていた今川義元は、上洛を視野に入れて尾張へ侵攻した。総勢2万5千ともいわれる大軍は、松平元康(後の徳川家康)らを先鋒に、次々と織田方の砦を攻略し、尾張の情勢は一気に緊迫する。
対する織田信長。兵力では圧倒的に劣勢だったが、果敢に出陣を決断する。豪雨の中、義元本陣を奇襲し、義元を討ち取るという劇的な勝利を収めた。この戦いは、信長が歴史の表舞台へ躍り出る契機となり、後の天下統一への道を切り開く重要な転換点となった。
本作『桶狭間合戦』は、歴史的に有名な桶狭間合戦をシンプルなルールで再現するSLGである。桶狭間合戦の特徴とされる様々な要素、例えば「大軍vs小勢」「奇襲の可能性」「城砦線の攻防」といった要素が、“多様な勝ち筋”としてゲームに落とし込んでいる点が特徴である。
本作の基本システムはカードドリブン方式である。手札の中からカードを1枚開示し、カードに記載されたイベントを発動するか、または1個軍団が移動できる。カードは織田方に有利なカードと今川方に有利なカードがそれぞれ一定割合で含まれていて、自軍に有利なカードを適切なタイミングで使用できるか否かが勝敗を左右する。
また特徴的な点として、両軍とも初期手札がある程度決まっていることもある。そのため初期手札の配分によって有利不利が極端に動くことがなく、バランスの良いプレイが期待できる。
戦闘システムはいわゆる「ダイスパワー方式」である。ユニット毎にダイスを振り、戦闘力以下の出目が出たら敵に1ヒットを与える。ヒット数はユニットの除去か(もしあれば)城レベルの低下で満たす必要がある。ユニットの戦闘力は1~3で、地形効果によっては戦闘力が1~2減少する場合がある。そのため戦闘力1のユニットはしばしば「弾避け」以外に役に立たないこともある。
勝利条件は5つ用意されている。
一番わかりやすいのは敵大将の除去で、織田信長、今川義元が除去されれば、相手側が勝利する。他には今川義元の大高城入城、大高城と鳴海城の落城などがサドンデス勝利の条件となる。それ以外はゲーム終了時のVPによって勝敗が決まり、織田方が14VP以上獲得していれば織田方が勝利する。バランスは概して良好と思われる。
プレイ時間は60〜90分と軽めで、慣れれば60分以内でもプレイ可能である。
今回、本作をソロプレイで試してみた。以下はその記録である。
ゲーム展開
ゲーム開始時点で今川方は戸部城にいる戸部政直と山口教吉を「粛清」できる。粛清が行われると、この両ユニットが除去され、戸部城も廃城になる。その代わり、岡部元信と鵜殿長照をそれぞれ鳴海城、大高城に配置できる。今川方にとってユニット数が減るので一見すると不利だが、大高城と鳴海城は勝敗に直結する重要拠点なので序盤に守りを固めるのは有益だ。また戸部城は実質的に織田方の人質のようなものなので、廃城しても損はない。そんなこんなで今川方は粛清した方が有利だと思う。今回もそうした。このゲームは、カードドロー、今川方の行動、織田方の行動、戦闘という流れとなる。最初の手札は、両陣営とも若干の選択肢があるものの、ほぼ決まっている。そこで今川方は初期カードの「松平勢の兵粮入れ」を利用して松平勢5ユニットを大高城に入城させる。松平勢は今川方にとって一種の独立部隊となっていて、戦闘力は高いながらも自由に動かせないので使いにくい部隊だ。この部隊を戦闘の焦点となる大高城に入れることで、有効活用できるようになる。この選択は悪くない。
一方の織田方はやはり初期カード「幸若舞敦盛」で織田信長麾下の全ユニットを出陣させる。このゲーム、通常の移動では5ユニットのグループで移動するが、このカードを使えば織田信長と同一エリアの全ユニットが移動できるのだ。
「人間五十年 下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり」
今川方は「挑発」カードを使って正光寺砦の織田勢を城外に誘い出す。これによって大高城の包囲は破れた。城を囲むすべてのエリアに織田方のユニットが砦を構えていると、大高城、鳴海城は毎Turn士気値が1つずつ低下する。士気値の初期値は10で、それが4以下になると落城の可能性が出てくる。大高城の包囲解除は、大高城落城の可能性を大いに減少させた。
一方の織田方は「大駆け」カードで信長麾下の10ユニットを鳴海城に突入させて総攻撃を実施する。これにより鳴海城の士気値は1段階低下した。
今川方は再び「挑発」カードを使用。今度は善正寺砦の織田勢を誘い出し、鳴海城の包囲を解こうとする。しかし織田側も再び鳴海城を全力攻撃。鳴海城は落ちなかったが、包囲は継続。鳴海城の士気値が5まで低下した。
鳴海城の危機を察した今川方は、今川義元自らが出陣し、沓掛城西方の台地に布陣する。しかし時すでに遅し。包囲を受けた鳴海城は、次のTurnにアッサリ落城してしまった。
城が落城する士気値は0~4のいずれかで、それはカードによってランダムに決まる。プレイ開始時は両プレイヤーともその値を知らないが、いずれかの城の士気値が4以下になった時、今川方はカードを確認できる(織田方には知らせない)。今回は今川方にとって最も不利なカードを引いていたため、鳴海城がアッサリ陥落してしまった。
今川義元が麾下10ユニットを率いて丸根城の手前まで進出。信長麾下の主力部隊と相対する。しかしこれは危険な賭けだった。なぜなら信長方も約10ユニットを集結させて今川方主力と対峙している。ここで両者の直接対決が起こった場合、必ずしも今川方が兵力で優越してはいなかったのだ。今川方としては後方の部隊を早く前線に投入し、兵力の優位を確立したかったのだが・・・。
ここで今川方にとって最悪のイベント「雷雨」が起こる。これは強制イベントで、このカードを引けば必ず発動しなければならない。このカードは織田信長と彼に隣接するエリアの織田方ユニットが全て行動可能になるというもの。さらにこのTurnの戦闘では、今川方の戦闘力が全て-1となってしまう。
織田信長以下の10ユニットが今川義元の陣に殺到する。両軍はほぼ同数であったが、今川方は戦闘力-1という足かせがあり、実際の戦闘力は大差があった。
今川方も勇戦したが、序盤に圧倒されてしまい、あとは逃げるのが精一杯だった。この戦闘で今川方は計8ユニットを失うという大損害を被った。一方の織田方の損害はわずかに2ユニットである。今川義元自身は何とか虎口を脱したが、最早勝負ついた感があった。
結局、この一戦で勝敗が決した。この後、今川軍が最後の反撃を試みるも、兵力に勝る織田方の反撃で壊滅。 最終的には今川軍の損害が14ユニット、織田軍は6ユニットとなった。織田方の獲得VPは27VPで、織田方の勝利に終わった。
感想
プレイ時間は短く、考える所が多い。面白いゲームだと思った。雷雨や奇襲、松平勢の扱いなど、桶狭間合戦の特徴もうまく再現している点が良い。うp主はあまり桶狭間合戦のゲームを知らないが、少なくとも本作は佳作以上の作品だと思う。





































