もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

タグ:SCS

写真00

Iron Curtain(以下、本作)は、SCSシリーズの1作で、西ドイツ周辺で起こり得た東西両陣営の直接対決を作戦レベルで再現した作品である。本作の特徴は、年代別にシナリオが複数用意されている事で、1945年、1962年、1975年、1983年、1989年の各シナリオの中から、好みの時代を選択してプレイできるようになっている。

これまでに 1962年シナリオの対人戦1989年シナリオのソロプレイ を紹介してきた。そこで今回はさらに別のシナリオを紹介しよう。

今回紹介するのは1983年シナリオ。本作の中では5つ設定されている年代のうち、4番目に新しい年代である。
1983年といえば、米国ではレーガン政権が生まれて3年目にあたり、600隻艦隊構想に代表される軍拡によってソ連との対立を深めつつあった時期でもある。一方のソ連側はブレジネフ体制で強化された核・非核戦力が文字通り最高潮の時期にあり、ソ連軍にとっては「最も輝いていた」時期でもあった。

このシナリオは。ジョン・ハケット将軍がその著書「第3次世界大戦」で描いた時期そのものといえる。ヴェトナムの泥沼から這い上がり、生まれ変わりつつあった米軍と、今や最高潮にあったソ連軍。世界大戦の危機が本当に高かった時期を描いたものである。

今回は対人戦。私はNATO側を担当した。

準備段階

これまでの2度の戦いを通じて私はいくつかの教訓を得ていた。

 (1) 後退無視地形(大都市、山岳)以外で守るのは徒に損害を増やすだけで足止め以外の意味はない。
 (2) 従って戦法は一撃離脱。通常移動・通常戦闘で敵を包囲殲滅した後、第2次移動で大都市や山岳へ籠る。決して前では守らない。
 (3) 自身が攻撃する際には、大都市や山岳に対する攻撃は必要な場合を除いて行わない。またもし大都市攻撃が必要な場合には、オーバーランを駆使して可能な限り速やかに落とす。その理由は、大都市・山岳では敵側が後退免除になるため、敵を完全に殲滅しない限り、攻撃部隊はその場で拘束されてしまう(ZOC内のユニットは第2次移動できない)。その結果、攻撃者が敵の包囲反撃にあってしまうからだ。
 (4) ヘリ部隊は極めて有能である。だから敵のヘリ部隊は最優先で撃破しなければならない。


上記方針に従い、RunUp(戦争準備)段階では、NATO軍は西ドイツ各地に展開している地上部隊を可能な限り大都市や山岳地帯に「避難」させ、これらを死守せんとした。また最前線には一部の部隊を除いてすべての部隊は大都市防御に投じられることになる。

写真01
写真02

1Turn(X Day)

戦争が始まった。WTO軍は鉄のカーテンを超えて西側に侵攻する。空ではNATO機とWTO機による激しい制空戦闘。しかし航空戦力で優位に立つNATO軍は、戦場の制空権をガッチリ握って離さない。

TornadoADV


WTO軍は開戦当初から化学兵器をベルリン攻略戦に使用してきた。西ベルリンはWTO軍の猛攻を受けたが、西ベルリンを守るNATO軍部隊は辛くもそれを凌いだ
先にも書いた通り、NATO軍の主力は大都市に籠っているので、WTO軍は大都市に向けて攻撃を仕掛ける。ハンブルグ、ハノーバー、カッセル、ニュルンベルクがWTO軍の攻撃を受けたが、都市を守るNATO軍は強力であり、簡単には撃破できない。

NATO軍の反撃は大都市を攻めるソ連軍機甲部隊に対して指向された。大都市を包囲攻撃中のWTO軍部隊はNATO軍による側面からの反撃に対して頑強に抵抗することができず、次々と包囲撃破されていった。特にNATO側が優先的に狙ったのはWTO軍の攻撃ヘリ部隊で、航空戦力を主に対ヘリ攻撃に使用。それ以外でも不用意に前線に取り残されていた攻撃ヘリのスタックを包囲攻撃。このTurnだけで5個の攻撃ヘリ旅団を撃破した。
NATOは例の「一撃離脱」戦法を徹底。通常戦闘でWTO軍に一定の損害を与えた後は、後方に下がって大都市に籠る。

写真03


2Turn(X+3 Day)

WTO軍は西側への侵攻を断念。攻撃目標を西ベルリン一本に絞り、残りは東ドイツ領内に後退していく。航空戦力も積極的な運用を行わず、NATO軍の航空戦力が戦場を支配する。WTO軍はNATO空軍機による損害を極限するため、部隊を散開させて対応する。西ベルリンに対する攻撃は今回も化学兵器を使用。2ヘクスの西ベルリンのうち、1か所をWTO軍が支配することに成功した。
NATO軍は西ベルリン付近に英空挺部隊を降下させた。化学兵器汚染地域に向けて前進する英空挺部隊。彼らの運命はWTO軍の包囲下で化学兵器の攻撃を受けて全滅するだけという過酷なものであったが、彼らは西ベルリンにおける友軍を助けるために敢えて過酷な運命を受け入れた。

写真08


西ドイツ領内のNATO軍はWTO軍の後退を追って東ドイツ領内に逆侵攻・・・、はせず、あくまでも「一撃離脱」戦法に徹して前線に残ったWTO軍を個別に撃破していく。またWTO軍が攻勢に出てきているデンマークに対して増援部隊を投入。先行部隊として英独の攻撃ヘリ部隊をコペンハーゲンの守備に加わり、さらに西ドイツ軍の機甲旅団2個がユトランド半島に進んでいく。

写真04
写真05

3Turn(X+6 Day)

デンマークでNATO軍が反撃に出る。WTO軍の機械化師団2個がコペンハーゲン周辺に展開していたが、それに対してNATO軍の攻撃ヘリ部隊(米英独)と西ドイツ軍機甲旅団が反撃を実施。これを撃破してデンマークに侵攻したWTO軍を一掃した。
西ベルリンでは新たな増援部隊としてフランス軍空挺部隊が西ベルリンの守備に投入された。彼らの過酷な運命については言うまでもない。そのせいもあってか、このTurnも西ベルリンは持ちこたえた。しかし西ベルリンで苦戦する友軍を後目に、NATO軍は相変わらずの「一撃離脱」戦法。これでは「苦戦する友軍を見捨てるのか」という世論が沸騰しそう。映画「遠すぎた橋」ではないが、前線では「なぜ救援に行かないのか」「上からの命令だから仕方がない」的な会話が会話が交わされていたのかもしれない。

写真06
写真07

感想

時間の関係で今回はここまでとした。ここまでの所要時間はセットアップを含めて約8時間である。時間のかかった理由は、主に3つある。
1つはセットアップに時間がかかること。マルチシナリオゲームなので、ユニットを探し出さなければならず、それに時間がかかる。さらにセットアップシートも昔ながらの「ユニット名を羅列する」タイプ。最近のゲームでよくあるカラーのユニットリストのようではない。従ってユニットを探し出すのがより困難である。OCS等でも言えることだが、どうしてシナリオをこうも「読みにくい」ようにするのだろうか。カラーのセットアップシートをつけるだけでどれだけセットアップが楽になることか・・・。今回、セットアップに要した時間は2時間以上になった。
2つ目は、RunUpと呼ばれる事前手順が必要なことである。戦争が始まる前の両軍の事前準備を再現する手順だが、これが思いのほか時間がかかる。今回も1時間以上かかった。そんなこんなで、今回セットアップ開始が10時過ぎだったのが、実際にゲームを始めたのが午後2時少し前。休日の時間を潰すには少し痛い時間の長さである。
3つめの理由は、言うまでもなく各Turnでの所要時間が長いことにある。このゲーム、ルールは比較的シンプルなのだがユニット数が多く、考えることが多い。またシステム的な特性も大きい。ZOCが緩く攻撃側が有利なシステムなので、どんどん攻撃しなければ勝てない。そのため本来は守る側のNATO軍も攻撃に精を出すことになるが、その時戦闘比は3-1以上(地形効果がある場合は4-1以上)に持っていく必要がある。何故なら2-1以下の戦闘比では、後退の結果が得られない場合がある。もし後退せずに相手がその場に留まってしまったら、2次移動が使えないので、攻撃した部隊が「一撃離脱」できなくなる。そうなると今後は攻撃側が敵の包囲攻撃の餌食となってしまう。

「3-1,4-1以上の戦闘比で包囲攻撃をできるだけ多く実施する」

これが命題になるが、この命題をこなすためにパズル的な思考を要求されるため、その分時間がかかることになる。これはシステム特性上仕方がないが、正直、私がSCSなるシステムを好きになれない理由がここにある。

ともあれ、これで8本のシナリオのうち、3本を体験したことになる。あと5本。できれば1945年シナリオ等は試してみたい気がするが、果たしてどうだろう。時間を投入する価値が果たしてあるのか・・・。

NATO Designer Signature Edition The Fulda Gap
幻の東部戦線 機動の理論 Centurion vs T-55: Yom Kippur War 1973 (Duel Book 21) Bradley vs BMP: Desert Storm 1991 (Duel Book 75)

SCS_IC表紙


Iron Curtain(以下、本作)は、SCSシリーズの1作で、西ドイツ周辺で起こり得た東西両陣営の直接対決を作戦レベルで再現した作品である。本作の特徴は、年代別にシナリオが複数用意されている事で、1945年、1962年、1975年、1983年、1989年の各シナリオの中から、好みの時代を選択してプレイできるようになっている。

今回プレイするのは1989年シナリオである。ヴェトナム戦争で打撃を受けていた米陸軍の再建がほぼ完了し、質的な面では冷戦時代を通じて米軍が最も充実した時期である。対する東側陣営も新兵器群で武装し、まさに「スーパーウェポン同士の華麗な激突」。トムクランシーの名作小説「レッドストームライジング」が描いた世界がそこに広がる。

今回はVASSALを使ったソロプレイを試みてみた。

前回までの展開は --> こちら

SCS_IronCurtain_Map


7Turn(X+18 Day)

このまま終わりにするのはあまりに惜しいので、もう少し続けてみようと思う。悪名高き「宇垣裁定」の如く 仮に"1"が出なかったとしよう。
再び晴れ渡った空の下、NATOとWTO軍の大空戦が繰り広げられる。制空権はNATOが握ったが、航空兵力の損害は両軍とも差はなかった。

核爆発


突如、カッセル南方で巨大なキノコ雲が上がった。米軍の第1機甲師団を主力とする機動グループが集結している付近である。WTO軍は遂に禁断の兵器、「戦術核兵器」の使用に踏み切ったのだ。この時、WTO軍が使用した戦術核弾頭は計55発(ゲーム中の1発をここでは核弾頭5発と換算して表現している)。同時に使用可能な戦術核弾頭の70%以上をWTO軍は一度に使い切ったのだ(WTO軍が使用可能な戦術核弾頭は合計75発)。
核弾頭が爆発したのは、カッセル周辺(計15発)、ブレーメン南方(計5発)、ルール工業地帯(計15発)、マンハイム(計5発)、その他の人口過疎地域(計15発)である。一連の攻撃でNATO軍は米機甲旅団6個、西ドイツ装甲旅団2個、攻撃ヘリコプター5個旅団/連隊が失われ、機械化歩兵5個旅団がステップロスした。単純計算で機械化部隊4~5個師団に相当する兵力が1度に失われたのである。
一方、NATOも即座に核反撃を行った。自国領内での戦術核使用は心理的な抵抗があったとも思われるが、「相手が使用するからには、報復は必要」という理屈で、自国民の頭上にも容赦なく戦術核兵器の雨を降らせた。この時NATOが使用した戦術核弾頭は計30発。これはNATOが即時使用可能な戦術核弾頭の約半数である。それがハンブルグ、ハノーバー、カッセル、ニュールンベルグ、その他で炸裂した。核攻撃によるWTO軍の損害は、壊滅=機械化師団3個、攻撃ヘリ旅団3個、ステップロス=戦車師団2個、機械化師団1個で、その総損害はほぼNATOと同程度と思われる。他にWilhelmshavenでNATO軍が使用した化学兵器によってWTO軍はさらに2個機械化師団の兵力を失った。

Turn7a


民間人の損害については言うまでもないだろう。100発近い核弾頭が国内で炸裂した西ドイツの惨状は筆致に尽くしがたく、死者は数百万、負傷者を含めると一千万を超える規模に達した。国内のインフラも大損害を被り、当然ながら医療機関も崩壊状態。人口密集地帯でもあるハンブルグ、ドムトムント、ミュンスターに投じられた核弾頭は今後数百年に渡って深刻な放射能問題を残すことが懸念される。

核弾頭が炸裂する中、WTO軍は現戦線を死守すべく布陣する。新たなる核攻撃の危険があるので密集隊形は禁物。疎開隊形を採りつつ「広く浅く」守る布陣を敷く。NATO軍は得意の機動力を生かしてWilhelmshavenとBremerhavenを奪回したNATOは、北海シーレーンへの脅威を取り除いた。またNATO軍の先鋒は西ドイツ領内を東へ向けて進撃し、途中に布陣するWTO軍を撃破しつつハンブルグ運河まで到達した。一方のWTO軍は、放射能に汚染されたハノーバー、カッセル、ミュンスター、ニュルンベルクに立てこもり、死守の姿勢である(大丈夫なのか、この人たち・・・)。

Turn7b


8Turn(X+21 Day)

天候は晴れ。遂にWTO側が制空権を確保した。2d6で"3"の目を出したのである。数に勝るNATO軍の航空部隊は、その数の多さが仇となり、実に5ユニットを失うという空前の大損害を被った。

思わず制空権を獲得したWTO軍は、空挺2個師団をWilhelmshaven付近に降下させて同地の奪回を図る。虎の子の化学兵器を投入し、なんとかWilhelmshaven奪取を図るWTO軍。ここを取れば、再びサドンデス勝利の可能性が見えてくる。Wilhelmshavenを守るNATO軍はベルギー軍の機械化旅団が僅か1個のみ。75%の確率でWTO軍がWilhelmshavenを取れるはずだった。しかし出目が恵まれなかったWTO軍。Wilhelmshaven奪回作戦は失敗に終わり、このTurnにおけるWTO軍のサドンデス勝利はなくなった。
両軍とも核攻撃を警戒し、これまでの「拠点巣籠り防御」から、翼を広げたようなスクリーン防御に移行する。お互い機動戦による華麗な機動突破よりも、鑢で削るような戦いになる。

Turn8a


そしてこの戦いはNATO側の圧倒的な勝利に終わった。ハンブルグ運河沿いに薄い戦線を張るWTO軍に対して、機動力を生かしたNATO軍が正面攻撃に出る。数に勝るNATOの攻撃ヘリ部隊が戦線背後に回り込んでWTO軍の後方を断つ。正面からNATO軍数個旅団がWTO軍の弱体化した各師団を正面から火力を集中する。WTO軍が核兵器で反撃しようとしても、核兵器発射の準備を整わない間に攻撃を仕掛けてくるから(核兵器の使用には色々と面倒な手続きを経なければならない。それは世界共通なのだ)、WTO軍は成す術もない。ハンブルグ運河に並んだWTO軍は悉く撃破され、東ドイツを守るWTO軍は文字通り壊滅した。

Turn8b

Turn8c


この時点で第3次世界大戦は事実上終了した。

感想

この時点でWTO軍の勝機はほぼなくなったので、ゲーム終了とした。実際には第6TurnでWTO軍が一旦勝利条件を満たしているので、WTO軍が勝っているのだが、その点を踏まえて感想戦と行きたい。

まずNATO側の敗因だが、ブレーメンとミュンスターを失ったことだろう。ブレーメンを失った時点でWTO軍はNATO崩壊の第1条件である「北海シーレーンへの脅威」がほぼ達成できる。あとはダイスで1を出せば良い。NATOはそれを防ぐためにブレーメンは何が何でも死守しなければならない。しかしWTO側には切り札「戦術核弾頭」がある。これがブレーメン上空で使用されれば、NATO軍による死守は難しくなる。そして一旦ブレーメンを奪取されたら、その奪回のためにNATOが戦術核を使用することはできない。何故なら勝利条件に関係する都市でNATO側が核兵器を使用した場合、その都市は実際の支配者に関係なくWTO側の支配とみなされるからだ。
NATOとしてはブレーメンの陥落を阻止するため、その前面であるハンブルグやハノーバーの線で守り切りたい。逆にWTO軍としては序盤が損害を顧みずハンブルグ、ハノーバーを落しに行くべきだろう。そのために化学兵器の使用は必須。当然ながら西ベルリンは可及的速やかに陥落させる必要がある。こちらも損害を顧みずだ。化学兵器を使用し、オーバーランを多用して一刻も早く。当然NATO軍の空挺部隊等が増援が入ってこれないよう全周を固める必要がある。空爆による損害は計算のうちだ。

ゲーム全体の感想に移る。まず対戦ゲームとしてみた場合、プレイ時間がかかるのが気になる。1Turnの所要時間が1~2時間。これにセットアップの時間も含めると、8時間のプレイ時間でも精々3Turn程度しか進めない。通常のシナリオをある程度満足できる所までプレイするためには、2日間は欲しい所だ。しかしルールがシンプルでシミュレーション性はそれほど高いとは思えない本作にそれだけのリソースを投じる意味があるかどうか。
また戦い方がやや技巧的過ぎる点が気になる。通常移動で「挟んでポン」した後、全速力で後方へ下がって巣籠り。これが果たしてリアルと言えるかどうか。まあ勝利条件や核兵器ルールによって全体的に見れば「巣籠り」が必ずしも「必勝法」にはなっていない点、救われているともいえる。

次に褒める点。まずルールがシンプルな点。基本的には、移動・戦闘・移動で、オーバーランが挟まるだけなので基本システムはシンプルである。CRTがやや特殊だが、慣れれば大したことはない。むしろ現在戦における火力戦を上手く再現している。航空戦もシンプルながら雰囲気は出ている。航空戦における適度なギャンブル性も良い。
そして現在戦といえば大量破壊兵器。本作でも化学兵器と核兵器が登場するが、その再現方法が独特である。これらの兵器は要するに「どこでも使える威力の大きな砲兵」(ただし使用できるのはTurn開始時点だけ)なのだが、それに加えて残留汚染物質による追加損害がある。化学兵器のそれは1Turn経過すると消滅するが、核兵器の場合はゲーム終了まで残留する(放射線の半減期を表しているらしい、それにしては核汚染されたヘクスに留まるユニットが半永久的にその場に留まれるのは不思議だが・・・)。これらの兵器の破壊力は一見すると派手なのだが、通常戦闘でもユニットが次々と吹き飛ぶシステムなので、仮に大量破壊兵器を全力使用したとしても、それによる損害は通常戦闘の損害と比べれば「誤差の範囲」である。無論、戦局の決定的な場面で使用された大量破壊兵器は、戦局全体に無視できない影響を与えるが・・・。

本作の最大の魅力は多数用意されたシナリオだ。1945年の戦いと1989年の戦いが同じマップ上でプレイできるというのは素晴らしい。また1962年の東西対決など、今までゲーム化されたことがあっただろうか?。そういった意味で本作の価値は高い。私自身、機会があれば1945年シナリオなどをプレイしてみたいと思っている。

写真16c



NATO Designer Signature Edition The Fulda Gap
幻の東部戦線 機動の理論 Centurion vs T-55: Yom Kippur War 1973 (Duel Book 21) Bradley vs BMP: Desert Storm 1991 (Duel Book 75)

SCS_IC表紙


Iron Curtain(以下、本作)は、SCSシリーズの1作で、西ドイツ周辺で起こり得た東西両陣営の直接対決を作戦レベルで再現した作品である。本作の特徴は、年代別にシナリオが複数用意されている事で、1945年、1962年、1975年、1983年、1989年の各シナリオの中から、好みの時代を選択してプレイできるようになっている。

今回プレイするのは1989年シナリオである。ヴェトナム戦争で打撃を受けていた米陸軍の再建がほぼ完了し、質的な面では冷戦時代を通じて米軍が最も充実した時期である。対する東側陣営も新兵器群で武装し、まさに「スーパーウェポン同士の華麗な激突」。トムクランシーの名作小説「レッドストームライジング」が描いた世界がそこに広がる。

今回はVASSALを使ったソロプレイを試みてみた。

前回までの展開は --> こちら

4Turn(X+9 Day)

天候が悪化した。これまで航空戦を回避し続けたWTO軍。その意図はNATO軍航空戦力の自然減耗(航空作戦を実施すると、航空戦力を消耗する可能性がある)を期待し、制空戦闘機の能力が五分になった時点で航空決戦を挑むというものであった。WTO軍にとって幸いなことに、これまでの戦闘消耗によってNATO航空戦力は消耗を余儀なくされており、劣勢であるWTO軍航空戦力にも漸く勝機が見えてきた。さあ決戦だ。と思った矢先に悪天候である。全天候戦闘能力に劣るWTO航空戦力にとって、悪天候は足かせ以外の何物でもない。さてどうしたものか。

WTO軍は航空決戦を決意した。悪天候ゆえに航空戦闘はWTO軍にとって不利だが、兵力を温存していても仕方がない。たとえWTO側の航空戦力が消耗することになっても、NATO軍航空戦力に一定の損害を与えることで、NATO側航空兵力の脅威を軽減できれば、地上部隊の進撃を援護できる。

WTO軍期待を込めて振ったダイス目は・・・、なんとWTO軍にとって最悪ともいうべき「6ゾロ」であった。WTO軍は航空機2ユニットを失い、2ユニットが長期離脱。何とか対地攻撃機1ユニットだけがNATO防空網を突破してNATO地上部隊に対する攻撃に成功した。NATO側の損失はなし。対地攻撃機1ユニット(トーネード)が長期離脱を強いられただけであった。

F15C


戦力損耗著しいWTO軍ではあるが、それでも攻撃を継続する。北ドイツ平原の都市部に対してWTO軍は果敢に攻め込む。一方の南ドイツでは、WTO軍は積極的な動きを見せていない。
大都市ハンブルクが遂に陥落した。NATO軍は精鋭空挺2個旅団を同地の守備に投じていたのだが、恐れを知らぬWTO軍は機動強襲と通常攻撃の繰り返しでNATO軍を撃破し、遂にハンブルグを手中に収めたのである。
さらにWTO軍の猛攻は続き、ウェザー川河口に位置する港湾都市ブレーメンがWTO軍の猛攻を受けて遂に陥落。さらにルール工業地帯の入口ともいうべきミュンスターを守るNATO軍も遂に壊滅してしまう。このTurn、WTO軍は3つの大都市を占領し、戦線をライン川に向けて大きく前進させた。

Turn4a


NATO軍は航空攻撃にて反撃を実施し、ミュンスター付近に展開していた2個機械化師団を壊滅に追い込んだ。続いてライン川に迫るWTO軍に対する機動反撃を実施する。NATO側の反撃はあくまでも弱点集中で、都市のような難地形に籠る敵に対する攻撃を避け、側面を守る敵部隊を包囲殲滅する策を採る。この方法は、敵の弱点部を叩いて一撃を加えた後、拡張移動を使って自軍前線に戻ってくるというもの。自軍戦線は都市を中心に守りを固めているので、敵の攻撃に対しても抵抗力が期待できる(後退無視地形にいない地上部隊は。敵の包囲攻撃に対して事実上抵抗する術がない)。この「ヒットエンドラン」戦法によって数個師団のWTO軍部隊が壊滅した。NATO軍の損害は僅かに1個旅団だけである。

Turn4b

Turn4c

5Turn(X+12 Day)

天候は回復した。前のTurnに制空戦闘に敗れたWTO側であったが、再び捲土重来を期して全航空戦力を発進させた。制空戦闘のダイス目(2D6)は"9"でまやもやWTO軍の大敗である。WTO軍の投入した対地攻撃機は、Su-24 1ユニットを除いて全て撃退され、Su-24が損失、Su-25が4Turnの使用不能となった。ただしWTO軍の制空戦闘機の損失が皆無であったことは、WTO軍にとっては唯一の慰めとなった。一方のNATO軍は、対地攻撃任務についていた英空軍のトーネード1ユニットが失われる。

このTurn、NATOが初めて化学兵器を使用した。第1TurnにおけるWTO軍による化学兵器使用に対する報復という意味である。目標はミュンスターとブレーメン。西ドイツ国内における化学兵器の使用は心理的な抵抗もあったが、WTO軍の侵攻を食い止めるためには仕方がない。

そのWTO軍。ここまでNATO軍の容赦ない機動反撃に晒されて前線部隊の半数以上が既に失われている。それでも残された兵力で西へ向けて進むしかない。このTurn、WTO軍は遂にオランダ国境に到達した。

Turn5a


6Turn(X+15 Day)

ここでルールミス発覚。1つはスタック制限で、攻撃ヘリはスタック制限を超過して1枚余分にスタックできるということ(ICS 5.1項)。これを使えばルール工業地帯の渋滞を少し緩和できる。
もう一点。これはルールミスというよりも気づいてなかっただけだが、内容的にはより重要なもので、勝利条件。NATO崩壊に関するルールで(ICS 8.2項)、その1つに「北海シーレーンへの脅威」(Northern Sea Lanes Threatened)というのがある。これはデンマークのBomholm島をWTO軍が占領した上で、西ドイツ領内における北海・バルト海に面する8つの港湾のうち6か所をWTO軍が占領すれば達成できる。これを達成すると、毎Turn終了時点で1/6の確率でNATOが崩壊してゲームが終了する。北海・バルト海に面する8港湾というのは、Lubeck、Kiel、Esbjeg、Hamburg、Bremerhaven、Bremen、Wilhelmshaven、Emden。このうちNATOが支配しているのは、Wilhelmshaven、Bremerhaven、Esbjegの3か所のみ。しかもいずれも風前の灯だ。WTO軍は北ドイツ平原に攻撃を集中し、これらの奪取に努めるだろう。

Turn6a


天候は晴れ。劣勢なWTO空軍も全力発進。NATO機と激しい空戦を交える。制空権はNATO側優勢に終わったが、WTO軍にとっては幸いなことに損失した航空機ユニットはなかった。対するNATOは虎の子A-10が対空砲火の犠牲になって散った。

WTO軍は北海沿岸に殺到する。度重なる消耗戦によってWTO軍の機甲兵力は既に半数以上が失われていたが、残った兵力が北海沿岸の港湾都市に殺到する。そして化学兵器も容赦なく使用された。その結果、前TurnまでNATOが保持していたWilhelmshaven、Bremerhaven、EsbjegはWTO軍が占領した。

Turn6b


NATOは「一撃離脱」戦法を放棄し、北ドイツ平原で全面的な反撃に転じた。なんせこれまで兵力温存に努めてきたNATO軍である。兵力だけは多い。WTO軍の脆弱な戦線を切り裂き、重ぼ拠点は回避して北ドイツ平原を攻めあがる。WTO軍の損害は数え切れず。港湾都市EmdenはNATOが奪い返した。しかし大都市であるカッセル、ミュンスター、そしてブレーメンはWTO軍が持ちこたえた。NATO軍の大兵力攻撃も、これらの大都市には通用しない。

そして運命のNATO崩壊チェック。ここで"1"の目が出ると、NATOが崩壊してゲームは終わる。運命のダイス目は・・・。

なんと、"1"が出てしまった。

あまりの結果に唖然とするNATO軍首脳。結果的には消極的な西ドイツ主要部放棄戦略が西側諸国国民の支持を失い、NATOの結束が保てなくなったということだろう。NATOはかつてのSEATO(東南アジア条約機構)と同じように瓦解してしまった。この後、ヨーロッパが共産主義によって支配されることとなったかどうかは、また別の物語である。

Turn6c


つづく

SCS_IronCurtain_Map



NATO Designer Signature Edition The Fulda Gap
幻の東部戦線 機動の理論 Centurion vs T-55: Yom Kippur War 1973 (Duel Book 21) Bradley vs BMP: Desert Storm 1991 (Duel Book 75)

SCS_IC表紙


Iron Curtain(以下、本作)は、SCSシリーズの1作で、西ドイツ周辺で起こり得た東西両陣営の直接対決を作戦レベルで再現した作品である。本作の特徴は、年代別にシナリオが複数用意されている事で、1945年、1962年、1975年、1983年、1989年の各シナリオの中から、好みの時代を選択してプレイできるようになっている。

以前に1962年シナリオの対人戦 を紹介した。そこで今回は別のシナリオをプレイすることになった。
で、選んだのは1989年シナリオ。1989年といえば正にベルリンの壁が破壊され、冷戦が終結した年として知られている。世界平和にとっては誠に慶賀な年であったが、一方で激動の年でもあった。ソヴィエト連邦が地上から姿を消したのは、この2年後の1991年である。湾岸戦争が始まったのが1991年で、その時にはまだソヴィエト連邦自体は健在であった。まあ、今となってはどうでも良い話ではあるが・・・。

このシナリオは。ヴェトナム戦争で打撃を受けていた米陸軍の再建がほぼ完了し、質的な面では冷戦時代を通じて米軍が最も充実した時期である。M1エイブラムス、M2ブラッドレー、AH-64アパッチ、F-15イーグル、F-16ファルコン等の我々が大好きな「スーパーウェポン」達が揃い踏み。対する東側陣営もT-80、BMP-2、MiG-29、Su-27といった新兵器群で武装し、まさに「スーパーウェポン同士の華麗な激突」。トムクランシーの名作小説「レッドストームライジング」が描いた世界がそこに広がる。

今回はVASSALを使ったソロプレイを試みてみた。

Turn0a


準備段階

一部のシナリオを除いて本作では、"Run Up"と呼ばれる準備期間がある。この期間では両軍とも部隊の前線展開を行い、防衛体制を固める。WTO軍は鉄のカーテン近くに部隊を展開させる。NATOは逆に部隊を後方に下げる。前線に置いても包囲殲滅されてしまうからだ。今回、Run Upの期間が10Turnと長かったため、両軍ともかなり期待通りの展開ができた。NATOにとって嬉しかったのは、Run Up第6Turnの増援に登場する西ベルリン守備隊を配置できたこと。これによって西ベルリンの長期抵抗が期待できる(かもしれない)。

Turn0b


1Turn(X Day)

戦争が始まった。WTO軍は鉄のカーテンを超えて西側に侵攻する。WTO軍は開戦当初から化学兵器を大々的に使用する。西ベルリン、ハンブルグ、ハノーバー、カッセルといった都市部に対して化学兵器が使用された(あな、オソロシや)。化学兵器の攻撃が功を奏したのか、西ベルリンは一撃で陥落。ハノーバーのNATO軍は何とか持ちこたえたが、カッセルは陥落。大都市ハンブルグの一部にもWTO軍が浸透してきた。

Turn1a


NATO軍は主に航空攻撃でWTO軍の侵攻に対応する(WTO側は制空権を確保できる見通しなしと判断し、このTurn、航空部隊の温存を図った)。6ユニットもの対地攻撃機を投入して対地攻撃を実施したが、今一つ出目が振るわず、戦果が伸びない。その一方で虎の子のA-10攻撃機とF-15戦闘機が撃墜されてしまう。

A10


本作での航空部隊は一応機種名つきで登場するが、能力的にはシンプルで「制空戦闘能力の有無」「対地攻撃能力の有無」「全天候能力の有無」の3種類しかない。F-15でもF-104でも「制空戦闘能力=あり」という点で全く同じだ。そのような中、A-10のような一部の機種は対地攻撃能力が2回実施可能。すなわち通常の2倍の対地攻撃能力を有していることになる。

地上でも局地的な反撃を行い包囲攻撃でWTO軍機械化部隊数個を撃破する。NATOの反撃は一撃離脱に徹し、戦闘が終わった後、全移動力で都市部や後方地帯に下がっていく。前線に残っていたらWTO軍の攻撃で包囲されてしまうからだ(ZOCが弱くて移動力が大きいので包囲攻撃を避けることはできない)。

「通常移動で前に出て叩き、拡張移動で後ろに下がる」

本作での基本的な戦術スタイルだが、このようなプレイスタイルがプレイ時間の長大化を招いている点は否めない。

Turn1b

Turn1c


2Turn(X+3 Day)

WTO軍の攻撃は早くも下火になる。NATO軍主力が大きく後退したため、WTO軍が前進したい所だが、前に出ると裸になり、包囲殲滅されるのは必定。必然、前進はへっぴり腰になる。ハノーバーに対する攻撃は成功しWTO軍がハノーバーを支配する。しかしハンブルグ、ブレーメンのNATO軍は持ちこたえる。
NATO軍は突出してきたWTO軍部隊を個別攻撃して包囲殲滅していく。この時点でWTO軍が失った兵力は、開戦以来9個師団、3個旅団/連隊、2個ヘリコプター旅団に達した。NATO側の損害も決して少ないものではなく、機甲旅団9個、機械化旅団5個、西ドイツ郷土防衛旅団4個、西ベルリン守備隊4個旅団、その他航空兵力等を失っていた。

Turn2a


3Turn(X+6 Day)

NATO空軍が大暴れ。自慢のAir Land Battle(空地戦)ドクトリンでWTO軍第2梯団を空から叩く。航空攻撃によって第2梯団の半数近くが撃破されてしまい。しかしその一方でNATO側は米空軍のF-16 1ユニットとフランス空軍のMirage F1 1ユニットを失い、ベルギー空軍のF-16 1ユニットが大損害を被った。次のTurnあたり、WTO軍戦闘機隊が反撃に転じるチャンスとなる。
WTO軍は例によってへっぴり腰侵攻。キールとブレーメンは未だ落ちず、南方では漸くニュールンベルグが陥落した。その一方でNATO側の機動反撃によってWTO軍はこのTurnだけで機械化師団9個、旅団/連隊2個、ヘリコプター2個旅団を失う。
さらにWTO軍にとって痛かったのはNATO航空戦力による航空攻撃だ。前線後方から戦場へ向かうWTO軍第2梯団がNATO軍航空戦力による阻止攻撃を受け、数個師団の機甲部隊が撃破されてしまう。

Turn3a


後から振り返ると、このTurnが事実上の決戦であったように思う。両軍とも「ヘッぴり腰」で戦っていたが、特にWTO軍はここで化学兵器投入を含む全力攻撃でハンブルグ、ブレーメンを落し、戦線をベルギー国境まで進めておくべきであった。それこそ「損害を顧みずに」だ。

つづく

SCS_IronCurtain_Map



NATO Designer Signature Edition The Fulda Gap
幻の東部戦線 機動の理論 Centurion vs T-55: Yom Kippur War 1973 (Duel Book 21) Bradley vs BMP: Desert Storm 1991 (Duel Book 75)

写真07_表紙


SCS(Standard Combat Series)とは、主にWW2以降の地上戦闘をテーマとした作戦級ゲームのシリーズで、一般的な陸上作戦級ゲームのルールで構成されている。シークエンスは、移動、戦闘、二次移動でプレイヤーTurnを構成し、移動中に一度だけオーバーランを実施できる(オーバーラン終了地点で強制停止)。ZOCは比較的弱く、ZOC進入に追加2MP消費のみ。ZOC to ZOCの移動も可能である。
戦闘は一般的な戦闘比とコラムシフトの組み合わせ。戦闘比の計算がいわゆる「防御側有利な切捨て」ではなく「四捨五入」になっている点が特徴的か。あと「戦場の霧」ルールでスタックは一番上しか見れない。そのためにスタックの順番にも規定がある。ちなみに基本ルールだけなら英文7ページと量的には少なめである。

Iron Curtain(以下、本作)は、SCSシリーズの1作で、西ドイツ周辺で起こり得た東西両陣営の直接対決を作戦レベルで再現した作品である。本作の特徴は、年代別にシナリオが複数用意されている事で、1945年、1962年、1975年、1983年、1989年の各シナリオの中から、好みの時代を選択してプレイできるようになっている。

今回、本作をプレイすることになり、1962年シナリオ(東側から侵攻)をプレイしてみることにした。1962年といえば例のキューバ危機が発生した年であり、米ソが核戦争に最も近づいた時期でもあった。私はNATO側を担当する。

前回までの展開は --> こちら

感想

時間の関係上ここでお開きとした。今回は2日間のプレイでプレイ時間は15時間程度であった。消化したTurn数で割ると1Turn平均は2時間強となる。ただセットアップやRun Upで結構時間がかかったので、その分を差し引くと1Turnの平均時間は1~2時間程度となるだろう。無論、長考派のプレイヤーがいた場合は、その2倍程度を覚悟する必要があるかもしれない。

この後の展開だが、WTO軍が力押しをすれば、ライン川の渡河は可能だろう。ただし西ベルリンが未だ陥落していないので、WTO軍にとってゲーム上の勝利は厳しい。またNATOには切り札の核弾頭があり、それを西ベルリン周辺のWTO軍に投入すれば、事実上西ベルリンは難攻不落となる可能性がある。無論、そうはならずWTO軍はライン川を渡河し、NATO軍の核使用と相まって勝利条件レベルが上がったことで、WTO軍がゲーム上勝利する可能性も否定できない。

核兵器の話が出たので序だが、今回両陣営とも核及び化学兵器は用いなかった。WTO軍としてはライン川渡河作戦やルール工業地帯占領のための切り札として化学兵器を投入する選択肢はある。ただしWTO軍の化学兵器投入は、NATOによる核報復を招く恐れは多分にあるのだが・・・。
そのNATOの核兵器だが、この1962年シナリオでは、どこかのタイミングでNATOは核を使用することになるだろう。というのも、このシナリオではNATOの核戦力がWTOを圧倒しており、さらにWTO軍の強力な機甲集団を撃破するためには核兵器に頼らざるを得ないからだ。実際、この時期のNATOの戦略は、数的に優越している戦術核弾頭の威力でWTO軍の戦車集団を撃破することになっていたので、核兵器の使用は歴史的に見ても正しい。ただ、早い段階で核兵器を使用すると、勝利条件判定が前倒しになってWTO軍が早期に勝利してしまう可能性が高まる。従ってNATOとしてはギリギリのタイミングまで見極めて、どうしようもない場合のみ核兵器を使用すべきであろう。

写真18


ゲームに対する苦言を少し述べさせて頂く。
兎に角セットアップが面倒である。シナリオ毎にセットアップが記載されているが、それがユニット名と戦力と登場ヘクスが羅列されているだけ。本作はマルチシナリオが売りのゲームなので、該当をするユニットを探すだけでも一苦労である。一応ユニットは年代別に分類されているのだが、中には複数の年代で共通のユニットを使う場合があり、そのような場合は全ユニットの中から該当するユニットを探さなければならない。せめてセットアップ情報の中に年代専用ユニットか否かだけでも記載してもらえれば、少しはセットアップが楽になるのに・・・。
ようやくユニットを見つけ出しても地図上に配置するのにまた一苦労。Gamers系の作品共通のヘクスナンバリングシステム(5の倍数ヘクスだけヘクスナンバーを記入する方法)なので、慣れないと正確な座標がわかりにくい。筆者も一度セットアップした後、再確認すると数か所でセットアップミスが見つかった。
20世紀のSPIゲームじゃあるまいし、今ならカラーのセットアップシートを用意し、とマップ全ヘクスにヘクスナンバーを記入するだけでセットアップは数段楽になるのに、何故頑なに旧来のセットアップ方式を踏襲するのか。凡人の私には理解し難い所である。

戦闘システムは意外と雰囲気が出ている。本作では1945年とそれ以降で別の戦闘結果票を用いる。1945年用は一般的な戦闘比方式だが、それ以降は少し違う。戦闘比を使う所は同じだが、戦闘結果票が変わっていて、攻撃側の損耗、防御側の損耗、後退ヘクス数の3項目についてダイスを振ることになる。攻撃側の損耗はスタック単位で判定し、防御側の損耗はユニット単位、後退ヘクス数は防御ヘクス単位で判定する。従って攻撃側は小兵力をバラシて攻撃すると損耗が多くなる仕組み。しかもこの方式だと防御側もダイスを振ることができるので、一方的にやられている感じが少ない。このCRTは優れたアイデアだと思う。

ゲーム展開についていえば、筆者のプレイでいくつか失敗があったことは否めない。まず序盤。戦況を見て東ドイツに攻め込んだ。それはそれで良かったのだが、適当な所で切り上げて後方に下がるべきであった。兵力に余裕を持った状態でライン川まで下がれば、仮にWTO側が化学兵器を使ってきてもある程度余裕を以て守れた筈である。また後退の際に漫然と下がったのも宜しくなかった。二次移動可能な部隊を使って積極的な反撃を仕掛けておくべきであった。敵ユニットの戦力が読めないのが辛い所だが(お陰で手痛い失敗をした)、ある程度失敗経験をしておけば、反撃のコツが掴めていただろう。そういった意味でやや退嬰的なプレイだった点は反省しなければならない。

まとめに入る。本作は比較的シンプルなシステムで冷戦期の仮想戦を再現した佳作と言える。気になる点と言えば、ユニットの移動力が比較的大きく、またZOCの拘束が弱いために移動の自由度が大きいこと。またユニット数も多いので1Turnの所要時間が多いことである。今回丸々2日間プレイしたが、最終turn(第10Turn)までプレイし終えることはできなかった。1Turnの所要時間は1~2時間であった。

いずれにしてもシンプルなルールでWW3を様々なシチュエーションでプレイできる作品なので、機会があれば別のシナリオもプレイしてみたい。

写真19




NATO Designer Signature Edition
幻の東部戦線 機動の理論 Centurion vs T-55: Yom Kippur War 1973 (Duel Book 21) Sagger Anti-Tank Missile vs M60 Main Battle Tank(Duel Book 84)

↑このページのトップヘ