The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、
以前の記事
で紹介したので、そちらを参照されたい。
今回は、その中からシナリオ5「The Battle for Germany」をソロプレイしてみた。このシナリオはマップ全域を使ういわば「グランドキャンペーン」というべきシナリオである。
前回までの展開は --> こちら
WPはそれでもNATOの前線を突破すべく攻勢をしかける。フルダ峡谷前面では、歴戦の第79親衛戦車師団(79GTD)や第39親衛機械化師団(39GMRD)などが米第3機甲師団の守るフランクフルト東部に対して定点攻撃を仕掛けた。しかしNATO側の守りは固い上、航空戦力の支援も欠いたWP側に最早勝機はなく、攻撃側が大損害を出しただけに終わった。
同様に北部戦線でもハンブルグ南方に孤立したソ連軍、東ドイツ軍各1個師団を救援すべくNATOの防衛線に激しい攻撃を加えた。しかし西ドイツ軍、イギリス軍、そしてベルギー軍がガッチリ防衛線を固めており、WP側大兵力の攻撃にもビクともしない。無論、一部ではWP側が勝利する場面もあったが、NATOの兵力が大きいためにステップロスや補充ポイントの消化だけで賄われてしまっている。WP側が唯一前進できたのはハンブルグ北西部のエルベ川流域で2個師団の兵力がエルベ川西岸へ強行渡河に成功。オランダ軍第4歩兵師団前面に3ヶ所の橋頭保を築いた。
プレイの途中に気づいたのだが、予備移動のルールに適用ミスがあった。大きなミスは以下の2点である。
1)予備移動で活性化した司令部は行動済みになる(補給ポイントを支払えば行動済みにならないと思っていた)。
2)予備移動ではRoad Column(路上行軍)を利用できない(路上行軍を利用できると思っていた)。
この2点のおかげで第1TurnにおけるNATOの展開が早くなり、防御態勢が固まってしまった。それが今回の一方的な展開の大きな要因だと思う。それがなければ、WP側はもう少し大きく前進できたと思う。
今回初めてキャンペーンシナリオをプレイしてみたが、政治ルールに問題があると感じた。小国の脱落が簡単に起こり過ぎるのだ。デンマークのように開戦劈頭に本土侵略を受けるような国ならまだしも、オランダやベルギーのような国家が開戦1~2日で、しかも本土が侵攻されている訳でもないのに簡単に脱落するものだろうか?。ましてやポーランドやチェコスロバキアのような国家が、簡単に脱落するものだろうか?。現実問題として自国国内に敵側の軍隊が進入するとか、あるいは自国内で大型核兵器が炸裂するとかしない限り、これらの中小国が単独で戦線離脱は考え難いように思う。
下表は本作でNATO諸国が戦線から離脱する可能性を示すものである。
ここで注意してほしいのは、NATO諸国が戦線から離脱する可能性は、WP側の獲得したVPの「絶対量」に応じて変化するということである。「絶対量」という意味に注意してほしい。本作のVPシステムは基本的に「加算」方式である。すなわち自軍に有利な事象を達成すれば自軍のVPが加算され、逆に敵軍に有利な事象が達成されれば敵軍のVPが加算される。つまり両軍とも時間の経過と共にVPは増えていくことになる。
ここで大規模シナリオと中規模シナリオの違いを考えてみてほしい。当然大規模シナリオでは中規模シナリオに比べて同じ期間で比較すれば両軍ともより多くのVPを獲得する(VPの加算機会が多い)。これがどういうことかと言えば、大規模シナリオでは必然的に中規模シナリオよりも中小国の戦線離脱が起こりやすくなるわけだ。もっと分かりやすく言うと、本作で北部戦線のみを扱ったシナリオ3では、中小国の戦線離脱はそれほど激しくは起こらない。しかしキャンペーンシナリオではいとも簡単に両陣営の中小国が「戦争を止めて」しまう。シナリオ3とシナリオ5では同じ状況を扱っており単に切り取り方が違うだけなのに、再現される現象が異なるのは如何なものか?。
この問題について個人的な見解を述べれば、中小国の離脱ルールはデンマーク以外は無視した方が良いと思う。またデンマークについてはWP側が2個師団以上をユトランド半島北端より盤外離脱させればデンマークは降伏する、ぐらいで良いように思う。
そこまで極端に変えるのが嫌なら、例えばキャンペーンシナリオでは政治テーブルのVPラインを2倍程度に引き上げて中小国の離脱が発生し難くするのが良いと思う。
先に挙げたVP判定の件以外にも工兵チェックや各種支援の是非など、ダイスによる変動要素が多く、「荒れる」ことの多いゲームである。ミニキャンペーンではそれほど気にならなかったが、キャンペーンシナリオだとこの「荒れ具合」がやや極端に思えてくる。シナリオ3や4のようなミニキャンペーンでは左程気にならなかったのだが・・・。対人戦を考えると、シナリオ5よりもシナリオ3とか4の方が向いているように思えた。
そう考えると、GDWのThe Third World Warの方が全体的に安定しており、そちらの方が高く評価できる。やはりThe Third World Warは傑作だなぁ、と、思い直した次第だ。
The Fulda Gap
The Battle for the Balkans
NATO Designer Signature Edition
The Third World War, Designer Signature Edition
Blue Water Navy
Next War Poland
Game Journal 81-米中激突:現代海戦台湾海峡編
コマンドマガジン Vol.177『ヴュルツブルク』
今回は、その中からシナリオ5「The Battle for Germany」をソロプレイしてみた。このシナリオはマップ全域を使ういわば「グランドキャンペーン」というべきシナリオである。
前回までの展開は --> こちら
4Turn(1985/8/4)
戦略フェイズ
天候は晴天。NATOがAWACS優勢を確保した。WPは航空戦力が整わないので迎撃を断念。全機を地上待機とした。そのためNATOの攻撃機が思うがままに暴れ回り、WP側のSAM部隊を完全制圧。さらにインフラストラクチャー網を攻撃し、インフラ値を15から一気に5までダウンさせた。事実上これで決着がついた感がある。WPプレイヤーターン
WPはそれでもNATOの前線を突破すべく攻勢をしかける。フルダ峡谷前面では、歴戦の第79親衛戦車師団(79GTD)や第39親衛機械化師団(39GMRD)などが米第3機甲師団の守るフランクフルト東部に対して定点攻撃を仕掛けた。しかしNATO側の守りは固い上、航空戦力の支援も欠いたWP側に最早勝機はなく、攻撃側が大損害を出しただけに終わった。
同様に北部戦線でもハンブルグ南方に孤立したソ連軍、東ドイツ軍各1個師団を救援すべくNATOの防衛線に激しい攻撃を加えた。しかし西ドイツ軍、イギリス軍、そしてベルギー軍がガッチリ防衛線を固めており、WP側大兵力の攻撃にもビクともしない。無論、一部ではWP側が勝利する場面もあったが、NATOの兵力が大きいためにステップロスや補充ポイントの消化だけで賄われてしまっている。WP側が唯一前進できたのはハンブルグ北西部のエルベ川流域で2個師団の兵力がエルベ川西岸へ強行渡河に成功。オランダ軍第4歩兵師団前面に3ヶ所の橋頭保を築いた。
感想
この時点でWP側の突破能力が無くなったと判断。ゲーム終了とした。プレイの途中に気づいたのだが、予備移動のルールに適用ミスがあった。大きなミスは以下の2点である。
1)予備移動で活性化した司令部は行動済みになる(補給ポイントを支払えば行動済みにならないと思っていた)。
2)予備移動ではRoad Column(路上行軍)を利用できない(路上行軍を利用できると思っていた)。
この2点のおかげで第1TurnにおけるNATOの展開が早くなり、防御態勢が固まってしまった。それが今回の一方的な展開の大きな要因だと思う。それがなければ、WP側はもう少し大きく前進できたと思う。
今回初めてキャンペーンシナリオをプレイしてみたが、政治ルールに問題があると感じた。小国の脱落が簡単に起こり過ぎるのだ。デンマークのように開戦劈頭に本土侵略を受けるような国ならまだしも、オランダやベルギーのような国家が開戦1~2日で、しかも本土が侵攻されている訳でもないのに簡単に脱落するものだろうか?。ましてやポーランドやチェコスロバキアのような国家が、簡単に脱落するものだろうか?。現実問題として自国国内に敵側の軍隊が進入するとか、あるいは自国内で大型核兵器が炸裂するとかしない限り、これらの中小国が単独で戦線離脱は考え難いように思う。
下表は本作でNATO諸国が戦線から離脱する可能性を示すものである。
ここで注意してほしいのは、NATO諸国が戦線から離脱する可能性は、WP側の獲得したVPの「絶対量」に応じて変化するということである。「絶対量」という意味に注意してほしい。本作のVPシステムは基本的に「加算」方式である。すなわち自軍に有利な事象を達成すれば自軍のVPが加算され、逆に敵軍に有利な事象が達成されれば敵軍のVPが加算される。つまり両軍とも時間の経過と共にVPは増えていくことになる。
ここで大規模シナリオと中規模シナリオの違いを考えてみてほしい。当然大規模シナリオでは中規模シナリオに比べて同じ期間で比較すれば両軍ともより多くのVPを獲得する(VPの加算機会が多い)。これがどういうことかと言えば、大規模シナリオでは必然的に中規模シナリオよりも中小国の戦線離脱が起こりやすくなるわけだ。もっと分かりやすく言うと、本作で北部戦線のみを扱ったシナリオ3では、中小国の戦線離脱はそれほど激しくは起こらない。しかしキャンペーンシナリオではいとも簡単に両陣営の中小国が「戦争を止めて」しまう。シナリオ3とシナリオ5では同じ状況を扱っており単に切り取り方が違うだけなのに、再現される現象が異なるのは如何なものか?。
この問題について個人的な見解を述べれば、中小国の離脱ルールはデンマーク以外は無視した方が良いと思う。またデンマークについてはWP側が2個師団以上をユトランド半島北端より盤外離脱させればデンマークは降伏する、ぐらいで良いように思う。
そこまで極端に変えるのが嫌なら、例えばキャンペーンシナリオでは政治テーブルのVPラインを2倍程度に引き上げて中小国の離脱が発生し難くするのが良いと思う。
先に挙げたVP判定の件以外にも工兵チェックや各種支援の是非など、ダイスによる変動要素が多く、「荒れる」ことの多いゲームである。ミニキャンペーンではそれほど気にならなかったが、キャンペーンシナリオだとこの「荒れ具合」がやや極端に思えてくる。シナリオ3や4のようなミニキャンペーンでは左程気にならなかったのだが・・・。対人戦を考えると、シナリオ5よりもシナリオ3とか4の方が向いているように思えた。
そう考えると、GDWのThe Third World Warの方が全体的に安定しており、そちらの方が高く評価できる。やはりThe Third World Warは傑作だなぁ、と、思い直した次第だ。
The Fulda Gap
The Battle for the Balkans
NATO Designer Signature Edition
The Third World War, Designer Signature Edition
Blue Water Navy
Next War Poland
Game Journal 81-米中激突:現代海戦台湾海峡編
コマンドマガジン Vol.177『ヴュルツブルク』







天候が悪化した。両軍ともAWACS優勢は取れず。NATOは大量の航空機増援を受けて制空権を掌握すべく全力出撃。先ほどの攻撃で一時は全飛行場が使用不能となっていた英本土のNATO航空基地も、米英工兵隊による献身的な修理により半数がその使用可能となっていた。WPも航空戦力で劣るものの、可能な限りNATOの航空脅威を弱めるべく全力出撃する。

WPの先頭を進むのはフルダ渓谷を西へ突進する第1親衛戦車軍(1GTA)と第8親衛軍(8GA)である。既にフランクフルトを目前にしていた彼らだが、フランクフルトは守りが固いと見たので、目標をヴェツラー(WETZLAR H17.34)に変更。ここを西へ抜いてライン川を目指す。第8親衛軍所属の第79親衛戦車師団(79GTD))と第39親衛機械師団(39GMRD)が攻勢の主力を務める。NATOも西ドイツ第5装甲師団が全力展開する。

北部戦線では、ハンブルグの南で橋頭保を固めたWP側は橋頭保の南に3個師団を浸透させて橋頭保の拡張を図る。しかしハンブルグ南に展開した西ドイツ民兵(VKK)や増援にかけつけた西ドイツ第7装甲師団第21装甲連隊の活躍でWP側の浸透を阻止。さらにソ連第6親衛機械師団を壊滅に追い込んだ。


特徴的な部分は、フルダ渓谷からフランクフルトにかけての地域。WP側が最も快調に進撃している地域だ。既にソ連軍の機械化師団数個がフルダ渓谷を抜けてフランクフルトに接敵しつつあった。それに対してNATOはフランクフルトの守りを固めつつ、フルダ渓谷の後方線を遮断する作戦に出た。米第3歩兵師団がフルダ~フランクフルト間の街道上に進出したのだ。



天候は晴天である。NATOはAWACS優勢を取れなかった。さらに前回WP側が散布した化学兵器の影響が残る西ドイツのNATO軍基地からは航空機を全力発進できない。NATO側は制空権確保を最重要視し、制空戦闘機を優先的に発進させた。しかし空戦の出目が悪くWP軍と互角の結果しか残せなかった。その結果、WP側の長距離侵攻部隊の英本土進入を許してしまう。さらにこういう時に限ってSAMも外れまくり。Su24やSu17といったソ連軍戦闘爆撃機が大暴れ。このTurn、英本土の航空基地は4ヶ所全てが機能停止してしまう。

WP側が最初に行動を開始したのは、定番のフルダギャップである。ソ連最強の第1親衛戦車軍(1GTA)と第8親衛軍(8GA)の機械化部隊がフルダ渓谷に殺到。フルダ(FLUDA H24.34)を守る米第11装甲騎兵連隊を攻撃する。第11装甲騎兵連隊は善戦するも壊滅。フルダにはソ連軍第11親衛戦車師団が入城した。

次にWPは北部戦線での攻勢を開始した。ソ連第2親衛軍(2GA)麾下の第94親衛機械化歩兵師団がキール市街地でエルベ川渡河を敢行。しかし西ドイツ軍守備隊が善戦し、ソ連軍によるエルベ川渡河こそ許したものの、そこからの突破展開を阻止していた。


NATO軍はまだ動いていない部隊の移動を行う。またブレーメンに陣取るソ連空挺部隊に対して反撃を実施した。攻撃を担当するのは西ドイツ陸軍第11装甲擲弾兵師団所属の第37装甲擲弾兵連隊である。NATO自慢の夜襲によって精鋭を誇ったソ連空挺部隊はブレーメン市街から叩き出されてしまう。この戦いによってNATOは目標マーカーを1個取得。それがなんと5VPの大当たりであった。NATOの獲得VPは8VPになる。



シナリオ開始時点でWP軍は特殊部隊(スペツナズ)を6個使用できる。米軍の事前備蓄基地POMCUSに対して3個、司令部襲撃(中央軍、米第5軍団司令部)に1個、飛行場襲撃に2個を投入した。
続いて航空戦の割り当てである。AWACSチェック。NATO側のAWACSレベルが7なので、D10で7以下を出せばNATO側がAWACS優勢を確保する。出目は"6"でNATO側が順当にAWACS優勢を獲得した。

航空戦を解決する前にSSM攻撃の解決がある。SSM攻撃は目標を選択し、D10を振る。出目が自身のSSM値以下の場合は攻撃成功で、損害判定を行う。出目がSSM値よりも大きい場合はSSM攻撃失敗となり、SSM値が1減少する。
一方、SAM制圧任務にあたったイギリス、西ドイツのトーネード編隊は、WP側防空部隊が撃ちあげる対空砲火によって9ユニット中2ユニットが撃退されるという損害を被ったが、残り7ユニットがWP側SAM陣地を猛爆。全体の半数以上にあたるSAM10個を機能不全に陥れた。
最後にWP側が空挺作戦を行う。WP側で投入可能な空挺部隊は4個連隊。目標ヘクスを選んでD10で輸送値以下の目が出れば空挺降下成功になる。3個連隊がミュンヘン(MUNCHEN H33.58)、ブレーメン(BREMEN H24.12)に空挺堡を築いた。最後の1個連隊はキール(KIEL H32.02)を狙ったが、作戦に失敗して基地に引き上げた。

最初のTurnはWP側も十分な兵力がないため大々的な突破は難しい。北方ではキール(KIEL H32.02)を無血占領し、ハンブルグは東半分を占領した。しかしそれ以外は目立った前進はなく、西ベルリンに対しても包囲するにとどまって攻撃は差し控えた。

NATO側は補給ポイントが少なく、さらに特別ルールによって移動が大きく制限されているので、できることは少ない。それでも目標ヘクスは可能な限り取り返しておきたい。そこでミュンヘンに対して反撃を実施した。しかしミュンヘンはなかなか手強い。ソ連軍の砲兵支援や航空支援も得られる場所であったからだ。NATOは一計を案じ、敢えて遭遇戦を仕掛けた。WP側の砲兵/航空支援を可能な限り減殺しておこうという策だ。NATOの作戦は奏功し、ミュンヘンのソ連空挺部隊は撃退された。







悪天候は続く。またもやNATOがAWACS優勢を確保した。WP側は兵力的には不十分であったが、このままでは「座して死を待つ」のみなので、全力出撃。しかし優勢なNATO側戦闘機に敵う筈もなく、敵に一矢を報いることもできず、大空から一掃された。

取り敢えずこの時点でNATO側の航空優勢は明らかになったので、終了とする。今回は航空戦のみを試してみたが、実際にはSSMによる攻撃、化学兵器、核攻撃、さらにはWPの進撃による西ドイツ領内飛行場の蹂躙といった要素があり、これらはWP側に有利に作用する。従って実際のプレイで今回のような一方的な展開になるとは限らない。
