もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

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自作空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」(以下、本作)。今回は、追加シナリオである真珠湾強襲シナリオについて紹介する。
このシナリオは、2019年5月26日のゲームマーケット春で発売予定の「雑誌、海空戦No.2」に収録予定である。

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「海空戦、南太平洋1942」の概要については-->こちらを参照して下さい。
「海空戦、南太平洋1942」「雑誌、海空戦No.2」の入手方法については-->こちらを参照して下さい。
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ここまでの展開

イメージ 71941年12月7日。日曜日の真珠湾上空は、突如日の丸をつけた飛行機に埋め尽くされた。真珠湾攻撃。太平洋戦争の発端となった航空攻撃である。真珠湾港内では戦艦「オクラホマ」が魚雷多数を食らって轟沈、他に「ネヴァダ」「カリフォルニア」等3隻の戦艦が大中破した。またホイラー、ヒッカム、カネオヘ等の飛行場も日本機の猛攻を受けて、完全撃破及び大中破合計91機の損害を記録している。

しかし米軍はすぐさま反撃体制に入った。真珠湾周辺に続々集結する米機動部隊。それは「レキシントン」「サラトガ」「エンタープライズ」の各空母をそれぞれ中核とする3群の高速空母部隊である。さらに真珠湾からは被害を免れた戦艦、巡洋艦、駆逐艦が日本艦隊を探して急遽出航していく。

決戦2日目。ハワイ北方海域で日米の空母が激突する。兵力に勝る日本艦隊が終始優位に戦いを進め、大型空母「レキシントン」を撃沈、同じく「サラトガ」「エンタープライズ」の2艦を中小破せしめた。米軍の戦果は中型空母「蒼龍」:中破のみ。この時点では日本軍の優位は動かなかった。

詳しくは-->こちら

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12月8日18:00

イメージ 8夕闇が戦場を覆いつつある。日本艦隊に対してこの日最後の一撃を加えんとしてヒッカム飛行場を発進したB-17の9機編隊が日本空母を攻撃。高高度から空母「飛龍」を狙ったが、爆弾は惜しくも外れた。

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12月8日22:00

夜になって米艦隊は真珠湾方面に後退していく。真珠湾の強力な戦闘機の傘で艦隊を守ろうという算段だ。さらに「ウェストバージニア」等の足の遅い戦艦は、戦術的価値が乏しいとして、損傷した重巡「ポートランド」と共に真珠湾へ再び入港した。残った水上戦闘艦はいずれも30kt以上の高速力を発揮できる巡洋艦、駆逐艦のみである。

12月9日06:00

イメージ 9決戦3日目である。夜明けとともに両軍の索敵機が敵を求めて飛び立つ。日本艦隊を真珠湾西方海域に発見した米軍は、ヒッカム飛行場から9機のB-17、18機のA-20からなる攻撃隊を発進させた。首尾よく日本艦隊を発見した米攻撃隊は、零戦の迎撃を躱して中高度から日本艦隊を攻撃する。小型で俊敏な運動が可能なA-20の編隊が空母「飛龍」に600ポンド爆弾1発を命中させた。「飛龍」の損害は比較的軽微であった。

12月9日14:00

イメージ 10一旦真珠湾から離れた日本艦隊が再び真珠湾の攻撃圏内に入ってきた。真珠湾の港湾施設に対して第2撃を敢行するためである。2波に渡る攻撃隊が再び真珠湾を襲った。しかし2日前とは事情が違っていた。真珠湾上空には、米陸海軍及び海兵隊の戦闘機約100機が手ぐすねを引いて待ち構えていたのである。

イメージ 11第1波攻撃隊は45機の零戦に援護された63機の艦爆。計108機による攻撃隊である。これを100機近い米戦闘機が迎え撃つ。零戦は2倍以上の敵機を相手に奮戦したが、やはり多勢に無勢。2機撃墜と引き換えに6機を失った。艦爆隊も米戦闘機による容赦ない攻撃を受け、24機を失い、12機が被弾損傷する。戦果の方は、2日前の攻撃で大破していた戦艦「ネヴァダ」に250kg爆弾3発を命中させたが、撃沈するには至らなかった。

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イメージ 12第2波攻撃隊は、零戦36機、九七艦攻36機の計72機からなる攻撃隊である。こちらも米戦闘機の激しい迎撃を受け、零戦6機を失ったが、零戦隊の奮戦によって艦攻隊は無傷まま港湾上空に進入する。艦攻隊が狙ったのは、真珠湾のオイルタンク群であった。ここを破壊すれば、米太平洋艦隊は数ヶ月間(というのは大袈裟かもしれないが)行動不能になるはず。そうはさせじと真珠湾各地からは激しい対空砲火は打上げられる。爆弾投下と前後して6機の艦攻が撃墜された。渾身を込めて投下された爆弾であったが、無情にも爆撃は目標を逸れた。真珠湾のオイルタンク群は殆ど無傷であった。もとより36機程度の小型攻撃機で港湾施設を壊滅させるというのが土台無理だったのだ。

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この攻撃で日本艦隊はほぼ攻撃力を失った。真珠湾に対する第2撃に失敗した南雲機動部隊は、これ以上危険水域に留まる必要はなかった。彼らは速度を上げてハワイ近海を離れていく。目指すは日本本土近海。戦争はまだ始まったばかりだった。

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結果&後日談

イメージ 13後に「ハワイ沖海戦」と呼ばれる大海戦は日米両軍に多大な損害を強いた。米軍は戦艦「オクラホマ」、空母「レキシントン」、重巡「シカゴ」、駆逐艦1隻を失い、戦艦「ネヴァダ」が大破、戦艦「カリフォルニア」「ウェストバージニア」、空母「サラトガ」が中破、戦艦「アリゾナ」、空母「エンタープライズ」、重巡「ポートランド」が小破した。失われた航空機は約140機に達した。
日本軍は、空母「蒼龍」が中破、空母「飛龍」が小破したほか、小型潜水艦「甲標的」5隻を失った。航空機の損害は、零戦32機、艦爆104機、艦攻72機、水上機9機の計212機に達し、各空母に残った航空兵力は零戦81機、艦爆31機、艦攻72機の計184機に過ぎなかった。空母艦載機の実に半数が失われた計算になる。この後、日本空母機動部隊の再建は困難を極め、開戦前に予定されていたポートダーウィン攻撃やインド洋作戦は、遂に実施されることはなかった。日本機動部隊が曲りなりにも戦力を回復して作戦可能になったのは、翌年5月に実施されたMO作戦まで待たねばならなかったのである。そのMO作戦、さらにはその翌月に実施されたMI作戦で日本機動部隊が演じた戦いについては、また別の物語である。

感想

イメージ 14VP的には日本軍214点、連合軍204点で引分けという結果に終わった。プレイ時間はセットアップや昼食を含めて9~10時間。1日フルでプレイすれば概ね完了する時間である。
今回米軍を指揮するにあたって考慮したのは真珠湾の防衛である。特に第2撃は絶対阻止しなければならないと思っていた。そのためには米空母部隊の健全性が重要であり、米空母部隊を抑止力にして真珠湾に対する第2撃を抑制しようと企図していた。
今回の経過を見ると、上記の構想は半ば以上失敗したと評する他はない。一番大きい失敗は「レキシントン」隊の初期配置である。日本空母を北西に吊り上げるために真珠湾の北北西に出現させたが、これは失敗。東へ逃げようとして退路を断たれる危険性が出てきた。そのため「サラトガ」「エンタープライズ」を急遽「レキシントン」救援のため真珠湾北方へ進撃させる必要が出てきて、結果的に不本意な空母決戦を強いられる羽目になる。「レキシントン」隊をもう少し東よりに配置し、日本空母が追っかけてきても東方に逃げる余地を残しておけば、自隊は無傷で日本空母を翻弄できただろう。そういった意味からは不本意な結果と言える。
結果的には引分けに終わった今回の戦いだが、「レキシントン」が沈み、「サラトガ」撃破された時点でVP的には勝ち目がなかった。海戦3日目に日本軍の第2撃部隊が真珠湾の港湾施設を集中攻撃し、爆弾が真珠湾のオイルタンク群を吹っ飛ばしていれば、米軍が完敗を喫したことは間違いない。そういった意味では、幸運と日本軍プレイヤーの小さな判断ミス(最後はオイルタンク群を狙うべきだったと思う)に助けられた「引分け」であった。

このシナリオは米軍にとって難しいシナリオだと思う。しかし強力な南雲機動部隊を翻弄し、手玉に取った時の快感はまた大きい。そういった意味では米軍にとっては遣り甲斐のあるシナリオに仕上がったと思っている。

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運命の夜明け 空母瑞鶴戦史:ソロモン攻防戦 空母瑞鶴戦史:南太平洋海戦 日本空母戦史 機動部隊 空母エンタープライズ上巻 Pacific Carrier War Midway Inquest How Carrier Fought

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予定通り進まないプロジェクトの進め方

前田考歩、後藤洋平 株式会社宣伝会議

プロジェクトを成功させることは難しい。小規模なプロジェクトならまだしも、多くのリソースやステークホルダーが関与する大規模プロジェクトなら、「成功することはまずない」と言われる程失敗プロジェクトが多いのが現状だ。本書はそんなプロジェクトマネジメントについて、上手に進めるにはどうしたら良いかを期した著作である。
本書はまず「プロジェクトがなぜ失敗するか」から説き起こしている。筆者によればプロジェクトが失敗するのは、それが「未知のもの」でありかつ「1回きり」のものだからだという。次に筆者はプロジェクト成功の秘訣を「勝利条件の設定と更新」にある、としている。プロジェクトを成功させるために勝利条件の設定が必要だという考え方は、我々ウォーゲーマーにとっては極めて理解しやすい考え方だが、一般には余り馴染まない考え方だろう。さらに筆者の言う「勝利条件の書き変え」は、我々ウォーゲーマーでもなかなか気づかない(熟練したゲーマーなら当たり前のように行っているかもしれないが・・・)カラクリで、まさに「目から鱗」という思いがする。
そしてその後が筆者らの提唱する「プロジェクト譜」(プロ譜)へとつながっていく。これはプロジェクトの勝利条件と外的要因、阻害要因等を書きだした後、プロジェクトを成功させるための施策をフローチャートのような案配で記載していくものだ。このプロ譜と特徴は、将棋などの記録と同じく、プロ譜を局面毎に書き変えていく点にある。これによりプロジェクトの流れが一目でわかるだけではなく、後の振り返りで意思決定の流れも理解できるようになる。
このプロ譜という考え方は非常に興味深いと思った。プロジェクトマネジメントのみならず、例えば様々な軍事的決断(例えば南雲中将はミッドウェー海戦でなぜあのような決断を行ったのか等)を考察する際にも有効である。我々の世界はとかく「結果論」に陥り勝ちだが、このプロ譜を使えば、結果論から離れた真の「再発防止策」が導き出せる端緒になると期待できる。
なおこのプロ譜だが、ウォーゲームの研究、とりわけ作戦研究にも使えると感じた。ソロプレイの際、なぜこのような決断を行ったのか、その結果どうなったかを考察することは、ソロプレイを楽しくプレイする上で非常に有益だと考える。

ウォーゲームに強いことそれ自体は、自らの利益につながらない。しかし、ウォーゲームに強くなろうとする思考や行動は、自らにとって大きな力になる。

お奨め度★★★★

予定通り進まないプロジェクトの進め方

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自作空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」(以下、本作)。今回は、追加シナリオである真珠湾強襲シナリオについて紹介する。
このシナリオは、2019年5月26日のゲームマーケット春で発売予定の「雑誌、海空戦No.2」に収録予定である。

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ここまでの展開

1941年12月7日。日曜日の真珠湾上空は、突如日の丸をつけた飛行機に埋め尽くされた。真珠湾攻撃。太平洋戦争の発端となった航空攻撃である。真珠湾港内では戦艦「オクラホマ」が魚雷多数を食らって轟沈、他に「ネヴァダ」「カリフォルニア」等3隻の戦艦が大中破した。またホイラー、ヒッカム、カネオヘ等の飛行場も日本機の猛攻を受けて、完全撃破及び大中破合計91機の損害を記録している。

しかし米軍はすぐさま反撃体制に入った。真珠湾周辺に続々集結する米機動部隊。それは「レキシントン」「サラトガ」「エンタープライズ」の各空母をそれぞれ中核とする3群の高速空母部隊である。さらに真珠湾からは被害を免れた戦艦、巡洋艦、駆逐艦が日本艦隊を探して急遽出航していく。米軍の反撃が始まろうとしていた


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12月8日06:00

イメージ 14決戦2日目。夜明けと同時に両軍の索敵機が活発に活動を開始した。両軍の索敵機は次々と敵発見を報じる。日本機動部隊の位置は真珠湾の西北西420海里(14ヘクス)。真珠湾からならB-17による長距離攻撃で辛うじて攻撃可能な距離である。日本機動部隊の東北東300海里(10ヘクス)に空母「レキシントン」がいる。さらに日本艦隊の東南東420海里には「エンタープライズ」と「サラトガ」がいた。「レキシントン」隊は辛うじて日本艦爆の攻撃圏内にいたが、「レキシントン」から発進するSBD艦爆は日本艦隊に届かない。当然「エンタープライズ」「サラトガ」から日本機動部隊まで攻撃は不可能だ。ちなみに「エンタープライズ」「サラトガ」は敵索敵機の発見される所にはなっていない。

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イメージ 15日本艦隊を発進した攻撃隊が「レキシントン」を襲う。「レキシントン」上空には自体を守る旧式のF2A-3バッファロー24機の他、「エンタープライズ」「サラトガ」から派遣されてきたF4F-3ワイルドキャット16機が上空警戒の任についていた。
日本軍の第1波は零戦18機、九九艦爆18機よりなっていった。彼らは米軍のCAP網を首尾よく回避したが、「レキシントン」隊の猛烈な対空砲火に捕まった。半数の艦爆が撃墜破され、一方の戦果は重巡「シカゴ」に4~5発の250kg爆弾を命中させてこれを大破せしめた。
次の第2波、第3破はいずれも零戦9機、艦爆27機の戦爆連合であったが、第2波攻撃隊は米軍のCAP網に捕まって殆ど全滅に等しいを損害を被った。第3破は損失機数こそ9機に留まったが、「レキシントン」を狙った爆弾は悉く外れ。
第4破はやはり零戦9機、艦爆27機の混成編隊。これは迎撃機と対空砲火で艦爆9機を失い、重巡「ポートランド」に1弾を命中させただけにとどまった。

ここまで飛来してきた日本機は計144機。そのうち48機を撃墜し、24機を被弾させ、しかも彼らの攻撃目標「レキシントン」に対しては1弾の命中も許さなかった迎撃戦闘機と対空砲火。この時点まではその防空システムは完璧に機能していた。

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イメージ 13そして最後の攻撃隊が「レキシントン」隊に迫る。零戦9機、艦爆18機の計27機よりなる攻撃隊で、これまでよりも一回り小さい攻撃隊であった。彼らは米戦闘機の迎撃を巧みに突破し、「レキシントン」にめがけて急降下に入った。対空砲火が9機の艦爆を撃墜破したが、彼らの大半は爆弾を投下した後であった。4発の250kg爆弾が「レキシントン」に命中した。一瞬だが「レキシントン」は航行能力を失って洋上に停止した。

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12月8日10:00

イメージ 16幸い「レキシントン」の傷は致命傷ではなく(3Hit)、すぐに航行能力を回復した。また限定的ながらも艦載機の運用能力を取り戻した。一方「エンタープライズ」「サラトガ」は、厚い雲を利用して日本艦隊の東南東方向に進み、日本機動部隊を攻撃圏内に捉えた(と思われた)。

しかし・・・、

索敵機からなかなか敵発見の報告が来ない。ジリジリと時間だけが過ぎていく。その間、敵の索敵機が遂に「エンタープライズ」「サラトガ」の姿をとらえた。敵機動部隊からは攻撃隊が発進した気配がある。もはや一刻の猶予もない。敵発見の報告を待たず「エンタープライズ」「サラトガ」からはそれぞれ36機づつのSBD艦爆が発進していった。索敵機からの報告がないので、攻撃目標は日本空母の推定位置だ。所謂索敵攻撃である。

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イメージ 12米攻撃隊の発進直後に日本空母を飛び立ったと思われる攻撃隊が空母「サラトガ」上空に姿を見せた。零戦18機、艦攻45機の計63機からなる戦爆連合攻撃隊だ。上空援護にあたっていた48機のF4F-3ワイルドキャットが迎撃に向かう。F4F-3は9機の艦攻を撃墜したが、零戦の反撃によって3機を失った。生き残った九七艦攻は、得意の航空雷撃戦ではなく、爆弾による中高度水平爆撃を「サラトガ」に対して敢行した。対空砲火による損失を恐れて、ということである。
一瞬「しめた」とほくそ笑んだ筆者(=米軍プレイヤー)であったが、そうは問屋が卸さない。800kg徹甲爆弾2発が「サラトガ」に命中した。飛行甲板を破壊された「サラトガ」は航空機運用能力の大半を損失してしまう(3Hit)。

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イメージ 17別の攻撃隊が「レキシントン」を襲う。こちらは零戦9機、九七艦攻27機からなる攻撃隊だ。こちらは「レキシントン」の航空機運用能力は大きく殺がれており迎撃機を発進させる余裕はない。こちらでも九七艦攻は水平爆撃を敢行した。狙い違わず2発の800kgが「レキシントン」に命中した。機関部に致命傷を被った「レキシントン」は左に傾いて沈没していった。「レディ・レックス」と呼ばれ、「サラトガ」と共に戦前における米海軍航空隊発展の礎となった誇り高き「レキシントン」は、皮肉にも航空攻撃によって撃沈された史上初の空母となったのである。

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イメージ 18その頃、米空母を飛び立った攻撃隊がようやく日本空母を発見した。幸いにも彼らが予想した日本空母の想定位置は的中していたのである。最初に日本空母に殺到したのは「レキシントン」を発進した僅か9機のSBDドーントレス艦爆である。彼らは機数の少なさを生かして日本側CAP機を回避し、奇襲攻撃に成功した。対空砲火も反撃できないまま急降下爆撃を実施したSBD艦爆隊は、精悍な中型高速空母「蒼龍」に500ポンド爆弾3発を命中させた。幸い「蒼龍」艦上には発艦準備中の機体はなく、そのために誘爆を免れた「蒼龍」は(2Hit)は、間もなく機動部隊に復帰した。

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イメージ 19続いて「サラトガ」を発進した第3偵察中隊/第3爆撃中隊混成のSBD艦爆36機が日本機動部隊に迫る。しかしこちらは零戦36機の迎撃を受ける。防御砲火で2機の零戦を撃墜したものの、SBD艦爆隊も半数が突入に失敗して爆弾を投棄する羽目になる。残り半数が傷ついた「蒼龍」を狙って急降下。1発の1000ポンド汎用爆弾を「蒼龍」の飛行甲板に命中させた。これによって「蒼龍」は航空機運用能力を完全に失う。

最後に日本艦隊を襲ったのは「エンタープライズ」を発進した第6偵察中隊/第3爆撃中隊混成のSBD艦爆36機である。こちらも零戦の迎撃を受け、15機が撃墜されるという大損害を被った。そして爆撃自体も完全な失敗に終わり、日本空母に一指も触れることができなかった。

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12月8日14:00

イメージ 20日本空母機による攻撃はなおも続いている。北方海域では単独で退避中の重巡「シカゴ」が日本機18機の攻撃を受けた。既に大破していた「シカゴ」と護衛の駆逐艦「ポーター」が撃沈された。さらに60~70機の日本機が2波に分かれて「エンタープライズ」機動部隊を襲った。こちらは多数の戦闘機を上空に上げて待ち構え、さらにオアフ島から飛来した陸軍のP-40戦闘機も迎撃に参加した。このために20機以上の日本機を撃墜し、損害は「エンタープライズ」が爆弾1発を喫しただけであった(1Hit=小破)。

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5月26日(日)のゲームマーケット春で発表予定の新作「海空戦No.2」の準備が完了しました。

「海空戦No.2」の詳細は-->こちら

今回はエキスパンションキットということで、ハーフサイズ(A2)両面印刷のマップが1枚、カウンターシート1枚、ルールブック1冊、索敵マップ1枚という構成です。ルールブックには追加ルール、追加シナリオの他、追加作戦シナリオのプレイヤーズノート、その他関連記事が記載されています。

それぞれ業者さんにお願いしたのですが、予想以上の仕上がりに大満足です。

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自作空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」(以下、本作)。今回は、追加シナリオである真珠湾強襲シナリオについて紹介する。
このシナリオは、2019年5月26日のゲームマーケット春で発売予定の「雑誌、海空戦No.2」に収録予定である。

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「海空戦、南太平洋1942」の概要については-->こちらを参照して下さい。
「海空戦、南太平洋1942」「雑誌、海空戦No.2」の入手方法については-->こちらを参照して下さい。
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シナリオのコンセプト

このシナリオのコンセプトについては、以前に既に説明しているのでここでは簡単な紹介にとどめたい。
このシナリオは史実の真珠湾攻撃を基に、少しだけアレンジした半仮想戦である。すなわち米側の防御態勢を史実よりもやや強化し、さらに実際には真珠湾近海にいなかった「レキシントン」や「サラトガ」機動部隊も真珠湾近海にいたものとしている。

日本軍及び連合軍の初期兵力は史実通りとしている。日本軍は6隻の空母に航空機43ユニットが搭載されている。連合軍は真珠湾に在泊中の戦艦8、巡洋艦7、駆逐艦17と、航空機25ユニットである。また増援で登場するのは、空母3、巡洋艦10、駆逐艦22からなる3群の機動部隊で、その艦載機は計24ユニット(水上機除く)になる。空母戦力や艦載機の戦力では日本機動部隊に敵わないが、水上戦力では優っている。あとは奇襲効果を上手に使って日本機動部隊を叩けるかどうかがポイントになる。

今回、私は連合軍を担当した。

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12月7日06:00

イメージ 6日曜日の真珠湾上空は、突如日の丸をつけた飛行機に埋め尽くされた。真珠湾攻撃。太平洋戦争の発端となった航空攻撃である。史上初の複数の空母を主力とする空母機動部隊による圧倒的な攻撃であった。
(我々の知っている史実とは少し異なり)事前に暗号解読等によって日本軍の真珠湾奇襲をある程度は予想していた米軍は、32機のP-40戦闘機を上空に上げて迎え撃ったが、それでも完全な意味で奇襲を免れることは不可能であった。日本軍は第1波攻撃隊として36機の零戦、54機の九九艦爆、90機の九七艦攻の計180機を投入し、米軍の戦闘機隊を圧倒したのである。

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イメージ 7真珠湾内、フォード島岸壁の所謂「戦艦横丁」には、戦艦「ウェストバージニア」や「メリーランド」等、計7隻の戦艦が錨を下ろしていた。そこを狙って計90機の九七式艦上攻撃機が、あるものは低空から魚雷を抱えて突進し、別のものは高度3000mから徹甲爆弾を抱えて戦艦の上甲板に必殺の一撃を叩き込もうとしていた。

戦艦「オクラホマ」が6~9本の魚雷を食らって転覆、轟沈していく。「オクラホマ」と同型の戦艦「ネヴァダ」も4本の魚雷と2発の800kg徹甲爆弾を食らって大破していた。戦艦「カリフォルニア」には魚雷3~4本が命中し左に傾斜。戦艦「ウェストバージニア」にも魚雷1本と爆弾2発が命中し中程度の損傷を被っていた。
ホイラー、ヒッカム、カネオヘ、フォード島の各飛行場にも日本機は来襲し、急降下爆撃によって地上で30機近くが炎上又は損傷していった。

イメージ 8第1波攻撃隊と入れ違いに第2波攻撃隊が真珠湾上空に姿を現した。36機の零戦、81機の九九艦爆、54機の九七艦攻の計180機からなる攻撃隊である。この時真珠湾上空には約80機の米戦闘機が迎撃のために舞い上がって来ており、護衛の零戦と激しい空中戦を演じていた。2倍以上の米戦闘機相手に零戦は見事な戦いを見せて、攻撃隊を敵機の攻撃から守り切った。この戦いで零戦6機、九九艦爆6機が敵戦闘機の餌食になり、九七艦攻6機が対空砲火の餌食になったが、損害は予想以上に軽微であった。一方で艦爆隊が投じる爆弾でオアフ島各地の米軍飛行場は大損害を被り、完全撃破と大中破合わせて50機以上の損害を被った。迎撃に上がったP-40戦闘機も零戦の反撃によって数機が撃墜された他、着陸時に滑走路が使えない等の2次被害によって事故損失が発生。一連の攻撃のよる米軍の損害は、完全撃破46機、大中破45機の計91機と記録されている。

イメージ 9日本機の攻撃を逃れて緊急出航を図る米艦隊を再び恐怖が襲う。艦隊の先頭立って前路哨戒にあたっていた駆逐艦「エルウィン」は突如左舷方向から雷撃を受けた。辛くも魚雷を回避した「エルウィン」は直ちに反撃を実施。左舷方向に潜望鏡らしきものを発見した「エルウィン」は爆雷攻撃を実施し、やがて海面に油と浮遊物が浮き上がってくるのを発見した。
別の時刻には新鋭軽巡「ヘレナ」が真珠湾を出た所で別の小型潜水艦による雷撃を受けた。魚雷をギリギリで回避した「ヘレナ」は辛くも損害を免れたが、あと数秒雷跡の発見が遅れていたら、間違いなく魚雷命中を喫していただろう。

12月7日10:00

イメージ 10混乱する真珠湾であったが、早くも米軍にとって増援部隊が登場した。ミッドウェー方面での任務を終えて真珠湾に向けて帰投中であった空母「レキシントン」を主力とする第11機動部隊である。また真珠湾からはPBYカタリナ哨戒飛行艇が四方に向けて飛び立っていく。その1機が真珠湾西方270海里(9ヘクス)の地点に敵空母らしき艦影を発見した。直ちにヒッカム飛行場から爆装したB-17 9機が発進していく。B-17の編隊は高高度から日本艦隊に接近し、零戦の迎撃を受けるとなく空母「飛龍」に爆弾を投下した。これが米軍による今次大戦最初の対艦船攻撃である。爆弾は惜しくも「飛龍」を外れ、その周囲に空しく水柱を上げるだけであった。

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12月7日14:00

イメージ 11新たな米空母が戦場に姿を現した。ハワイ南南東海域で演習中であった空母「エンタープライズ」を中心とする第8機動部隊と米本土から回航してきた空母「サラトガ」を中心とする第3機動部隊がいずれも真珠湾の東方約200海里の地点に姿を現したのである。両部隊はランデブーし、日本空母の動きを警戒しつつ反撃のチャンスを伺う。
一方日本空母部隊は針路を北北西に転じて北方から迫る「レキシントン」隊の距離を詰めようとする。

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12月7日18:00

イメージ 12日本艦隊はなおも北上する。この時までに日本艦隊の編成が空母6隻を中核とする極めて有力な空母機動部隊であることが判明していた(そんなもの、シナリオのOBを見れば一目瞭然なのだが・・・)。6隻の敵空母相手に「レキシントン」1隻では些か分が悪い。「レキシントン」は日本艦隊から離れるように移動し、何とか敵空母の攻撃圏内から離れようとする。

そして戦場を闇が覆った。夜がやってきたのだ。

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上図は12月7日日没時における「レキシントン」の位置と、その時想定した2つの針路である。①針路は実際に「レキシントン」が採用したコースで、日本艦隊からの離隔を図りつつハワイ諸島東北東を迂回して進撃してくる「エンタープライズ」以下の機動部隊との合同を企図したコースである。一方、②針路は日本艦隊の裏をかくコースで、夜陰に紛れてエリアAを南西方向に横切って、夜明け共にエリアDに出現するというコースだ。日本側の索敵力不足を利用した作戦で、上手くいけば日本艦隊を出し抜くことができる。しかしエリアDで発見されると、日本艦隊の横綱相撲でマップ西端に追い詰められて、最終的には1隻残らず始末される危険性もあった(シナリオではマップ西端から米軍の盤外離脱は認められていない)。

12月7日22:00

イメージ 13「レキシントン」隊は戦場を東に向かう。一方「サラトガ」「エンタープライズ」はハワイ諸島の北東部から迂回するように真珠湾北方に回り込み、「レキシントン」を狙う日本艦隊の側背から奇襲攻撃を企図する。さらに真珠湾からは比較的損害の軽微な米戦艦3隻が、軽巡、駆逐艦の護衛を従えて出航していく。果たして日米両軍の思惑は如何に?。波乱を含んだ夜が過ぎていく。


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