もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

タグ:独ソ戦

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NO RETREAT! 「No Retreat!」(以下、本作)はWW2における独ソ戦をキャンペーンレベルで描いたシミュレーションゲームだ。独ソ戦のキャンペーンとしては、The Russian Campagin(以下、ロシキャン)が有名だが、本作の1Turnは2ヶ月でロシキャンと同じ。1Hexは約100km、1ユニットは枢軸陣営が軍規模(8~12万人)、赤軍側は方面軍規模(13~21万人)になっている。いずれもロシキャンよりも一回り大きい。

今回、本作のキャンペーンシナリオを対人戦で試してみた。

前回までの展開は -->こちら

14Turn(43年7-8月)

RU_2Baltic6-4盤面のソ連軍は殆ど増強状態となり、ソ連軍の攻撃力は開戦時とは見違えるほど強化されてきた。しかしソ連軍の進撃は今一つ振るわない。ドンバス前面で反撃してきたドイツ軍によってスターリノが奪回されてしまう。これに焦ったソ連軍は、ペレコープ地峡前面で反撃に転じた。難攻不落のペレコープ地峡に隙が生まれた。これが後に大きな禍根を残すことになる。

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15Turn(43年9-10月)

RU_Sevpol3ドイツ軍はペレコープ地峡に再び攻撃を加える。最強の第2装甲軍(7-6)を注ぎ込んでペレコープ地峡を一撃で突破。セヴァストポリに迫る。ロシア軍はセヴァストポリの要塞を強化して守りを固める。これで一安心、の筈だったが・・・。

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16Turn(43年11-12月)

忘れていたが第13Turnからソ連軍のフリー改編が1ユニットから2ユニットに増えていた。2ユニットほど損したことになるが、まあ仕方がない。現実の社会でもこういった損はよくある話。小さな損をいつまでも悔やんでいては、本質が見えなくなるのも現実世界と同じだ。

ドイツ軍がセヴァストポリ要塞に対して激しく攻撃するも、セヴァストポリの守備隊が奮戦してドイツ軍の攻撃を跳ね返している。このまま要塞守備隊が頑張ってくれれば、クリミア半島の入口をソ連側が支配してセヴァストポリの安全は確保されるだろう。

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17Turn(44年1-2月)

「えーっと、地上補給戦が通じない場合、回復はできないですね」

相手プレイヤーの一言に一瞬何のことか理解できなかった。畳みかけるように

「セヴァストポリの地上補給戦が切れてますよね」

と言われてようやく気が付いた。セヴァストポリは海上補給が通じるので補給切れになることはない。だから「難攻不落」と思っていたが、ルールをよく読むと地上補給線が切れているではないか。それでわざわざケルチ地峡(現在のクリミア大橋がある所)側にドイツ軍が進出してきたのか・・・。これまで楽勝ムードだったロシア軍は、一瞬にして窮地に立たされることとなった。
ロシア軍にとって苦境を脱する方法は2つしかない。1つはセヴァストポリが陥落する前にセヴァストポリへの地上補給線を回復すること。もう1つはセヴァストポリが陥落する前にレニングラードを奪回すること。後者については幸い勝利判定がTurnの開始時なので、セヴァストポリの陥落とレニングラードが同じTurnなら、首の皮一枚でソ連側が助かることになる。

ちなみにこのTurnからソ連軍のステップ数が2ステップに増える。これでようやくドイツ軍と互角に近い状態で戦うことが可能となる。ドイツ軍の前線は薄くなってきて、いよいよスチームローラー発動。こんな状態でセヴァストポリを取られて負けてしまうなんて、耐えられない・・・。

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18Turn(44年3-4月)

GE_4Pz4-6セヴァストポリの守備隊が遂に壊滅した。しかし戦闘結果がEXだったので、ドイツ軍は戦闘後前進できていない。ソ連軍はセヴァストポリを奪回すべく、ケルチ地峡側からはソ連最強の第5親衛戦車軍(8-4)が攻撃を実施。さらにクリミア半島入口付近では、ドニエプロペトロフスクを占領したソ連軍がさらに西へ進んでオデッサに向かう。あと一歩でクリミア半島を完全包囲できるのだが、果たしてそれまでゲームが続くかどうか・・・。

レニングラード方面でもソ連側の第1戦車軍(6-4)がレニングラード前面を守るドイツ第4装甲軍を攻撃する。第4装甲軍はステップロスしており戦力は低下していたが、それでもソ連軍の攻撃を跳ね返した。

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19Turn(44年5-6月)

セヴァストポリが遂に陥落した。戦略的にみてこの時期セヴァストポリが陥落することに何の意味があるのか、とも思えるが、ゲーム的には重大事件である。ソ連軍がサドンデス負けを避けるためには、何としてもレニングラードを奪回しなければならない。

レニングラード前面を守るドイツ第4装甲軍(4-6)に対してソ連軍はカウンターブローを仕掛ける。しかしソ連軍の攻撃は不発に終わって攻撃失敗。この段階でレニングラード陥落は不可能となった。最終Turnまであと3Turnであったが、この時点でドイツ軍によるサドンデス勝利が決まった。

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感想

プレイ時間は休憩時間を除くと7時間弱である。結構時間がかかったが、白熱した戦いであった。ただ勝敗だけを見ると、正直な所悔いの残る1戦であった。ペレコープ地峡で変な色気を出さなければ、セヴァストポリが落ちることもなく、兵力で優位に立つロシア軍で弱体化したドイツ軍を圧倒できる筈であった。つくづく余計なことをしなければ良かったと思う。
あと、序盤のレニングラード陥落も失敗だったが、これは経験不足なので仕方がないと思う。次回のプレイでは、同じ失敗を繰り返さないようにしたいとは思う。ただ、今回のプレイでの真の敗因がレニングラード早期陥落にあったことは間違いない。

ゲーム自体の感想についてだが、シンプルなゲームだが戦い方にある程度定石やツボのようなものがあり、それがわからないと経験者相手に初心者が勝利するのはほぼ不可能だと思えた。ただしゲームとしては面白いので、勝敗に拘らず「胸を借りる」つもりでプレイすれば、十分に面白い作品ではないだろうか。今回の私のように仮にゲーム上では敗れたとしても、
「あそこでこうしておけばよかった」とか
「そんなルールがあるなら気を付けよう」とか
思えたのなら、次の対戦では同じ失敗をすまい、と思えて、次回の対戦意欲が湧くと思う。

Card18

気になる点は、カードの取り扱い。カードプレイの占める割合が多く、カードの使い方次第で戦局を動かせること。例えば今回問題になった「列車砲」。私自身もやられたことがあるのだが、このゲーム、要塞の効果が大きく普通の攻撃では陥落させることが難しい。「列車砲」カードを使えば要塞を陥落させるのは容易だが、ソ連軍がこのカードを抱え込んでしまうと、ドイツ軍は要塞に対して苦慮することになる。他にもカードを捨てさせるカード、相手のカードを無効化するカードなどを使いこなす必要がある。しかしカードプレイのテクニックを考えると、果たしてこのような工夫が「いったい何のしみゅれーしょん何ですか?」と思えてくる。本作が一部で「ゲーム的過ぎる」と批判されるのは、カードプレイへの過度な偏重にあると思う。

ゲームとしてのバランスについては評価が難しい。今回、私のポカミスがなければ勝てたようにも思えるのだが、ドイツ側にもまだまだ秘策のようなものがあるのなら、ロシア側が有利とはいえないかもしれない。ただ、今回のプレイの印象では、ロシア側はミスをしなければ有利に戦えるのではないかと思えた。




NO RETREAT! NO RETREAT2 独ソ電撃戦 (ジャパン・ウォーゲーム・クラシックス第6号)
Barbarossa - Army Group Center Game Journal 67-激闘タイフーン電撃戦

表紙


NO RETREAT! 「No Retreat!」(以下、本作)はWW2における独ソ戦をキャンペーンレベルで描いたシミュレーションゲームだ。独ソ戦のキャンペーンとしては、The Russian Campagin(以下、ロシキャン)が有名だが、本作の1Turnは2ヶ月でロシキャンと同じ。1Hexは約100km、1ユニットは枢軸陣営が軍規模(8~12万人)、赤軍側は方面軍規模(13~21万人)になっている。いずれもロシキャンよりも一回り大きい。

今回、本作のキャンペーンシナリオを対人戦で試してみた。

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7Turn(42年5-6月)

RU_Sevpol3ロシア平原は再び夏になった。機動力を回復したドイツ軍は、ウクライナの大地を疾走する。
ドイツ軍の一部は要域セヴァストポリを攻撃すべく、ペレコープを守るソ連軍要塞守備隊に対して攻撃を行う。大兵力を集めて総攻撃を仕掛けるドイツ軍であったが、実は要塞部隊は通常攻撃では絶対に死なない。それを打ち破る唯一の方法は「列車砲」カードを利用することだが、それを見越したソ連側は「列車砲」カードを手元にキープしたまま手放さない。これでセヴァストポリを守り切れば、サドンデス負けはない筈だ。そう思っていた。

ところがである。ドイツ軍は別の方法を仕掛けてきた。ペレコープ地峡前面でカウンターブローを仕掛けてきたのだ。さしもの要塞部隊であってもカウンターブローに対しては打って出ざるを得ない。当初「要塞部隊はカウンターブローを仕掛けられても反撃不要」と思っていたのでちょっと面食らったが、ルールを読むと確かに要塞部隊もカウンターブローを強いられる場合があるとのこと。これによってペレコープ前面を守る要塞部隊はステップロスを強いられてしまい、セヴァストポリの守りは風前の灯火となった。ヤバイ。

ここで本作ぺの勝利条件について説明したい。本作の勝利は基本的にはVPの大小によって決まる。ただしこれとは別にサドンデスの勝利条件があり、5ヶ所ある重要拠点のうち3ヶ所をドイツ軍が支配した時点でドイツ軍がサドンデス勝利する。重要拠点はケーニヒスベルク、レニングラード、モスクワ、スターリングラード、そしてセヴァストポリである。ケーニヒスベルクはドイツ領内だし、レニングラードは既に陥落済。残り3ヶ所のうち1ヶ所でもドイツ軍が落とせばドイツ軍がサドンデス勝利する。セヴァストポリが全ロシアの運命を握っている。

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8Turn(42年7-8月)

ロシアの真夏である。セヴァストポリは風前の灯火かとも思えたが、何故かドイツ軍はペレコープに対する追撃を行わず、ロストフ方面へ向けて攻勢を仕掛けてきた。これによってセヴァストポリ陥落の危機は一時的に避けることができたが、ドイツ軍はウクライナを東委に突進。ドンバス手前まで前進してきた。
さらに北方では要域ツーラをドイツ軍が占領し、モスクワにもドイツ軍は肉薄する。

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9Turn(42年9-10月)

ペレコープ地峡のソ連軍は再び要塞部隊にパワーアップした。これによってセヴァストポリは再び難攻不落の要塞となる。

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10Turn(42年11-12月)

RU_5GdTk8-42年目の冬が来た。ロシア名物冬季反攻である。昨年よりもパワーアップしたソ連軍部隊が猛烈な反撃を行う。
カリーニンをソ連軍が奪回。
ウクライナ平原ではソ連第1打撃軍とこれまたソ連最強の第5親衛戦車軍がドイツ軍防衛線に突進する。ドイツ軍も兵力を集中して迎え撃つが、ソ連軍はそれを撃退してドニエプル川河畔まで進出してきた。しかしソ連軍の戦線は伸び切っており、そこに隙が生まれる。

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11Turn(43年1-2月)

GE_2Pz7-6ドイツ軍はハリコフ周辺で反撃に転じてきた。史実での第3次ハリコフ戦の再現だ。調子にのって突出してきたソ連軍の第1打撃軍、第5親衛戦車軍はドイツ軍の包囲攻撃を受けてしまう。3個軍は包囲下で壊滅し、さしものソ連軍もその損害の大きさに唖然としてしまう。

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12Turn(43年3-4月)

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春である。泥濘である。
このTurnが「潮目の変更」になる。この段階でドイツ軍が達成したVPが合計され、それがソ連軍が達成すべき勝利条件になる。つまり「潮目の変更」の段階でドイツ軍が大きなVPを達成していればソ連軍が勝利するために必要なVPのボーダーラインが跳ね上がり、逆に達成VPが小さければソ連軍のボーダーラインが低くなる。これは戦争初期にドイツ軍が東方へ進撃させるための動機付けとなる。
今回ドイツ軍が達成したVPは計9VP。ソ連軍が現時点で獲得したVPが計7VPである。つまりソ連軍はあと3VP稼ぐだけで勝利ラインをクリアする。この時点でほぼ勝利を確信したソ連軍なのであった。

もう1点。このTurnを境として「列車砲」カードが使えなくなる。これによってセヴァストポリが陥落する可能性がさらに小さくなり、ソ連軍としては「もう勝った」気分になっていた。

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13Turn(43年5-6月)

3年目の夏がきた。ソ連軍はツーラとカリーニンを奪回した。これでソ連軍の獲得したVPは9VPになり。ボーダーラインを達成した。これで負けはなくなったと感じたソ連軍であった。

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つづく

NO RETREAT! NO RETREAT2 独ソ電撃戦 (ジャパン・ウォーゲーム・クラシックス第6号)
Barbarossa - Army Group Center Game Journal 67-激闘タイフーン電撃戦

表紙


NO RETREAT! 「No Retreat!」(以下、本作)はWW2における独ソ戦をキャンペーンレベルで描いたシミュレーションゲームだ。独ソ戦のキャンペーンとしては、The Russian Campagin(以下、ロシキャン)が有名だが、本作の1Turnは2ヶ月でロシキャンと同じ。1Hexは約100km、1ユニットは枢軸陣営が軍規模(8~12万人)、赤軍側は方面軍規模(13~21万人)になっている。いずれもロシキャンよりも一回り大きい。

システムは基本的には移動・戦闘を繰り返すタイプ。ただしカウンターブローといって敵側のプレイヤーターンに反撃できる仕組みがある。またイベントカードを使う所も特徴的で、イベントカードは兵站や軍需資源をも表しており、イベントカードを消費することで部隊を再建したり鉄道輸送できたりする。

今回、本作のキャンペーンシナリオを対人戦で試してみた。

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1Turn(41年6月)

GE_2Pz7-6第1Turnの攻撃パターンはほぼ決まっている。特別ルールで枢軸軍は決まった目標しか攻撃できないからだ。包囲攻撃を受けて2ユニット(WestとSouthWest)が壊滅。1ユニットが後退を強いられた。そしてリガとミンスクが陥落し、VP2点を献上した。
ソ連軍Turnに壊滅したユニットをカード2枚支払って復活させた。ソ連軍は極端な後退は行わず、南方戦線はオデッサからプリピャチ湿地東端まで戦線を引き(キエフは放棄)、北方戦線は森林地帯を使って防御ラインを強いた。

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結果論になるが、この時、北方で下がり過ぎたことが後から思えば失敗であった。側面迂回を恐れてペイプシ湖(L.Peipus)の後方まで撤退したが、冷静に移動力を計算すると、ペイプシ湖の南に隣接した森林地帯に布陣してレニングラードへの地積を確保するのが定石だと思う(ただし「参謀本部」カードで移動力を増やした場合に備えて、ペイプシ湖北側も押さえておく必要はある)。こうしておけば、レニングラードの要塞化が間に合うので、ドイツ側もレニングラード攻略に苦慮することになっただろう。
このあたりは経験の差が出たと言わざるを得ない。


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2Turn(41年7-8月)

RU_West4-3前Turnの配置ミスによる影響が出てしまった。ドイツ軍は北方におけるソ連側の消極的防御を突いてレニングラードまであと2Hexと迫った。レニングラードの危機を感じたソ連軍は、慌ててレニングラード前面に歩兵部隊で防衛線を敷いたが、ドイツ軍もソ連軍の弱点を見逃す訳もなくカウンターブローを仕掛けてソ連軍防衛線を撃破。レニングラードへの道が開けてしまう。

中央ではスモレンスクが陥落したが、次のTurnが泥濘なのでモスクワが落ちる心配は取りあえずなし。南方ではキエフが陥落。オデッサにも枢軸連合が迫ったが、こちらはソ連側の守備隊が奮戦してオデッサを死守した。

3Turn(41年9-10月)

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このTurnは泥濘である。泥濘のTurnは戦闘後前進が1Hexに制限されるので、ドイツ軍の電撃戦が封じられる。しかしレニングラードは一歩守りが間に合わず、ドイツ軍がレニングラードに接敵し、3-1攻撃を実施。「ハインツ・グデリアン」カードで戦闘結果を強制的にDRにしてレニングラードが陥落した。ちょっと悔しい。
南方でもオデッサが陥落してしまう。

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4Turn(41年11-12月)

GE_3Pz6-6このTurnは降雪である。ドイツ軍の攻撃は左へ1シフト。ドイツ軍は3ヶ所で攻撃を実施し、モスクワ北方の要域カリーニンが陥落。南方ではドニエプロペトロフスクが陥落する。
ソ連軍は冬季反攻を実施。カリーニンへ前進してきたドイツ第3装甲軍(6-6)を攻撃した。最初の年の冬季Turnはソ連側の攻撃に右1シフトのボーナスがつく。その甲斐もあり、ドイツ第3装甲軍をステップロスさせた。ドイツ軍に与えた最初の損害である。

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5Turn(42年1-2月)

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年が変わって1942年。今年の冬は特に寒い(枢軸軍の攻撃は左2シフト)。この機会にソ連軍は「ヒトラーの攻撃命令」カードを使ってドイツ軍に対して計3ヶ所の強制攻撃を強いた。さらにソ連軍は南方戦線で反撃を実施。ハリコフ北方を守るドイツ軍歩兵軍を撃破し、ハリコフのドイツ軍スタックを包囲した。

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6Turn(42年3-4月)

RU_1Bye8-2春の目覚め。長かった冬が終わり、春を迎えたロシアの大地は泥に沈んだ。両軍とも泥濘の中をドロドロになりながら戦う。ハリコフ周辺では包囲されていたドイツ軍は包囲輪を解放するために反撃を実施した。さすがに個々の戦闘ではドイツ軍は強力で、ハリコフの包囲輪が解放されてしまう。

このTurnからソ連軍は1ユニットをフリーで戦力強化できるようになる。早速ソ連軍最強の第1打撃軍(ショックアーミー)(8-2)を編制し、モスクワ北方での反撃作戦に投入した。ドイツ軍と相打ちでショックアーミー初陣で昇天。まあ復活可能だから良いだけどね。

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つづく




NO RETREAT! NO RETREAT2 独ソ電撃戦 (ジャパン・ウォーゲーム・クラシックス第6号)
Barbarossa - Army Group Center Game Journal 67-激闘タイフーン電撃戦

230701_NoRetreat

NO RETREAT! 「No Retreat!」(以下、本作)はWW2における独ソ戦をキャンペーンレベルで描いたシミュレーションウォーゲームです。
独ソ戦全体を扱ったSLGとしては、何度も再版されているThe Russian Campagin(以下、ロシキャン)が有名です。本作は1Turnは2ヶ月でそこはロシキャンと同じですが、1Hexは約100km、1ユニットは枢軸陣営が軍規模(8~12万人)、赤軍側は方面軍規模(13~21万人)になっており、いずれもロシキャンよりも一回り大きいスケールになっています。
本作の基本システムは移動・戦闘を繰り返すタイプ。ただしカウンターブローといって敵側のプレイヤーターンに反撃できる仕組みがあります。またイベントカードを使う所も特徴的で、イベントカードは兵站や軍需資源をも表しており、イベントカードを消費することで部隊を再建したり鉄道輸送できます。さらにイベントカードは列車砲といった特殊兵器、マンシュタインやグデーリアンといった名将による指揮等も表しています。

今回、本作のキャンペーンシナリオを対人戦で戦てみました。そこでその戦いの経緯を記録した動画を作成したので、紹介させてください。




NO RETREAT! NO RETREAT2 独ソ電撃戦 (ジャパン・ウォーゲーム・クラシックス第6号)
Barbarossa - Army Group Center Game Journal 67-激闘タイフーン電撃戦

RF表紙


Russian Front(以下、本作)は1985年に米国The Avalon Hill Game社(TAHGC)から発表されたシミュレーションゲームである。テーマは独ソ戦。1941年6月から始まる独ソ戦を、1Turn=1ヶ月、1Hex=25マイル(40km)、1ユニット=軍団(枢軸)~軍(ソ連)の規模で再現する。日本でもHobby Japan社からライセンス発売された。

なお、陸上ユニットの後退ルールについて、日本語訳による解釈から一部混乱を招いているようである。基本的には「常識的な」判断が正しいのだが、日本語訳での「補給源に近づく」という一言が混乱のもとになっている。要するに「真っすぐ行った先に補給源ヘクスが存在する方向へ後退しなさい」という意味(敵の方向へ後退してはいけない)なのだが、日本語ルールを素直に読むと誤った解釈になる可能性がある。対人戦の際には、事前に調整しておくべきだろう(相手が頑固なら、英文ルール(ネットで入手可能)を用意しておくことをお奨めする)。

今回、本作をVASSLでソロプレイしてみた。シナリオは1941年6月から始まる標準シナリオで、ルールは選択ルールを含めて全て採用した。

ここまでの展開は --> こちら

Tur4205c


42年6月

戦争は2年目に突入した。天候は晴れである。ドイツ軍は全戦線に渡って攻勢を仕掛ける。とはいえ、1年目のような大規模電撃戦を仕掛ける余力はなく、航空優勢を生かした局所的な兵力優越で拠点を1つ1つ潰していく。

北方では、ナルヴァとノブゴルドを占領。さらにナルヴァ近海でドイツ海軍とロシア・バルチック艦隊が交戦。制空権を持つドイツ艦隊が勝利した。

Tur4206a


中央戦線ではスモレンスク攻略戦に列車砲を投入。さらに航空機の支援もついてスモレンスクをドイツ軍が奪回した。その南のブリヤンスクでもドイツ軍が占領に成功する。

Tur4206b


南方では、ドニエプロペトロフスクを無血占領した後、ドイツ軍はハリコフに前進。航空支援もあって同市を占領した。さらにクリミア半島入口に前進するドイツ軍。ペレコープ地峡では独ソ歩兵部隊同士の激しい戦いになる。それを援護する独ソ両軍の黒海艦隊がペレスコープ地峡の沖合で砲撃戦を演じ、相打ちになって両艦隊とも果てた。

Tur4206c


42年7月

天候は晴天。ドイツ軍は攻勢を続ける。

北方ではレニングラード東方ラドガ港要地シュリッセリブルク(Schlusselburg RR19)をフィンランド軍最強の4F軍団(5-5-4)が攻撃した。フィンランド軍はドイツ空軍による空からの援護がつき、ソ連軍はラドガ湖小艦隊(2-2-7)が援護する。激しい戦いであったが、結果はフィンランド軍の勝利。レニングラード東方の補給線は遮断され、レニングラードは包囲の危機に瀕した。

Tur4207a


南方戦線ではドイツ軍がクルスクを占領。さらに遥か南方ではスターリノを占領。ハリコフ東方でソ連軍3個軍を包囲した。

ソ連軍の反撃。シュリッセリブルクではソ連軍打撃軍(7-5-4)を投入して反撃を行う。先の戦いで壊滅したラドガ湖小艦隊に代わって、オネガ湖小艦隊(2-2-7)を鉄道輸送でラドガ湖に派遣した。再建なったソ連空軍が奮戦して制空権を確保。空と海からの援護下で打撃軍はシュリッセリブルクを奪回した。
別の増援はソ連軍戦車軍(8-6-4)で、2個戦車軍をロストフ周辺の反撃に投入。ドイツ軍戦車軍団と1対1でガチンコ対決。しかし制空権を有するドイツ軍が有利に戦いを進めてソ連軍戦車軍団は大した戦果を挙げずに後退していく。

Tur4207b


42年8月

真夏である。天候は晴れ。ソ連軍は再びパルチザンを投入してドイツ側の鉄道輸送を妨害する。それが奏功し、このTurnドイツ側の鉄道輸送力が0にまで低下した。これでクリミア戦線へ列車砲を輸送しようとするドイツ側の意図はこのTurnは頓挫することになる。

ドイツ軍はヴォロネシを占領。その南側に装甲部隊を迂回させてドン川西方地域にソ連軍の大規模部隊を包囲した。その中にはソ連軍自慢の戦車軍(8-6-4)2個が含まれている。

Tur4208a


ソ連軍は包囲下の部隊を後退させることに全力を集中。さらに後退援護のためスターリングラード周辺に6個軍を増援として投入した。ソ連軍は何とか包囲の輪を突き破って後方へ撤退したが、その撤退戦の過程で多くの兵力を失った。

Tur4208b


42年9月

季節は夏から秋に向かっている。ドイツ軍は南方戦線でさらに戦果を拡張したかったが、攻撃の先鋒をなす装甲部隊が補給圏外に出てしまったため、補給線の伸長と装甲部隊の再編に努める。そしてアゾフ海からのロストフへの補給線を遮断するため、タガンログ(I22)とケルチ(E18)をドイツ軍が占領した。さらにロストフの後方にドイツ軍が回り込み、陸上からのロストフへの補給線をも遮断する。

ソ連軍はロストフの包囲を破るべく、ショックアーミーで反撃に出る。ロストフ東方で攻撃に転じたソ連第1打撃軍(7-5-4)は、ドイツ第48装甲軍団(7-5-6)を平野で決戦に出る。両軍とも航空部隊を繰り出したが、珍しくソ連空軍が奮戦してルフトヴァッフェを撃退。制空権を得たショックアーミーがドイツ装甲軍団を撃破してロストフへの補給線を啓開した。

Tur4209a


42年10月

秋が深まり、早くも天候は悪化してきた。このTurn、北部は泥濘となり、中部南部は雨である。装甲部隊の突破力は失われた。ドイツ軍はなけなしの兵力を集めてロストフ攻略を目指す。列車砲(5-1-2)が運ばれ、ロストフ正面に据えられた。列車砲の威力もあってロストフはドイツ軍の手に落ちた。しかしドイツ軍の戦力も底を尽きかけていた。

ソ連軍は再編成のなった戦車軍2個を投入してロストフ東方から反撃を開始する。

Tur4210a


42年11月

冬が近づく中、天気の神様は突然ドイツ軍に微笑みかけた。中央戦線全域が晴れ渡ったのである。とはいえ、ドイツ軍に大規模攻勢を仕掛ける力は最早なかった。コーカサス方面へ侵攻しマイコプ油田を目指すドイツ軍であったが、チホレツク(Tikhoretsk D24)まで前進した所で進撃が停止した。
クリミア半島では、セヴァストポリ要塞がドイツ軍の手に落ちていた。

ソ連軍は少し早い冬季反攻を開始した。中央ではオリョールとヴォロネシの奪回を図ったが、ドイツ軍の抵抗により失敗。南方では、ロストフ北方に陣取る弱小の枢軸同盟軍部隊を撃破。ロストフへの連絡線遮断を図る。

Tur4211a


このTurnで再びVP判定が入る。ゲーム開始時に枢軸軍が支配しているのは計10点(ドイツ5、フィンランド1、ハンガリー1、ルーマニア3)。ソ連領内で枢軸軍の占領した大都市、要塞都市は、ブレスト、ルボフ、ヴィーンヌィツャ、キエフ、ゴメリ、オデッサ、ヴィルナ、ミンスク、ヴィテブスク、リガ、プスコフ、タリン、ハンゴ、ノブゴルド、スモレンスク、ブリヤンスク、オリョール、クルスク、ハリコフ、ヴォロネシ、ドニエプロペトロフスク、スターリノ、ロストフ、セヴァストポリの24ヶ所。さらに補充ポイントがミンスク、キエフ、スモレンスク、ハリコフ、ヴォロネシで計6点、合計40点だ。勝利レベルは"引き分け"。過去の得点を加算すると"S2となり、ソ連軍の限定勝利である。

Tur4211b


感想

一旦この時点で終了とする。現時点でドイツ軍の戦力はロストフからコーカサス方面に集中しており、その北側は手薄である。ソ連側が大兵力をモスクワ正面に展開すれば、ドイツ軍の抵抗は困難だろう。下手をすると1944年を待たずして東部戦線は崩壊するかもしれない。

今回は初めてのプレイであったので、いくつかのルールミスがあった。一番大きなミスは前回も触れた赤軍部隊の再建制限のルール。他には航空機、艦船部隊の国籍制限。枢軸軍は同一国籍の部隊同士のみが支援できるというルールがあるが、その適用を途中まで失念していた。

初めてのプレイであったが、楽しめるゲームであった。鉄道ゲージの変換ルール等にはやや古臭さを感じる部分もあるが、全般にはプレイアビリティは良好な作品であった。ライバルであるロシキャン(The Russian Campaign)に比べるとプレイ自体が落ち着いており、その分安心して楽しめる作品に仕上がっている。ロシキャンを上回ったかどうかは意見が分かれるが、少なくともロシキャンに比肩する作品だとはいえる。機会を見つけて再戦したい作品だ。

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