もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

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BCA_Arracourt表紙


BCS(Battalion Combat Series)とは、WW2における陸上戦闘を大隊規模で再現するシミュレーション・ウォーゲームのシリーズである。BCSの概要については、 こちらの記事 を参照されたい。

今回は、BCSシリーズの1作「Arracourt」のキャンペーンシナリオに挑戦してみた。これは、1944年9月にフランス・ロレーヌ地方のアラクール周辺で戦われた米軍とドイツ軍との戦いを描いたシナリオである。

以前に紹介したプレイでは、第3Turnまでプレイした が、途中で終わらせておくのは惜しい。
そこで、前回の対戦記録をそのまま引き継ぎ、ソロプレイでキャンペーンシナリオを続けてみることにした。

Turn03d


4Turn(9月21日)

天候は晴れ。米軍は補充ダイスに恵まれて、第4機甲師団CCAの戦車大隊を復活させた。
GE_111Pz_2111裏この日の戦いはまず戦線中央のアラコートで始まる。米第4機甲師団CCRがアラコートを守るドイツ第111装甲旅団の歩兵大隊を攻撃する。第111装甲旅団は装甲旅団とは名ばかり。度重なる激戦によって装甲兵力の大半を失い、今や歩兵部隊とそれを支援する突撃砲部隊のみの編制となっていた。米側は装甲兵力の優位を生かして一度はアラコートを占領した。しかし直ちにドイツ軍も反撃を実施。砲兵火力を使って米軍の機械化歩兵を撃破、アラコートを奪回した。

GE_15PG_III_115その南、ルネヴィル方面では、比較的大兵力を保持しているドイツ軍第15装甲擲弾兵師団がルネヴィルに籠る米第2騎兵戦闘グループの騎兵大隊を攻撃。遂にこれを撃破してルネヴィルを占領した。米軍部隊も直ちに反撃に転じたが、ドイツ軍の守りは固く、ルネヴィルを奪回するには至らない。

Turn04a


US_4A_CCA_A37裏北方では、戦力を回復した米第4機甲師団CCAがドイツ第113装甲旅団に襲いかかる。戦車性能ではパンター戦車を装備するドイツ側に分があったが、練度で勝る米戦車部隊はドイツ軍を圧倒した。米戦車大隊がドイツ軍戦車を次々と撃破し、第113装甲旅団は装甲兵力の大半を失った。
引き続き米第4機甲師団CCBが、北部の要域シャトー・サリーを攻撃する。シャトー・サリーを守るドイツ軍は強力であったが、砲兵支援を受け、さらに歩戦連合で攻撃する米軍部隊が遂にドイツ軍を撃破。米軍が初めてシャトー・サリーを占領した。

Turn04b


5Turn(9月22日)

FR_2Dio_Noiret裏天候は晴れ。先手を取った連合軍は、マップ南端から自由フランス軍第2機甲師団が登場。ドイツ第21装甲師団の補給線を遮断した。危機に陥った第21装甲師団は、フランス第2機甲師団に反撃を行い、何とか重囲を脱してムルト川東岸まで撤退した。

Turn05a


その北に隣接したルネヴィルでは、米第2騎兵戦闘グループとドイツ第15装甲擲弾兵師団が激しく戦っている。第2騎兵戦闘グループがルネヴィルを一度は奪回したものの、兵力に勝るドイツ軍がすぐに奪回する。

さらに北部戦線では、アラコートを巡る米第4機甲師団とドイツ第111,113装甲旅団が激戦を繰り広げている。米軍がアラコートを一度奪回したが、すぐにドイツ軍がそれを奪い返した。

Turn05b


ちなみに、ここでショートキャンペーンは終了となる。この時点でのVPはお互いに2VPずつ。引き分けの状況である。しかし今回はここで終わりではない。

6Turn(9月23日)

天候は雨。航空機も登場しない。このTurn、ドイツ側に増援部隊である第11装甲師団が登場する。米軍はなおもルネヴィルへ攻勢を加えるが、ドイツ軍第15装甲擲弾兵師団の奮戦でルネヴィルは落ちない。天候が悪いと、攻勢の勢いはどうしても殺がれてしまう。

7Turn(9月24日)

GE_559_2_106またもや天候は雨である。ドイツ軍第559歩兵師団が戦線北部から登場する。第559師団は米第4機甲師団の後方に回り込み、同師団の補給段列を攻撃する。米軍に主力である第4機甲師団は、たちまち混乱を来してしまう。

Turn07a


米軍としては反撃に転じたい所であったが、主要補給線を遮断されてしまったため効果的な反撃は期待できない。仕方なく機甲部隊は休養させて疲労回復に努める。

米第4機甲師団は僅か1本の主要補給ライン(MSR)に依存している。従ってそれを遮断されれば打つ手がなくなる。このような事態を避けるためには、一旦主力を後退させることも必要だったかもしれない。

8Turn(9月25日)

US_35ID_HQ天候は晴れになった。マップ西端から米軍の第35歩兵師団が登場する。第35歩兵師団はドイツ軍第559歩兵師団と交戦し、これを撃退。これにより米第4機甲師団への連絡線を回復した。さらに米第4機甲師団CCBが復活してドイツ第559歩兵師団の補給段列を攻撃し、これを撃破して第559歩兵師団の連絡線を遮断した。
それでもドイツ軍は米第4機甲師団に対して猛烈な攻撃を仕掛けた。米第4機甲師団の中でも主力のCCAは大損害を被ってしまう。

Turn08a


ちなみにこの後ドイツ第559歩兵師団は、第12Turnまで悉くSNAFUチェックに失敗し続けることになる。このように主要補給線を遮断されることは、かくも恐ろしいことなのだ・・・。

9Turn(9月26日)

GE_11Pz_11天候は再び雨。しかも補充ダイスがドイツ側に傾き、ドイツが3ポイントの補充ポイントを得たのに対し、米軍の補充はゼロだった。

先手を取ったのは枢軸軍だ。ドイツ第11装甲師団が活動を実施。先端を進む第11偵察大隊が米第4機甲師団の司令部を追い上げる。CCAの司令部は後退を余儀なくされ、CCB、CCRは連絡線を遮断された。

米軍がCCAの活性化に失敗したため、ドイツ軍が引き続き第113装甲旅団を活性化させる。要域シャトーサリーを攻撃するも、米軍の守りが固く、陥落させるには至らない。。

Turn09a


米軍は第35歩兵師団を活性化し、第4機甲師団の連絡線上に布陣しているドイツ軍偵察大隊を攻撃。これを撃退して第4機甲師団への連絡線を開通した。ドイツ軍は第559歩兵師団が連絡線遮断で動けないため、米第4機甲師団に対応できていない。

Turn09b


南方では大きな動きはなかったが、ドイツ第21装甲師団の行った自由フランス第2機甲師団への攻撃が、ドイツ軍にとっては最悪に近い結果となった。すなわちフランス軍の戦車1ステップの損害と引き換えに、ドイツ軍の強力な戦車大隊2ユニットが失われてしまったのである。

M7_Priest


つづく

BCA_Arracourt表紙


BCS(Battalion Combat Series)とは、WW2における陸上戦闘を大隊規模で再現するシミュレーション・ウォーゲームのシリーズである。BCSの概要については、 こちらの記事 を参照されたい。

今回は、BCSシリーズの1作「Arracourt」のキャンペーンシナリオに挑戦してみた。これは、1944年9月にフランス・ロレーヌ地方のアラクール周辺で戦われた米軍とドイツ軍との戦いを描いたシナリオである。 前回も紹介したシナリオ だが、前回はリアルな対戦だったが、今回はVASSAL対戦とした。

今回も私は米軍を担当する。

Turn00a


1Turn(9月18日)

天候は雨。先手を取ったドイツ軍は、新鋭の第113装甲旅団を活性化してきた。北部の要域シャトーサリーに4号戦車装備の戦車大隊が進出。早くも米第4機甲師団の戦車部隊と交戦する。

Turn01a


GE_111Pz_2111裏ドイツ第111装甲旅団も第113旅団の南側面を進撃。要域アラコートに接近してきた。米第4機甲師団のCCAは、パンター戦車を装備したドイツ軍装甲旅団2個を攻撃を受けて苦戦を強いられる。M10駆逐戦車1個大隊が撃破され、アラコートからの撤退を余儀なくされる。

Turn01b


US_4A_CCA_A37裏米第4機甲師団CCAも果敢な反撃を実施。アラコートを奪回し、ドイツ軍装甲旅団に多大な出血を強いたが、精鋭戦車大隊3個を失い、機甲戦力がほぼ壊滅してしまう。

南方ルネヴィル方面では、米第2騎兵グループが警戒スクリーンを貼りつつ遅退戦闘。途中で米軍得意の擾乱射撃を浴びせてドイツ軍に出血を強いる(2ステップロス)。しかしドイツ軍は大兵力に物を言わせて進撃を続け、第15装甲擲弾兵師団がルネヴィルを占領してしまった。

序盤から一時的にVPヘクスを3つとも失うというかつてない苦しい展開。アラコートは何とか奪回したが、主力の第4機甲師団CCAは機甲兵力が一時的に全滅するという危機。増援が来るまで我慢するしかない状況である。 /

2Turn(9月19日)

天候は晴れ。米軍は有力な航空兵力を得た。

P-47D


US_2Cav_2ドイツ軍第21装甲師団が南から要域ルネヴィルに近づく。しかし同師団は疲労レベルが3に達したため、ムルト川(Meurthe)東岸の渡河点に布陣し、防御態勢を固める。そこを突いた米第2騎兵戦闘グループがルネヴィルに突入し、同市を奪回した。

Turn02a


GE_113Pz_2113北方では、ドイツ軍第113装甲旅団が要域シャトー・サリーに増援部隊を送り込む。さらに米第4機甲師団CCAに対して攻撃を加えて、大損害を与えていた。このためCCAは一時的にだが反撃能力を失ってしまう。

Turn02b


その南を進むドイツ第111装甲旅団はアラコートを攻撃。米第4機甲師団CCAの機械化歩兵部隊を撃破してアラコートを奪取した。

米第4機甲師団CCAが簡単に撃破されたように見えるが、これはCCAの司令部に対戦車部隊を配続しなかったことが主要な原因であった。この後ドイツ軍プレイヤーに泣きを入れて、第4機甲師団CCAにM10対戦車自走砲大隊を配続させてもらった。 /

3Turn(9月20日)

天候は再び雨である。しかし米軍の補充ダイスは良く、先ほどのTurnに壊滅した米第4機甲師団CCAに所属する戦車大隊3個を補充により復活させることができた。
US_4A_CCA_A37裏先手を取った米軍は補充で登場してきた戦車大隊を反撃に投入。ドイツ戦車大隊を激戦を交えるも、損害大。復活した米戦車大隊3個のうち2個が再び墓場送りとなる。しかしドイツ軍の損害も多く、第111装甲旅団は戦車兵力のほぼ全部を失い、第113装甲旅団も生き残った戦車大隊は僅か2個となった。

Turn03a


GE_15PG_Lngemeir米軍は南部ルネヴィル付近に展開していた第4機甲師団CCRを北に向かわせる。パンター戦車装備の戦車大隊を途中で撃破しつつ、アラコートに向けて前進する。それに合わせてCCRの司令部も北に移動。補給線を北に移して第4機甲師団の補給線を一本化した。これで米第4機甲師団の担当地域は北のシャトー・サリーからアラコートに至る地域となり、その他の部隊が南のルネヴィル周辺を担当することとなった。

Turn03b


US_79i_3_314南部では、ルネヴィルに籠る米第2騎兵戦闘グループがドイツ軍の猛攻に耐えつつ、新たに登場してきた米第6機甲師団CCBがルネヴィルに向かう。さらにルネヴィルの南では、米第79歩兵師団がムルト川の渡河点を攻撃。ドイツ第21装甲師団に対して大量の砲弾を雨あられと浴びせかけて、その一部を撃破。渡河点の確保も成功した。この砲兵の集中投入が戦局の転換点になるのか・・・。

Turn03c



という所で、夕方になったので今回はここで終了。ここまでのプレイ時間は6時間強であった。

Turn03d

感想

前回 の反省に立ち、今回は砲兵の集中投入、米第4機甲師団の展開地域見直し、歩兵部隊による積極的な攻撃等を心掛けた。それはそれで上手く行ったが、全般的な戦況は前回よりも悲惨な状況となってしまった。やはりドイツ軍が序盤に装甲旅団2個を集中投入してきたら、兵力に劣る米軍部隊だけで守り切るのは難しかった。
まあ、それでもドイツ軍の2個装甲旅団に対してはきっちりとダメージを与えたし、増援部隊が続々と登場してきているので、米軍側の反撃は可能だろう。

いずれにしても折角ここまでプレイしたのだから、何らかの形でこの続きをプレイしたいものである。

つづく(かもしれない)

M10



MMP_ARRACOURT_BoxArt

BCSについては、 以前に紹介した
さらに、 BCS ARRACOURT(以下、本作)の購入 を機に、本作をプレイしてみた。
選択したシナリオはキャンペーンで、プレイスタイルはVASSALによる通信対戦である。
私は米軍を担当した。

1Turn(1944年9月18日)

US_HQ裏_4A_CCB天候は霧。先攻を取ったのは米軍であった。BCSでは、先攻後攻の順でフォーメーションが1つずつ活性化するというシステムを採用している。パスはなし。自身の手番では必ず1つのフォーメーションを活性化させなければならない。なお、1Turnで各フォーメーションは1度しか活性化できないので、フォーメーションの絶対数が少ない陣営は、Turnの終盤は手持無沙汰になる。
さて、先攻を取った米軍であったが、正直な所「何をして良いかわからない」状態。後攻ならば敵の出方を見て動くことができるのだが・・・。取り合えず第4機甲師団のCCB(Combat Command B)を選択。選択しただけで何もせずに終わった。

GE_113Pz_1_130続いてドイツ軍。第113装甲旅団が活性化し、盤の東端から西へ向けて前進する。ドイツ軍の目標は勝利条件都市であるChateau-Salins(シャトー・サリー)だ。道路上に布陣する米第4機甲師団CCAの機甲大隊が道路上に布陣してドイツ軍を迎え撃つ。ドイツ側はパンター戦車、米軍はシャーマン戦車。性能面ではドイツ側が有利であったが、練度で勝るのは米軍である。両者互角の戦いであったが、結局は数に勝るドイツ軍は米戦車部隊を撃破した。

慌てた米軍部隊は第4機甲師団CCAを活性化させ、シャトー・サリーへ向かうドイツ軍の前面に展開させた。

Turn01c


ドイツ軍は第111装甲旅団を活性化させ、先に活性化した第113装甲旅団を超越してシャトー・サリーへ向かわせる。その過程で米軍の機甲大隊と交戦。これを撃破した。
さらに南方からはドイツ第21装甲師団が接近。米第2騎兵連隊が守る要域Luneville(ルネヴィル)を南から脅威する。

Turn01e



2Turn(1944年9月19日)

US_4A_CCA_A37裏天候は霧である。先攻を取ったのはドイツ軍。第113装甲旅団が活性化。シャトー・サリーへ向かう第111装甲旅団の南を進み、マップ中央の要域Arracout(アラコート)へ向かう。

ドイツ軍が西へ向かう姿勢を見せたため、米第4機甲師団CCAはシャトー・サリーとアラコートを結ぶ戦場に展開。ドイツ軍の西進を阻止する構えだ。

Turn02a


US_4A_CCB_Withers裏続いてドイツ第111装甲旅団が活性化。シャトー・サリーを目指すが、活性化チェックで"Partial"(部分)の結果を出してしまう。BCSの活性化チェックには、"Fail"(失敗)、"Partial"(部分)、"Full"(完全)の3段階があり、Partialの場合には移動力半減など、様々な制約を受けてしまう。さらに余談だが、BCSの活性化チェックは、友軍の展開状況や補給状況の影響を上手く表現しており、シンプルなルールながらも軍事行動における様々な制約を見事に再現したルールだと思う。

活性化チェックがショボかったのでシャトー・サリーまで届かなかったドイツ軍。その間にシャトー・サリーを奪取せんとした。米第4機甲師団のCCBは戦車と機械化歩兵各1個大隊というこじんまりした編制。しかし練度は高く(AR=4)、装備も優秀。シャトー・サリーを守るドイツ軍守備隊に連続攻撃を仕掛けて、遂にこれを壊滅に追い込んだ。

Turn02b


GE_21Pz_1_29シャトー・サリーを奪われたドイツ軍。そこで南方戦線で攻撃を行う。南部の要域ルネヴィルに対して第21装甲師団による攻撃を行う。ルネヴィルを守る米軍は、米第2機甲騎兵連隊所属の偵察中隊のみ。わずか1ステップの微弱な兵力でドイツ軍の猛攻を阻止できるはずもなく、偵察中隊は壊滅。ルネヴィルはドイツ軍が奪回した。さらにルネヴィルに布陣していた米第2機甲騎兵連隊司令部もドイツ軍による蹂躙を受け、数ヘクスの後退を余儀なくされた。これによって最前線に布陣する米第2機甲連隊の各部隊と、同司令部との間の連絡線が切れてしまったのが痛かった。

Turn02c


US_79i_3_314米軍は増援で現れた第79歩兵師団を活性化させてルネヴィルへ向けて前進させる。ムルト川の支流であるモルターニュ川のラインでドイツ第21装甲師団の自動車化歩兵部隊と衝突。これを撃破してモルターニュ川を東へ渡河する。
余談だが、ドイツ第21装甲師団と言えば、北アフリカ戦線やノルマンディ戦線でも活躍した歴戦の装甲師団。しかし、このシナリオでは精鋭部隊の面影はなく、装甲兵力については新編成の装甲旅団と互角程度でしかなかった。

その後、ドイツ軍は第15装甲擲弾兵師団が前進。ルネヴィルの両翼を守らせる。米軍は増援部隊を投入してルネヴィル奪回の布陣を敷く。

Turn02d


てな具合で、2Turnが経過した時点で夕方になったのでここでお開き。ここまでの所要時間は正味6時間程であった。

Turn02e


感想

細かいルールが多いので最初は戸惑ったが、基本的な考え方はシンプルなルールなので、慣れればある程度はサクサク進める。BCSの元になったOCSがかなり「ぶっ飛んだ」展開になり易いのに対し、BCSの方は司令部と指揮範囲ルールが程よく効いていて、それほど「ぶっ飛んだ」展開にならない。また補給ルールも補給ポイントを使うような面倒さはなく、それでいて補給段列の重要性や分身合撃の必要性をさり気なく表現しているのも良い。フォーメーションの混在ルールなどは、所謂「ゲーム的な運用」に対する抑制効果が効いていて好感が持てる。総じてBCSはOCSよりも好印象を持った。

今回のプレイでキャンペーン序盤の間隔がある程度掴めたので、次回はもう少しマシな戦いをしてみたい。

USA_M4Sherman_1944Sep_Arracout


バルジ大作戦 (ジャパン・ウォーゲーム・クラシックス第4号 第2版)  90-モントゴメリーの憂鬱、孤高のアルンヘム  88-激闘ロンメル・マッカーサー
Fortress Europa France 1944 西部戦線 (歴史群像アーカイブVol.17) Tank Killers: A History of America's World War II Tank Destroyer Force

BCS-LastBlitzKrieg-BoxArt

LAST BLITZKRIEG(以下、本作)は2016年に米MMP社から出版されたシミュレーションゲームである。テーマはあのアルデンヌ攻勢。いわゆるバルジの戦いである。1Hex=1km、1Turn=1日、1ユニットは1個大隊を現している。

本作はBCSと呼ばれる一連のシリーズ作品の1つである。BCSとは、Battalion Combat Seriesの略称で、その名の通り大隊規模ユニット同士の戦闘を描いたシリーズで、作戦戦術級のゲームである。今回は、BCSシリーズの練習ということで本作の南方シナリオを4人でプレイしてみることにした。

BCS-LastBlitzkriegMap1
BCS-LastBlitzkriegMap2
BCS-LastBlitzkriegMap3


まずBCSの基本システムについて紹介したい。
BCSはその名の通り大隊規模の戦闘を扱ったシステムである。大隊は単一兵科で構成される最大規模の編成であり、兵器間の性能の違いを表現できる規模としては最も大きな規模の単位といえる。従って大隊規模のゲームは作戦級のカテゴリーに属しながらも戦術級の色合いを強く残した作品となる。

BCSの特徴は、戦術級の色合いを強く残した戦闘システムにある。
戦闘システムは歩兵科同士の戦闘(Regular Attack)と、機甲科同士の戦闘(Engagement、所謂「戦車戦」)に区分されており、別々の戦闘結果表を使う。また歩兵と戦車の戦闘は、歩兵からの攻撃では通常の戦闘結果表を使うが、戦車からの攻撃の場合は直接射撃表(Attack by Fire)を使う。さらにオーバーラン攻撃的なShock Attack、砲爆撃を示すBarrageがあり、戦闘のタイプは5種類もある。戦闘自体は基本的には1対1で解決され、通常のゲームでよくあるような「10個のユニットで1個のユニットをタコ殴りにする」というスタイルの戦闘は実施できない。
戦闘の形式はかように複雑だが、戦闘解決自体は比較的シンプルである。例えば戦車戦(Engagement)はBCSでは「燃える」部分だが、その解決法は攻撃側と防御側の能力差をDRMとし、2d6で下表を参照して結果を求めるだけ。表を見れば理解できると思うが、攻防で能力差がなければ勝敗の可能性は五分五分である。

BCS-EngagementTable

戦闘システムでもう1つの特徴は「支援」の概念である。これは例えば対戦車砲や駆逐戦車といった兵科をフォーメーション(師団や旅団、戦闘団等の上部組織)に直接割り付けることができる。こうしておくと、これらの特殊兵科を各部隊に割り付けることができる。現実に当てはめると、例えば1個大隊の対戦車砲を小隊規模に分割し、各歩兵大隊に付属させるというイメージである。この部分の概念がルールの読みやすさを妨げているが、ルールが目指している概念が理解できると合理的な考え方に思えてくる。そもそも対戦車砲のような特殊兵科を大隊規模で集中運用しても、あまり効果はなく(敵から見れば集中配備個所を避けて通るなり、砲兵火力を集中して制圧してしまえばよいだけ)、それよりも分散配置した方が効果は高い。

BCS-Activation

話が前後するが、BCSでのゲームの流れを紹介したい。
BCSはフォーメーション単位で活性化し、敵味方が交互に活性化する。各フォーメーションは1Turnに1回ずつ活性化でき(他に追加活性化の概念があるが、話が複雑になるのでここでは省略する)、両軍全てのフォーメーションが活性化するとTurn終了となる。
フォーメーションが活性化すると、最初にSNAFUチェックを行う。このSNAFUチェックというのが我々から見ると少し馴染みにくい言葉だが、「活性化チェック」という言葉の方がしっくりくる。何をするかと言えば、2d6を振り、出目2で活性化失敗、3-6で部分活性化、7以上で完全活性化となる。普通の出目なら完全活性化できそうだが、出目が悪いと部分活性化になる。また補給状況が悪いとか、疲労が溜まっているとかで不利なDRMが適用されるので、状況によっては活性化に失敗する可能性が高まる場合もある。
活性化に成功すれば、ユニット1個ずつ移動する。移動途中で戦闘をするが、条件によっては移動終了になる。あるユニットの移動が終了すると、次のユニットが移動することになり、全部のユニットの移動が終われば、フォーメーションの活性化が終了する。

BCS-SNAFURoll

補給ルールもユニークである。後方から司令部に補給線をつなぎ、司令部から各部隊に補給線をつなぐのは一般的なゲームと同じだが、BCSにはCombat Train(補給段列)と呼ばれる専用の補給部隊が登場する。Combat Trainはフォーメーション別に与えられており、理想的には司令部の後方5~15Hexに位置している。また複数の司令部からなる補給ラインが交錯していると補給状況が悪化するという凝りよう。ルールはシンプルながらも補給線を分離して管理する重要性をさりげなく表現している。
下図はドイツ第7軍の各部隊への補給線を示している。画面右側に展開する276VGと212VGは補給線が個別に設定されているので補給線の交錯はないが、352VGと5FJは補給線が交錯しており、SMAFUロールで不利なDRMが適用される。

BCS-MSR

その他にも複数のフォーメーションが戦闘地域が重なっていれば不利な修正が適用されたり、司令部の指揮範囲からの自主的な逸脱は認められていないなど、いわゆる「ゲーム的な運用」を抑制する仕掛けが散りばめられており、好感が持てる。
ルールの量が多く、ルールブックの書き方も決して良いとは言えないためルールを読んだだけでは良く分からないゲームではあるが、一度プレイしてみるとシステム自体が自然に組まれているので理解できる。


さてここまでBCSのゲームシステムを紹介してきた。ここからは実際にプレイした内容を紹介してみたい。とはいえ、今回のプレイは練習プレイであったため僅か3Turn程度しか進まなかった。以下はセットアップ時の状況である。

写真00
写真01

第1Turnは1944年12月16日。バルジの戦いと呼ばれるアルデンヌ攻勢の初日である。
ドイツ軍はオウル川(Our.R)にかかる橋が全て落されているため、戦車を渡河させることができない。しかし歩兵はゴムボートで渡河できる。しかも奇襲効果でボート利用による余分な移動力消費が発生しない。自然、最初の1日目は歩兵部隊が川を渡り、渡河点を確保して橋の修理完了を待つことになる。
ドイツ軍は南部右翼から第352国民擲弾兵師団がオウル川を渡河して西方へ前進。米軍の第28歩兵師団と第4歩兵師団の間を分断する。その左側面は第276、第212国民擲弾兵2個師団も前進するが、練度の低い国民擲弾兵なので左程激しくは前進できない。

写真02

第2Turn、オウル川の橋の修理が終わると、ドイツ軍第2装甲師団、戦車教導師団が歩兵部隊を超越して前線へ躍進する。部隊同士が混淆すると厳しいペナルティが適用されるBCSでは、装甲部隊が友軍歩兵部隊を超越して前進するのは容易ではない。それでもドイツ軍装甲部隊は友軍歩兵部隊を躍進して前進。クレルボー(Clervaux)付近で米第28歩兵師団の一部を拘束したのち、さらにその後方約20kmの要域バストーニュ(Bastogne)に突入する。
最終的には第3Turn(12月18日)に戦車教導師団の先鋒部隊がバストーニュに到達。急遽増援に現れた米第101空挺師団の部隊を攻撃するも、これを撃破できなかった。

写真03

そんなこんなで今回の練習プレイは終了である。プレイ時間は約9時間。しかし途中の半分以上は無駄なお喋り時間だったので、プレイに専念すればもっと進んだと思う。

感想については既に何度か述べているが、BCSのシステムが非常に合理的なものなので感心した。確かにルールは多いが、決してプレイ不可能という訳ではなく、十分にプレイ可能な難易度である。またプレイ時間についても、1日のプレイで3~4Turn、2日間プレイなら6~8Turnぐらいは進みそうだ。同テーマの傑作であるシモニッチ・デザインの「Ardeness'44」でも2日間プレイなら精々10Turnぐらいなので、それよりもこちらの方が進みが良さそうだ(BCSは1Turn1日で、Ardeness'44は1Turn半日)。

今回は練習プレイということでホンの触りの部分をプレイしただけであったが、次回はキャンペーンシナリオに挑戦してみたい。



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