自作空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」(以下、本作)。今回は、追加シナリオである真珠湾強襲シナリオについて紹介する。
このシナリオは、2019年5月26日のゲームマーケット春で発売予定の「雑誌、海空戦No.2」に収録予定である。
このシナリオは、2019年5月26日のゲームマーケット春で発売予定の「雑誌、海空戦No.2」に収録予定である。
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「海空戦、南太平洋1942」の概要については-->こちらを参照して下さい。
「海空戦、南太平洋1942」「雑誌、海空戦No.2」の入手方法については-->こちらを参照して下さい。
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ここまでの展開
1941年12月7日。日曜日の真珠湾上空は、突如日の丸をつけた飛行機に埋め尽くされた。真珠湾攻撃。太平洋戦争の発端となった航空攻撃である。真珠湾港内では戦艦「オクラホマ」が魚雷多数を食らって轟沈、他に「ネヴァダ」「カリフォルニア」等3隻の戦艦が大中破した。またホイラー、ヒッカム、カネオヘ等の飛行場も日本機の猛攻を受けて、完全撃破及び大中破合計91機の損害を記録している。しかし米軍はすぐさま反撃体制に入った。真珠湾周辺に続々集結する米機動部隊。それは「レキシントン」「サラトガ」「エンタープライズ」の各空母をそれぞれ中核とする3群の高速空母部隊である。さらに真珠湾からは被害を免れた戦艦、巡洋艦、駆逐艦が日本艦隊を探して急遽出航していく。
決戦2日目。ハワイ北方海域で日米の空母が激突する。兵力に勝る日本艦隊が終始優位に戦いを進め、大型空母「レキシントン」を撃沈、同じく「サラトガ」「エンタープライズ」の2艦を中小破せしめた。米軍の戦果は中型空母「蒼龍」:中破のみ。この時点では日本軍の優位は動かなかった。
詳しくは-->こちら
12月8日18:00
夕闇が戦場を覆いつつある。日本艦隊に対してこの日最後の一撃を加えんとしてヒッカム飛行場を発進したB-17の9機編隊が日本空母を攻撃。高高度から空母「飛龍」を狙ったが、爆弾は惜しくも外れた。12月8日22:00
夜になって米艦隊は真珠湾方面に後退していく。真珠湾の強力な戦闘機の傘で艦隊を守ろうという算段だ。さらに「ウェストバージニア」等の足の遅い戦艦は、戦術的価値が乏しいとして、損傷した重巡「ポートランド」と共に真珠湾へ再び入港した。残った水上戦闘艦はいずれも30kt以上の高速力を発揮できる巡洋艦、駆逐艦のみである。12月9日06:00
決戦3日目である。夜明けとともに両軍の索敵機が敵を求めて飛び立つ。日本艦隊を真珠湾西方海域に発見した米軍は、ヒッカム飛行場から9機のB-17、18機のA-20からなる攻撃隊を発進させた。首尾よく日本艦隊を発見した米攻撃隊は、零戦の迎撃を躱して中高度から日本艦隊を攻撃する。小型で俊敏な運動が可能なA-20の編隊が空母「飛龍」に600ポンド爆弾1発を命中させた。「飛龍」の損害は比較的軽微であった。12月9日14:00
一旦真珠湾から離れた日本艦隊が再び真珠湾の攻撃圏内に入ってきた。真珠湾の港湾施設に対して第2撃を敢行するためである。2波に渡る攻撃隊が再び真珠湾を襲った。しかし2日前とは事情が違っていた。真珠湾上空には、米陸海軍及び海兵隊の戦闘機約100機が手ぐすねを引いて待ち構えていたのである。第1波攻撃隊は45機の零戦に援護された63機の艦爆。計108機による攻撃隊である。これを100機近い米戦闘機が迎え撃つ。零戦は2倍以上の敵機を相手に奮戦したが、やはり多勢に無勢。2機撃墜と引き換えに6機を失った。艦爆隊も米戦闘機による容赦ない攻撃を受け、24機を失い、12機が被弾損傷する。戦果の方は、2日前の攻撃で大破していた戦艦「ネヴァダ」に250kg爆弾3発を命中させたが、撃沈するには至らなかった。
第2波攻撃隊は、零戦36機、九七艦攻36機の計72機からなる攻撃隊である。こちらも米戦闘機の激しい迎撃を受け、零戦6機を失ったが、零戦隊の奮戦によって艦攻隊は無傷まま港湾上空に進入する。艦攻隊が狙ったのは、真珠湾のオイルタンク群であった。ここを破壊すれば、米太平洋艦隊は数ヶ月間(というのは大袈裟かもしれないが)行動不能になるはず。そうはさせじと真珠湾各地からは激しい対空砲火は打上げられる。爆弾投下と前後して6機の艦攻が撃墜された。渾身を込めて投下された爆弾であったが、無情にも爆撃は目標を逸れた。真珠湾のオイルタンク群は殆ど無傷であった。もとより36機程度の小型攻撃機で港湾施設を壊滅させるというのが土台無理だったのだ。
この攻撃で日本艦隊はほぼ攻撃力を失った。真珠湾に対する第2撃に失敗した南雲機動部隊は、これ以上危険水域に留まる必要はなかった。彼らは速度を上げてハワイ近海を離れていく。目指すは日本本土近海。戦争はまだ始まったばかりだった。
結果&後日談
後に「ハワイ沖海戦」と呼ばれる大海戦は日米両軍に多大な損害を強いた。米軍は戦艦「オクラホマ」、空母「レキシントン」、重巡「シカゴ」、駆逐艦1隻を失い、戦艦「ネヴァダ」が大破、戦艦「カリフォルニア」「ウェストバージニア」、空母「サラトガ」が中破、戦艦「アリゾナ」、空母「エンタープライズ」、重巡「ポートランド」が小破した。失われた航空機は約140機に達した。日本軍は、空母「蒼龍」が中破、空母「飛龍」が小破したほか、小型潜水艦「甲標的」5隻を失った。航空機の損害は、零戦32機、艦爆104機、艦攻72機、水上機9機の計212機に達し、各空母に残った航空兵力は零戦81機、艦爆31機、艦攻72機の計184機に過ぎなかった。空母艦載機の実に半数が失われた計算になる。この後、日本空母機動部隊の再建は困難を極め、開戦前に予定されていたポートダーウィン攻撃やインド洋作戦は、遂に実施されることはなかった。日本機動部隊が曲りなりにも戦力を回復して作戦可能になったのは、翌年5月に実施されたMO作戦まで待たねばならなかったのである。そのMO作戦、さらにはその翌月に実施されたMI作戦で日本機動部隊が演じた戦いについては、また別の物語である。
感想
VP的には日本軍214点、連合軍204点で引分けという結果に終わった。プレイ時間はセットアップや昼食を含めて9~10時間。1日フルでプレイすれば概ね完了する時間である。今回米軍を指揮するにあたって考慮したのは真珠湾の防衛である。特に第2撃は絶対阻止しなければならないと思っていた。そのためには米空母部隊の健全性が重要であり、米空母部隊を抑止力にして真珠湾に対する第2撃を抑制しようと企図していた。
今回の経過を見ると、上記の構想は半ば以上失敗したと評する他はない。一番大きい失敗は「レキシントン」隊の初期配置である。日本空母を北西に吊り上げるために真珠湾の北北西に出現させたが、これは失敗。東へ逃げようとして退路を断たれる危険性が出てきた。そのため「サラトガ」「エンタープライズ」を急遽「レキシントン」救援のため真珠湾北方へ進撃させる必要が出てきて、結果的に不本意な空母決戦を強いられる羽目になる。「レキシントン」隊をもう少し東よりに配置し、日本空母が追っかけてきても東方に逃げる余地を残しておけば、自隊は無傷で日本空母を翻弄できただろう。そういった意味からは不本意な結果と言える。
結果的には引分けに終わった今回の戦いだが、「レキシントン」が沈み、「サラトガ」撃破された時点でVP的には勝ち目がなかった。海戦3日目に日本軍の第2撃部隊が真珠湾の港湾施設を集中攻撃し、爆弾が真珠湾のオイルタンク群を吹っ飛ばしていれば、米軍が完敗を喫したことは間違いない。そういった意味では、幸運と日本軍プレイヤーの小さな判断ミス(最後はオイルタンク群を狙うべきだったと思う)に助けられた「引分け」であった。
このシナリオは米軍にとって難しいシナリオだと思う。しかし強力な南雲機動部隊を翻弄し、手玉に取った時の快感はまた大きい。そういった意味では米軍にとっては遣り甲斐のあるシナリオに仕上がったと思っている。
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