もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

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以下の通りです。



なお、本和訳ルールの品質その他に関するクレームは一切受け付けません。

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Next War: Poland(以下、本作)は、現在戦を扱ったゲームシリーズであるNext Warシリーズの第4弾で、ロシア軍によるバルト諸国及びポーランドへの侵攻を扱う。現実にこのような事態が発生する可能性はそれほど高くないと思うが、ロシアがかつての巨大なソ連時代の再現を指向している蓋然性が否定できない以上、それを軍事的手段によって達成しようとする可能性はゼロではない。事実彼らはウクライナからクリミア半島を奪い取ったではないか。

Next Warシリーズについては、以前にも紹介したことがある。地上戦と航空戦を詳細なルールで、海上戦についはやや抽象化されたルールで再現する。

今回、本作のシステムに慣れるため、標準ルール用の簡単なシナリオをプレイしてみた。

17.1.1 スヴァルキ・ギャップ(Suwalki Gap)

リトアニア南部スヴァルキ・ギャップは、ベラルーシ西端とロシアの飛び地であるカリーニングラード州との間の一帯である。ロシア側から見た場合はカリーニングラード州とベラルーシとの間の連絡線という観点から、またNATO側から見た場合はポーランドとバルト三国との陸上交通路という観点から、それぞれ戦略的に重要な地域である。このシナリオでは、ロシア軍とベラルーシ軍によるスヴァルキ・ギャップに対する侵攻作戦について、侵攻開始から10日間を再現する。

このシナリオは作戦マップだけの陸戦シナリオなので本作の中では一番簡単なシナリオである。それでも本作の戦闘システムは結構複雑なので慣れるまで一苦労である。基本的には戦闘比による解決であるが、コラムシフトとDRMの両方が適用される。ヘリコプターや航空機による戦闘支援、砲兵支援、練度差、攻勢正面等、様々な要素を考慮する必要がある。戦闘結果表は全般的に攻撃側が有利で、低比率攻撃でも相互損害を与えるチャンスは十分にある。ただし防御側も地形によっては死守が可能であり、高練度部隊であれば地形に籠って抵抗するチャンスもある。

全3Turn中2Turnまでプレイしたが、大体システムの概要を掴んだので、次のシナリオに進むことにした。

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17.1.2 レッド・ストーム:バルト諸国進攻(Red Storm: The Baltic Invasion

本作では作戦マップ以外に戦略ディスプレイと呼ばれる戦略マップを利用する。このシナリオは、戦略ディスプレイのみを使用するシナリオで、戦略ディスプレイの使い方を理解するには最適である。ロシア軍は強力な地上兵力でバルト三国に侵攻し、それをバルト三国の守備隊とNATO軍の増援部隊が阻止する。
ロシア側が圧倒的に優勢かと思われるシナリオだったが、拠点防御にあたるNATO軍はなかなか頑強である。オッズが立たないので消耗戦になり、ロシア軍も攻め切れない。
2Turn終了までプレイしてみたが、ロシア側に勝ち目がなさそうなのでここまでとした。

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17.1.3 作戦名「北極嵐」:バルト諸国奪回(Operation Arctic Storm: Retaking the Baltics)

次のシナリオも戦略ディスプレイのみを使用するシナリオである。NATO軍によるバルト三国に対する反攻作戦を扱う。このシナリオで初めて海軍ルールが登場する。海軍ルールの使い方をマスターするには格好のシナリオと言えよう。

NATO軍は陸路と海路からバルト三国に逆侵攻。リトアニアの西岸から上陸した部隊とポーランドを陸路侵攻した部隊がまずリトアニアに侵攻する。さらにリガ湾に進入した米海兵隊がラトビアへ侵攻。この両国の奪回を図る。米海兵隊、米第82空挺師団、第101空中機動師団、さらにはNATO緊急展開部隊が兵力の優越を生かしてロシア軍を撃破していったが、ロシア軍の粘り勝ちで1点差でロシア軍が勝利した。

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気になった点

まず戦略ディスプレイの感想だが、移動に関するルールにやや違和感がある。特に敵支配エリアから直接敵支配エリアに移動するのに何ら制約がないので、敵の存在に関係なく自由に移動ができてしまう。例えば敵ユニットの存在するエリアから敵ユニットの存在するエリア又は敵支配下のエリアには直接移動できない、とかいうルールがあった方が良いように思うのだが。

もう1点、戦略ディスプレイでの掃討戦(Clearing)マーカーの扱いが今一つ曖昧である。[GSR 6.6]によると、陸上エリアには中立、支配、競合の3つの状態がある。ここはOK。競合状態とは両陣営の陸上ユニットが同じ陸上エリアに存在する状態である。これもOK。問題は次の一文である。

"A Clearing Marker must be randomly drawn and placed at any time the non-Allied player’s forces are the sole occupiers of the Land Area."
(非連合軍の部隊のみが陸上エリアを占めている時、掃討戦マーカーがランダムに引かれ、 当該エリアに配置される)

ということは、掃討戦に成功して掃討戦マーカーを排除しても、「非連合軍の部隊のみが陸上エリアを占めている時」に掃討戦マーカーをランダムに引くのか?。それとも一度掃討戦が完了したら掃討戦マーカーは配置しないのか?。どうもよくわからない。

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今回でゲムマへの参加も5年目になります。
今回もいくつかの作品を持ち込みました。
今回の新作は、雑誌「海空戦 No.2」。昨年発表した「海空戦!南太平洋1942」のエクスパンションキットです。約30個+予約分を持ち込みましたが、おかげ様で全部完売致しました。

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「お買い上げ頂いた皆様、ありがとうございます」

今回の戦利品

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上は今回の戦利品です。
左の「MIDWAY」は、盆栽ゲームの新作。テーマはミッドウェー海戦で、空母戦ゲーム好きとしては関心を抱かざるを得ない。中身はというと、小さめのハードマップ1枚にカウンターシート1枚。驚くべきことに、カウンターには「利根」「アトランタ」等の護衛艦艇はおろか、「赤城」「加賀」といった空母すら含まれておらず、水上艦艇を示すカウンターがありません。その代わり艦隊を示すカウンターが用意されています。
シンプルなルールで太平洋のターニングポイントを楽しめそうな作品です。

真ん中は「格闘級!航空母艦の戦い」。斬新な索敵システムと航空攻撃場面の迫真性を重視したゲームシステムだそうです。拙作「海空戦!南太平洋1942」のライバル的な作品ですが、ウィンウィンで頑張りましょう。

右端はBONSAIマガジン。水上戦特集なので購入しました。ホンの少しですが、拙作が紹介されておりました。感謝、感謝。

おまけ

朝、時間があったのでお台場周辺を少し歩いてみました。ユニコーンガンダムの実物大模型を見るのは初めてです。

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ゲームマーケット2019春が1週間後に迫ってきたので、海空戦シリーズの在庫状況を確認しました。
(以下は予約済のものを含んでいません)

 「海空戦!南太平洋1942フルセット版」 18個
 「海空戦!南太平洋1942カウンターのみ」 12個
 「海空戦 No.1」 24個
 「海空戦 No.2」 約90個

「ア・バオア・クー」はまだまだ在庫があります。
「PFB」は最小限の在庫しか持っていませんが、家内制手工業で増産可能です。

上記の通り「海空戦!南太平洋1942」シリーズの在庫が僅少になってきたので、入手を希望される方は、この機会に入手をご検討下さい。

入手方法は-->こちらを参照して下さい。

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「走れパットン」(以下、本作)は、1985年にアドテクノスから発表され、21世紀に入ってGame Journal誌で再販されたシミュレーションゲームである。第2次大戦欧州戦線で勇名を馳せた合衆国陸軍パットン将軍の活躍をゲーム上で描いた作品で、シシリー、アブランシェ、バストーニュ、そして架空戦のプラハ(米軍とソ連軍が激突する)の4つのシナリオがそれぞれ共通のシステム、個別のスケールで描かれている。

本作の基本システムは、過去の紹介記事を参照されたい。

今回、「走れパットン」の中からバストーニュ攻防戦を再びソロプレイしてみた。以下はその記録である。

セットアップ

このゲームはバルジの戦いが始まってから約1週間が経過した12月24日、すなわちクリスマスイブから始まる。バストーニュに籠る米第101空挺師団はドイツ軍に包囲され、ドイツ軍は3個師団を基幹とする兵力でこれを攻め落とそうとする。独軍の兵力は、第26国民擲弾兵師団、第5降下猟兵師団、第15装甲擲弾兵師団と、総統擲弾兵旅団、戦車教導師団の1個連隊、第352国民擲弾兵師団の1個連隊である。ドイツ軍は第26国民擲弾兵師団と第5降下猟兵師団、さらに総統擲弾兵旅団ににバストーニュー攻略を担当させ、残りは北上してくる米軍増援部隊に備える。

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1Turn(44/12/24AM)

前回の失敗を鑑み、米軍は3個師団を同一戦線に集中投入して突破を図る。ドイツ軍は二重戦線を張って大突破を防ぐが、米軍の攻撃によって2ユニットを失う。
バストーニュ正面ではドイツ軍の砲爆撃が炸裂。2個ユニットが混乱状態となり、戦線に穴が開いた。包囲攻撃を受けて4ユニットが壊滅。早くもバストーニュ守備隊はバストーニュから1ヘクス以内に押し込まれる。

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2Turn(44/12/24PM)

南方からバストーニュに近づく米軍3個師団は、パットン麾下の第4機甲師団の攻撃によってさらにドイツ軍の1個大隊を撃破する。バストーニュではドイツ軍による砲爆撃は失敗。しかし2ヵ所で実施した直接攻撃は1ヵ所が成功。バストーニュ守備隊1ユニットが壊滅した。そしてドイツ軍はいよいよバストーニュに迫る。

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3Turn(44/12/25AM)

ドイツ軍の砲爆撃がさく裂してバストーニュ守備隊の1スタック(2ユニット)が瞬殺される。他の1スタックも砲撃を受けて混乱したところを包囲攻撃を受けて壊滅した。ドイツ軍はバストーニュ市街前面に迫ってくる。しかし南方から近づくパットン第3軍もバストーニュ外周防衛線から3ヘクスの距離まで肉薄してきた。バストーニュを巡る競争はどちらが勝者か?。

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4Turn(44/12/25PM)

パットン第3軍がバストーニュ南方のドイツ軍を撃破し、バストーニュ守備隊と手をつないだ。しかし時すでに遅し。バストーニュ市街地に対して猛砲撃を加えていたドイツ軍は、在守備隊を混乱状態にせしめて防御力を半減せしめた後、7-1の比率で万全の態勢で攻撃を仕掛けてきた。バストーニュ市街地を守る米軍部隊は壊滅。第101空挺師団司令部もドイツ軍の餌食となり、第101空挺師団は事実上壊滅した。

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5Turn(44/12/26AM)

米軍はバストーニュ奪回の攻勢に出る。米第4機甲師団の攻撃を受けてドイツ第26国民擲弾兵師団は2ユニットを失う。しかしドイツ軍も第4機甲師団に向けて反撃を実施。砲撃によって混乱を強いられた2ユニットが退路を失って壊滅した。

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6Turn(44/12/26PM)

バストーニュ前面で砲兵火力を集中した米軍が反撃を実施。2ユニットを包囲して殲滅。他2ユニットをパットン麾下の攻撃によって撃破した。独軍は戦線を後退させて米軍と離隔する。

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7Turn(44/12/27AM)

米第4機甲師団がバストーニュを奪回した。さらに戦線右翼からは新登場の米第35歩兵師団が北上し、独軍の左翼を圧迫する。ドイツ軍も機甲兵力による反撃を企図するが、米軍はスキを見せない。

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8Turn(44/12/27PM)

第4機甲師団先鋒がマップ北端に到達した。砲爆撃で戦線に突破口を穿った米軍は、戦線後方の総統擲弾兵旅団(FG)司令部を攻撃し、これを撃破した。ドイツ軍はその総統擲弾兵旅団を使って突破してきた米軍機甲部隊に対して反撃を実施した。比率3-1でリスクのある攻撃であったが、攻撃は成功し、米機甲部隊2ユニットが撃破された。

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9Turn(44/12/28AM)

米軍はさらにドイツ軍を追い詰めて4ユニットを撃破した。ドイツ軍は反撃のための兵力がないが、後退する地積もない。黙って耐えるだけだ。しかし次のTurnに増援が来る。次のTurnに・・・。

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10Turn(44/12/28PM)

米軍は既に残敵掃討モードに入っている。強行と包囲攻撃で6ユニットを撃破した。しかしドイツ軍にもようやく増援部隊が登場する。総統護衛旅団(FE)に所属する装甲部隊4ユニットだ。米軍戦線左翼を守る米第26歩兵師団を攻撃。2ユニットを撃破して突破口を穿った。

11Turn(44/12/29AM)

米軍は左翼戦線を再構築する。そのためこのTurnは攻撃を行わず、全体的に戦線を整理した。
ドイツ軍は強力な第1SS装甲師団が登場。攻撃のための布陣をしく。

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12Turn(44/12/29PM)

米軍の最後の増援である第11機甲師団が登場する。戦線左翼を守る米第26歩兵師団、さらに戦力が半減した米第4機甲師団、第9機甲師団が戦線左翼を守る。ドイツ軍も第1SS装甲師団を前進させて米軍と接触。次ターンからの総攻撃に備える。

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13Turn(44/12/30AM)以降

ここから残り4Turnの経緯は簡単に記したい。VPで劣勢に立つドイツ軍は、増援の第1SS装甲師団を中核として反撃を試みる。しかし兵力及び補給力で劣るドイツ軍による反撃は自殺行為に等しく、第1SS装甲師団は突破口を穿つどころか、逆に米軍の反撃を受けて立ち往生する始末であった。結局ドイツ軍は一部を残して敗退を余儀なくされ、ここにバストーニュを巡る戦いは米第3軍の勝利に終わった。

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感想

システムはシンプルだが、かなり癖のあるものだ。支援攻撃と戦闘後の強制損耗が本作(及び本システム)のウリだが、そのために普通のゲームとは少し異なったプレイスタイルを要求される。
まず本作では先制攻撃が必ずしも有利ではない。何故なら先制攻撃を実施する場合、自軍の支援攻撃の威力は制限され(移動開始前に敵に隣接していないと砲兵射撃は使えない、空爆は可能)、さらに損耗していない敵と戦うことにためオッズが立ちにくい。一方で戦闘に勝利しても自軍は強制損耗する上、戦闘後前進も強制されるため敵中に取り残される危険もある。従って続く敵側の反撃に対して極めて脆弱になる。
無論、敵が反撃してきた場合、今度は敵側にも同じ不利が適用されるため、敢えて不利な先制攻撃を行って敵の反撃を誘い、反撃によって弱体化した敵に対して本命の攻撃をぶつける、といったような駆け引きが発生する余地がある。その点は興味深い。

気になった点はやはりプレイ時間だ。ハーフサイズのマップと比較的少ない数のユニットでプレイできることから一見すると「手軽なゲーム」に思えるが、全16Turnはやはり長い。慣れればサクサク進むのでそれほど気にならないが、それでもプレイを始める際の精神的障害にはなる。無論本作が発売された1980年代では今よりもウォーゲームの数は遥かに少なかったので、スモールサイズのゲームに対しても高いゲームヴァリューを求める傾向が強かったのかもしれない。
後はスモールげーむの常なのだが、ダイス目の影響が大きい。特に支援攻撃は効果が大きい(当たればZOCが消えて防御力半減、場合によっては1発でスタック全滅もある)ので、そのダイス目によって戦局が大きく動く可能性がある。

何はともあれ、アルデンヌ戦後半のパットン反撃を扱った作品自体があまり多くはなく、その殆どが所謂「バルジゲーム」のシナリオ扱いになっている。そういった意味で、パットン反撃を単独でゲーム化した本作の意義は大きく、現在でもプレイする価値は十分にある作品だと考える。

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