
「関ヶ原1600」(以下、本作)は、2021年に国際通信社から「コマンドマガジン159号」の付録ゲームとして発売された作品である。本作のテーマは、1600年の関ヶ原の戦い。日本人なら誰でも知っている有名な戦いだ。
本作のゲームシステムは、 以前に紹介「山崎の戦い」 と同じなので、そちらを参照されたい。
では早速プレイしてみよう。今回はVASSALを使った通信対戦で、私は西軍を担当する。
前回までの展開は --> こちら
4Turn
南部では、福島隊と宇喜多隊の激しい戦いが続いている。宇喜多隊の重囲下に陥った福島正則本隊を救援すべく、井伊直政隊、松平忠吉隊らがはせ参じるが、寺谷川の線で戦線を敷く宇喜多隊の布陣も固い。戦線中央部、北天満山付近では、不気味な沈黙を保っている島津隊の周囲で東西両軍が激しく戦っている。北天満山に布陣した小西行長隊は東軍田中吉政隊と激しい戦いを交え、その1ユニットを撃破した。
5Turn
南方戦線では、福島正則本隊が宇喜多隊の包囲攻撃を受けて壊滅した。福島正則自身も討ち取られた。東軍プレイヤーは大いに落胆した。福島隊の生き残りは撤退を開始。宇喜多隊の一部はそれに対する追撃しかけたが、主将宇喜多秀家の命令により追撃を中止した。6Turn
「おい、山が動いているぞ。あれは何だ」「御屋形様、あれは小早川隊です。金吾中納言の隊が、山を下りてこちらに向かってきます」
大谷吉継陣営でそのような会話が交わされていたかは定かではないが、遂に小早川秀秋隊が寝返った。松尾山から真っすぐと大谷隊の側面に向けて突進してきたのである。
ここで本作の「裏切り」ルールについて説明しよう。西軍は「忠誠」、東軍は「裏切り」チットを中立勢力毎に1枚ずつ保有している(島津も中立勢力扱いである)。両軍は各Turn開始時の外交フェイズに一定数のチットをカップに入れる。カップからは決められた枚数のチットがランダムに引かれ、引かれたチットに応じて「忠誠」又は「裏切り」マーカーが1マスずつ進む。「忠誠」又は「裏切り」マーカーが4マス進んだ時点で、その陣営の去就が決まり、「忠誠」が先に4マス進めば西軍、「裏切り」が先に4マス進めば東軍につく。
「ん?。金吾の軍が遅くないか?。あの分では麓に着くまではまだ数Turnの余裕がありそうだぞ」
「そうですね。松尾山の険しい地形に阻まれて、1歩しか前進できていませんね」
「よし、この隙に正面の東軍を叩いてやれ」
そう思ったのか、西軍は弱体化しつつある東軍正面部隊に対してなおも激しい攻撃を加えた。 井伊直政討死。
藤堂高虎討死。
名のある東軍武将が次々と討ち取られていく。
北部戦線でも石田隊の生き残りと島左近が東軍黒田長政隊に猛攻を加え、これを大いに撃破していった。
この段階で時間切れのため今回のプレイは終了としたプレイ時間は約6.5時間である。
結果
西軍の戦果。撃破ユニット数9、討ち取った武将数2(福島正則、井伊直政)、サムライユニット2個討死。VP合計16点東軍の戦果。撃破ユニット数5、討ち取った武将数1(石田三成)。VP合計7
差が5以上なので西軍の勝利
感想
勝った、勝った、ばんざーい。と、言いたい所だが、今回はまあ半分練習みたいなものなので、勝敗は二の次としたい。また、この後、徳川本隊や小早川隊が全力戦闘を仕掛けてきた場合、西軍が勝利を収められるかは甚だ怪しい所だし・・・。
ゲームとしては、前回プレイした「山崎の戦い」と基本的には同じなのでわかりやすい。注意すべき点としては、複数の軍勢からなる大軍勢(例えば宇喜多隊は宇喜多秀家隊と明石全登隊の2つの軍勢よりなる)の場合、活性化は別々だが、攻撃時には共同攻撃が可能とか。あるいは石田隊は1CPで全チットをカップに投入できるとかいったルールがある点である。
また全体で計16Turnという長丁場なので、完遂するには相応の時間を覚悟する必要があるだろう。今回は第6Turnまで進んだが、まだ半分も終わっていなかった。
全体の感想としては、比較的プレイし易い作品と言える。戦闘結果表の使い方がやや特殊なので計算が面倒な部分は確かにある。ただ、戦闘結果表を使いこなせるようになると、地形や馬防柵等を使った防御戦術も考えられそう。現段階では、攻撃側が有利なので、とにかく機会を見つけて突撃命令を繰り返す、という展開になりがちだ。それはそれで面白いのだが、もう少し防御戦術を生かす余地がないものか、もう少し研究してみたい。
次回は是非フルターン完遂したいと思っている。















このシナリオは、第11Turnより始まり、第21Turnに終了する。羽柴軍は当初の予定に従い、円明寺川に沿って布陣する明智勢左翼に対し、羽柴側右翼に展開する池田恒興隊、加藤光康隊が粛々と前進していく。そして円明寺川を挟んで対峙する両軍だが、未だ戦端を開くには至らない。本作の戦闘システムは所謂「マストアタック」だが、川沿いのヘクスサイドでは攻撃が免除されるのだ。

羽柴側右翼で戦端が開かれる。羽柴側池田恒興隊と加藤光康隊が、明智側左翼を守る斎藤利三隊、津田信春隊と円明寺川を挟んで激しく戦う。池田隊は津田隊の一部を撃破し、円明寺川対岸に渡った。

最初は面倒なシステムだと思ったが、慣れてくると結構サクサク進む。移動や戦闘の機会は多いが、それを実行できるユニットが命令やチットによって限定されているので、1度に実行できることが少ないのだ。その分、色々な可能性を検討する必要性がなく、勢い目の前の敵を叩く、という短絡的な展開になりやすい。これは別に欠点ではなく、当時の戦争はそんなものだったんだろう、と考えるしかない。だからこそ両者が接敵する前の事前計画が重要だと思い知ることになる。

戦線右翼。先に円明寺川対岸に渡った池田恒興隊の一部は明智隊の攻撃により壊滅。池田隊は円明寺川の対岸にまで押し返された。一方、池田恒興隊の左隣を進む高山右近隊も明智側前線と接触。これに猛攻を加えて円明寺川を再び渡河した。

戦線右翼。加藤光康隊に代わって前線に姿を現した中村一氏隊が淀川沿いに前進して円明寺川を渡河。明智側左翼を圧迫する。高山右近隊も奮戦を続けており、円明寺川を守る明智側の前線は綻びを見せ始める。

明智側の戦線は両翼から突破されつある。特に明智側右翼は危機的な状況で、戦線の体をなしていない。それを守るため明智側は総予備とも言うべき光秀本隊を明智側右翼に投入。中川清秀隊の前面に立ちふさがる。
明智側の左翼が危機的な状況に陥っている。これまで奮戦していた斎藤利三隊、津田信春隊も背後を遮断され、羽柴勢の包囲下に陥る。

この後の展開は駆け足で紹介したい。羽柴勢は各地で明智勢を包囲し、個々に殲滅していく。局地的には明智側が善戦し、羽柴側に打撃を与えることもあるが、全般的には兵力に勝る羽柴側が明智勢を個別に撃破していく展開である。
勝利得点は羽柴側が11点以上リード、さらに光秀が勝竜寺城外にいるので、羽柴側は史実を上回る決定的勝利を収めた。とはいえ、この兵力差、このシチュエーションでは、明智側が勝利を収めることは難しいだろう。








