1944年1月。ドニエプル川西岸に進出したソ連軍は、コルスン周辺のドイツ第8軍の両翼を突破。そのまま後方に雪崩れ込み、ドイツ第8軍計6個師団を完全に包囲した。ソ連軍の新たな攻勢に対し、ドイツ軍も素早く反応し、第3装甲軍団、第47装甲軍団を主力とする部隊が、包囲下の友軍を救うべく攻勢を開始した。
The Jaws of Victory(以下、本作)は、1944年1月~2月におけるコルスン包囲戦を扱ったシミュレーション・ウォーゲームである。New England Simulations社が2020年に発表した作品で、1Turnが1日、1Hexが2マイル、1ユニットが大隊~師団規模になる。
今回、本作のシナリオ4「Operation Wanda」を4人でプレイすることになった。このシナリオは、第8Turn(1944年2月1日)~第16Turn(2月9日)までの期間を扱った中規模シナリオで、ドイツ第3装甲軍団による突破作戦を扱っている。このシナリオはマップの西半分のみを使用し、登場兵力は、ドイツ側がコルスンポケット西半分の第42軍団、突破作戦の左翼を援護する第7軍団。そして突破作戦の主力である第3装甲軍団。ソ連側は第1ウクライナ方面軍麾下の第27軍、第40軍、そして第6戦車軍である。
今回私はドイツ側救援部隊である第7軍団と第3装甲軍を担当することとなった。
状況
ドイツ軍の2個軍団は、第7軍団は左翼(西側)、第3装甲軍団が右翼(東側)に展開している。第7軍団は歩兵中心の部隊であり、攻撃の主力は第3装甲軍団が担当することになる。とはいえ、初期配置されている第3装甲軍団は、装甲兵力が4号戦車装備の第17装甲師団のみであり、突破力不足は明らかだ。ドイツ軍の頼みは増援部隊で、ティーガー重戦車装備の第503重戦車大隊を擁するベーケ戦隊、パンター戦車装備の第16装甲師団がまず登場。その次にパンター、ティーガー装備の第1SS装甲師団「ライプシュタンダルテ」、そして国防軍の精鋭でパンター戦車装備の第1装甲師団が登場する。
攻勢正面に立ちふさがるのは、ソ連第6戦車軍。T-34中戦車やSU-76自走砲に混じってSU-122重自走砲を装備した部隊もチラホラ。とはいえ、ティーガーやパンターの敵ではなく、これを撃破するのは十分可能だ。問題は、その後方を流れるGniloy Tikich川。ゲーム上では「大河川」に分類されているGniloy Tikich川は、橋を架けなければ重装備は渡河できない。戦車の突破力が頼みのドイツ軍にとって、Gniloy Tikich川での渡河点確保は絶対必要だ。しかしソ連側はドイツ軍の接近を知れば橋を落としにかかるだろう。一度橋が落ちれば、対岸の敵を排除した上で工兵隊が架橋しなければならない。しかし歩兵戦力だけで橋頭保を確保し、対岸を確保できるかどうか・・・。この作戦の成否はGniloy Tikich川の渡河成否にかかっていた。
8Turn(2月1日)
まだ攻撃兵力が不十分なので、第3装甲軍団の戦車部隊を敵に接敵させる。増援としてベーケ戦隊が登場してきたので、重戦車大隊を最優先で鉄道輸送で最前線へ送り込む。9Turn(2月2日)
天候は晴天。路面は凍結状態だ。反撃開始のチャンスである。しかしここでスタック制限の厳しさに気づく。第3装甲軍団の装甲部隊と第7軍団の歩兵部隊を無造作にスタックさせていたからそこかしこでスタック違反が発覚。ごめんなさいして1ヘクスずつずらさせたが、配置自体が整然としないので攻撃兵力を上手く集中できない。それでもベーケ戦隊の重戦車大隊を最前線に投入し、攻撃を開始した。10Turn(2月3日)
路面が泥濘状態になった。これによってドイツ軍の進撃力が大幅に殺がれることになる。ベーケ戦隊が本格攻勢を開始した。さらに装備優良な第16装甲師団も続々と戦場に到着しつつある。しかしソ連第6戦車軍の抵抗は激しく、なかなか前進できない。中でも122mm砲装備のSU-122重自走砲や大量に配備された76mm砲「ラッチェバム」がドイツ装甲部隊に手痛い損失を強いている。
11Turn(2月4日)
相変わらず路面状態は泥濘状態である。最前線にはベーケ戦隊、第16装甲師団が全力戦闘に入った。さらに後方から第1SS装甲師団も戦場に向けて急いでいる。このTurn、ドイツ軍は予備移動を駆使し、ソ連軍の戦線に食い込む。そしてGniloy Tikich川まであと2Hexに迫ってきた。
12Turn(2月5日)
ドイツ軍の先鋒部隊がBuzhanka(2026)の渡河点に迫る。Buzhankaは勝利得点都市で、ここを占領するとドイツ軍は2VPを獲得する。さらにBuzhankaはGniloy Tikich川の南岸部分にあるので、ドイツ軍としては何としても取っておきたい目標だ。第1SS装甲師団も加えて攻撃力を増したドイツ第3装甲軍団は各地で猛攻を実施。突破の結果を得てBuzhankaに迫る。そしてその後方にある都市Vodyanikiを完全包囲したドイツ軍は同地を占領した。
13Turn(2月6日)
ドイツ軍は遂にGniloy Tikich川南岸部に到達し、Buzhankaに対する総攻撃を行う。重戦車効果と砲兵支援、さらに航空支援を投入して遂にBuzhankaを占領した。これでドイツ軍は2VPを獲得した。ドイツ軍が勝利条件を満たすためには、あと2VPが必要になる。つづく