今回紹介するのは、自作の水上戦ゲーム 「ソロモン夜襲戦」 の追加シナリオである。この春のゲームマーケットで発売予定にしている「ソロモン夜襲戦」のサポート誌第1弾である「水上戦No.1」に掲載を予定しているシナリオだ。
シナリオのタイトルは「天一号作戦」。このシナリオは、史実では米空母艦載機の攻撃によって撃沈された戦「大和」が、米艦載機の攻撃を受けることなく沖縄近海に到達し、そこでデヨ少将の特別任務部隊と遭遇した場面を描いた仮想戦である。
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7Turn
「テネシー」の主砲が15Hex(約22km)の距離に「大和」を捕捉した。この距離なら他艦との共同射撃であっても40%で命中弾が期待できる。期待を込めて放った「テネシー」の主砲弾は、またもや目標を逸れた。「大和」の主砲弾が今度は「テネシー」を捉えた。46cm砲2発が続けさまに「テネシー」に命中する。局所的な誘爆を起こした「テネシー」は最大速度が10ktまで低下し、戦闘能力も大幅に失われた。最早旗艦として任務を継続できる状況ではない。
8Turn
「大和」はなおも損傷した「テネシー」を狙う。速度の落ちた「テネシー」はサルヴォーチェージングによって回避を試みるが、「大和」は逃がさない。3発の46cm砲弾が「テネシー」に命中。砲弾の誘爆を起こした「テネシー」は沖縄近海にその姿を没した。この時点で「大和」にはまだ1発の砲弾も命中していない。「大和」の猛威はそれだけに留まらなかった。今度は距離9Hex(約13km)に近づいてきた軽巡「サンタフェ」に対して副砲射撃を加えたのである。15cm砲弾2発が「サンタフェ」に命中した。「サンタフェ」の被害は軽微であったが、砲塔電路に弾を食らったため、一時的に射撃不能となった。
米軍は相変わらず「大和」を狙うが、やはり相変わらずの下手糞ブリで「大和」には命中弾がない。それでも巡洋艦部隊は善戦し、軽巡「ビロキシー」が駆逐艦「雪風」に2発の命中弾を与えてこれを撃沈。軽巡「モービル」も駆逐艦「浜風」に命中弾を与えてこれを中破。そして駆逐戦隊は集中砲撃により軽巡「矢矧」に命中弾を与えてこれを中破していた。
日本の駆逐艦が次々と魚雷を発射する。
9Turn
駆逐艦「磯風」の発射した酸素魚雷8本が戦艦「ニューメキシコ」に迫る。しかし間一髪で「ニューメキシコ」は魚雷を回避し、事なきを得る。さらに日本駆逐艦が接近して来たので、米戦艦も砲撃目標を「大和」から日本駆逐艦に変更した。「ニューメキシコ」がその主砲で狙った駆逐艦「涼月」には36cm砲弾2発が命中。「涼月」は中破して魚雷発射が不能になってしまう。また戦艦「アイダホ」も急旋回しながらその主砲で駆逐艦「冬月」を狙う。「冬月」には36cm砲弾2発が命中。「冬月」は大破して戦闘力を失う。
さらに駆逐艦「朝霜」は巡洋艦「モービル」と米戦艦2隻の副砲射撃を受けて雷撃能力を奪われてしまう。しかし最後まで残った駆逐艦「霞」が、渾身の思いで93式酸素魚雷8本を放った。
一方、「大和」に肉薄した米駆逐艦「ニューカム」「ヘイウッド」も距離2Hex(3km)から計20本の魚雷を放った。
10Turn
米駆逐艦の放った魚雷4本が次々と「大和」に命中した。強力なTorpex弾頭の威力はすさまじく、大量の海水が「大和」に流れ込んだ。これまで無傷であった「大和」は、この一撃によって一挙に速度が15ktまで低下した。一方「霞」の放った酸素魚雷8本が米戦艦「アイダホ」に迫るが、今回も運に見放された日本の魚雷は米戦艦を外した。
日本艦隊は、最後尾を走っていた駆逐艦「初霜」が、米戦艦の砲火を潜り抜けて最後の酸素魚雷6本を発射する。
11Turn
米艦隊は「大和」に止めを刺すべく、周囲から「大和」の近くに集まってきた。しかし「大和」はまだ死んではいなかった。距離9Hex(約13km)に迫った戦艦「アイダホ」に対し、主砲による射撃を行ったのである。46cm砲弾1発が「アイダホ」に命中し、「アイダホ」は無視できない損害を被った。12Turn
戦艦「ニューメキシコ」が距離9Hex(約13km)で放った36cm主砲弾1発が初めて「大和」に命中した。これがこの海戦で「大和」に命中した最初の砲弾である。しかし「大和」の強靭な装甲は、この1発を苦も無く跳ね返した。13Turn
戦艦「アイダホ」の発射した36cm砲弾2発が「大和」に命中した。主装甲部に命中した1発は「大和」の強靭な装甲が弾き飛ばしたが、艦首の非装甲部に命中した1発は艦首に大破孔を生じせしめた。これが戦艦の主砲弾が「大和」に実害を与えた最初の事例となった。さらに「ニューメキシコ」の放った主砲弾1発が上部構造物に命中。主砲電路を切断し、「大和」を事実上戦闘不能状態とした。また駆逐艦「朝霜」は、追撃してきた軽巡「サンタフェ」の砲撃を受けて15cm砲弾3発が立て続けに命中。大破した。
14Turn
距離7Hex(約10km)まで接近した米戦艦「アイダホ」「ニューメキシコ」の2隻は、「大和」に猛砲撃を浴びせてきた。「ニューメキシコ」の放った36cm砲弾4発が立て続けに「大和」に命中した。この至近距離であっても「大和」の主装甲は「ニューメキシコ」の放った徹甲弾4発のうち2発を跳ね返したが、残り2発が「大和」の上部構造物と艦尾に命中し、この時点で「大和」の戦闘力は事実上失われた。また距離14Hex(21km)から戦艦「コロラド」が放った1発の40cm砲弾が「大和」の右舷艦首部に命中し、「大和」の傷をさらに広げた。この間、米戦艦に最後の雷撃戦を仕掛けようと接近して来た駆逐艦「磯風」は、米戦艦の副砲射撃を浴びて轟沈。その他に唯一戦闘力を残していた駆逐艦「初霜」も軽巡「モービル」の砲撃により中破。また駆逐艦「朝雲」は軽巡「サンタフェ」の砲撃を受けて沈没した。
15Turn
「アイダホ」「ニューメキシコ」が放った36cm砲弾6発が相次いで「大和」に命中した。これが「大和」の引導を渡す結果となった。ここまで「大和」に命中したのは、戦艦クラスの主砲弾15発と魚雷4本である。これだけの打撃を受けて浮かんでいること自体が驚異だ。こうして「大和」は沖縄近海で最後の伝説を残した後、その姿を海中に没した。これまで生き残っていた日本艦もその後の米巡洋艦、駆逐艦の追撃を受けて悉く撃沈の憂き目に会った。こうして第1遊撃部隊は文字通り全滅した。
米軍の損害は、戦艦「テネシー」沈没、戦艦「アイダホ」小破、戦艦「ニューメキシコ」、軽巡「サンタフェ」軽微な損害。これが全てである。