「欧州海域戦」(
「ソロモン夜襲戦」
の欧州戦線版)に「フランス海軍」を登場させたい。
と常々思っていた。
今回シナリオ化に選んだのは、中近東における英仏最初の対決となったシドン沖海戦である。中近東での英連邦とヴィシー・フランスとの対決。そのサイドショー的に戦われた海戦だ。シナリオ背景についての詳細は 以前の記事 を参照されたい。
前回のテスト では、中破する艦が続出し(それは別に良いのだが)、大破・沈没という派手な結果が出にくい。「ソロモン夜襲戦」全般の問題として、特に小型艦同士の戦闘では、このような傾向が多い事は否定できない。前回まではそこまでの話をした。
そこで今回、思い切ってかなり突っ込んだ修正を行った。この修正は「欧州海域戦」の他のシナリオに影響を与える可能性があるだけではなく、「ソロモン夜襲戦」のシナリオにも影響を及ぼすことになる。
改訂案
特殊損傷表の見直し
影響の大きい方から説明しよう。特殊損傷表である。「弾薬庫命中」の可能性を従来の2倍とした。これにより「1発轟沈」の可能性が従来の2倍となる。これは特に主砲貫通力と装甲値の大きな艦にとって有利となった。これによって特に昼間の遠距離砲撃戦がこれまでよりも「派手」になる可能性がある。シミュレーションとしては兎に角、ゲームとしては「派手」な方が面白いことは間違いない。
元々「ソロモン夜襲戦」では、太平洋戦争の水上戦をモデルにしていたため、戦艦・巡洋艦クラスによる遠距離砲戦は、史実に合わせて「地味」にデザインしてある。
また、非装甲部についても「魚雷発射管命中」の可能性を従来の2倍とし、さらに魚雷が誘爆するルールを追加した。魚雷誘爆の可能性は弾薬庫よりも低めにし、かつ被害の程度も小さくしてある。
魚雷誘爆のルールも結構悩ましかった。元々魚雷搭載の有無は艦の耐久力に反映している部分もあり(米巡洋艦の耐久力が大きいのはそのため)、そこに誘爆ルールを追加することは「屋上に屋を重ねる」感が無きにしも非ず。ただ、魚雷発射管命中がこれまで字面から予想されるよりも地味な印象があったので、派手さを追加するという意味もある。このあたり、効果の効き具合を今後のテストで調整したい。
他にも特殊損傷で船体損害が加わるなど、全般に特殊損傷の効果を大きめに補正してみる。

小口径砲による追加打撃
砲撃による損害判定で"6"の目を一律「追加打撃」とする。"6"の目というのは、非装甲艦に対してのみ適用される目なので、巡洋艦以上の中大型艦については関係ない。これにより駆逐艦に対する射撃で追加打撃の発生確率が大きくなる。ついでに火砲性能表全般を見直した。「ソロモン夜襲戦」では、火砲性能表を「枢軸軍 「連合軍」と分けていたが、「欧州海域戦」では1つの表にまとめた。これはスペースの節約や見易さの改善といった意味の他、フランス海軍のように陣営が入れ替わる可能性のある国へ対応するためである。
13~14cmクラスの火砲の射程距離見直し
13~14cmの射程距離を見直した。特に14cm砲について近距離射程を4から5に延伸した。これにより14cm砲搭載艦は、駆逐艦に対してかなり顕著なアウトレンジ射撃が可能となった。(フランス超駆逐艦だけではなく、日本の5,500トン級軽巡にとっても有利である)。
駆逐艦損害許容度の見直し
英国のJ級、L級、トライバル級等の大型駆逐艦の損害許容度が、これまでは0-1-2-4-5であった。これは2打撃で中破、4打撃で大破を意味する。つまり比較的中破になるのは簡単だが、大破まではなかなかいかない、ということを意味する。実際のゲーム場面でも、中破した艦は事実上戦闘不能なので、相手方もその艦を無視する傾向が強い。その結果、例の「中破艦続出」という現象が発生してしまう。
そこでこれらの艦の損害許容度を一律0-1-3-4-5に修正する。これだと中破から大破までは僅か1打撃なので、中破した艦を大破させる動機付けを誘導できる(中破と大破ではVPが2倍になる)。また追加打撃等で中破に留まらずに大破(あるいは沈没)に至る可能性も高くなる。
魚雷の特殊損傷
魚雷命中時に駆逐艦が軽傷で済んでしまう可能性がやや高いと思われるので、特殊損傷で船体への追加損害の可能性をやや高くした。これによって魚雷を食らった駆逐艦が「何事もなかったかのように意気揚々と」疾走するような可能性は少し現象した。

第2回テスト
初期配置も少し見直しして、最初から中距離砲戦になるように修正した。その効果もあってか、序盤から激しい砲撃戦となる。隻数に勝る英駆逐艦がフランス超駆逐艦に相次いで命中弾を与え、中でも「ゲパール」は方位盤に命中弾を受けて砲側照準を強いられる。

「こりゃたまらん」
このままでは敗北するを悟ったフランス駆逐艦はケツをまくって遁走。煙幕を張って逃げる。逃げ切れれば「勝ち」はなくても「引分け」に持ち込めるという魂胆だ。逃げる途中に全魚雷(計12本)を追撃してくる英駆逐艦目がけて発射。そのうちの1本が、何と英駆逐艦先頭を走る旗艦「ジェイナス」に命中した。誘爆を起こした「ジェイナス」は瞬時に轟沈する。
その後は逃げるフランス艦隊と追う英艦隊の追いかけっこ。艦首方向に主砲4門をもつJ級駆逐艦「ジャッカル」は、追撃戦でその強みを発揮。煙幕透過という不利な条件にも関わらず再三にわたって夾叉・命中を達成するも、不発弾などによって命中弾なし。最終的にはフランス駆逐艦の遁走を許してしまう。

最終的な結果は、フランス側が駆逐艦2隻小破、英艦隊が駆逐艦1隻沈没で、フランス側の勝利となった。
調整としては、フランス側の魚雷がやや当たり過ぎなので命中モードを1レベル下げる(7から6)。命中モード7というのは、最盛期の日本駆逐艦並なので、レベルダウンは妥当な修正だろう。ちなみにこのレベルが適用されていれば、フランス側の魚雷は外れになり、良くて引分け、下手をすれば英駆逐艦の追撃戦が奏功してフランス側の敗北という結果に終わったかもしれない。
今回でシドン沖海戦の調整は終了としたい。小規模な海戦でかつ戦いの流れがシンプルなのでダイス勝負になってしまう可能性が高い。そういった意味では繰り返しプレイするタイプのシナリオではないかもしれないが、英仏それぞれの駆逐艦の特徴や設計思想の違いを体験して頂ければ、と思う。







1941年6月9日正午過ぎ。英海軍駆逐艦「ジェイナス」は、僚艦3隻を従えてシリア沖の海上をパトロールしていた。その前日より始まった「エクスプローラ作戦=英連邦軍による中近東方面への軍事介入」に参加していた「ジェイナス」は、付近で行動中と思われるヴィシーフランス海軍の大型駆逐艦を捜索中なのであった。

「艦影はフランス海軍のゲパール級駆逐艦です」




戦闘力を失った「ジェイナス」が列外に逃れていく。代わって英艦隊の先頭に立ったのは「ジェイナス」と同型艦である英海軍駆逐艦「ジャッカル」である。いずれも頭文字が"J"から始まる艦で、J級又はジャベリン級と呼ばれている。



