「決戦天王寺」(以下、本作)は、2021年にBonsai Gamesから発表されたシミュレーションゲームだ。テーマは大阪夏の陣。日本人にはお馴染みのテーマで、真田信繁(最近は「幸村」と言わなくなったのがチト寂しい)ら浪人勢が、数を頼む東軍相手に最期の死闘を繰り広げた戦いである。デザイナーのGavin Huさんは中国の方だとのこと。最近何かとキナ臭い日中関係ですが、ウォーゲームの世界では仲良くしたいものである。
本作はチット方式を採用しており、チットに指定された部隊が移動戦闘を行うシステムである。チットシステムといえば、カップにチットを入れてランダムに引くという所謂「チットドリブン」方式が知られているが、本作はそのようなシステムではない。先攻、後攻でそれぞれ1枚ずつチットを選択し、該当する部隊を活性化させていくシステムになっている。活性化できるチットの枚数は、西軍の場合は戦意によって増減し、東軍はTurn数と同じ枚数(つまりTurnが進むと活性化できるチットが自動的に増える)となっている。
またパスは認められていない。従ってチットの少ない側は必然的に先に活性化が完全終了してしまい、後はチットの多い側が自由に活性化できるということになる。
戦闘は基本的に1対1で、攻撃力+D6≧防御力、で攻撃成功となり、相手は混乱又は1ヘクス後退を強いられる。攻撃側に損害が出ることはない。また防御側に隣接する他の攻撃側ユニットの存在によって攻撃側に有利なDRMが発生する場合がある。
戦闘の結果、後退や混乱が発生すると、士気の変動がある。混乱の場合は1段階、後退の場合は2段階士気値が悪化する。こうしてみると混乱で我慢した方が有利に思えるが、兵力に余裕のある東軍はとにかく、予備兵力に乏しい西軍の場合は部隊を生き残らせるために泣く泣く後退を強いられる場面も多い。
勝利条件は真田信繁戦死、家康討死等のサドンデス条件の他、茶臼山等の重要拠点の支配と戦意の大小によって決まる。
今回、本作をソロプレイしてみた。
行動数は東軍1、西軍2。先攻は東軍である。
東軍は岡山口三番手(薄緑)を選択した。藤堂高虎麾下の藤堂、井伊隊である。この隊は前田隊と真田(信吉)隊(東軍)の間に布陣し、その間隙を埋める。
西軍は真田隊と遊軍を選択。早速真田信繁で東軍本多忠朝を攻撃し、これを混乱状態に追い込んだ。
Turn終了時の戦意は東軍2
行動数は東軍2、西軍2。先攻は東軍である。
東軍天王寺口先鋒が最初に行動を起こす。先に攻撃を受けた本多忠朝を後方に下がらせて、雑魚ユニットで防御スクリーンを張る。
西軍真田隊は東軍真田隊と藤堂隊を攻撃し、2ユニットを混乱に追い込む。
東軍榊原康勝隊が活性化。西軍真田隊に反撃する。真田隊の鉄砲隊を後退に追い込む。
最後に西軍毛利勝永隊が活性化。藤堂隊、前田隊の各1ユニットを混乱に追い込む。
Turn終了時の戦意は西軍1
行動数は東軍3、西軍3。先攻は東軍である。
最初に藤堂隊が活性化。前線で混乱しているユニットを後方に収容しつつ、後退掩護のために鉄砲隊が突出してきた真田信繁を攻撃した。この攻撃が見事に成功し、真田信繁を後退に追い込む。
西軍は遊軍を茶臼山の守りに入れる。
東軍は本多忠朝隊で戦線整理。
西軍は大野治長隊を前に出す。
東軍は松平忠直隊を投入。西軍真田隊の右側面を攻撃する。その攻撃が見事に決まって2ユニットに後退を強いた。これで西軍の戦意が一気に低下した。
Turn終了時の戦意は東軍5
行動数は東軍4、西軍2。先攻は西軍である。
西軍毛利勝永隊が前進して真田隊の救援に回る。東軍1ユニットを混乱させたが、やや期待外れ。
東軍松平忠直隊が西軍真田隊右翼を攻撃。混乱していた1ユニットを葬った。
西軍真田隊が右翼の救援に向かい、松平忠直隊の鉄砲隊1ユニットを混乱させた。
その後東軍3隊が動いたが、何とか西軍は戦線を支えた。
Turn終了時の戦意は東軍7
行動数は東軍5、西軍1。先攻は西軍である。既に西軍は勝ち目がないが、一応最後までプレイしてみる。
西軍は真田隊を選択。決死の敵中突破を試みる。真田隊は久々に大戦果を挙げ、1ユニット撃破、2ユニットを混乱させた。
しかし西軍の抵抗もそこまでだった。その後の東軍による連続攻撃を受け、戦意が振り切ったため東軍のサドンデス勝利に終わった。
ルールは簡単でプレイのテンポも良い。フルターンプレイしても1時間程度で終わると思う。ただし東軍が堅実にプレイすると、「突破戦」というよりは「第1次大戦の塹壕戦」にみたいな雰囲気になる点が少し気になる。
この記事を読んで気になった方は、是非ご自身でプレイして、確かめてほしい。
本作はチット方式を採用しており、チットに指定された部隊が移動戦闘を行うシステムである。チットシステムといえば、カップにチットを入れてランダムに引くという所謂「チットドリブン」方式が知られているが、本作はそのようなシステムではない。先攻、後攻でそれぞれ1枚ずつチットを選択し、該当する部隊を活性化させていくシステムになっている。活性化できるチットの枚数は、西軍の場合は戦意によって増減し、東軍はTurn数と同じ枚数(つまりTurnが進むと活性化できるチットが自動的に増える)となっている。
またパスは認められていない。従ってチットの少ない側は必然的に先に活性化が完全終了してしまい、後はチットの多い側が自由に活性化できるということになる。
戦闘は基本的に1対1で、攻撃力+D6≧防御力、で攻撃成功となり、相手は混乱又は1ヘクス後退を強いられる。攻撃側に損害が出ることはない。また防御側に隣接する他の攻撃側ユニットの存在によって攻撃側に有利なDRMが発生する場合がある。
戦闘の結果、後退や混乱が発生すると、士気の変動がある。混乱の場合は1段階、後退の場合は2段階士気値が悪化する。こうしてみると混乱で我慢した方が有利に思えるが、兵力に余裕のある東軍はとにかく、予備兵力に乏しい西軍の場合は部隊を生き残らせるために泣く泣く後退を強いられる場面も多い。
勝利条件は真田信繁戦死、家康討死等のサドンデス条件の他、茶臼山等の重要拠点の支配と戦意の大小によって決まる。
今回、本作をソロプレイしてみた。
1Turn
イベントは10で黒田長政が出陣する。行動数は東軍1、西軍2。先攻は東軍である。
東軍は岡山口三番手(薄緑)を選択した。藤堂高虎麾下の藤堂、井伊隊である。この隊は前田隊と真田(信吉)隊(東軍)の間に布陣し、その間隙を埋める。
西軍は真田隊と遊軍を選択。早速真田信繁で東軍本多忠朝を攻撃し、これを混乱状態に追い込んだ。
Turn終了時の戦意は東軍2
2Turn
イベントは2で「毛利勢の先走り」である。行動数は東軍2、西軍2。先攻は東軍である。
東軍天王寺口先鋒が最初に行動を起こす。先に攻撃を受けた本多忠朝を後方に下がらせて、雑魚ユニットで防御スクリーンを張る。
西軍真田隊は東軍真田隊と藤堂隊を攻撃し、2ユニットを混乱に追い込む。
東軍榊原康勝隊が活性化。西軍真田隊に反撃する。真田隊の鉄砲隊を後退に追い込む。
最後に西軍毛利勝永隊が活性化。藤堂隊、前田隊の各1ユニットを混乱に追い込む。
Turn終了時の戦意は西軍1
3Turn
イベントは8。東軍加藤嘉明が出陣する。行動数は東軍3、西軍3。先攻は東軍である。
最初に藤堂隊が活性化。前線で混乱しているユニットを後方に収容しつつ、後退掩護のために鉄砲隊が突出してきた真田信繁を攻撃した。この攻撃が見事に成功し、真田信繁を後退に追い込む。
西軍は遊軍を茶臼山の守りに入れる。
東軍は本多忠朝隊で戦線整理。
西軍は大野治長隊を前に出す。
東軍は松平忠直隊を投入。西軍真田隊の右側面を攻撃する。その攻撃が見事に決まって2ユニットに後退を強いた。これで西軍の戦意が一気に低下した。
Turn終了時の戦意は東軍5
4Turn
イベントは6。毛利勝永奮戦である。毛利勝永絡みのイベントが多い気がするが、このデザイナー、毛利勝永のファンなのだろうか?。行動数は東軍4、西軍2。先攻は西軍である。
西軍毛利勝永隊が前進して真田隊の救援に回る。東軍1ユニットを混乱させたが、やや期待外れ。
東軍松平忠直隊が西軍真田隊右翼を攻撃。混乱していた1ユニットを葬った。
西軍真田隊が右翼の救援に向かい、松平忠直隊の鉄砲隊1ユニットを混乱させた。
その後東軍3隊が動いたが、何とか西軍は戦線を支えた。
Turn終了時の戦意は東軍7
5Turn
イベントは8。特になし。行動数は東軍5、西軍1。先攻は西軍である。既に西軍は勝ち目がないが、一応最後までプレイしてみる。
西軍は真田隊を選択。決死の敵中突破を試みる。真田隊は久々に大戦果を挙げ、1ユニット撃破、2ユニットを混乱させた。
しかし西軍の抵抗もそこまでだった。その後の東軍による連続攻撃を受け、戦意が振り切ったため東軍のサドンデス勝利に終わった。
感想
ご覧の通り東軍の圧勝である。東軍としては前線を構成し、少々の損害は我慢し、適宜反撃して西軍部隊を痛めつけて行けば、そのうちに勝ちが見えてくると思う。逆に東軍が堅実にプレイした場合、西軍が勝利を得るのはかなり困難なのではないだろうか。西軍が勝てるとすれば戦意による逃げ切りが一番可能性が高いと思う。東軍の前線を突破して家康本陣への殴り込み、は、かなり困難なのではないだろうか。ルールは簡単でプレイのテンポも良い。フルターンプレイしても1時間程度で終わると思う。ただし東軍が堅実にプレイすると、「突破戦」というよりは「第1次大戦の塹壕戦」にみたいな雰囲気になる点が少し気になる。
この記事を読んで気になった方は、是非ご自身でプレイして、確かめてほしい。